管理会計の生成と発展

意思決定会計論A
第2回
管理会計の生成と発展
2
史的アプローチ
 どのように史的展開を遂げてきたか
 いつ頃、どのように現在のような体系を有する
に至ったか
↓
 管理会計が辿ってきた道筋が明らかになり、さ
らに深い理解が可能になる
 歴史的分析とは「ある概念を時系列的な視野か
ら考察すること」である
明治大学
3
管理会計の起源
 複式簿記の誕生
(1494年)
 管理会計の起源
(19世紀末から
20世紀初頭頃)
産業革命の頃
明治大学
4
2つの史的アプローチ
 伝統的接近法
過去の出版された文献をもとに歴史を考察する
文献的接近法
文献史 学説史
 実践過程接近法
個別企業の会計文書をもとに歴史を考察する
実務的接近法
実務史
明治大学
5
管理会計の歴史
文献的接近法
廣本敏郎『米国管理会計発達史』(1993)
文献史
生成期
成長期
確立期
展開期
参考
1919-1929
1930-1945
1946-1966
1966-
第1次世界大戦
世界恐慌
第2次世界大戦
1914-1918
1929
1939-1945
明治大学
6
生成期
 科学的管理法、標準原価計算

1924

1928

1929
J.O.Mckinsey
Management Accounting,
H.E.Gregory
Accounting Reporting in Business
Management
M.V.Hayes
Accounting for Executive Control
明治大学
7
成長期
 利益計画、CVP分析、直接原価計算

1930

1933

1936

1938

1939
C.E. Knoeppel
“Wanted-The Profit Engineer”
C.E. Knoeppel
Profit Engineer
J.H. Harris
“What Did We Earn Last Month?”
W.J. Vatter
“A Re-Examination of Cost Accounting
from the Managerial Viewpoint”
W.B. McFarland
“When Is Selling at a Loss a Profitable
Business Policy?”
明治大学
8
確立期
 伝統的管理会計の確立



1955
AAA
原価管理委員会報告書
1960代 R.N. Anthony C.T. Horngren
意思決定会計と業績評価会計の体系
1966 W.B. McFarland
Concepts for Management Accounting
明治大学
9
展開期
 学際的アプローチ

1966
AAA
A Statement of Basic Accounting Theory
情報システムとしての会計
明治大学
10
管理会計の歴史
実務的接近法
田中隆雄『管理会計発達史』(1982)
19世紀末から20世紀初頭にかけての
デュポン社・ジョンソン社の会計史料による実務史
第1段階(萌芽期)
ロワー・マネジメントのための管理会計が成立
第2段階(生成期)
ミドル・マネジメントのための管理会計が成立
第3段階(成立期)
トップ・マネジメントのための管理会計が成立
明治大学
11
萌芽期
19世紀末のジョンソン社の会計システム
テイラー(F.W.Taylor)
科学的管理法
 間接費の合理的な集計・配賦
 月次ベースによる製品原価の算定
セグメント別月次損益計算書
 予算
投資回収計算
明治大学
12
生成期
20世紀初頭のデュポン・ド・ムヌール社の会計シ
ステム(1903~1911年)
 一般間接費・研究開発費の処理
 精緻なシステムの確立
原価管理
 トレジャラーの報告書
明治大学
13
成立期
第1次世界大戦期のE.L.デュポン・ド・ヌムール社
 多角化
 トップ・マネジメント組織の確立
(1911~1914年)
 チャート・システム
割当予算
明治大学
14
レレバンス・ロスト
 ジョンソン(H.T.Johnson)
キャプラン(R.S.Kaplan)
レレバンス・ロスト(Relevance Lost,1988)
管理会計において理論と実践が乖離してしまい、
現在の管理会計理論はもはや実務に適用する
ことができない
明治大学
15
質問2
 あなたが歴史研究をするとしたなら、どちらの史
的アプローチをとりますか。理由とともに説明し
てください。
明治大学