H25年度向け概算要求資料

LHC高度化計画
Ultimate LHC→ HL-LHC → HE-LHC
徳宿克夫(KEK)
LHCb
MoEDAL
CMS
TOTEM
Four large experiments
+
Three small ones
Circumference: 26.7km
Design Energy
7TeV+7TeV
ATLAS
LHCf
ALICE
ATLAS Collaboration
2011/10/25
 38 Countries
 173 Institutions
 ~ 2980 active scientists:
~ 1800 with a PhD  contribute to M&O share
3
~ 1100 students
ATLAS Collaboration
2011/10/25
 38 Countries
 173 Institutions
 ~ 2980 active scientists:
~ 1800 with a PhD  contribute to M&O share
4
~ 1100 students
ATLAS日本グループ
約110名の研究者・院生:16研究機関:高エネルギー加速器研究機構、筑波大学、
東京大学、東京工業大学、首都大学東京、早稲田大学、信州大学、名古屋大学、京
都大学、京都教育大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島工業大学、 長崎総
合科学大学、九州大学
5
Higgsの発見
Higgsの発見
μ=0.2+0.7-0.6
2011/10/25
7
なぜHL-LHCか?
• LHCは今後10年以上にわたって唯一の
Energy Frontier加速器
• LHCの衝突点収束系磁石と、実験の
Inner trackerは300-500fb-1のデータ収集
後、放射能損傷によって寿命を迎える。
(2020年代前半)
日本が貢献したビーム収束磁石
– 積分ルミノシティ1000-3000fb-1の物理をやる
にはupgradeが必要。
• どうせなら3000fb-1を目指そう。クラブ空洞
を入れて5x1034cm-2s-1でのluminosity
leveling による運転。(実験グループに
とっても闇雲にLumiを上げるよりは楽: そ
れでもNint =100)
アトラス測定器の模式図
2008年に測定器が完成し2009
年から衝突実験が始まってい
る。
– この環境でも、現在以上のパフォーマンスを持つ測定
器がほしい。
8
1000-3000fb-1の物理
• Higgsの分岐比測定、WW散乱などでEWSB機構
のさならる研究
• もし2015年からの13TeVランでBSM新粒子が発
見されれば、
– その性質測定、さらなる探査
• 発見されなければ
– Kinematic limitギリギリまでの探索。
陽子PDF
→ 高いエネルギーのパートンは非常に少ない
→ 高統計が必要
さらなる探索では、エネルギーをあげるのが一番だが
そのためのR&Dはまだまだ時間がかかる→2030年以
降HE-LHC
高輝度大型ハドロン衝突型加速器(HL-LHC)による素粒子実験
2012年にヒッグス粒子を発見したLHC実験。2022年に加速器と
測定器の大改造を行って、その後10年間にわたりヒッグスの
謎と新粒子探索を進める。
アトラス検出器の改造
高輝度改造後は一度の衝突
で100個以上の陽子が衝突
を起こす。それぞれを分離で
きるように高性能のアトラス検
出器に作り変える。
この粒子が標準理論のいうよ
うな唯一のヒッグス粒子か?
それとも複数のヒッグス粒子
の一つか?
暗黒物質の正体は?
大量データによる稀崩壊の探索などで、ヒッグス
粒子の性質を精査し、電弱相互作用の対称性の
破れの原理に迫る。
H→μμ
ミューオン対の質量(GeV)
高エネルギーの限界に限りなく近づく
陽子・陽子衝突では、陽子内部にあるたくさんのクォークが反応す
る。高いエネルギーを持ったクォークは少ないが、数を貯めること
で、より高い質量の新粒子の探索を進めることができる。。
グルーオンのパートナー粒子
の質量(GeV)
数は力
超対称性粒子の探索
2032年の探索範囲
2022年の探索範囲
クォークのパートナー粒子の質量(GeV)
計画表
LHC運転
2013
2014
2015
補修
2016
2017
補修
13-14TeV運転
Long Shutdown 1
LS1
2018
Nominal LHC
L=1x1034
LS2
2019
2020
2021
2022
補修
14TeV運転
Ultimate LHC
L=2x1034
LS3
The Upgrade
for ALICE/LHCb
Phase 0
upgrade
0 MCHF
ATLAS
2023
HL-LHC運転
L=5x1034 leveling
2024
Phase 1
upgrade
36 MCHF
Phase 2
upgrade
230+
45MCHF
Extra
cost
我々としては2022年までのUpgradeを一体の物として考え
る。 (CERNも4実験に対して2022年までの全容を今年10
月に示せと命令)
2025
2026
2027
2028
2029
2030
2031
2032
実験遂行(3年に1度ぐらいで長期補修がある見込み)
10年間で積分ルミノシティ3000fb-1をめざす。 (ATLAS CMSが中心)11
計画表
2013
2014
2015
補修
LHC運転
2016
2017
13-14TeV運転
2018
補修
前段加速器整備
2021
加速器建設
設置
建設
設置
技術協力
クラブ空洞
設計・開発
測定器
アップグレード
2022
補修
14TeV運転
設置
設計・開発
収束磁石
2020
Ultimate LHC
L=2x1034
Nominal LHC
L=1x1034
建設
2019
測定器建設
建設
設置
2016年ぐらいから本格的な建設を始めないと、2022年に
間に合わない。
2023
HL-LHC運転
L=5x1034 leveling
2024
2025
2026
2027
2028
2029
2030
2031
2032
実験遂行(3年に1度ぐらいで長期補修がある見込み)
10年間で積分ルミノシティ3000fb-1をめざす。
12
*
(運転経費2億円/年 程度 )
*現在通り、加速器の運転経費を払わないと仮定
LHC/ATLAS 改造総額 (MCHF~億円)
年
(百万スイスフラン)
LHC Injector
Upgrade
LHC Performance
improving
consolidation
LHC Performance
upgrade (HL-LHC)
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
10
16
21
38
41
32
22
180
14
16
21
28
39
42
305
465
1
2
6
18
42
52
264
385
1030
加速器全体
ALTAS upgrade
11年積算
アトラスのアップグレード予算の全体の年次計画はまだできて
いない。
311
このうち579MCHFはunfunded (つまり足りない !)
注: 加速器の建設・改造経費に関してはCERNの中期計画書(MTP2013)を基に作成。
MTP では以下のように表現
従って人件費等を含む)
「Given the resources required for future large-scale projects, the Management
アトラスの費用はCore
will not onlycostのみ、つまり、R&D費用や人件費、設備費などを含まない。
have to make hard choices but will also need to aim to secure
contributions (in-cash and in-kind) from non-Member States, as for LHC
construction, as well as from new Associate and Member States. On the basis
of the level of non-Member State contributions obtained for LHC construction
and assuming a realistic scenario of about 40 MCHF per annum in contributions
from new Associate and Member States, the total additional funding over an
13
about 10-year period would amount to some 700 to 800 MCHF. 」
LHC/ATLAS 改造総額
年
2013
(百万スイスフラン)
LHC Injector
Upgrade
LHC Performance
improving
consolidation
LHC Performance
upgrade (HL-LHC)
加速器全体
ALTAS upgrade
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
10
11年積算
16
21
38
41
32
22
180
14
16
21
28
39
42
305
465
1
2
6
18
42
52
264
385
日本~36億円
アトラスのアップグレード予算の全体の年次計画はまだできて
いない。
1030
311
日本~51億円
注: 加速器の建設・改造経費に関してはCERNの中期計画書(MTP2013)を基に作成。
従って人件費等を含む)
アトラスの費用はCore costのみ、つまり、R&D費用や人件費、設備費などを含まない。
(日本の費用は、R&D、設備費、ポスドクなどを含む)
Cf. LHC加速器への日本の貢献: Cashで
138.5 億円
アトラスへ日本の貢献(上記を一部含む)
45.5億円
加速器・測定器ともに日本の得意分野で貢献:
建設~88億円程度の実予算で、重要な貢献ができる。
14
(それとともに実験の運転経費が年間2億円程度必要)
大型計画
課題名:
高輝度大型ハドロン衝突型加速器(HL-LHC)に
よる素粒子実験
昨年までの二回の応募にも提出してきた。
(100億以下ということで、対象外)
3月に提出して、200 Projects には残ったが、Best 30を決める
ヒアリングには残念ながら残らなかった。
ILCを進める上でも、その直前(あるいはある程度オーバラップを
持って)LHCが走っていることは重要。 → 大型計画のベスト30と
は関係なくKEKから概算要求を進めて行かせて欲しい。(平成27
年度分はぜひ出したい)
年次計画 (今年用意したもの)
年度
2014
2015
2016
2017
2018
2015年まではなんとかやりくり可能
でも2016年からはないと本当に困る)
2019
2020
2021
2022
2023
10年積算
(千円)
加速器小計
144,000
139600
506080
446720
752960
668960
369960
319640
281,480
30,000
3,659,400
測定器小計
136,600
175,300
521,110
574,550
1,011,525
818,785
1,094,875
466,000
151,000
138,000
5,087,745
アップグレード小計
280,600
314,900
1,027,190
1,021,270
1,764,485
1,487,745
1,464,835
785,640
432,480
168,000
8,747,145
15
International Review
• 山内所長のアドバイスもあり、11月21-22日に
KEKでReview委員会。
ATLAS-KEKでなくATLAS-Japan をReview.
• 委員の選定済み (加速器・実験とも内輪1人
あとは外部)
Accelerator:
Mike Lamont (CERN)
Bruce Strauss (DOE)
Lucio Rossi(CERN, HL-LHC head)
Kaoru Yokoya (KEK)
Experiment:
Jonathan Dorfan (OIST)
Eckhard Elsen (DESY) – Chair person
Fabiola Gianotti (CERN)
Jordan Nash (IC London, CMS)
Mihoko Nojiri (KEK, Theory)
Andreas Schopper (CERN LHCb)
16
まとめ
• 今後10年以上にわたって、LHCが世界で唯一のEnergy Frontier
加速器となる状況。
• Ecm=7,8TeVのエネルギーでLHCは順調に運転が進み、ヒッグス
らしき新粒子の発見などの重要な成果が上がってきている。
• 今後、LHCにおいて、BSMの新粒子の探索を続けるとともに、
ヒッグスらしき粒子の性質を精査し、EWSBの機構を研究するこ
とが、素粒子物理の最重要課題。 ILCが稼働するまでは、LHC
で可能な限り精度を上げていく。
• 3000fb-1のデータ収集には、2020年前半に、加速器・測定器の
アップグレードが必要(HL-LHC)。2016年ごろから、データ収
集・解析と並行して、この建設に本格着手する必要がある。
• アトラス実験はKEK及び15の日本の大学から約110人の研究
者・大学院生が参加しており、日本の高エネルギー物理での一
大コミュニティを形成。加速器・実験の両面での日本の貢献が
重要。
17
予備
18
Higgsの精密測定
たくさん貯めれば、Rareな
崩壊もみえてくる。
H→μμ
H→γγ
Universal KV、KF noBSMの仮定なら
19
Higgsの精密測定
(非常にconservativeな見積)
• κγ/κZ tested at 2%
• gg loop (BSM) κt/κg at 7-12%
• 2nd generation ferm. κμ/κZ at 8%
20
ヒッグス測定精度
300fb-1 by 2022
3000fb-1 by 203X
21
BSM
HL-LHC リーチ
– 3TeV squarks 2.5TeV gluinos
– 300fb-1よりも 400 GeV 進める
22
ヒッグス自己結合
~ Final confirmation of the Higgs Mechanism ? ~
23
H→HH
大きなバックグランドの中から信号を探しだす難しい作業
(主なバックグランドはtt,ttHなど)
HH→bbγγ が一番有力な候補。
簡単なCut-based 解析で、
IntL=3000fb-1
λHHH=0 -> 26 events
λHHH=1 -> 15 events
バックグランド
24 Events
1つの実験で 2σ significance
24
Study for the HE-LHC smoothly starting
HE-LHC in the LHC tunnel:
27-33 TeV c.o.m. energy
16-20 tesla dipole field
A new 80 km tunnel: for TLEP,
then for a VHE-LHC
Optimitation could be at 16 T
field level: collision
energy 80 TeV c.o.m.
Or 100 TeV for 20 T
dipoles
Whatever solution, only a
vigorous Magnet R&D will
enable to go beyond LHC energy
Much better new infrastructure.
However many costs go linearly,
or more, with length. Magnet
stored energy, beam energy also
25
a concern
HE-LHC – LHC modifications
HE-LHC
2030-33
SPS+,
1.3 TeV, 2030-33
2-GeV Booster
Linac4
High Energy-LHC (HE-LHC)
Nb-Ti
Nb3Sn
HTS
80
HTS
60
y (mm)
CERN working group since April 2010
EuCARD AccNet workshop HE-LHC’10 ,
14-16 October 2010, Proc. CERN-2011-003
key topics
beam energy 16.5 TeV; 20-T magnets
cryogenics: synchrotron-radiation heat
radiation damping & emittance control
vacuum system: synchrotron radiation
new injector: energy > 1 TeV
parameters
40
HTS
beam energy [TeV]
dipole field [T]
dipole coil aperture [mm]
#bunches
IP beta function [m]
number of IPs
beam current [A]
SR power per ring [kW]
arc SR heat load dW/ds [W/m/ap]
peak luminosity [1034 cm-2s-1]
events per crossing
HE-LHC
16.5
20
40
1404
1 (x), 0.43 (y)
2
0.328
65.7
2.8
2.0
76
%
28%
41%
31%
Nb3Sn
Nb3Sn
Nb3Sn
Nb-Ti
Nb3Sn
Nb-Ti
20
HTS
0
0
E. Todesco
LHC
7
8.33
56
2808
0.55
3
0.584
3.6
0.21
1.0
19
Turns
40
58
45
20
40
60
x (mm)
80
100
120
LHC計画
Large Hadron Collider(大型ハドロン衝突型加速器)
目的
・質量の起源のヒッグス粒子や超対称性粒子などの新粒子を発見
し、物質の究極の内部構造を探索する。
LHC加速器
・7兆電子ボルト(7 TeV)の陽子同士を衝突させる。
・周長27kmの地下トンネル内に設置される。
・8.33テスラの超伝導双極磁石1,232台などからなる。
・総重量35,000トン, 液体He120トン, 液体N2 10,000トン。
・運転のための消費電力は約120MW(CERN全体で約230MW)。
・総建設費費は 約5000億円、建設期間は14年。
・2008年9月:450GeV陽子ビ-ムの周回に成功。
大量のヘリウム漏れ事故が発生し修理開始。
・2009年11月:世界最高の陽子衝突エネルギー2.36TeV達成。
・2010年3月より 3.5+3.5=7TeV の陽子衝突実験を開始した。
・2010年11月より鉛の重イオン衝突実験を開始した。
国際協力
・CERN加盟国に日・米・露・カナダ・インドなどが協力。
・日本は計138.5億円の加速器建設協力を行っている。
・KEKはLHC衝突点の超伝導四極磁石を開発製造した。
実験装置
・国際共同実験: アトラス(ATLAS)とCMS(ヒッグス・超対称性粒
子などの探索)、アリス(ALICE,重イオン衝突物理)、LHCb(B物
理)の他に小実験としてTOTEM, LHCfがある。
・日本からは、高エネ研(KEK)・東京大・神戸大など15機関から約
100名の研究者がアトラス実験に、アリス実験には広島大・東京
大・筑波大、LHCfには名大・早大などが参加している。
円形の赤線の地下約100メートルに周長27kmのLHC加速器トンネルが
ある。4つの実験装置の場所が黄色丸で示してある。
2007年4月26日 全ての超伝導磁石約1700台が設置された。
2007年11月7日 全ての超伝導磁石の接続が完了した。
28
LHCの建設費の規模
[1] LHC建設のための直接建設費 (CERN-Brochure-2008-001 より抜粋)
・LHCの加速器・実験室
・実験装置
ATLAS
CMS
ALICE
LHCb
TOTEM
合 計
3.68 BCHF
1.24 BCHF
540 MCHF
500 MCHF
115 MCHF
75 MCHF
7 MCHF
----------------------------4.92 BCHF
(約 5000億円)
注:CERNはLHC計画の全コストを約100億ドルと概算している。これは1994年よりLHC計画に
要したCERNと協力機関による経費の概算総計で人件費も含まれている。
[2] LHC加速器建設における非加盟国による資金協力
日本: 160 MCHF (138.5 億円)
米国: 200 M$
ロシア: 67 MCHF(ただし測定器も込み)
カナダ: 60 MCanada$
インド: 12.5 MCHF
29
CERN理事会における日本政府代表
文部大臣 与謝野馨
達磨
CERN DG
Chris Llewellyn Smith
1995年6月23日 に与謝野馨文部大臣がCERN理事会に出席し日本によ
るLHC建設協力を表明した。非加盟国の中では日本が最初であった。そ
の後も日本は資金協力を行い、総計138.5億円の建設協力を行った。
(http://cdsweb.cern.ch/record/721046?ln=ja)
2008年10月21日 LHC完成祝賀式典にて山内俊夫文部
科学副大臣が達磨の左目を記入してLHC完成を祝した。
(http://cdsweb.cern.ch/record/1135731)
30