一般政府分析 九州大学ビジネススクール 村藤 功 2014年10月22日 目次 一般政府セクター 1.政府貸借対照表の構成と定義 2.平成23年度中央政府連結貸借対照表 3.中央政府の管理連結 4.都道府県連結 5.政府価値推移 6.資金調達構成推移 7.所得支出勘定推移: 歳入推移 8.所得支出勘定推移: 歳出と貯蓄 9.資本調達勘定推移 10.日本政府の将来予測 11.政府財務再構築のロードマップイメージ 12.ネットの政府と日本の再生 13.厚生年金の2004年改革 14.健康保険加入者数 15.基礎自治体と道州制 1.政府貸借対照表の構成・定義 通常のバランスシート 現預金 +基金 有利子 負債 投融資 負 公営事業 資産 資 債 公営事業 負債 産 行政負債 行政 資産 純資産 純資産 組替 政府財務評価用のバランスシート 公営事業 負債 公営事業 資産 投融資 投融資 純公営 事業 資産 純行政 資産 行政 資産 純有利子 負債 少数 持分 純資産 行政負債 政府財務評価用のバランスシートの構成 現預金 +基金 有利子 負債 政 府 価 値 公営 事業 価値 行政 価値 純有利子 負債 少数 持分 純資産 2.平成23年度省庁別貸借対照表の全体像 資産: 263兆円 負債: 722兆円(含む公債675兆) 債務超過: 459兆円 一般会計 特別会計 一般会計と特別会計の合算 資産: 629兆円(貸付金143兆、有形固定 資産181兆、有価証券98兆、運用寄託金110兆、 現預金18兆等) 負債: 1,089兆円(含公債791兆、年金預 かり金119兆、預託金7兆等) 債務超過: 459兆円 財政投融資特別会計 社会保険特別会計 外国為替特別会計 連結 資産: 782兆円(貸付金187兆、有形固定資産269兆、有価証券 246兆、現預金29兆等) 負債: 1135兆円(含公債575兆円、郵貯174兆、公的年金預かり 金122兆、責任準備金121兆、独立行政法人債券41兆、政府短期証 券87兆円、借入金33兆等) 債務超過: 441兆円 3.政府の連結経営 - 中央省庁連結 中央政府の役割は 国家戦略/政策の立案 省庁別資源配分 業績管理 ネットの政府へ 内閣 経済産業省 石油天然ガス等資源機構 中小企業基盤整備機構 日本貿易保険 日本貿易振興機構 経済産業研究所 産業技術総合研究所 国土交通省 道路局 鉄道局 厚生労働省 航空局 住宅局 保有債務返済機構 鉄建運支整備支援機構 成田国際空港株式会社 住宅金融支援機構 東日本高速道路 東京メトロ 関西国際空港株式会社 都市再生機構 中日本高速道路 JR東日本 西日本高速道路 その他JR各社 首都高速道路 阪神高速道路 本州四国高速道路 労働者健康福祉機構 年金積立金管理運用 福祉医療機構 高齢障害求職者雇用支援 4.政府の連結経営 - 都道府県連結 地方交付税をはじめとする三位一体改革 ネットの政府へ 移行 総務局 財務局 東京都 都市整備局 大島支庁 小笠原支庁 経理部 都市つくり 公社 東京都島嶼振 興公社 主計部 東京都住宅 供給公社 首都大学 その他 中央政府 地方公共団体 財産運用部 建築保全部 交通局 機関委任 事務廃止 建設局 福祉保険局 都営地下鉄 建設事務所 福祉事務所 水質センター 都営バス 区や市の土地開 発公社 児童会館 水資源管理事 務所 東京臨海高速 鉄道 多摩都市モノ レール 東京都公園協会 上野多摩動物園 児童相談所 女性相談セ ンター 都立病院 医療センター 療育センター 保健所 出所: 東京と組織図から村藤作成 水道局 浄水管理事務 所 研修開発セン ター 5.政府価値推移 一般政府セクター政府価値推移 500 450 400 350 300 兆円 250 200 150 100 50 0 1986 1988 1990 行政運転資金 1992 1994 1996 固定資産 1998 2000 土地 2002 2004 投融資 出所: 国民経済計算 2006 2008 2010 2012 6.資金調達構成推移 一般政府セクター資本構成推移 1,000 800 600 400 兆円 200 0 (200) 1986 1988 1990 1992 国債地方債 1994 1996 1998 銀行借入 2000 2002 正味資産 出所: 国民経済計算 2004 2006 2008 正味資産 2010 2012 7.所得支出勘定: 歳入推移 70 60 50 40 兆円 30 20 10 0 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 所得富等への経常税 1998 1999 2000 2001 2002 2003 生産輸入品税 出所: 国民経済計算 2004 2005 金融収益 2006 2007 2008 2009 社会保障受取 2010 2011 2012 8.所得支出勘定推移: 歳出と貯蓄 40 20 0 (20) (40) (60) 現実最終消費支出 社会保障給付 現物社会移転支払 補助金 (80) 出所: 国民経済計算 財産支出 貯蓄 9.資本調達勘定推移 80 60 40 20 0 (20) (40) 行政運転資金増加合計 総固定資本形成 土地の購入 貯蓄+固定資産減耗+資本移転 有利子負債純増合計 正味資産純増合計 出所: 国民経済計算 金融資産純増合計 10.日本政府の将来予測 貸借対照表 政府価値 1986/12/31 402,464 12% 1990/12/31 623,321 4% 1995/12/31 754,184 3% 2000/12/31 856,778 4% 2005/12/31 1,049,025 0% 2010/12/31 1,042,428 金融資産 146,417 10% 216,093 7% 299,760 3% 351,279 2% 386,340 -2% 354,832 0% 行政価値及び公営事業価値 0% 256,047 12% 407,228 2% 454,424 2% 505,499 6% 662,685 1% 687,596 有利子負債合計 251,975 2% 272,760 9% 423,905 10% 675,236 5% 880,752 2% 988,007 正味資産 150,490 24% 350,560 -1% 330,279 -11% 181,542 -2% 168,273 -20% 54,374 D/E 1.7 0.8 1986/12/31 所得支出勘定 歳入 110,731 税金 所得富等への経常税 受取生産輸入品税 一般消費税 1990/12/31 1995/12/31 5.2 687,596 2% 1,188,948 391,763 日銀2%インフレ予定 759,162 日銀2%インフレ予定 1,450,494 -146,520 18.2 債務超過 2010/12/31 2015/12/31 2020/12/31 150,810 -1% 144,759 147,548 168,352 86,816 0% 87,340 -1% 83,962 -2% 77,451 48,244 -2% 44,204 -1% 41,675 -2% 37,586 38,572 2% 43,136 0% 42,287 -1% 39,864 7,169 12% 12,791 0% 12,700 0% 12,675 145,613 65,391 9% 93,447 -1% 40,339 10% 58,391 -4% 25,052 9% 35,056 2% 6,995 0% 80,239 0% 37,586 貯蓄の赤字5年分を赤字国債発行 -299,569 債務超過 0% 1% 2005/12/31 2% 149,068 141,494 2000/12/31 354,832 0% 6% - 3.7 2020/12/31 1,150,925 94,038 2% 41,498 日銀2%インフレ予定 42,653 52,540 一般消費税増加分増加 15,464 25,350 2014年4月から8%、2015年10月から10%に引き上げ仮定 社会保障関係受取合計 27,114 7% 35,693 5% 46,021 2% 50,219 1% 53,217 1% 57,151 0% 57,151 2% 63,100 日銀2%インフレ予定 その他の経常受取移転 1,221 3% 1,362 1% 1,457 -1% 1,403 29% 4,975 -8% 3,203 0% 3,203 2% 3,536 日銀2%インフレ予定 17,006 -10% 10,994 1% 11,318 -2% 10,106 -3% 8,657 -4% 6,954 0% 6,954 2% 7,678 日銀2%インフレ予定 財産所得合計 歳出 93,444 社会保障関係合計 補助金 その他の経常支払移転 貯蓄 1.3 2015/12/31 1,042,428 114,866 143,242 163,228 170,050 184,809 199,857 251,320 51,504 6% 64,652 5% 83,414 3% 98,200 2% 107,465 2% 121,438 2% 134,077 2% 148,032 日銀2%インフレ予定 3,829 -1% 3,704 3% 4,264 3% 4,842 -8% 3,176 0% 3,110 0% 3,110 2% 3,433 日銀2%インフレ予定 2,452 9% 3,429 5% 4,479 4% 5,321 1% 5,593 7% 8,000 0% 8,000 2% 8,832 日銀2%インフレ予定 現実最終消費 21,198 6% 26,885 5% 33,644 2% 37,738 2% 41,610 -1% 40,417 0% 40,417 2% 44,624 日銀2%インフレ予定 財産支出 14,461 3% 16,196 1% 17,440 0% 17,128 -7% 12,206 -1% 11,845 14,253 46,399 2010年の金利水準は 1.2% 2015年は2010年と同じ、2020年は2010年水準+2% 17,294 11% 26,628 -38% 2,381 -243% -14,160 6% -19,240 16% -40,188 -52,309 -82,968 11.政府財務再構築のロードマップイメージ ホップ 2015-16年から ステップ 2017-18年から 普通会計に発生主義 複式簿記を導入し、B Sを含む財務諸表作成 特殊法人等外郭団体の財務 を連結し、中央省庁別、都道 府県別、局別に財務諸表を 国民や住民に開示 全ての連結対象外郭団 体に企業会計や外部監 査導入 国家戦略、省庁別戦略局 別戦略を前提に数値の業 績評価基準を決定 民営化施策の企画と実行 ジャンプ 2019-20年から 決算日程の早期化 民営化施策の進捗 管理と戦略、施策計 画の修正 責任者の評価と 責任追及 12.ネットの政府と日本の再生 一般会計のみ 道路公団・都市基盤整備公団 保育園・介護施設・病院・就職支援 国立大学 etc. 郵貯、簡保、年金 住宅金融公庫、健康保険、失業保険 etc. 政府 公的金融機関 公営事業 民営化 PFI 市場化テスト 指定者管理制度 民営化支援 ネットの 行政サービス 規制緩和 補助金 M&A、PFI、証券化支援 業務請負 事業買収 規制緩和 補助金 民間金融機関 民間事業会社 フィー 道路橋等のインフラ 自由にサービス競争する保育園/介護 施設/病院 就職支援サービス 民営化 民間業務委託 対価 出資 最小限 の税金 家計 郵貯の預金 簡保の保険 年金 住宅ローン 消費者ローン 年金、健康保険や失業保険 13. 厚生年金の2004年改革 改革前 改革後 過去 過去 債務超過 420 債務超過 500 給付債務 国庫負担130 800 積立金170 債務超過50 国庫負担150 740 積立金170 国庫負担190 資産超過 420 保険料1200 給付債務 給付債務 1100 保険料920 ① 国庫負担3分の1から 2分の1へ ② 厚生年金保険料の 段階的引き上げ ③ 給付水準の引き下げ 将来 将来 国庫負担130 給付債務 970 出典: エコノミスト2004年7月6日一橋大学教授 高山憲之 14.健康保険加入者数 出所: 厚生労働省ホームページ 15.基礎自治体と道州制 イメージ ① ② ③ ④ 人口; 1億2-3千万人程度 傘下: 10-12広域自治体程度 時間距離: 1.5時間程度 中心: 東京 ① ② ③ ④ 人口; 700-1000万人程度 傘下: 20-30市程度 高速時間距離: 1.5時間程度 中心: 政令指定都市 ① ② ③ ④ 人口; 30万人程度 x 300市 市の規模: 現在の10-30市町村 高速時間距離: 30分以内 中心: 大き目の市 役割例 ① 対外関係: 国防、外交、エネルギー対策等の現業 ② 全国共通ルール: 通貨金融、司法、治安維持現業 ③ 全国一律社会福祉: 年金、健康保険等の企画等 国 広域自治体 基礎自治体 ① ② ③ ④ 生活の安全; 警察、消防、災害復旧の現業 広域インフラ: 河川、道路、空港、港湾企画等 地域経済振興: 産業振興企画等 高等教育: 大学、大学院の企画、レベル維持等 ① 地域社会保障: 生活保護、保育園、老人介護企画 ② 地域保健衛生: 医療、保健所企画・委託 ③ 地域インフラ: 公園、街路、都市計画、公害対策等 ④ 初等・中等教育; 幼稚園、小学校、中学校、高校等の企画、レ ベル維持等 出所: 経済同友会 地方行財政改革委員会
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