電子社会設計論 第4回 Electronic social design theory 中 貴俊 内容 はじめに 通信の歴史 インターネットのできるまで はじめに 電子社会を知る上で 電子社会とコンピュータの関係(第2回、第3回) 情報を多量・高速に処理できるコンピュータは、従来相互の関連 性が明確でない情報も注目されるようになり様々な分野の電子社 会を構築する上で重要な役割を果たしている。 電子社会と通信技術の関係(第4回) 様々な情報が電子化されたことにより、通信が容易なものとなり 電子社会発展の上ではかかせないものである。 通信 通信 意思を他人に伝えること。音信を通じること。信書をやり 取りすること。たより 郵便・電信・電話・信号・パソコンなどを使って意思や情報 を伝達すること。 より遠く・より速く コミュニケーション 文字・書物・印刷 狼煙、鐘、手旗信号 社会の規模に比例 1791年 フランスのシャップ:腕木式通信機 最初は主に軍事用 ナポレオン遠征後、他国に拡大し産業革命に影響 1840年代以降商業的に使用 鉄道 電気による通信 1800年イタリアのヴォルタによる電堆(電池)の発明 イギリスをはじめとする欧米諸国で産業革命 機械・電気・化学の技術・製造技術の進歩 社会・経済に変化 建設ラッシュ・鉄道の運行 安定した電源 開拓 運行状況 電信の急速な発達を促す 電信 電信 電磁式電信機 アメリカのヘンリー ロシアのシリング ドイツのガウス アメリカのモールス モールス電信機(モールス信号) 伝えたい文字を符号化(「-」「・」の2種類)・・・電気の信号に変える 電線をつなぐことにより、離れた場所との情報をやりとりする 情報通信技術は電気信号を用いて飛躍的な発展をする 新聞報道に速報性をもたらす 受信機を紙テープに印字する方式に 日本に初めて伝わった電信機はペリーが徳川幕府に贈呈した「エンボッ シング・モールス式電信機」 日本の電信事業は1869年東京~横浜での電報から始まる 電話 電話 音・・・・・・空気の振動によって伝わる 空気の振動を電気の信号に変換 電線を利用して伝え、再び空気の振動に戻す音声の伝達 電話機 ベルギーのブルサール・・・音声を伝達する方法の考案 ドイツのライス・・・電話機の試作(telephonie:far-voice) イギリスのベル・・・液体送信機、電磁石式電話機の発明 エジソン・・・炭素送話器 電話(日本の歩み) 1890年 東京~横浜に電話線が引かれる 1900年 初の公衆電話の設置 この頃、多くの機器や技術を輸入し自主製造技術として開発し国産化 をはかる 戦争により通信網の一部破壊 1985年 電話事業の民営化 東京155回線・横浜42回線 非常に高価・・・役所や会社の利用 一般には郵便・電報がメジャー 日本電信電話公社に経営が移る(1952) 日本電信電話株式会社(1985) 2002年 日本の人口の2人に1人1回線の割合 電波による無線通信・ラジオ・TV グリエルモ・マルコーニ 無線通信の応用としてラジオ放送 ヘルツの電磁波の研究がきっかけで無線通信を研究 電磁波による通信の実験に成功(1895) 無線の父 1920年ラジオ放送局が開局 日本では1925年から開始・・・関東大震災(1923年) 映像も通信・・・TV放送 ツヴォリキン・・・現在のテレビ技術の基礎となる電子式テレビカメラの 実用化 日本では太平洋戦争もあったため1953年より開始 普及したのは昭和30年台から(テレビ受像機が高価) 無線電話 八木秀次・宇田新太郎 八木アンテナ 現在、超短波の送受信、TV受信用として一般的 当時国内では評価されず欧米で研究される(軍部利用も) 無線電話 船舶電話(1928) 列車電話(1957) 自動車電話(1979) ショルダーホン 携帯電話(1987) PHS(1995) デジタル通信 ケーブルテレビ 難視聴者(受信障害)(アメリカ:1949、日本:1955) 多チャンネル 衛星放送 通信衛星 電話回線 コンピュータの登場 データ通信の発展 インターネット データ通信 端末(DTE)つまり、コンピュータなどとそれに結びつ けた通信回線を利用して情報のやりとりをする仕組 みの事 端末A コンピュータ (データ) 端末B データ通信の例 インターネット パソコン通信 銀行ATM みどりの窓口(座席の予約) etc ARPAネット アーパネット(ARPAnet) アメリカ国防総省の高等研究計画局(Advance Research Project Agency)の研 究・調査用のコンピュータネットワーク アメリカで電話中継基地の爆破テロ(1961) パケット交換(レオナルド・クラインロック)IMP ルータの前身 DARPA(Defense ARPA)の設立(1966) 核戦争時の通信不能が判明 核戦争にも耐えうる通信システムの開発 各地に分散したUNIXコンピュータ同士をTCP/IPで相互接続するという形態 アメリカ国防総省の研究・開発部門(ARPAから改称) パケット交換網(ポール・バレン) 4ノードからなる長距離パケット交換技術の実験の開始(ARPAnet)(1969) UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校), UCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校) SRI(Stanford Research Institute:スタンフォード研究所) ユタ大学 ARPAnetの拡大 1971年 さらに15の大学や研究所がARPANETにつながる レイ・トムリンソンが電子メールを発明(@もこの人がアドレス に適用した:他のホストにある('at' some other host)ユー ザー) 1973年 ARPANET初の国際接続(ノルウェー、イギリスと) ボブ・メトカフとデビッド・ボッグスがイーサネットの仕組みを発 明 1974年 ビントン・サーフとボブ・カーンがTCPの仕組みを開 発 小規模なネットワークを構成するためにとても重要な発明であった 1978年にTCP/IP・・・現在のインターネットの基礎 実際に使われるのは1983年 スティーブ・ウォーカーが世界で始めてメーリングリストを作る 世界でのネットワークの歩み 1976年 UUCP(Unix to Unix Copy Program)の開発 1979年 UUCPを使ったUSENET開始 1981年 BITNET・CSNET開始 電子掲示板をネットワークで実現 アメリカの大学と研究機関をIBM社のホストコンピュータで接続 大学や民間のコンピュータ研究グループ用 いずれもARPANETに参加できない大学や研究所でもネットワークにつな げることを目的としている 1982年 EUNET開始 オランダ、デンマーク、スウェーデン、イギリスを結ぶ アメリカ以外でもネットワークが構築される 世界でのネットワークの歩み 1982年 ARPANETの通信プロトコルにTCP/IPを採 用 1983年 ARPANETとCSNETがゲートウェイ接続され る ネットワーク同士をつないだネットワーク インターネットの起源?? パソコン通信ネットワークのFidoNET開始 1985年 DNSの仕組みが使われるようになる 世界でのネットワークの歩み 1986年 NSFNETの開始 IETFができる さらにインターネットを強固なものに 1990年 ARPANET終了 1991年 スイスのCERNでwwwの仕組みやHTMLが開発される インターネットについてのいろいろな技術の標準化を進めるところ 1987年 UUNETがUSENETへの商用接続サービス開始 1988年 モリス・ワーム事件(ARPANET クラッシュ) 大学や研究所のスーパーコンピュータを共同で使えるようにすることが目的 世界中にはりめぐらされたクモの巣(ワールド ワイド ウェブ) 1992年 ISOC(インターネットに関する学会 )が出来る、 PCでもTCP/IPが使 用可能に 1993年 wwwブラウザのMosaicが登場 1994年 wwwブラウザのNetscapeが登場 1995年 Sun Microsystem社がJava言語を開発 wwwブラウザのInternet Explorerが登場 日本での歩み 1984年 UUCPによるJUNET開始 1985年 日本の通信が自由化される アメリカに国際化の動き 1987年 WIDEプロジェクト開始 1988年 NTT電気通信研究所とARPANETのTCP/IPによる海外接続 1991年 JPNICの前進であるJNICができる それまでは電子メールが禁止されていた 電話事業民営化に伴い解禁 1986年 JUNETがCSNETに接続される 日本語が使用可能になる 東京大学、慶應義塾大学、東京工業大学が結ばれる .jpというドメインを管理するところ 1992年 商用インターネット接続のサービス開始 (UUCPを使ったARPANET) 1993年 JPNICが設立 1994年 日本の首相官邸がHPを公開 1995年 インターネットが阪神大震災で安否確認に使われる 流行語大賞になる Webブラウザ URI・HTTPなどに基き,Webサーバと通信してリソー スを取得 取り寄せたリソースを,その種類(HTML,XHTML, XML,テキスト,画像など)に応じて解析 パーザの解析結果をもとに文字や画像を適切に配 置し,あるいは文字のサイズを調整したり色を付け るなどして,最終的に人間のための表示 IE,FireFox,Opera,Safariなど まとめ 通信への想い 電信の登場による高速通信 電気信号をさまざまな信号に変換 電話など 無線通信 より遠く,よりはやく 電波の利用 インターネットの歴史と現状 情報通信ネットワークの未来 電気による通信の発展により、人々は距離的な悩 みが解消され、データ通信の発展により、正確で膨 大な情報の伝達が可能となった これからの通信とはどう進化するのか? インターネットによる通信の発達による害はないの か? 情報の通信:歴史 のろしを使った通信。 飛脚による親書通信。 郵便制度。 鉄道の腕木信号 1832年 - シリングが電信機を発明。 1837年 - モールスがモールス符号を考案。 1850年 - イギリス・フランス間で海底ケーブルを使った電信 サービスを開始。 1869年 - 日本、東京・横浜で電信(電報)サービスを開始。 1875年 - アレクサンダー・グラハム・ベルが電話機を発明。 エジソンと発明・特許競争を行った。 情報の通信:歴史 1895年 - マルコーニが無線電信機を発明。 1897年に会社を設立し、無線電信を商用化。 1905年 - 日本、日本海海戦で無線通信が使用される。 商船からの通報で戦局を有利にした。 1925年 - 日本、ラジオ放送を開始。 1920年代 - ファクシミリの実用化。 アナログ通信による画像伝送。日本でも1930年に実用化。 1930年代 - アメリカ、ヨーロッパなどでテレビ放送がはじまる。 情報の通信:歴史 1940年代 - 情報理論の基礎が確立される。 デジタル通信の基盤となる科学。 1953年 - 日本、テレビ放送の本放送を開始。 1956年 - 日本、太平洋横断ケーブルを使った電信サービス を開始。 1963年 - 日米間の衛星中継に成功。 ケネディ大統領暗殺のニュースが流された。 1960年代 - 日本、カラーのテレビ放送が始まる。 徐々にカラー放送の番組が増える。1970年代に完全にカ ラー化した。 1968年 - 日本、ポケットベルサービス開始。 1970年代後半 - 300bpsの音響カプラが登場。 情報の通信:歴史 1979年 - 日本、首都圏で自動車電話サービスが始まる。 セルラー方式のアナログ携帯電話。後に軽量化され携帯電話となった。 1980年 - G3 ファクシミリの規格が定まる。 アナログモデムを使ったデジタル画像通信で、現在(2005年)の電話用 ファクシミリの規格。 1980年代 - 世界的に通信自由化の流れが起こった。 1985年 - 日本、通信自由化。電電公社がNTTに民営化。 通信開放によりパソコン通信サービスが始まる。また、これ以前は規制さ れていたインターネットの電子メールの交換が行えるようになった。 1980年代後半 - 1200bps~2400bps の電話モデムが登場。 1988年 日本、ISDNサービスを開始。 デジタル通信サービス。 情報の通信:歴史 1989年 - 日本、衛星放送の本放送を開始。 1989年 - WWWの登場。 1990年代前半頃からインターネットの世界的な普及がはじまった。 1990年代前半 - 9600bps~14400bps の電話モデムが登場。 1990年代後半 - 日本、携帯電話の普及が本格化。 1990年代後半 - 世界的にデジタル携帯電話の普及がはじまる。 1990年代後半 - インターネットのホームページが急速に増加。 2000年代前半 - 日本、ブロードバンドインターネットの普及がはじまる。 2003年 - 日本、地上デジタルテレビジョン放送が大都市圏ではじまる。
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