第6課 輻射の方程式 II - Institute of Astronomy, Univ

G: エネルギーレベル
2006年11月20日
単位名
学部 :天体輻射論I
大学院:恒星物理学特論IV
教官名
中田 好一
授業の最後に出す問題に対し、レポートを提出。
成績は「レポート+出欠」でつけます。
授業の内容は下のHPに掲載されます。
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html
G.1.原子のエネルギーレベル
電子配列
原子のエネルギー状態はまず、その原子に属する個々の電子がどんな軌道を
占めているかを指定することで大きく規定される。
項
与えられた電子配列に属する電子の総軌道角運動量 L と 総スピン角運動量 S
が指定された原子の状態
順位
L,Sに加えて、総角運動量Jまで指定された原子の状態
状態
L,S, J に加えて、総角運動量のZ成分Mまで指定された原子の状態
名前
電子配列
項
準位
状態
(configuration)
指定値 (n1,l1)(n2,l2)....(nk,lk)
状態数
(term)
S, L
(2S+1)(2L+1)
(level)
S, L, J
2J+1
(state)
S, L, J, M
1
G.2.電子配列 (configuration)
原子内の電子を、いくつかの量子数で指定する。
n:主量子数 (principal quantum number)
1, 2, 3, 4, ...
l:方位量子数 (azymuthal quantum number)
0, 1, ..., n-1
m:磁気量子数 (magnetic quantum number)
-l, -(l-1), -1, 0, 1, ...(l-1). l
主量子数nは殻(shell)とも呼ばれる。シェルの名前は下からK,L,M,...。
主量子数 n
方位量子数 l
1(K)
0(s)
2(L)
0(s)
3(M)
1(p)
0(s)
1(p)
磁気量子数 m
0
0
-1
0
1
0
-1
0
1
スピン
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
3(M)(続き)
主量子数 n
この先は、
2(d)
方位量子数 l
磁気量子数 m
-2
-1
0
1
2
スピン
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
n=4(N), 5(O),6(P)…
同じnでも、l小(遠心力ポテンシャル低い)では中心付近にたまるので他の電子
の遮蔽効果が弱くなり、エネルギーレベルが下がる。
⇒ n+l(エル)がレベルの目安。
(nl)レベルをエネルギーの低い順にならべると、
nl
1s
2s
2p
3s
3p
4s
3d
4p
5s
n+l
1
2
3
3
4
4
5
5
5
4d …….
………..
実際、原子の基底状態の電子配列 は上の式に従って決まっている。
H
He
1s
(1s)2
Li
Be
(1s)22s
B
(1s)2(2s)2
C
N
(1s)2(2s)22p (1s)2(2s)2(2p) 2 (1s)2(2s)2(2p) 3
O
F
Ne
(1s)2(2s)2(2p) 4 (1s)2(2s)2(2p) 5 (1s)2(2s)2(2p) 6
(続き)
Na
(下線のあるCrとCuのところで飛びがある)
Mg
..(2p) 6(3s) ..(2p) 6(3s)2
Al
Si
P
S
Cl
Ar
….(3s)23p ….. (3s)2(3p) 2 ….. (3s)2(3p) 3 ….. (3s)2(3p) 4 ….. (3s)2(3p) 5 ….. (3s)2(3p) 6
K
Ca
…(3p) 64s
…(3p) 6 (4s)2
Sc
Ti
V
Cr
Mn
…(3p) 63d(4s)2 …(3p) 6 (3d)2 (4s)2 …(3p) 6 (3d)3 (4s)2 …(3p) 6 (3d)5 4s …(3p) 6 (3d)5 (4s)2
Fe
Co
Ni
Cu
…(3p) 6 (3d)6 (4s)2 …(3p) 6 (3d)7 (4s)2 …(3p) 6 (3d)8 (4s)2 …(3p) 6 (3d)10 4s
Zn
…(3p) 6 (3d)10 (4s)2
Kα線
主量子数n=1の一番内側の殻(シェル)をKシェルと呼ぶ。
X線を浴びてKシェル(n=1)にある電子が叩き出されると、そこに上のLシェルか
ら電子が落ちてくる。この時、LシェルとKシェルのエネルギー差に相当するX線
が放射される。これをKα線と呼ぶ。MシェルからKシェルへの落下の場合はKβ
線である。
また、Lシェル電子が叩き出されてそこに上のMシェルから落下した場合は
Lα線と呼ばれる。以下同様。
Kα線
X線
汚染土壌の蛍光X線スペクトル
籾殻の蛍光X線分析
鉄は高温のためHe-likeなイオン
で、Kα線は6.7KeVで、中性原子
の6.4Kevより高い。
1KeV付近の鉄はMシェルからL
シェルへのLα線
ISASホームページから引用
G.2.項 (term), 準位 (level), 状態 (state),
k個の電子を持つ原子では、まずk個の電子状態のセットを指定する。これが、
電子配列(configuration)である。
そのk個の状態から作られる合成角運動量をL、Sとした時に、共通のLとSを
持つ状態の組を項(term)と呼ぶ。
総角運動量Jは、LとSのベクトル合成 L+S である。一般には原子のエネル
ギー準位はJの値により分裂する。これを、準位(level)と呼ぶ。
最後に、JのZ成分Mまで指定すると原子の量子状態は完全にきまる。これを
状態(state)と呼ぶ。
名前
量子数
状態数
電子配列 ( configuration)
(n1l1) (n2l2)………(nklk)
項 ( term )
(n1l1) (n2l2)………(nklk) SL
準位 (level)
(n1l1) (n2l2)………(nklk) SLJ
2J+1
状態 ( state)
(n1l1) (n2l2)………(nklk) SLJM
1
S= s1+ s2+ s3 + ……… + sk
J=S+L、
M=MJ
(2S+1)(2L+1)
L= l1+ l2+ l3 + ………. + lk
名前
項(term)
準位(level)
状態(state)
指定値
L,S
L,S,J
L,S,J,M
状態数
(2L+1)(2S+1)
(2J+1)
1
multiplet
line
合成軌道角運動量L=∑lの名前は、 L= 0
名前
項(term)は
2S+1L
という形で表記する。
S
(L,S)
2S+1L
1
2
P
3
D
F
(2,0) (1,1) (0,0)
1D
3P
1S
項 (Term)
最外殻の電子は通常共通の主量子数を持っている。殻のエネルギー準位
は、 L=Σlによって分裂する。これを項 (term) と呼ぶ。
項は(n1l1) (n2l2)………(nklk) SL で指定される。
多電子系: L=Σl, S=Σs, J=L+S (LS結合)
g L・S(LS相互作用 )  (2S+1) 準位
S<Lの場合
(2L+1) 準位
S>Lの場合
項の決定法:
通常、内側の殻(shell)はL=0,S=0の状態で閉じている。最も外側の殻に属
する電子だけでLとSを決める。その電子は同じ(n、l)を持つかどうかで扱いが
少し異なる。
(a)
p電子(l=1)+d電子(l=2)
2つの軌道角運動量lが異なる(不等価電子) ので
L=1+2  L=3 (F), 2(D), 1(P)
S= 1/2+1/2  S
2S+1L
= 1, 0
= 1P, 1D, 1F, 3P, 3D, 3F (SとLの任意の組み合わせ)
(b) 2個のp電子 (l=1)の例
(1個のp電子の場合は2P項)
等価電子[ 同じ(n,l) ]にはパウリ排他率の考慮が必要。
2つのp電子(l=1)は同じ磁気量子数ml(=1,0、-1)とms(=1/2、-1/2)
を持つことが出来ない。
まず、可能な組み合わせを↑(ms=+1/2), ↓(ms= - 1/2) を使い表にし、各組み合
わせの合成磁気量子数MLとMSを書き込む。
+1
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑
↑
↓
↓
ml
0
‐1
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑
↓
↑
↓
↑↓
Σ ml =ML
2
1
1
1
1
0
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
Σms=MS
0
1
0
0
-1
1
0
0
-1
0
1
0
0
-1
-0
( ml ms)
( 1, 1/2) ( 1, -1/2)
( 1, 1/2) ( 0, 1/2)
( 1, 1/2) ( 0, -1/2)
( 1, -1/2) ( 0, 1/2)
( 1, -1/2) ( 0, -1/2)
( 1, 1/2) (-1 , 1/2)
( 1, 1/2) (-1 , -1/2)
(1, -1/2) (-1 , 1/2)
(1, -1/2) (-1 , -1/2)
(0, 1/2) ( 0, -1/2)
( 0, 1/2) (-1, 1/2)
( 0, 1/2) (-1, - 1/2)
( 0, -1/2) (-1, 1/2)
( 0, -1/2) (-1, -1/2)
(-1, 1/2) (-1, - 1/2)
前頁の表から、p電子2個には計15個の独立な状態があることが判る。L,Sの固有
関数も計15個で、前頁15個関数の一次結合で表わされる。
Σ ml =MLの列を見ると、最大が2で、そのMS=0である。これは、L=2、S=0の状
態が出来ていることを意味する。(L=1,0から、 ML =2は生じないし、L=3が出来
れば、 ML=3があるはず。)そこで、L=2,S=0状態に寄与し得る関数に○をつけ
る。実際にはMs=0で、ML=2,1,0、-1、-2を一つずつ選ぶ。
+1
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑
↑
↓
↓
ml
0
‐1
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑
↓
↑
↓
↑↓
Σ ml =ML
2
1
1
1
1
0
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
Σms=MS
0
1
0
0
-1
1
0
0
-1
0
1
0
0
-1
-0
○
×
○
×
×
×
○
×
×
△
×
○
×
×
○
1D
(L=2、 S=0)
3P (L=1, S=1)
1S
(L=0, S=0)
ところで、( ml ms)= ( 1, 1/2) ( 1, -1/2) は(L、S)の固有関数でもあるので、
(L,S)の次の固有関数を作る際にはこれはもう使えない。残った中で(ML, MS)
の最大値を探すと、 (ML, MS) =(1,1)があるので、L=1,S=1状態があること
が判る。そこで (ML, MS) =(1,1) (1,0) (1,-1) (0,1) (0,0) (0,-1) (-1,1) (-1,0) (-1,-1)
となる( ml ms)9組に×印をつける。
最後には(ML, MS) =(0,0)が一組だけ残る。したがって、これはL=0,S=0
を表わすと考える。
このようにして、 2個の等価p電子からは (L,S)=(2,0)、(1,1)、(0,0)の項
が出来ることが分かった。(2,1)や(1,0)はできない。
(c) 3個以上の等価電子の場合
(b)と全く同様にできる。例えば、p電子の場合、
3個
4S, 2P, 2D
4個
1D, 3P, 1S
5個
2P
(p)3配列では以下のようになる。
+1
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑
↓
↑
↑
↑
↑
↓
↓
↓
↓
↑
↓
ml
0
‐1
↑
↓
2
↑
↓
↑↓
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑
↑
↓
↓
↑↓
↑↓
↑
↓
Σ ml =ML
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↑↓
↑↓
↑
↓
↑↓
↑↓
2
1
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
Σms=MS
1/2
-1/2
1/2
-1/2
1/2
-1/2
3 /2
1/2
1/2
-1/2
1/2
-1/2
-1/2
-3/2
1/2
-1/2
1/2
-1/2
1/2
-1/2
○
○
○
○
×
×
△
○
×
○
△
△
×
△
○
○
×
×
○
○
2D
(L=2、 S=1/2)
2P
(L=1, S= 1/2)
4S
(L=0, S=3/2)
(p)4 配列では以下のようになる。
+1
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑
↓
↑
↓
ml
0
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑
↑
↓
↓
↑↓
‐1
Σ ml =ML
2
↑
↓
↑
↓
↑↓
↑
↓
↑
↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
1
1
1
1
0
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
Σms=MS
0
1
0
0
-1
0
1
0
0
-1
1
0
0
-1
0
1D (L=2、 S=0)
○
3P (L=1、 S=1)
×
○
×
×
○
×
×
1S (L=0、 S=0)
△
×
×
○
×
×
○
(p)5 配列では以下のようになる。
+1
↑↓
↑↓
↑↓
↑↓
↑
↓
ml
0
↑↓
↑↓
↑
↓
↑↓
↑↓
Σ ml =ML
‐1
↑
↓
1
Σms=MS
1/2
-1/2
1/2
-1/2
1
↑↓
0
↑↓
0
↑↓
-1
↑↓
-1
1/2
-1/2
○
○
○
○
2P
(L=1、 S=1/2)
○
○
結局、p電子の場合は下のようになる。
(p)1配列
2P
(p)2配列
1D
3P
1S
(p)3配列
2D
2P
4S
(p)4配列
1D
3P
(p)5配列
1S
2P
各項(term)はさらに、J=L+Sにしたがって順位(level)へと分裂する。
項(term)から順位(level)への分裂を微細構造(fine structure)と呼ぶ。
準位 (level)
項(term)は異なる J 毎に、準位 (level) へと分裂する。準位は、S,L,Jが指定され
2S+1L
J
の形で表記される。
例: 2個の等価p電子の系では、
1D
項(L=2,S=0)は、J=L+S=2+0=2のみ、同様に1S項もJ=0のみ。
3P項(L=1,S=1)は、J=L+S=1+1=2,1,0が存在する。
電子配列
(configuration)
項
(term)
1S
(2p)2
1D
3P
準位
状態
(level)
(state)
1S
1D
0
2
JM=0
JM=2,1,0,-1,-2
3P
2
JM=2,1,0,-1,-2
3P
1
JM=1,0,-1
3P
0
JM=0
水素原子の超微細構造
水素原子核は核スピン I により磁気モーメント μ=gμNI をもつ。
ここに、 g=5.5855 μN=(eh/4πMp c)=(Me/Mp)(eh/4πMe c)=(Me/Mp)μB
その結果、水素の準位はF=J+Iによって、微細構造の約(Me/Mp)=(1/1840)倍
の大きさに分裂する。これを超微細構造(super-fine structure)と呼ぶ。
その大きさはF=J+Iとして、
ΔE=g(Me/Mp) (hνLα2/ n3){[F(F+1) – I(I+1) – J(J+1)] / J(J+1)(2L+1)}
水素原子(I=1/2)の基底状態 2S1/2 では、J=1/2, I=1/2なので、 F=I+J=1, 0
F=1 0 遷移は、g(Me/Mp) (hνLα2)(1x2-0x1)/[(1/2)(3/2)(0+1)]
=g (13.6eV) (1/1840) (1/173)2(2x4/3)
=5.9×10-6eV  水素21cm電波線
J=S=1/2
I=1/2
2S
F=1
1/2
F=0
G.3.エネルギー準位の例
p
(i) 水素原子
水素原子のエネルギー準位 E
2πp a=nh
: 量子条件
K=p2/2m=e2/2(4πεo)a
: ビリアル
a
 p2/m=(nh/2π)2 /(a2m) =e2/ (4πεo) a
1  2 2 m e2


a  n h  4
1
e2
m e4
1
h
E

 L
24  a
24 2  2 n 2
n2
詳しい値は以下のように与えられる。



h L  2  1
3 


E
1


n  J  1 4n 
n2 



2


( hνL =13.6 eV )
左の式にはLもSも入っていない。
従って、水素原子には項による準
位の分裂がない。主量子数で決ま
る殻(shell)から、項を飛ばして、い
きなりJによる分裂、微細構造、に
なるという特殊な構造を示す。
水素のエネルギー準位
殻(shell)
項(term)
2D
2P
2S
n=3(M殻)
2D
5/2
2D
(3s), (3p), (3d)
n=2(L殻)
2P
3/2
2P
2P
1/2
2S
2P
3/2
3/2
1/2
2S
(2s), (2p)
n=1(K殻)
準位(level)
2S
2P
2S
(1s)
項が分裂していない
のが珍しい
1/2
2S
1/2
1/2
微細構造
Lが違うから違う項
に属す。普通はJが
同じでも準位は違う。
水素は特別。
水素のスペクトル線
水素のエネルギー準位
自由
バルマー系列(Balmer)
H α: n=3  n=2
電子
n= 2
β: n=4  n=2
Hα Hβ Hγ
hνL =13.6 eV
γ : n=5  n=2
ライマン系列(Lyman)
n= 1
Lyα LyβLyγ
Lyman α: n=2  n=1
β: n=3  n=1
γ : n=4  n=1
n1
Lyman
n2
n3
Balmer Paschen
n4
Brackett
ライマンα線
Lyα (ライマン アルファ線):H (水素原子)
2p 2P3/2
1215.668 A
2p 2P1/2
1215.674 A
1s 2S1/2
2s
2S
1/2
Two Photon
A(2S)=8.23/s
共鳴線( resonance line)の最初の例。
共鳴線=基底状態 ――>遷移可能な第1励起状態。
通常最も強い。A(2P)=4.7 108 / sec で短時間で放出される。
吸収もされやすく,したがって、高温ガス星雲内ではLyαフォトンは1S
状態のH原子により、散乱を受けながら拡散していく。
(ii) s型原子
アルカリ金属、Li, Na, K, Sc,..、のように閉殻の外にs電子が1つ付加。
電離エネルギーが低い。
存在比は小さいが、電離しやすいので、Te < 5000 K (K型より晩期 ) ではKとNa
が電子の主な供給源である。
電離エネルギー
Eion(eV)
30
Li(2s)
5.4
25
Na(3s)
5.1
K (4s)
4.3
Rb(5s)
4.2
Cs (6s)
3.9
He
電離エネルギー
元素
Ne
20
Ar
15
H
10
B
5
Na Al
Li
K
0
0
5
10
15
原子番号
20
25
30
(a) Na
(s)型
(1s)2(2s)2(2p) 6 (3s) 2S1/2
Na
基底状態
3s電子 ――> L=0, S=1/2, J=1/2  2S1/2
第1励起状態
3p電子 ――> L=1, S=1/2, J=1/2,  2P1/2
――> L=1, S=1/2, J=3/2,  2P3/2
(4s) 2S1/2
2P
項(term)
S=1/2, L=1
(3p) 2P3/ 2 準 位 (level) S=1/2,L=1,J=3/2
g=4
(3p) 2P1/ 2 準 位 (level) S=1/2,L=1,J=1/2
g=2
D line (multiplet)
2S
D1 line
5889 A
項(term)
S=1/2, L=0
(3s) 2S1/2準 位 (level) S=1/2,L=0,J=1/2
D2 line
5895 A
g=2
(b) Ca II
(s)型
Ca II 基底状態の電子配列は (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4s) 2S
その上に、
(1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (3d) 2D
と
(1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4s) 2P
がある。
(4p) 2P3/2
(4p) 2P1/2
CaII triplet
8498
8542
8662
3933
3968
K線
H線
(4s) 2S1/2
(3d) 2D5/2
(3d) 2D3/2
7291
7323
G型星吸収線
Mg b
g
CaII
triplet
Hβ
Hγ
D
Hα
B
K, H
A
(p)2型
(iii)
(a) NII
Ground -level = (1s)2(2s)2 (2p)2 3P
(p)2 型 なので、 1D, 3P, 1S 項 (term) が出来る。
NII
(2p)2
1S
0
3070
5754
3062
1D
2
6583
6548
3P
2
3P
1
3P
0
22μ
76μ
(b) OIII
(2p)2
(p)2型
1D, 3P, 1S
1S
0
2331
4363
2321
1D
2
5007
4959
3P
2
3P
1
3P
0
52μ
88μ
(p)3型
(a) :
OII
(2p)3
2P
1/2
2P
3/2
7319
7330
2D
3/2
2D
5/2
3728
7318
7329
3726
2470
4S
3/2
2470
(p)3型
(b) SII
SII (3p)3
2P
3/2
2P
1/2
10370
10336
A=0.08/s A=0.16/s
A=0.18/s
10286
A=0.13/s
2D
5/2
2D
3/2
6730
4S
10320
3/2
6716
4076
4068
A=0.09/s
A=0.22/s
G.4.分子のエネルギー準位
E=Er + Ev + Ee = 回転 + 振動 + 電子
E
Electronic state
vibrational level
rotational level
回転エネルギー
1 L2
h2
ER  J  
 J J  1 2  J J  1B
2 I
8 I
I= 慣性モーメント(moment of inertia) = [mAmB/(mA+mB )]r2
J=回転量子数 (rotational quantum number)
ΔJ=±1 が許される遷移。
ER J   ER J   ER J  1  2 J
例
SiO maser
h2
8 I
2
 2 JB
J=3
J=2
J=1
J=0
J=2 to J=1 86 GHz
J=1 to J=0 43 GHz
振動エネルギー
Ev=hνo (v + 1/2)
Δv=±1 が許される遷移(調和振動ポテンシャルが良い近似の範囲で)。
Fundamental bands = 01, 12, 23, … First overtones = 02, 13,…..
例:CO 4.6μm
CO: 2.3μm
v=3
v=2
v=1
v=0
v= 01 12 23
02
13
振動―回転遷移 (rotation and vibration band)
v=1 J1=3
P-branch
R-branch
J1 (J1+1)B1
J1=0
P(2)
R(2)
R(1)
P(1)
R(0)
P(0)
of the (1,0) band
of the (1,0) band
v=0 J0=3
J0=0
J0 (J0+1)B0
R-branch
J1=5
J1=1
P-branch
J1=4
J1=4
J1=3
J1=2
J1=3
J1=2
J1=0
E  EV  J1 ( J1  1) B1  J 0 ( J 0  1) B0
R  Branch ( J1  J 0  1)
E  EV  J  1J  2B1  J J  1B0
 EV  B1  B0 J  1  B0  B1 J  1
2
P  Branch ( J1  J 0  1)
0 1 2
E  EV  J  1JB1  J J  1B0
 EV  B1  B0 J  B0  B1 J 2
hν
3 4
5
1
2 3 4
5
6
J0
レポート問題G
出題11月20日
提出11月27日
レポートには、問題番号、学生証番号、学科、学年、氏名を書くこと。
電離領域での、エネルギー基底状態と励起状態との間の遷移を下図のように考
える。
数密度(cm-3)
統計重み
励起状態
N2
g2
衝突励起
Ne・N1 ・C12
衝突落下
自然放出
Ne・N2 ・C21
N2 ・A21
N1
g1
基底状態
すると、平衡の式は、Ne・N1 ・C12 =Ne・N2 ・C21 +N2 ・A21
N 2 N eC12
1


N1
A21 1  N eC21
A21
8.629 106 1, 2
 cm 3 s1 
C21 



g2
T1 2
8.629 106 1, 2
g
C12 

exp  E
 2 C21exp  E
kT
kT
g1
g1
T1 2




 cm 3 s1 


惑星状星雲やHII領域からはOIIの強い輝線が出る。禁制線[OII]3726と[OII]3729に
ついて上の数値をあたると、以下の通りである。また、電離領域の温度(電子の運動
温度)は多くの場合T=8000-12000Kである。
[OII]3726
準位2(上)
準位1(下)
2D
3/2
4S
3/2
[OII]3729
g=4
2D
5/2
g=6
g=4
4S
3/2
g=4
Ω(1,2)
0.588
0.882
A21 (s-1)
1.8×10-4
4.2×10-5
(1) 輝線強度 I はN2・A21・hνに比例すると考えて、2本の輝線の強度比
R=( I3729 / I3726 ) をNe(cm-3)の関数として表わせ。
(2) Ne0、Ne∞の時のRを表わせ。その物理的な意味を考えよ。
(3) 縦軸にR、横軸に log10 Ne (cm-3) をとってグラフにせよ。(1<Ne<105)
(4) 星形成電離領域NGC1976Aではライン強度比R=0.5、
老齢惑星状星雲NGC3587ではR=1.34であった。
T=10000Kと仮定して、各天体でNe(cm-3)を求めよ。
(1-2桁程度でよい)