消費者のポイントカード利用意図の 実証分析

消費者のポイントカード利用意
図の
実証分析
-プラットフォーム型と垂直統合型の比較ー
中央大学 久保知一ゼミ 無形財班
遠藤明彦 今井めぐみ 吉川忠良 水沢綾花
1
なぜなら・・・
という
を使ってるから!
2
において
がうまくいっていない!
3
1.はじめに
2.仮説提唱
3.調査設計
4.分析結果
5.知見&新提案
4
5
6
異なる需要を持った第三者間の相互作用を促す基盤を
提供するような財やサービス (国領 1999)
提携関係を結んだ売り手が、買い手に直接販売できる
形態をとる仲介業者を指す(Hagiu 2007)。
企業1
企業2
相互作用
消費者1
消費者2
消費者3
7
8
9
垂直統合型
プラットフォーム
プラットフォーム型
型
10
垂直統合型
ポイントカード
プラットフォーム型
ポイントカード
11
12
仮説提唱のアウトライン
2-1.基本仮説
2-2.問題提起
2-3.探索費用
2-4.トレード
オフ
2-5.店舖制約
13
(Fishbein & Ajzen1975)
行動意図 とは、製品を利用する意思を示す。
ポイントカードを利用したい度合い
垂直統合型 : 1社
プラットフォーム型 :
10社
14
仮説1:カード運営形態がプラットフォーム
型の方が垂直統合型よりも利用意図が高
い。
垂直統合型
プラットフォーム
型
15
って・・・
16
に
収束されるは
ず・・・
ポイントカードでは
が
17
を
がある!
18
19
20
意思決定そのものの不愉快さ、探索に伴う時間的・金
銭的・
心理的費用、および情報過負荷
(Engel, Blackwell, & Miniard 1986)。
加盟企業を
覚えていな
きゃ
どこの企業が
加盟しているか
調べなきゃ!
21
情報の取得にかかる費用
どこの企業が加盟しているか調べる必要がある。
経験などの想起,情報の整理にかかる費用
加盟企業を覚えていなければならない。
(Smith, Coasts, & Walling 1999)
22
仮説2:外部探索費用がかかる時よりも外部
探索費用がかからない時の方がプラット
フォーム型ポイントカードの利用意図は
高い。
?
? ? ? ? ?
?
23
経験などの想起,情報の整理にかかる費用
加盟企業を覚えていなければならな
い
加盟企業を覚えることが出来る能力
24
仮説3:記憶能力がない消費者よりも記憶能
力がある消費者の方がプラットフォーム
型ポイントカードの利用意図が高い。
25
EX BOOKOFFの還元率
垂 直 統 合 型
プラットフォーム
型
26
企業独自のポイントサービス
加盟している企業の数
ポイントの還元率
27
仮説4:還元率はポイントカードの利用意図
に正の影響を与える。
仮説5:独自のサービスはポイントカードの
利用意図に正の影響を与える。
仮説6:加盟企業数はポイントカードの利用
意図に正の影響を与える。
28
ポイント発
行
ポイントを通じて特典を提供!
(値引き、追加的なサービス)
(Woolf 2001)
再購買
消費者の囲い込み
(Nunes &Dreze 2006)
29
30
仮説7:店舖制約はプラットフォーム型ポイ
ントカードの利用意図に負の影響を与え
る。
31
仮説1:カード運営形態がプラットフォーム型の方が垂直統合型より
も利用意図が高い。
仮説2:外部探索費用がかかる時よりも外部探索費用がかからない時
の方がプラットフォーム型ポイントカードの利用意図は高い。
仮説3:記憶能力がない消費者よりも記憶能力がある消費者の方がプ
ラットフォーム型ポイントカードの利用意図が高い。
仮説4:還元率はポイントカードの利用意図に正の影響を与える。
仮説5:独自のサービスはポイントカードの利用意図に正の影響を与
える。
仮説6:加盟企業数はポイントカードの利用意図に正の影響を与える。
仮説7:店舖制約はプラットフォーム型ポイントカードの利用意図に
負の影響を与える。
32
33
マーケティング・リサーチで用いられ
る統計分析には「検定」が含まれており、
「検定」が信頼出来る結果をもたらすた
めには、収集されるデータに偏りがあっ
てはいけない。
(岩田
1983)
34
大学生へのアンケー
ト調査
街頭調査
インターネット調査
35
偏りのないサンプルを得ることができ、
統計学的に信頼性が高い(平松 2006)。
36
TSUTAYA多摩センター店
を中心に半径1.4km以内
の住宅に2000通の
アンケートを配布
【配布ルール】
Excel のランダム・サンプリング機能で
400番地(640番地のうち)抽出
一軒家は一軒おき
マンションは偶数階の両端の部屋
37
• 調査対象
– 多摩市在住の方
• 回収率
– アンケート2000通配
布
– 回収数407通
(回収率20.3%)
38
グループ間での平均値の差を比較するための分析
消費者の属性重視度を知るための分析
39
40
利
用
意
図
カード運営形態 (F =15.61,p
5.24
<.01 )
外部探索費用 (F =357.49,p
4.76
<.01)
2.91
垂直統合型 プラットフォーム
型
外部探索費用な
し
外部探索費用あ
り
カード
運営形態
41
利
用
意
図
5.24
4.76
2.91
垂直統合型 プラットフォーム
型
外部探索費用な
し
外部探索費用あ
り
カード
運営形態
42
利
用
意
図
5.12
カード運営形態 (F=8.61, p
<.01)
記憶能力 (F =0.61, p >.05)
4.43
記憶能力あり
4.07
記憶能力なし
3.67
垂直統合型 プラットフォーム型
カード
運営形態
43
利
用
意
図
5.12
4.43
記憶能力あり
4.07
3.67
垂直統合型 プラットフォーム型
記憶能力なし
カード
運営形態
44
利
用
意
図
5.24
4.76
利
用
意
図
5.12
4.43
4.07
2.91
3.67
垂直統合型
プラット
フォーム型
プラット
垂直統合型 フォーム型
45
コンジョイント分析結果
属性
還元率
独自のサービス
企業数
利用店舗制約
カテゴリー
47.40
1%
-0.69
10.61**
5%
0.69
10.61**
あり
0.38
5.82**
なし
-0.38
-5.82**
1社
-0.17
-2.62**
10社
0.17
2.62**
あり
-0.21
-3.32**
なし
0.21
3.32**
26.06
11.70
14.82
Pearsonの相関係数0.99 p=0.00
推定値
t値
重要度値
**1%水準で有意
46
ポイントカードの属性重要
度
1、還元率
2、独自のサービス
3、利用店舗制約
4、企業数
47
仮説1:カード運営形態がプラットフォーム型の方が
垂直統合型よりも利用意図が高い。
仮説2:外部探索費用がかかる時よりも外部探索費用が
かからない時の方がプラットフォーム型ポイントカー
ドの利用意図は高い。
仮説3:記憶能力がない消費者よりも記憶能力がある消
費者の方がプラットフォーム型ポイントカードの利用
意図が高い。
仮説4:還元率はポイントカードの利用意図に正の影
響を与える。
仮説5:独自のサービスはポイントカードの利用意図
に正の影響を与える。
仮説6:加盟企業数はポイントカードの利用意図に正
の影響を与える。
仮説7:店舖制約はプラットフォーム型ポイントカー
ドの利用意図に負の影響を与える。
48
49
• 探索費用が高いとプラットフォーム型ポイント
カードに対する利用意図が小さくなる。
• 企業数よりも、独自のサービスや還元率を重視
している。
還元率が高い
独自のサービスがあ
る
探索費用がかからな
い
50
51
価格競争になってしま
52
プラットフォーム型ポイントカード
なら
53
100m
60m
30m
カードの加盟店が簡単にわかる
54
100m
60m
30m
ドリン
ク無料
ドリン
ク無料
独自のサービスの情報がわかる
55
独自のサービスがあ
る
探索費用がかからな
い
ポイントカードの価値
UP
56
57
参考資料
58
• Tポイントカードの会員数は2010年3月末
時点でおよそ3500万人。
• ポイントの貯蓄・使用の両方が可能な加
盟店は全国に13企業14000店舗。
• 貯蓄やポイント交換を含めると69企業
31000店舗。
http://www.ccc.co.jp/fileupload/pdf/ir/FY09-4Q_financial-resultsresentation.pdf
59
T会員数の年次推移
2010年9月末:3608万人
09年9月末比:266万人増
※04年4月にスタートし
た全国会員証共通化によ
り一時的に有効会員数が
減少いたしました
http://www.paymentnavi.com/paymentnews/7657.html
60
堀内康隆取締役
執行役員管理本部長
2009年夏から半年かけて、
Tポイントの投資対効果を検証したと
ころ、
コストに見合っていないという
事実に行き当たり、撤退を決めた。
http://www.fukeiki.com/2009/12/bookoff-t-point.html 61
行動意図モデルは、社会行動は、その行動がもたらす
効果とその行動への周囲の評価に依存すると主張する合理
的行為理論 である (Fishbein &Ajzen 1975)。
このモデルは、製品を利用することの望ましさを示す
「態度 (attitude toward using) 」と自分にとって重要な他
者からの期待を示す「主観的規範 (subjective norm)」が、
製品を利用する意思を示す「行動意図 (behavioral
intention)」を高め、それが「行動 (behavior)」につながる
と主張している。
62
ある財のユーザーや、ある財に関わる補完財のユーザー数が増
加することによって、財から得られる満足度が増大する効果であ
る (Katz & Shapiro 1985) 。
また、ネットワーク外部性は直接的ネットワーク外部性と間接
的ネットワーク外部性に区分される。
直接的ネットワーク外部性
財の利用者が増加すればするほど、財から得られる満足度が増
大するという効果のこと。
間接的ネットワーク外部性
コンピュータのハードウェアとソフトウェアのように、ネット
ワークの規模(ハードウェアの普及度など)に応じてその製品の
使用価値に直接関係する補完財(ソフトウェア)の提供される量
や質が決定される。そして、そうした補完財の存在が製品(ハー
ドウェア)の価値を左右する効果のこと。
63
探索
市場において全ての価格を知ることができない購買者が、それ
でもなお最も好ましい価格を探し求めること(Stigler 1961)。
探索費用
探索行動のために消費者が負担する費用のこと。また、探索費
用は意思決定そのものの不愉快さ、探索に伴う時間的・金銭的・心
理的費用、および情報過負荷から成る(Engel, Blackwell, & Miniard
1986)。そして、探索費用は外部探索費用と内部探索費用に分類さ
れる(Smith, Coasts, & Walling 1999)。
外部探索費用
情報取得に付帯する金銭的費用や、探索の機会費用等を指す。
つまり、外部探索費用は、情報の取得にかかる費用全般の事を指す。
内部探索費用
自分の経験や知識情報を想起したり、入ってくる情報を整理し
たり、消費者が知っている情報をまとめたりする精神的な労力のこ 64
とである。
国勢調査区を無作為に抽出したのち、その地点内の世
帯を
住宅地図で無作為に抽出し、世帯調査であればその世帯
を、
個人調査であればその世帯内の個人を対象とする調査対
象
の抽出方法である (平松2006 )。
65
従属変数:利用意図
3
7462.71
2573.21
有意
確率
0.00
1036.78
1
1036.78
357.49
0.00
45.28
1
45.28
15.61
0.00
0.00
0
.
.
.
誤差
3314.86
1143
2.90
総和
25703.00
1146
ソース
モデル
外部探索費用
カード運営形態
(外部探索費用)*
(垂直統合型/プラットフォーム型)
タイプⅢ
平方和
22388.13a
自由度
平均平方
F値
a:R2=0.87 (調整済み R2=0.87)
66
従属変数:利用意図
ソース
モデル
記憶能力
カード運営形態
(記憶能力)*(カード運営形態)
誤差
総和
a:R2=0.86 (調整済みR2=0.85)
タイプⅢ
平方和
9676.92a
1.90
26.74
4
1
1
2419.23
1.90
26.74
778.42
0.61
8.60
有意
確率
0.00
0.43
0.00
73.63
1
73.63
23.69
0.00
1616.07
11293.00
520
524
3.10
自由度
平均平方
F値
67