堤防の浸透破壊を防止する パイプドレーンの効果 太田ジオリサーチ 太田英将(正会員) 千代田器材 柏熊誠治 岐阜大学 名誉教授 宇野尚雄(正会員) 1 パイプドレーン工とは 宅地 有孔鉄管を打ちこむ工法 (地盤を緩めない) 盛土法面 鉄道法面 2 課 題 1. パイプドレーン工は河川堤防の浸透破壊防 止工に利用可能かどうか。 2. 問題点はないか。問題点は克服できるか。 3. 設計手法を確立できるか。 3 第一次実験(2007.5~8) テーマ:効果の有無・致命的な問題点の有無・解析手法確立の見込み 実験装置 アニメーションGIF 無対策の場合(破堤形態の確認) ①浸潤線上昇→②法尻小崩壊→ ③天端まで拡大する滑り発生→ ④天端沈下、越水→⑤浸食 パイプドレーン有 の場合 4 第一実験の評価 • 効果の有無 →浸潤線低下。低下量に相当 する水はパイプ孔口から排水 された。 • 致命的問題点の有無 →フィルターなしでも吸出し確 認されず • 解析手法確立の見込 み →パイプに堤体地盤より2桁 程度大きい等価透水係数を設 定することで可能となる見込 みあり 5 第二次実験(2009.12) テーマ:堤体材料のバリエーション・最適なパイプピッチの把握 実験結果と評価 • 堤体材料(透水係数)の 違いによる効果の違い →すべての実験で効果あり (K=10-2~10-3cm/sec) • 最適なパイプピッチの把 握 →1.0m間隔程度が適切 (第一次実験で0.5mと1.0mに 効果の違いがなく、第二次実験 で0.75mと1.5mに違いが生じた ことから) →ピッチに応じたパイプの等価 透水係数の設定手法検討へ 問 題 発 覚 6 ケース3で吸出し発生 • 吸出しが発生する場合があ ることが判明 →原則として全パイプドレーン工に フィルター設置で対応 管内内巻フィルターを設置し吸出し防止 7 まとめと課題 • パイプドレーン工は浸潤線低下効果があり、浸透破壊 防止工として利用可能と考えられる • 効果的なピッチは実験結果からは1.0m間隔程度とな るが、今後パイプの打設ピッチに応じたパイプの等価 透水係数の設定を検討する必要がある • 堤体材料の性質によっては吸出しが発生する場合が あるので、原則として全孔フィルター設置とする • 試験施工により施工上の問題(礫が多い地盤の問題 点の把握と対応)や、管理上の問題(フィルター交換 周期の設定)を把握する必要がある 8 【参考】関連資料 • 915(D – 03)鉄道盛土における排水パイプの 土砂吸出し特性に関する一考察(髙馬太一・ 渡邉諭・太田直之・杉山友康・泉並良二) “吸出しは,均等係数Uc<10,細粒分含有率 Fc<20%,85%粒径d85<2.5mm,15%粒径 d15>0.08mm,を指標(境界値)として判断で きる可能性がある” 鬼怒川川砂だけが上記の条件をすべて満たしている Uc=4.44(<10)、Fc=6.5%(<20)、d85=1.1mm(<2.5)、d15=0.15mm(>0.08) 9
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