市場予測がはずれた理由 京都大学経済学部 塩地洋 1 問題意識 ▷中国の自動車市場予測を見てきたが, ほとんどは ずれている ・なぜはずれたのか 2 1995年時点の予測 ▷1995年に田島(東大),丸川(アジ研),塩地の3人で予 測してみた(他国の歴史の類推という幼稚な方法) ・なお1995年の販売台数は160万台であった 1995年 予測 実績 160万 乖離 2000年 200万 200万 なし 2005年 300万 550万 1.8倍 2010年 500万 1800万 3.6倍 3 2005年の予測 ▷2005年に京都大学上海センターの中国自動車シン ポで現代文化研究所, 三菱総研, 野村総研に2010 年の予測をお願いした ・なお2005年の販売台数は550万台程度であった 2005年 2010年 予測 900万~1000万 実際 550万 1800万 乖離 1.8倍~2.0倍 4 販売台数予測の大筋 購入可能世帯アプローチ ①経済・所得成長率 ②人口・世帯数 ③世帯所得水準 ④所得分布 ⑤各所得層の自動車購入比率 販売台数 5 あたっている 8% ①経済・所得成長率 ほぼあたっている 13億人 ②人口・世帯数 あたっている ③世帯所得水準 1人当りGDP3000ドル ④所得分布 ⑤各所得層の自動車購入比率 販売台数 6 ①経済・所得成長率 ②人口・世帯数 ③世帯所得水準 ここから信頼度低下 ④所得分布 ⑤各所得層の自動車購入比率 販売台数 7 2005年の世帯所得分布は統計はあるが, 信頼度低い 5年後の世帯所得の分布の予測値はより信頼度低い 世 帯 数 D B A C E F G H I J K 世帯所得 5年後の世帯所得の分布は予想しがたい 世 帯 数 D B A C E F G H I J K 世帯所得 自動車購入可能最低世帯収入を設定 最低価格の自動車30万円とする 世 帯 数 最 低 世自 帯動 所車 得購 (入 30 可 万能 円 ) D B A C E F G H I J K 世帯所得 購入可能世帯数は大きく変わる 世 帯 数 D B A C E F G H I J K 世帯所得 ①経済・所得成長率 ②人口・世帯数 ③世帯所得水準 ④所得分布 ⑤各所得層の自動車購入比率 より信頼度は低い 販売台数 12 購入比率の予測が困難 ▷2005年の世帯所得別の購入比率も信頼できない ▷それをベースにして,5年後の購入比率を, 世帯所得 別保有台数, 家計の可処分所得, ローン比率等の 調査数値で2010年の購入比率を推測-信頼度低 H I J K 世帯数 3000万 1500万 800万 300万 × 購入比率 × 10% × 20% × 30% × 54% =販売台数 =300万台 =300万台 =240万台 =162万台 1,002万台 13 市場予測の信頼度を高めるために ▷購入比率の精度の高めるために,家計調査, 自動車 の購入者の統計調査などが試みられているが, 精 緻化しても予測が当たるのは困難に思われる ▷予測1000万-実績1800万という800万台もの差が生 じたのは,統計手法の精緻化の問題かどうか? 判断 つかない ▷「③世帯所得水準」まで,信頼度があるのであれば,こ の数値からダイレクトに販売台数を予測していく方 法を具体化していく-素人の思いつき 14 あたっている 8% ①経済・所得成長率 あたっている 13億人 ②人口・世帯数 あたっている ③世帯所得水準 1人当りGDP3000ドル ④所得分布 ⑤各所得層の自動車購入比率 地域別(大都市 地方都市 農村)を加える 販売台数 15 あたっている 8% ①経済・所得成長率 あたっている 13億人 ②人口・世帯数 あたっている ③世帯所得水準 1人当りGDP3000ドル ④所得分布 統計手法としては後退 ⑤各所得層の自動車購入比率 販売台数 16
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