企業の仕組み 第五回 資金調達について

企業の仕組み
第9回 会社の組織について
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企業組織構造の変遷
米国での
鉄道開通
(市場拡大)
19世紀
多角化
(ビッグビ
ジネス)
(親方)
Davis &
Lawrence
(1977)
『Matrix』
組織の効率化(分割)⇒組織的学習へ(組織再編)
1930
内部
請負
制度
チャンドラー
の命題「組
織は戦略に
従う」
テイラー:
職能別組
織(作業
者の最大
効率)
1960
デュポン:
事業部制
組織(責
任単位の
明確化)
1970
1990
NASA(アポロ計
画):
プロダクト・マネー
ジャーを配置(プ
ロジェクト・チーム
とマトリクス組織
へ発展)
持
株
会
社
社内分社
制度
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組織としての企業
• 企業には 目的 (高い利益率を獲得、業界で1番になる、
長期安定的に利益を稼ぐなど)がある。
• 企業は様々な利害や動機(給料が欲しい、創造的な仕事が
したい、会社員になりたい等)を持った複数の 人々 から
構成されている組織である。
• 組織内での 分業 (製造部門、営業部門、調達部門など)
が進んでいる。
• 企業の構成員(従業員)を目的達成に向かわせ、効果的か
つ効率的に目的を達成する マネジメント が必要になる。
※経営学における企業観では、組織としての特性が強調され
ることになり、目標・戦略の決定、組織の構造やその運営の
あり方が主たる関心事になる。
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マネジメントとは
• マネジメントの定義
「 組織 を指揮し、管理するための調整された活動」(ISO9000:
2005規格)
「組織の目的を達成するために、人、物、金などの経営資源を配
して、付加価値を生み出す活動」(ドラッカー)
一人で達成不可能な大きな目的を達成するには、
・協働(協力)する人々の組織化が必要となり、
・大きな組織の場合は、組織の構造も複雑になり、
・組織内部の活動を調整や動機づけしながら、
目的達成に導く必要がある。
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テイラーの科学的管理法(生産現場に関する管理)
(テイラーは機械技師出身のコンサルタント)
①課業管理、②差別的出来高制度、③ファンクショナル組織
※著書『工場管理』(1903)、『科学的管理の原則』(1911)
①課業(タスク)管理:各作業者に公正な 仕事量 の割り当て
「動作研究」(細分化された作業の所要時間を測り、最も能
率的に作業を行える方法を明らかにした)に基づき、その
作業の所要時間を標準時間とし、一日に達成すべき仕事
量を割り当てた。(分業体制;作業の細分化)
②差別的出来高制度:金銭的報酬によって、作業者の動機づけ
を行う制度
課業を達成した人には高い賃率に基づく報酬、達成できな
かった人には低い賃率に基づく報酬を支払う。(飴と鞭によ
る管理;適正な評価とフィードバック)
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③職能別組織の採用:職長の機能を 職能
ごとに分割
課業管理と出来高制度を実施すると、職長の仕事が仕事の
割り当て、作業手順の設定、作業の指示・監督、作業者の訓
練と多岐に渡るので、管理の仕組みを変更する必要が生じ
た。(親方が仕事をしながら、職場を管理するのは困難)
職長の機能を、現場の監督を行う「執行職能」と「計画職能」
に分割し、作業者はそれぞれの職長から支持を受けるよう
になった。(専門分野単位でのグループ化;縦割り)
工 場 長
計画職能
執行職能
準備系
(職長)
速度
系
検査
系
修繕
系
作
労務
系
業
員
時間・
原価系
工程
系
指図
表系
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チャンドラー 「組織は戦略に従う」
米国の経営史(歴史)研究者
著書『経営戦略と組織』(1962年)
チャンドラーは、米国の ビッグビジネス の比較研究を通して、
経営戦略と組織構造について考察し、「 組織は戦略に従う 」
という命題を提唱した(戦略が先)。
※戦略の違いが、組織構造の違いにつながるとした。戦略が
先にあり、それに合わせて、組織の構造が決まるとした。
企業環境→ビジョン→経営戦略→経営計画→組織
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チャンドラーの分析結果
多角化戦略採用による事業部制の出現
1. 経済発展(ビジネスチャンスの拡大)とともに、
2. 企業の中には、シナジー(相乗)効果やコンプリメント(補
完)効果を活用した 多角化 戦略を採用する企業が増え
た(複数事業を展開するようになった)。
3. そして、多角化戦略を適正に実行できる組織形態への変
更が必要となり、命題「 組織は戦略に従う 」を導出
した。
4. デュポン社の事例から、集権的組織(職能部門組織)から
分権的組織( 事業部制組織 )への移行が起こること
を論じた。
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チャンドラーが考察したデュポン社のビジネス
• フランス革命後に米国に移り住んだエ
ルテール・イレネー・デュポン(左写真:
1972年生まれ)が1802年にデラウェ
ア州に設立した化学会社。
• 1920年頃には、子会社のRepauno
Chemical Company(1880年設立)が世
界最大の ダイナマイト 製造業者と
なる。
• 1935年にデュポン社のウォーレス博士
(Dr. Wallace Carothers)が世界で初め
ての合成繊維( ナイロン )を発明し
た。ストッキングを商品化し大ヒット。
• 肥大化した会社を効率的に管理するた
めに 事業制 組織を採用(分権化)
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職能部門組織から事業部制組織への移行
職能部門組織(中央集権的) → 事業部制組織(分権的)
本社
本社
事業A
事業A
生
営
購
技
財
産
業
買
術
務
本社
スタッフ
事業B
生営購技財 生営購技財
事業B
産業買術務 産業買術務
※事業部単位で意思決定や対
応ができるようになる。
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事業部制のデメリット
• 各事業部が独立採算であるが故に、逆に セクショナリズム
に陥りやすくなる(自分の事業部の業績を重要視し、会社全体と
してのまとまりがなくなる)。
• 長期思考よりも 短期思考 に陥りがちになる(少しで良い業
績を獲得するには、長期的な投資より、短期的な効率化や販売
促進に走りやすくなる)。
• 事業部間の コミュニケーション が阻害されてしまい連係が
とれないなどの問題が生じる傾向がある(事業部間の競争意識
やエゴにより他事業部との協力関係に問題が生じる)。
※事業部性の弊害を打破し、組織活性化のために更なる組織形
態の見直しが必要となる。
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▼組織横断的活動支援体制
マトリクス組織:事業部単位で縦割りなった組織に職能(横串)で管理。
事業部は独立採算、職能は他事業とのバランスに意図(2ボス)
プロジェクト
・チーム:社内公募で事業の枠を超えたチームを一時
的に編成(目的達成あるいは期間経過後に解散)
社内分社制( カンパニー制 ):事業部制組織では事業単位が細
分化されすぎているので、社内を分社した組織単位(複数の事
業部を 統合 したもの)にまとめることによって、各事業部に細
分化されていた人材や技術等の資源を有効活用している。
マトリクス組織
生産
購買
営業
財務
A
事
業
社内分社
本社
B
事
業
C
事
業
D
事
業
E
事
業
A B
事 事
業 業
本社
C D E
事 事 事
業 業 業
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プロジェクト組織とマトリクス組織による組織学習
• プロジェクト組織は、一般に 臨時 に製品開発やコスト削減な
どについて、各専門分野からの人材がチームを組んで解決にあ
たる組織である。集められた人員は、当初の目的を終えると(問
題解決が終わると)もとの部署に戻っていく。
• マトリクス組織は事業別に担当チームが作られる点では、プロジ
ェクト組織と同様であるが、このプロジェクト・チームが 恒常的
に企業に存在しているような組織である。
※下図から明らかなように、組織横断的活動が促進されるというメリットを持
つ一方、チームに参加している人々は、特定の事業と各自の専門部門に
属するわけで、2人の長から同時に指示を受けることになるというデメリッ
トも持っている。
生産
販売
技術
A事業担当
B事業担当
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社内分社制度において危惧されるべき弊害
• 社内 分社 (複数事業の統合)が進められた背景には、会社
全体で新規事業の開発に取り組む体制をとらなければ、臨機応
変に環境変化に対処できないことがあった。
• トップがこのようなメッセージを発信し、会社全体で活動できるよ
うに主導することによって、組織横断的な活動を促進している。
• しかし、分社体制でも、新規事業開発の主導権が特定の分社組
織に集中しすぎると、事業部制と同様の弊害をもたらす可能性
がある。
※社内分社制度は、職能別組織と事業部制組織の間の組織形態。
(同一)
企業内
職能別組織
(中央集権的)
マトリクス組織
社内分社制度
事業部制組織
(分権的)
持株会社
(分権的)
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▼持株会社制度(分権的組織の一種)
持株会社とは、会社の総資産に対する子会社の株式の取得価額の
合計が50%を超える会社(複数の企業群を企業グ
ループとして持つ場合は、グループの核となる親会社)。
持株会社の形態
・ 純粋 持株会社:株式を所有することにより、他の会社の活
動を支配することのみを事業目的とする会社
・ 事業 持株会社:他の会社の活動を支配するのみならず、持
株会社自身も相当規模で事業を行っている会社
日本郵政グループ
の場合
日本郵便
日
本
郵
便
ゆ
う
ち
ょ
銀
行
・・・純粋持株会社
か
ん ・・・3つの事業会社
ぽ
生
命
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分権的な制度の特徴
事業部制
カンパニー制
持株会社
限定的な責任
範囲
事業に関する包括的
責任
保有事業全般への
包括的責任
損益計算書項
目(業績重視)
損益計算書項目
貸借対照表項目(資
産の圧縮狙い)
損益計算書項目
貸借対照表項目
資産価値(売却)
配賦せず
社内資本金制度
親会社による出資
内部留保せず
内部留保あり
内部留保あり
概念なし
社内金利、配当あり
配当実施
投資権限
本社
利益再投資
投資権限をもつ
人員の帰属
本社
本社
各社
マネジメント基準
同一基準
同一基準
企業別基準
事業構造改革へ
の取り組み
本社主導
本社主導(分権的)
グループ間企業結
合の可能性
責任の範囲
主要業績指標
資本金
内部留保
配当
※持株会社制が採用された場合には、傘下の企業は独立法人なので、強い独
立性が認められる一方で、独立採算が徹底されることになる。
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