SU(2)対称性とヒッグス機構 ~物質粒子の質量獲得~ 有田研究室 山崎秀樹 目的 • 中間発表ではゲージ粒子の質量獲得を、ヒッ グス機構を用いて、説明した。 • ゲージ粒子とまた同様にスピンを持つ物質粒 子も質量を持てないとされるが、ここでもヒッ グス機構を用いて質量を持てることを説明す る。 ディラック方程式 シュレディンガー方程式 クライン・ゴルドン方程式 相対論的(ローレンツ変換)共変性を持ち、時間、空 間微分が一階である方程式にする。その時、場ψは 多成分(スピノ-ル場)になる。 このような微分方程式をディラック方程式と呼ぶ。 左巻き粒子と右巻き粒子 次にこのような場 と定義する。 ディラック方程式を書き直し、特に質量m=0の時、次のようになる。 E:エネルギー σ:スピン行列、 p:運動量演算子 このように二つの場の間ではσ・pというスピンと運動量演算子の 固有値の符号が変わる。 このような二つの場、 を右巻き粒子場、 を左巻き粒子場と呼ぶ。 SU(2)ゲージ変換と対称性 行列式が1で、二行二列のユニタリー行列Uで場ψに対して変換することを SU(2)ゲージ変換とよぶ。 ディラック場のラグラジアンは、 となり、 SU(2)ゲージ変換を施してもラグラジアンは不変であることが要請される。 これをSU(2)ゲージ対称性と呼ぶ。 また、次の位相変換 においてラグラジアンが不変であることをU(1)ゲージ対称性と呼ぶ。 SU(2)一重項、二重項 電子、ニュートリノをまとめてレプトンと呼ぶが、電子は右巻き、左巻 き成分を持つのに対し、ニュートリノには実験より左巻き成分しか持 たないことが実験的に示されている。 そこでレプトンの左巻きの場を ν:ニュートリノ e:電子 右巻きの場を と表し、前者をSU(2)二重項、後者をSU(2)一重項と呼ぶ。 ここで電子の波動関数eに対して である。 SU(2)ゲージ対称性の破れ ディラック場のラグラジアンにおいて、 とし、ラグラジアンは とおくと レプトンの二重項は左巻き、一重項は右巻きに属しているのでSU(2)ゲージ対称性を 破る。つまり、 SU(2)ゲージ変換 項は において、質量 SU(2) 左巻き場しか変換されない。 となり、ラグラジアンは不変にならず、ゲージ対称性が破れてしまう。 よって質量=0(質量項がない)としなければならない。 自発的対称性の破れ 図1 場のポテンシャル ポテンシャルの安定点では真空期待値 Φを真空からのずれH(x)で真空のまわりに展開すると、 をとる これよりラグラジアンの対称性は失われないが、その結果で得られた状 態が対称性を破ることを自発的対称性の破れと呼ぶ。 ワインバーグ・サラムモデル 電弱統一理論ではU(1)×SU(2)対称性を満たすゲージ場で表現する、 例えばクライン・ゴルドン場のラグラジアンは、自発的対称性を破ることによ り、 ゲージ場とΦの相互作用のみを取り出す Wボソンが質量項を持てた!! Zボソンが質量項を持てた!! ここでZ粒子、W粒子が質量項を持てることが確認できた!! 湯川相互作用 電子の場とヒッグス場の相互作用は湯川相互作用と呼ばれる、 以下の式で表される。 ここでまた自発的対称性を破ると‥‥ これを湯川相互作用のラグラジアンに代入すると‥ 電子が質量を持たせることが出来た!! 電子とヒッグス場の相互作用の項 このようにヒッグス場(真空からのずれ)を導入すること により、フェルミオン、電子が質量を持つようになる。 またニュートリノの質量項は出てこないのが分る。 結論 • Z、W粒子、電子が質量項を持てることを確 認出来た。 • それと同時にニュートリノνの質量項が持てな いことが分った。
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