Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 5 モデルアプリケーション① 環境分野等の国際的プロジェクトとの連携 <提携先候補案> ■実施方法 ● 国際的プロジェクトに関わっている日本国内の研究 者・研究機関を通してアプローチを実施する。 ● 全球をカバーするプロジェクトのみならず、特定地域 の研究プロジェクトも連携対象として想定する。 ※アジア地域の研究プロジェクトなど 2007年度を目標に漸次交渉を進め、地球地図の活用の実現を目 指す。 UNEP(United Nations Environment Programme:国連環境計画) 関連プロジェクト ミレニアム・エコシステム・アセスメント Millennium Ecosystem Assessment(MA)/UNEP http://www.millenniumassessment.org/ ● 将来的にはユーザーによる書き込み型アプリケー ションを開発し、多様な主体がコミュニケーションを図 地球環境報告書 GLOBAL ENVIRONMENT OUTLOOK (GEO)/UNEP るためのプラットフォームとして利活用する。 GRID ARENDAL/UNEP ● テーマによっては、より小縮尺、大縮尺の地図や海域 の地図を用意する。 ※MAではマルチスケール(グローバル、リージョナ ル、ローカル)なアセスメント報告書を作成する 予定。したがって、それに対応する縮尺の地図 が必要となる。 ● 日本国内での認知度向上・利活用促進のため、連携 http://www.unep.org/geo/ http://www.grida.no/ GRID-つくば/UNEP(国立環境研究所内) http://www-cger.nies.go.jp/grid-j/ APEIS(Asia-Pacific Environmental Innovation Strategy Project):アジア・太平洋環境イノベーション戦略/各国研究機関 http://www.ecoasia.org/APEIS/index_j.html IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change:気候 変動に関する政府間パネル) /世界各国・国際機関 http://www.ipcc.ch/ プロジェクトの日本語版ホームページの開設に協力 する。 地球シミュレータセンター/海洋研究開発機構 http:// www.es.jamstec.go.jp/esc/jp/ 気象研究所/気象庁 http://www.mri-jma.go.jp/ P0 Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 6 モデルアプリケーション② 地球防災マップ 災害関連情報を保有している機関と協力して、防災情報を効果的に提供するサイトを構築し、国・地方 自治体の防災対策立案等に役立てる。 様々な災害情報と連携を取ることにより、今後作成される災害情報データベースの仕様が地球地図仕 様と適合するものになることを期待。 目的・狙い ● 「洪水」、「地震」、「火山」、「津波」、「疫病」、 「原子力災害」等の広域にわたる災害の状 況、過去の履歴、現状の対策などを、情報提 供するサイトを構築する。 ● 参加国にとっては、データ整備・公開が自国 にメリットをもたらすこととなるため参加イン センティブとなる ターゲットユーザー ●地方自治体、その他防災関連機関 ※防災施策は地方自治体が実施主体の中心となる。 地球地図の100万分の1という縮尺の特性に適 合した情報を提供。 ●一般の人々の利用、学生・生徒の学習、ビジネ ス目的の利用等も想定。 実施ステップ ■2007年度まで • 現在策定中の「地球観測実施計画」との連携を確立する。 • 地球洪水警告システム(GFAS*)と連携し、地球地図をベースマップとした システム構築に協力する。 • 災害に関する情報を所有する国際機関・研究機関、報道機関、あるいは 既存の災害情報ネットワーク、保険会社・情報サービス会社との連携の可 能性を探る。 *GFAS(Global Flood Alart System):世界300機関の連携のもと、大規模な洪水の発生が予想される地 域の情報と、地球規模の雨量マップを全世界に発信する。 ※事務局:国際建設技術協会 ■2007年度以降 • サービスが軌道に乗ったものについては、提供サービスの内容により、民 間による出資・運営に切り替えることも想定する。 留意点 ● 戦争・紛争に関する情報掲載はデリケートな問題を孕むため、直接的に テーマとしては取り上げない。ただし、それらの要因となる「水」「民族」等 の情報を地図上に掲載して提供することで市民に考える材料を提供する ことは考えられる。 ● 「リスク」(重要度×発生確率)の視点を入れることは重要。 P1 Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 6 モデルアプリケーション② 地球防災マップ <提携先候補案> ■実施方法 ●災害に関する情報収集機関の保有するデー タベースとの連携を図る。 ●防災情報の提供は以下の形態が想定される。 (1)災害情報データベースの提供を受け、 国土交通省がサービスを行う。 (2)災害情報データベースに地球地図を 提供し、データベース保有機関が サービスを行う。 (1)総合 ・ GEOSS(Global Earth Observation System of Systems ):全球地球観測システム /世界各国・国際機関 http://geoss.unep.org/ ・レスキューナウ・ドットネット/民間企業 http://www.rescuenow.net/ (2)洪水 ・GFAS(Global Flood Alart System)/世界300機関 http://www.internationalfloodnetwork.org/index.html (3)地震 ・東大地震研データベース http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/database-j.html ・ USGS(The United States Geological Survey):米国地質調査所 http://www.usgs.gov/ ・ IRIS(The Incorporated Research Institutions for Seismology )/世界各国の大学 研究コンソーシアム http://www.iris.edu/seismon/ ●提供されるサービス内容はその運営機関等 により様々であるが、被害状況、復旧状況の 他、過去の災害履歴、災害予測、また、募金 や救援物資の提供を募る仕組みを組み込む ことが想定される。 (4)火山 ・ Volcano World/米国・北ダコタ大学 http://volcano.und.edu/ (5)津波 ・気象庁津波情報 http://tenki.jp/tsu/tunami_1.html ・日本海洋データセンター/海上保安庁 http://www.jodc.go.jp/index_j.html ・The Tsunami Warning System:太平洋津波予報システム/世界の国際 機関 http://www.geophys.washington.edu/tsunami/general/warning/warning.html (6)台風 ・NOAA(National Oceanic Atmospheric Administraion)/米国商務省 http://www.ncdc.noaa.gov/oa/climate/climatedata.html ・TRMM台風データベース/宇宙航空研究開発機構 http://www.eorc.jaxa.jp/TRMM/typhoon/index_j.htm ・気象庁台風情報/気象庁 http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jma/jma-eng/jma-center/rsmc-hp-pub-eg/RSMC_HP.htm ★この他、各種天気予報(http://www.jmbsc.or.jp/)や、京大の防災研究所との連携も考 えられる。シミュレーション技術については「地球シミュレータセンター」 (http://www.es.jamstec.go.jp/esc/jp/)や気象研究所/気象庁(http://www.mri-jma.go.jp/)と の連携も考えられる。 P2 Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 7 モデルアプリケーション③ 地球地図の学校(Global Map School) 国内及び海外の学校と交流を行い、相互の地域についてグローバルな交流学習ができる仕組みを構 築する。 これにより、子どもたちの国際感覚が養われるとともに、教育分野での国際交流の一つの ツールとして活用することができる。 目的・狙い ● 学生や生徒が自分たちの住んでいる地域の 情報・学習成果を地球地図上にアップし、交流 できるプログラムを開発する。 ● グローバルな交流学習を促進するとともに、教 育分野での地球地図利用の重要性に対する 理解が高められる。 ターゲットユーザー ● 小中高校、大学の学生・生徒および教師。 ※ 同様の仕組みを使って、NPO/NGOや一般市 民が交流することも考えられる。 実施ステップ ■2007年度まで(来年度以降) • 当初は官主導のパイロット・プロジェクトとして立ち上げる。 ○1年目:日本及び韓国・タイ・オーストラリア・メキシコ等の 中学校・高校を2、3校モデル校として選んで実施。 ○2年目以降:公開済みの国の増加に伴い、対象校を拡大 する。 ■2007年度以降 • 軌道に乗った時点で、企業出資、NPO等の運営に移行する。 ※ 企業・教育機関・NPO等によるコンソーシアムを結成。企業の参加 はCSR(企業の社会的責任)の一環、教育産業・IT企業等の事業機 会拡大等のケースが想定される。 P3 Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 7 モデルアプリケーション③ 地球地図の学校(Global Map School) ■実施方法 ●テーマを設定した上で、モデル校に地球地図の ベースマップ、加工ツール、テーマに関する基本 データを提供。同じテーマで複数の国の学校が 自国(or地域)の地図を制作する。 ※日本のモデル校では先んじて地球地図を活用した地図を制 作し、海外の参加国へのオリエンテーションに活用。 ※当初はGISではなく地球地図をダウンロードする方法を採用し 、かつ、海外の参加国のシステム整備などの負担を最小限に 留めるよう努力する。地図上に載せるデータは各国でも用意し てもらう。 ●製作の過程で、メール、掲示板等を利用して交 流を行う。学習成果を、画像やテキストで地球地 図上にアップすることで、自由に閲覧ができるよ うにする。 ●発表会ではTV会議システム等を用いて参加校 の生徒が意見を交換する。 ※それぞれの教室に生徒の様子を映すモニター、地図を映す モニターを設置して授業(発表会)を行う。 <実施アイデア> • • • 多くの国(学校)のネットワークによる共同作業、2カ国(校)ワンペア の交流学習など多様な学校の形態が考えられる。 文部科学省との連携も検討する。 将来的には成果をツールキット化し、学校に配布することも考えら れる。 ■テーマ例 環境問題、自然災害、食料・水問題、世界経済(貧富の差)、 貿易問題、国際政治、グローバルなイシュー を設定して、交 流学習プログラムを実施する。地球地図を通して諸問題を 話し合い、解決策を見出して行く。 ●環境問題・自然災害・動植物・・・「こども地球サミット」等。 ●経済・・・「世界貿易シミュレーション」等。 ●農作物・食文化・・・ 「地球お米サミット」等。 ●水資源・気候・・・ 「こども水フォーラム」等。 ■広報(案) リアル・イベントにおける発表とメディア発信 ● 制作された地図はサイトで公開するとともに、リアルイ ベント(発表会)を行う。 ● 2時間の授業に引き続き、同じシステムを使って1時 間半程度の関係者によるネットシンポジウムを開催。 誰でもオンラインでモニターができるようにする。 ● 各国の関係者への広告効果を期するべく、マスメディ アに取材を要請するなどの普及啓発策を考えたい。 ※GIS 関連イベントの開催前後に、世界の子供たちのコ ンファレンス、「地球地図の学校サミット」のようなプレ ゼンテーション・イベントを実施することも考えられる。 P4 Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 8 モデルアプリケーション④ 地球地図で見る世界史 地球地図を利用して、世界史をわかりやすく調べたり学んだりできるデジタルマップを製作する。 地図上に世界史の事象をマッピングすることで、歴史的な変化(ex.国境の変遷)や、同時代の事象の 関連(ex.欧州-中国-日本)も、視覚的に把握できるようになる。 目的・狙い ● 学校や研究者による利活用や製作への参加 を通じて、地球地図の一般への普及促進につ なげる。 ● グローバル化の進展により、世界各地への関 心が飛躍的に高まっている中で、グローバル 的視野のデジタルな世界史マップはあまりな い。従って、「地図で見る世界史」は、多くの 人々の興味を惹くと考えられる。 ターゲットユーザー 実施ステップ ■2007年度まで(来年度以降) • まずは、「地球地図の学校」のテーマの1つとして取り上げることを検討す る。 ■2007年度以降 • 2007年度までの取り組み状況を踏まえて、全陸域がカバーされる2007年 度以降、教材会社、出版社、世界史専攻の研究者・教師によるプロジェクト チームを結成し、地球地図をベースとしたコンテンツの制作を検討すること が可能。 ● 学生・生徒の学習教材としての利活用をメイン とする。 ● 併せて、一般の人々の趣味や研究での利活 用等、幅広いターゲット・利用目的を想定する。 P5 Ⅱ 地球地図アプリケーション 戦略の施策案(1) Ⅱ- 8 モデルアプリケーション④ 地球地図で見る世界史 テーマ例:<目で見る中国史(漢民族を中心に各民族がどのように 国家を形成してきたか?)> ■実施方法 前漢(紀元前2世紀)=拡大期 唐(7世紀)=拡大期 ● 出版社、教材会社が、世界史の研究者や教師の協 力によって製作することを想定。 ● CD-ROM等のスタンドアローン型と、ネットを利用す るWEB GIS型が考えられる。 • アレクサンドロス大王の遠征 • 目で見る中国史 • ゲルマン民族の移動 • 森林分布の変遷 等 ● 古代文明のおこり ▲ • ▲ ● 具体的なテーマ例 BC2 北宋(10-11世紀)=縮小期 21c 明(15世紀)=縮小期 ● デジタルマップならではの機能 • 年代のバーを移動させることで、ある地域の歴史的な変 化が連続的に表現される • 同時代の別の地域のマップを見ることができる • マップ上のポイントをクリックすると、より大縮尺の地図や テキスト・画像情報が閲覧できる 等 ● TV番組との連動も考えられる。 清(17-18世紀)=拡大期 中華人民共和国(現在) ※ 「わたしの地球地図コンテスト(生徒・児童部門)」との連携、ある いは「地球地図の学校(Global Map School)」との連携など、地 球地図を活用した子供たちの国際交流施策の一環としての位 置づけが必要である。 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tsuka/map.html P6
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