アジア共通通貨導入の是非 否定派

アジア共通通貨導入の是非
否定派
蔵内 小柴 鶴間
前提条件
*導入対象国はASEAN内のみとする
→日中韓は含まない
*通貨バスケットではなくユーロの様な
単一通貨構想とする
共通通貨構想の背景
1997年にアジア通貨危機が発生
資産バブルの崩壊による
アジア共通通貨の必要性が浮上!
海外資金の流出によって通貨危機へ
東アジアにおける通貨政策の
地域協力の必要性認識され…
主張①各国が独自に金融政策を行えない
以上三点から私たちは
主張②ASEAN内の格差が大きすぎる
アジア共通通貨導入に反対します!
主張③ASEAN内の貿易比率が低い
主張①各国が独自に金融政策を行えない
ASEAN内で共通通貨を導入するには
域内で共通の金融政策が必要
財政規律・物価の安定の必要性
※ユーロの場合
しかし
※ユーロの場合
過去1年間消費者物価指数上昇率が
各国の経済状況に合わせて、
財政赤字がGDP比3%以下
消費者物価指数の上昇率の最も低い
金融政策を行うことができない!
債務残高がGDP比60%以下
3ヵ国の平均を1.5%より多く上回ら
ないこと
EMU加盟国の財政赤字対GDP比
財政規律
さらに
タイ
財政赤字
(対GDP比)
債務残高
(対GDP比)
インドネシ シンガポー
ア
ル
マレーシア
フィリピン
1.92%
0.97%
7.27%
5.05%
0.83%
41.69%
25.03%
100.79%
52.56%
40.47%
ASEAN域内トップであるシンガポールは
どちらも満たせていない!
ユーロ圏では主要カ国である
ドイツ・フランスが
物価の安定
財政政策により赤字に…
インド シンガ マレー フィリ ブルネ ベトナ ミャン
タイ
消費者
物価指
数上昇
率
3.5%
ネシア
ポール
シア
6.18%
3.5%
2.7%
ピン
イ
3.36% 1.62%
ム
マー
ラオス
カンボ
ジア
12.61
5.77% 6.66% 4.02%
%
インドネシア、ベトナム、ミャンマー、ラオスの4ヵ国が
満たせていない!=ASEAN域内格差が大きい!
また
現在ASEAN+3では、チェンマイ・イニシアティブを結び、
日中韓がASEAN諸国に支援を送っている!
※チェンマイ・イニシアティブ
東アジアにおける経済危機発生時
の自助・支援のための地域金融協
力への外貨融通の仕組み。
ASEANと日中韓との間に二国間通
貨スワップを用いる。
支援のほとんどが
日中韓!!
以上をまとめると
域内で財政規律を課し、物価の安定を目指すのは難しい!
最低でも日中韓の3か国の支援が必要!
主張②ASEAN内の格差が大きすぎる
シンガポールと
ミャンマーの差は
約60倍!!
また!
一人当たりGDP 標準偏差格差
ASEAN域内(2010年)
13000
ユーロ圏内(1994)
大きな開き!
4900
シンガポールに大きな負担がかかってしまう!!
財政支援を行うことは不可能!
さらに!
実質GDP比較
ユーロ圏の主要国である
フランス、ドイツに比べ、
シンガポールはGDPが低い!
フランス、ドイツ並みに
他国を支援できる力を
もっていない!!
主張③ASEAN内の貿易比率が低い
通貨作成にあたり、ヒト・モノ・サービスの移動=域内貿易活発さが必須!
しかし
ASEAN内の貿易シェアは、導入当時のユーロ圏と比べ半分以下!
ASEAN域内シェア
24%
ユーロ導入当時
60%超
域内で貿易を行う際の障害が大きい
ASEAN各国の貿易障壁の大きさ
インフラが未整備な国が多い
必要額の30%しか調達できていない!
港湾運輸インフラの質(7段階)
ASEAN内の物流コストはEUの二倍!
インドネシア
3
ベトナム
3
タイ
3
フィリピン
5
ASEAN内のインフラ整備は未発達!
域内貿易の内訳は主に中間財!
中間財は若干増えている
最終財は米国へ流れる!
域内貿易の活発化には限度がある!
つまり!
ドルの為替リスクは相変わらず
顕在化するということ!
共通通貨導入への必須段階
バラッサによる地域統合の段階
EUによる地域統合
第1段階:自由貿易地域
1953年 欧州経済共同体
第2段階:関税同盟
1968年 関税同盟完成
第3段階:共同市場
1992年 域内市場完成
第4段階:経済同盟
1993年 欧州連合条約
第5段階:完全経済同盟
1999年 ユーロ導入
ASEAN共通通貨は
この流れを辿れない!!
主張①各国が独自に金融政策を行えない
主張②ASEAN内の格差が大きすぎる
主張③ASEAN内の貿易比率が低い
以上三点から私たちは
アジア共通通貨導入に反対します!
ご清聴ありがとうございました