管材加工

塑性加工 第5回目
• 今日のテーマ
• 圧延(つぶして伸ばす)
(一度に薄くせずロールを複数段にする理由)
• 転造(ねじ、歯車)
(形をただ転写するだけではない、強くなる)
• せん断加工(同じ穴を大量に加工可能)
(穴をあけるのも大事な塑性加工)
圧延加工
(Rolling)
回転する2つのロール間に素材を通
して、連続的に圧縮力を加えて厚み
を減少させる
P  pmbL  pmb R(h1  h2 )
P:圧延荷重について
pm:圧力の平均
b:板幅
L:接触部の投影長さ
R:ロール半径
L
R h1
h2
T:圧延トルクについて
λ:トルクアーム係数
T 2λLP 2λ R h1 h2 P
ロールを複数段にする理由①【摩擦角ρ】
Fx
p R cos
pR sin 0
tan
tan
材料がロールにかみ込まれるためには,
摩擦角ρよりも接触角αを小さくする
したがって圧延により圧下量が大きい場合,一度
にかみ込めないので,ロール1段で完了せず,複
数段になる.
ロールを複数段にする理由②【圧延荷重 P】
P  pmbL  pmb R(h1  h2 )
T 2λLP 2λ R h1 h2 P
P, Tを小さくするには、ロール径Rを小さくする
したがって圧延が1段で完了せず,複数段になる.
ロール径が小さくなるとロールがたわむので,大
径の支えロールが必要
圧延機
圧延ロール
• 材質
鋳鉄(サンドロール,チルドロール,グレン
ロール),鋳鋼,鍛鋼
• ロールクラウン
ロールの中央の直径を端部よりわずかに大
きくする(圧延された板の幅方向の板厚の不
均質を防止するため)
管材加工
薄肉管は引抜加工
それ以外の管は,板を管状に丸めて溶接、
鍛接、または丸棒に穴をあけ肉厚を減じ
て長さを伸ばす加工
【継目なし管】
丸棒に穴あけして中空素材とし(せん孔)、
圧延または押抜きで延伸する
ロール
素材
心金棒
心金
ロール
マンネスマンせん孔機:中高の二重円錐形の
ロールを上から見て平行に、水平方向に互いに
反対方向傾けて設置し、丸棒を圧縮回転させる
主ロール
戻しロール
心金棒
心棒
(プラグ)
管材
プラグミル:半円形の溝をもつロールと心金、
戻しロールにより管を延伸圧延する
磨管機(リーラ;Reeler):
管の肉厚を均一にする
ロール
心金棒
素管
定型圧延機(サイザー;Sizer):
外径、真円度を仕上げる
ロール
管
【圧延以外の管製作:鍛接管】
帯鋼(スケルプ)をベル又は加圧ロー
ルを通して圧縮(鍛接)して引抜く
連続突合せ鍛接管:フレッツムーン法
重ね鍛接管
【圧延以外の管製作:電気溶接管】
成形ロールで円形にし、電気抵抗溶接
(電縫管)、又はアーク溶接する
UOプレス方式:縁曲げ、U 曲げ、 O 曲げ
板
板
Uプレス
Oプレス
スパイラル方式:
スパイラル状に巻いて、合わせ目を溶接
外面溶接
内面溶接
板
曲げ成形
ロール
エルハルトせん孔法:
円筒状のダイスに素材を入れ、管の内径に
相当するポンチで押して穴をあける
ポンチ
ダイス
素材
底板
ねじと歯車の転造加工
(Thread rolling,
Gear rolling)
素材を型で押し付けて転動し、
型を素材に刻印する
ねじの転造
• 平形ダイス転造法
• 丸形ダイス式転造法
• プラネタリ式転造法
【特
徴】
・素材と工具とは局部的に接触して塑性
加工が進むため、小さな加工力で成形可能
・ねじ底や歯元など使用時に高い応力を受
ける部分が加工硬化される
・繊維状の流線が得られるので、静的強さ、
衝撃強さ、疲れ強さが高い
切削
転造
ねじ転造による変形
• ねじ山が盛り上げられてゆく加工過程
• ねじ山の頂上に切れ込み,頂点割れが生じる
歯車の転造
• ラック形工具による創成転造法
• ピニオン形工具による創成転造法
• 成形転造法
サイエンスチャンネル making 238
歯車転造による変形
• ねじ転造ではねじ山が工具に
よって半密閉状態になるのに
対し,歯車転造では成形され
る歯形の一部分ずつが工具と
接触しながら変形されるため,
歯形に対して左右対称に成形
されず,回転方向に材料が流
れて片側だけが余分に盛り上
がる.
• モジュール3以下 冷間転造
• モジュール3以上 熱間転造
球の転造
• 転がり軸受用の鋼球
サイエンスチャンネル making 63
段付き軸の転造
• ヘリカルロール加工
せん断加工
(shearing )
一対の刃の間に加工物をはさみ
せん断応力で
所要の形状、寸法に切断する
【せん断加工】
せん断
打抜き
穴あけ
縁取り
縁仕上げ
打抜き:打抜かれたものが製品
穴あけ:基の薄板が製品
縁取り:絞り製品の耳やばりの除去
縁仕上げ:切り口面を削り平滑面とする
【直刃の形状】
B
D
A
E
ε
α
β γ
C
O
α:すき間角(逃げ角)、切断した材料と刃
先にすき間をあける
β:刃先角(刃物角)、小さくすると
切れ味が良くなる
ε:シャ角、せん断荷重を少なくする
γ:前傾斜角、刃先角を鋭角にする
【刃先の形状】
α
上刃
ポンチ
β
β
γ
下刃
ダイス
α
せん断刃
α
抜型
(α:すき間角 β:刃先角 γ:前傾斜角)
せん断機構:
クリアランスとせん断切り口の形状
せん断加工の応力
ポンチ
引張応力
圧縮応力
ダイス
せん断
曲げ応力
【せん断機構】 P ポンチ P,P’:せん断力
C:クリアランス
F,F’: 側方力
F
素材
き裂
曲げ作用
F’
ダイス
くさび作用 P’
C
せん断口の形状
せん断口の形状
打抜き加工
• 打抜き(外周を打抜く場合)
ポンチ径:製品より小さめの穴径
ダイス径:製品の穴径
• 穴あけ(内周を打抜く場合)
ポンチ径:製品の穴径
ダイス径:製品より大きめの穴径
• 両方(内,外周を同時に打抜く場
合)
打抜き加工の板取り
• 送りさん
• 抜きさん
両方とも板厚の1~1.5倍
最低1mm
ポンチとダイス
【抜型】:プレス機械に設置するポンチと
ダイスの位置関係が適正であることが重要
ポンチとダイスを一組とする
ポンチホルダ
ガイドブッシュ
ガイドポスト
ダイホルダ
ダイセット:
ガイドブッシュを圧入したポンチホルダと
ガイドポストを圧入したダイホルダ
送り抜き型と総抜き型
2工程以上を必要とする打ち
抜き(順次穴あけと打ち抜きを
行う)
組合せ型(型の製作が高価)
精密せん断加工
• 仕上げ抜き法
ダイスの刃先に丸みを付け,クリアランスをできるだ
け小さくした打抜き
• 上下抜き法
クリアランスの小さい上下のポンチを,上下あるい
は下上に動かして打抜く,かえりはないがだれは残
る
• 精密打抜き法
板押さえあるいはダイス面の突起を材料に食い込
ませた上下抜き法,ダイスに丸みを付けた仕上げ抜
き法も重ねあわされる.
• 圧縮せん断法