地表性昆虫を用いた都市緑化地域の評価 18214020 菱田 啓 目次 目次 ・背景 ・目的 ・方法 現地調査方法 解析方法 ・結果 評価指数値 対応分析 除歪対応分析 ・考察 都市緑化についての提案 ・結論 背景 国土交通省、経済産業省で、現在多くのビオトープづくりが行われ ている その環境への影響の評価は ・魚類 ・鳥類 ・水生昆虫,節足動物 で行われてきた. 背景 しかし,鳥類・魚類・昆虫類(トンボ・チョウ・水生昆虫)を環境指 標に用いるにあたって ・移動性が大 ・定量的データが取りにくい ・調査者の技量に依存する ・トラップが大掛かりで高額 森林や里山の環境評価に用いられている, 地表性昆虫を用いることはできないだろうか? 地表性昆虫とは 地表性昆虫・・・オサムシ類,ゴミムシ類,シデムシ類等の 地表を生活の場としている昆虫類 ・陸域のあらゆる環境に進出 ・移動分散能力は低く、 環境の変化に敏感に反応する ・簡易なトラップで調査者の技量に依存しない定量データ ・生態に関する豊富な知見が集積されている ヨーロッパを中心に環境指標生物として注目 目的 ・名古屋工業大学の地表性昆虫の群集構造とは? ・地表性昆虫の群集構造は名古屋工業大学の環境を 反映したものか?(環境評価指標となりうるか) ・都市内緑化はどうあるべきか? ビオトープと名古屋工業大学を環境評価し,比較す る 方法(野外調査) ・調査期間:9月~11月,10日ごとに回収.計6回 ・採集方法:ピットフォールトラップ,ベイト・保存液なし, 各調査地点に5つ,計35個設置 方法(野外調査) テニスコート裏 51・52号館裏 ニュートンリング下 自治会館裏 方法(野外調査) ゴミ回収所裏 緑化マット 古墳 方法(解析) 指数 内容 Simpsonの多様度指数 同時に取った2種が同種である確率 McIntoshの多様度指数 個体間距離に基づく指数 Shannonの多様度指数 情報量を種数に置き換えて定義 Brilloulinの多様度指数 情報理論に基づく指数 Margalefの多様度指数 種数を個体数(対数)で除した指数 Pielouの均衡度指数 個体数×多様度指数 木元の類似度指数 同時に取った2種が同種である確率 Hurbeltの期待種数 サンプリング中に含まれる種数の期待値 Chaoの期待種数 サンプリング中に含まれる種数の期待値 石谷の撹乱度指数 ゴミムシのニッチ幅による指数 クラスター分析,除歪対応分析(DCA) 方法(解析) Simpsonの多様度指数λ Margalefの多様度指数 Brillouinの多様度指数 Shannon-Wienerの多様度指数H’ Pielouの均衡度指数 N:総個体数,ni:i番目の種の個体数,S:総種数 方法(解析) 木元の群集の類似度指数CΠ Nj:群集jの総個体数 nji:群集jにおける種iの個体数 S:全種数 方法(解析) Hurlbeltの期待種数E(Sn) Chaoの期待種数ES S:調査で確認したゴミムシの全種数,N:総個体数,Ni:i番目の種の個体数, n:ランダムに抽出するサンプル数, a:1個体のみ採集された種の数,b :2個体採集された種の数 方法(解析) 石谷の撹乱度指数ID 群集のi番目の種の環境指標価をIi,i番目の種の,j番目の調査地における個体数をNijとする。 名工大で採集できた地表性昆虫 場所ごとの採集数@名工大 場所ごとの採集数@名工大 古墳上 ヒメゴミムシダマシ×2 ゴミ捨て場裏 コブマルエンマコガネ ×1 テニス場裏 ウスアカクロゴモク×1 ヒメゴミムシダマシ×30 51・52号館裏 本部前緑化駐車場 0 ヒメゴミムシダマシ×48 ニュートンリング下 ヒメゴミムシダマシ×90 コマルガタゴミムシ×9 ウスアカクロゴモクムシ×1 クロコガネ×1 裏門裏 ヒメゴミムシダマシ×14 単純に表面だけ緑化をしても,地表性昆虫類は定着しない. 周辺環境との連係性や,生物多様性を考慮した植生での緑化が必要 結果 方法(解析) 科/No. 学名 和名 オサムシ科 Carabidae 1 ヒメゴミムシダマシ Alphitobius laevigatus 2 コマルガタゴミムシ Amara simplicldens 3 ウスアカクロゴモクムシ Harpalus sinicus Haope コガネムシ科 Scarabaeidae 4 クロコガネ Holotrichia kiotonensis 5 コブマルエンマコガネムシ Onthophagusatripennis オカダンゴムシ科 Armadillidium 6 オカダンゴムシ Armadillidium vulgare コオロギ科 Gryllidea 7 ツヅレサセコオロギ Velarifictorus micado 調査地 テニスコート ニュートン 51.52号館 自治会館裏 ゴミ収集所 緑化マット 86 0 0 90 9 1 48 0 0 14 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 2 0 280 2 224 1 0 1 0 0 2 2 91 103 4 5 0 329 3 1 17 3 0 225 2 0 0 0 0 0 古墳 合計 2 240 0 9 0 1 0 0 1 1 0 41 549 0 0 2 その他 8 クモ類 個体数 種数 Calommata Sp. 0 0 5 0 43 808 0 2 8 5科8種808個体の 昆虫類が採取された その中で, 地表性昆虫は, 6種252個体であっ た 評価指数値 評価指数 個体数 種数 撹乱度指数 Pielouの均衡度指数 多様度指数 Simpson指数 Shannon指数 Brillouin指数 McIntosh指数 Margalef指数 種の豊かさの指標値 Hurlbertの期待種数 Chaoの期待種数 回帰関数による推定値 直線単回帰 対数曲線 累乗曲線 修正指数曲線 ゴンペルツ曲線 ロジスティック曲線 矢田川 草地 林 780 468 35 32 1.94 1.40 0.651 0.737 調査地 庄内川 草地 湿地 457 182 31 20 1.77 1.82 0.669 0.820 171 18 1.38 0.710 名工大 市街地 252 5 0 0.100 林 0.838 2.434 2.361 0.606 5.106 0.842 2.341 2.517 0.708 5.042 0.876 2.411 2.285 0.672 4.898 0.891 2.444 2.287 0.716 3.651 0.775 1.880 1.904 0.621 3.306 0.092 0.231 0.211 0.050 0.723 9.4 36.6 10.1 52.3 8.7 41.0 9.6 22.7 7.5 50.0 1.8 86.5 6.62E+09 169.28 86.50 44.92 40.21 69.64 5.18E+09 56.31 69.65 32.47 31.75 65.73 4.43E+09 44.80 65.69 51.46 41.64 51.39 4.22E+09 54.11 51.40 22.54 22.35 32.66 2.00E+09 24.70 32.71 19.43 19.22 - 16.65 1.42E+09 22.97 5.54 5.11 結果 900 2.50 800 2.00 700 撹乱度指数 個体数 600 500 400 1.50 1.00 300 200 0.50 100 0.00 0 草地 林 草地 矢田川 湿地 林 庄内川 林 矢田川 0.9 35 0.8 30 0.7 Pielouの均衡度指数 40 25 種数 草地 名工大 20 15 10 草地 湿地 林 名工大 林 名工大 庄内川 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 5 0.1 0 0.0 草地 林 矢田川 草地 湿地 庄内川 林 名工大 草地 林 矢田川 草地 湿地 庄内川 方法(解析) 結果 1.0 3.0 0.9 2.5 0.8 Brillouin指数 Simpson指数 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 2.0 1.5 1.0 0.5 0.1 0.0 0.0 草地 林 草地 矢田川 湿地 林 名工大 草地 林 草地 矢田川 庄内川 3.0 湿地 林 名工大 林 名工大 庄内川 0.8 0.7 2.5 McIntosh指数 Shannon指数 0.6 2.0 1.5 1.0 0.5 0.4 0.3 0.2 0.5 0.1 0.0 草地 林 矢田川 草地 湿地 庄内川 林 名工大 0.0 草地 林 矢田川 草地 湿地 庄内川 結果 6.0 60.0 5.0 4.0 Chaoの期待種数 Malgaref指数 50.0 3.0 2.0 30.0 20.0 1.0 10.0 0.0 0.0 草地 林 草地 矢田川 湿地 林 名工大 庄内川 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 草地 林 矢田川 草地 湿地 庄内川 草地 林 矢田川 12.0 Hurlbertの期待種数 40.0 林 名工大 草地 湿地 庄内川 林 名工大 CA(対応分析) CA(対応分析) アオヘリホソ コハンミョウ ヒメツヤゴモク エゾカタビロ ムネスジコガシラハネカク 1.500 ウスアカクロゴモク シ 庄内草 ナガヒョウタン ニセマルガタ 1.000セアカヒラタ 庄内湿 オオアトボシアオ クロゴモク アカアシマルガタゴモク アトボシアオ アシミゾナガ キボシアオ 0.500 マルクビ ヒロゴモク ヒメゴミムシダマシ ヒメキベリアオ アトワアオ コマルガタ 名工大 矢田草 ホソヒラタ ヒメケゴモク ミイデラ 0.000 マイマイ キアシヌレチ -3.500 -3.000 -2.500 -2.000 -1.500 -1.000 -0.500 0.000 0.500 1.000 オオゴミ オオズケゴモク -0.500 アオゴミ オオクロナガ ミカワオサ ミツノエンマ -1.000 オオゴモク ケウスゴモク 矢田林 オオヒラタシデムシ キンナガ ノグチナガムネビロハネカクシ -1.500 クロコガネ コホソナガ 庄内林 -2.000 コブマルエンマ ツヤエンマ オオマルガタ -2.500 2.000 -3.000 DCA(除歪対応分析) DCA(除歪対応分析) 6.000 コブマルエンマ 5.000 オオマルガタ 庄内林 4.000 ツヤエンマ クロコガネ ミカワオサ ミツノエンマ オオヒラタシデムシ 3.000 ムネビロハネカクシ 2.000 ケウスゴモク 1.000 オオゴモク キンナガ 0.000 キアシヌレチ -1.000 矢田林 アオゴミ オオゴミ 名工大 コホソナガ ヒメゴミムシダマシ ノグチナガ コマルガタ オオズケゴモク マイマイ ミイデラ ヒメケゴモク アシミゾナガ セアカヒラタ ニセマルガタ アトワアオ ヒメキベリアオ 矢田草 オオクロナガ ムネスジコガシラハネカクシ マルクビ 庄内草 ホソヒラタ 庄内湿 ヒロゴモク アカアシマルガタゴモク ヒメツヤゴモク クロゴモク ナガヒョウタン アトボシアオ キボシアオ オオアトボシアオ -2.000 アオヘリホソ コハンミョウ -3.000 -5.000 ウスアカクロゴモク エゾカタビロ 0.000 5.000 10.000 15.000 20.000 25.000 30.000 湿 内 内 草 庄内川-草地 庄 庄内川-湿地 庄 ~ビオトープとの比較~ クラスター分析 名工大 名工大 矢田川-草地 矢田草 林 田 内 林 矢 庄内川-河畔林 庄 矢田川-河畔林 都市緑化の提案 都市内緑化の提案 周辺地域への融合を試みる必要があるので ・連続的に低木を植える ・花壇を設置する ・蜜源植物を植える ・緑の回廊,コリドーの設置 結論 結論 ・ 地表性昆虫群集の構成内容は名古屋工業大学,ビオトープ においても,その地域の特性を反映していると考えられ,成 熟度や撹乱頻度を示す指標として環境評価に用いることが できる。 ・ 地域ごとの種構成はその地域固有のものであり,その土地 の景観に対応した昆虫の種構成を,可能な限り保全していく ことが,その地域の生態系の保全に繋がっていくと考えられ る。 ・ 緑化マット,屋上緑化,壁面緑化など,表面上の緑化が目的 化され環境への配慮が置き去りにされている。ただ人工的に 緑化しただけでは生物多様は回復できず,本当の意味での 都市緑化開発とはいえない。 ご清聴ありがとうございました. 推定値 45 40 新種 35 累積種数 30 25 ゴンペルツ 20 線形 (累積種数) 15 対数 (累積種数) 10 y = 13.652Ln(x) + 6.4027 R2 = 0.9355 5 累乗 (累積種数) y = 9.2579x0.6676 R2 = 0.9801 0 -5 0 5 10 15 回帰関数 回帰関数 矢田川 定数/残差 直線単回帰 a b R2 対数曲線 a b R2 累乗曲線 a b R2 修正指数曲線 a b c J ゴンペルツ曲線 k a b J ロジスティック曲線 k a b J 草地 林 4.00 2.88 6.50 12.04 0.97 0.81 13.65 10.68 6.40 10.84 0.94 0.92 9.26 11.86 0.97 0.52 0.98 0.91 1.65E+07 1.67E+07 1.00 1.00 -1.65E+07 -1.67E+07 18.000 79.405 44.92 32.47 0.120 0.127 0.296 0.587 8.324 16.358 40.21 31.75 5.181 4.696 0.493 0.822 7.245 12.116 庄内川 草地 湿地 林 2.74 2.13 1.14 10.93 8.79 9.86 0.99 0.58 0.83 9.13 8.70 4.12 11.14 6.85 9.54 0.90 0.80 0.89 12.73 6.45 9.76 0.42 0.71 0.31 0.95 0.81 0.89 5.50E+06 1.35E+07 3.67E+06 1.00 1.00 1.00 -5.50E+06 -1.35E+07 -3.67E+06 4.619 137.155 11.143 51.46 22.54 19.43 0.209 0.002 0.405 0.153 1.207 0.320 3.829 20.323 8.730 41.64 22.35 19.22 2.774 42.148 1.293 0.284 1.927 0.386 3.297 12.132 9.054 名工大 市街地 0.92 -1.75 0.89 2.92 -1.50 0.74 16.08 1.05 -17.53 4.477 5.54 0.000 0.747 1.196 5.11 2.144E+04 2.089 0.141 回帰式による種数の推定値 使用した回帰式 DCA(除歪対応分析) 5.000 庄内林 4.000 3.000 2.000 1.000 名工大 矢田林 -5.000 0.000 0.000 矢田草 -1.000 庄内湿 庄内草 -2.000 5.000 10.000 15.000 20.000 25.000 30.000 方法(野外調査) 矢田川,庄内川の各調査地点における季節消長 300 25 20 200 15 10 100 5 0 0 300 250 200 150 100 50 0 20 500 20 400 15 15 10 5 0 300 10 200 5 100 0 0 150 20 15 100 10 50 5 0 0 200 20 150 15 100 10 50 5 0 0 M ar A pr Ma y J un J ul Au g S ep Oc t N ov De c ヒメゴミムシダマシ ウスアカクロゴモク マルガタゴミムシ クロコガネ コマルガタゴミムシ コブマルエンマコガネ
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