経営経理研究所 月例報告 「2030年 資源貿易と日本経済・将来シナリオ」 商学研究科 武上幸之助 1.メニュー (内容 項目) (キーワード) ①資源高②アジア貿易ブロック③外需型経済成長の限界④新たな貿易ステージ はじめに : 日本を取巻く経済リスク ①IEAシナリオ:ブレイクスルー技術革新なければ経済停滞 ②GBNシナリオ:3つの将来シナリオ(再生、ガラパゴス、瀕死) ③中前シナリオ:3つの将来シナリオ(再生、米国離れ、瀕死) 1.日本貿易収支・赤字定着と今後の経常収支悪化 *資源高(加工貿易のボトルネック)→「ものつくり」貿易の限界 *アジア貿易での地位低下(産業空洞化と中国台頭)→市場喪失 *国際収支悪化の及ぼす負の影響→(キャッシュ資産の運用) 2.経済成長と外部経済・貿易ブロック動向 *外需(ものつくり)型成長パターンの限界 ・途上国経済成長パターン⇒ 輸入代替・製品輸出政策は、通貨安(=輸出競争力)が 主要因 :国民経済とトレードオフ関係 *外部経済の囲い込みとTPP地域ブロック貿易協定の意義 ・失う海外需要市場 *国富3要素 ①資産(金保有、ドル外貨保有)→ドル安減価 ②技術(知的財産)職能、製品、生産設備→海外移転 ③労働力(教育、若年労働育成) →失業、雇用不安 3.近未来の貿易シナリオ *キャッシュ型経済成長パターン ・先進国経済成長パターン⇒日本は最大債権国(独自ODAの成果)、 円高による大きな「日本円」時価総資産を運用する新たな仕組みづくり *残る資産は ODA投資残高と企業海外資金留保の2つ。 ⇒「強い通貨」政策 (銀行、保険、証券、金融サービスに特化、比較優 位を築く) *北欧諸国の海運政策(マスクライン港湾ファイナンスサービス) *だがスイス、豪州等「通貨貿易⇒金融サービス貿易」主要国は、金資 産準備高、高金利配当などの基礎に貿易黒字が条件 →日本にとって厳しい道 Global Business Network: Japan scenario 2013 (日本貿易の現況) ・ロイター8月貿易収支1兆1000億円赤字になる見通し、これは昨年 同月を43%も上回る。経常黒字額が過去最高であった2007年度の 24兆7220億円の約6分の1 。 貿易赤字は14ヶ月連続、1979年第2次石油危機以来の史上最長 記録と並び今後も継続の予想。 →「大幅な貿易赤字を所得収支(海外資産の金利・配当)で補って いる」 ・日本の製造業の交易条件が悪化。輸出価格/輸入価格の比が、こ の10年で半導体・電子部品の 交易条件は40%も悪化、この結果、 輸出額は増えたが、輸出量は2010年から減り続けている。 ・日本企業、特に製造業が国内に投資せず、海外生産を増やし国内 投資が増えず、ゼロ金利になる原因とも。 外需(海外市場利益)の喪失 ・3年ほどで経常収支も赤字になり、通貨安、金利上昇し、巨額政府 債務を支える国内貯蓄も目 減り(財政破綻)。(内閣府) ・内閣府調査では、日本企業海外生産比率は現在17.7%から5年後 には21.3%に予測。海外投資比率は、2年前15.9%から今年は 21.5%になる見通し。(更に悪化の見通し) 経常収支がマイナスになると、基本的には国民が受け取る所得が減 少化(マイナスになる)する。 国民とわが国企業が受け取る所得の総額=国民総所得(GNI)ベー スでは、減少局面を迎えると、個人の所得も減少する。 *GNI:日本国民と企業が受け取る海外からの純所得(受け取る所 得金額)から、 支払 金額(輸入額)を差し引いた純受取額とGDP を加えたもの。 世界最大:対外資産( ODA残高)・ 国内負債 国債)の意味 2012.6財務省「ODAを含めた対外純資産高」 : 日本は GNIから見ると国富はマイナス勘定 (累積赤字 (補)ドル経済米国と円経済日本の立場の違い (最大債務国アメリカが最大債権国日本を格下げ) 26年以上米国は世界最大純債務国で、2011年5月には連邦政府 の債務残高が法律で定められた上限の14兆2940億ドル(1120兆 円)に達し一時新たに国債を発行出来ない事態に追い込まれデフォ ルト寸前に来ていた。 12年5月米国格付会社フィッチ・レーティングスは日本国債を一段階 下げ最上位AAAから数え5番目のシングルAプラスに引き下げた。 *フィッチによる各国の『格付け』をみると米国はAAA(トリプルA)で最高 ランク。 現在約1000兆円国債(国の借金)の利払(年1%)は、20年ほど前百数 十兆円程度の国債残高で『財政健全化』が謳われた時の利払(1991年 金利約8%)も10兆円程度であり、『金利負担額』はほぼ同額であり、低 金利が大きな下支えを果たしている。
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