G: エネルギーレベル 2006年11月20日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一 授業の最後に出す問題に対し、レポートを提出。 成績は「レポート+出欠」でつけます。 授業の内容は下のHPに掲載されます。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html G.1.原子のエネルギーレベル 電子配列 原子のエネルギー状態はまず、その原子に属する個々の電子がどんな軌道を 占めているかを指定することで大きく規定される。 項 与えられた電子配列に属する電子の総軌道角運動量 L と 総スピン角運動量 S が指定された原子の状態 順位 L,Sに加えて、総角運動量Jまで指定された原子の状態 状態 L,S, J に加えて、総角運動量のZ成分Mまで指定された原子の状態 名前 電子配列 項 準位 状態 (configuration) 指定値 (n1,l1)(n2,l2)....(nk,lk) 状態数 (term) S, L (2S+1)(2L+1) (level) S, L, J 2J+1 (state) S, L, J, M 1 G.2.電子配列 (configuration) 原子内の電子を、いくつかの量子数で指定する。 n:主量子数 (principal quantum number) 1, 2, 3, 4, ... l:方位量子数 (azymuthal quantum number) 0, 1, ..., n-1 m:磁気量子数 (magnetic quantum number) -l, -(l-1), -1, 0, 1, ...(l-1). l 主量子数nは殻(shell)とも呼ばれる。シェルの名前は下からK,L,M,...。 主量子数 n 方位量子数 l 1(K) 0(s) 2(L) 0(s) 3(M) 1(p) 0(s) 1(p) 磁気量子数 m 0 0 -1 0 1 0 -1 0 1 スピン ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ 3(M)(続き) 主量子数 n この先は、 2(d) 方位量子数 l 磁気量子数 m -2 -1 0 1 2 スピン ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ n=4(N), 5(O),6(P)… 同じnでも、l小(遠心力ポテンシャル低い)では中心付近にたまるので他の電子 の遮蔽効果が弱くなり、エネルギーレベルが下がる。 ⇒ n+l(エル)がレベルの目安。 (nl)レベルをエネルギーの低い順にならべると、 nl 1s 2s 2p 3s 3p 4s 3d 4p 5s n+l 1 2 3 3 4 4 5 5 5 4d ……. ……….. 実際、原子の基底状態の電子配列 は上の式に従って決まっている。 H He 1s (1s)2 Li Be (1s)22s B (1s)2(2s)2 C N (1s)2(2s)22p (1s)2(2s)2(2p) 2 (1s)2(2s)2(2p) 3 O F Ne (1s)2(2s)2(2p) 4 (1s)2(2s)2(2p) 5 (1s)2(2s)2(2p) 6 (続き) Na (下線のあるCrとCuのところで飛びがある) Mg ..(2p) 6(3s) ..(2p) 6(3s)2 Al Si P S Cl Ar ….(3s)23p ….. (3s)2(3p) 2 ….. (3s)2(3p) 3 ….. (3s)2(3p) 4 ….. (3s)2(3p) 5 ….. (3s)2(3p) 6 K Ca …(3p) 64s …(3p) 6 (4s)2 Sc Ti V Cr Mn …(3p) 63d(4s)2 …(3p) 6 (3d)2 (4s)2 …(3p) 6 (3d)3 (4s)2 …(3p) 6 (3d)5 4s …(3p) 6 (3d)5 (4s)2 Fe Co Ni Cu …(3p) 6 (3d)6 (4s)2 …(3p) 6 (3d)7 (4s)2 …(3p) 6 (3d)8 (4s)2 …(3p) 6 (3d)10 4s Zn …(3p) 6 (3d)10 (4s)2 Kα線 主量子数n=1の一番内側の殻(シェル)をKシェルと呼ぶ。 X線を浴びてKシェル(n=1)にある電子が叩き出されると、そこに上のLシェルか ら電子が落ちてくる。この時、LシェルとKシェルのエネルギー差に相当するX線 が放射される。これをKα線と呼ぶ。MシェルからKシェルへの落下の場合はKβ 線である。 また、Lシェル電子が叩き出されてそこに上のMシェルから落下した場合は Lα線と呼ばれる。以下同様。 Kα線 X線 汚染土壌の蛍光X線スペクトル 籾殻の蛍光X線分析 鉄は高温のためHe-likeなイオン で、Kα線は6.7KeVで、中性原子 の6.4Kevより高い。 1KeV付近の鉄はMシェルからL シェルへのLα線 ISASホームページから引用 G.2.項 (term), 準位 (level), 状態 (state), k個の電子を持つ原子では、まずk個の電子状態のセットを指定する。これが、 電子配列(configuration)である。 そのk個の状態から作られる合成角運動量をL、Sとした時に、共通のLとSを 持つ状態の組を項(term)と呼ぶ。 総角運動量Jは、LとSのベクトル合成 L+S である。一般には原子のエネル ギー準位はJの値により分裂する。これを、準位(level)と呼ぶ。 最後に、JのZ成分Mまで指定すると原子の量子状態は完全にきまる。これを 状態(state)と呼ぶ。 名前 量子数 状態数 電子配列 ( configuration) (n1l1) (n2l2)………(nklk) 項 ( term ) (n1l1) (n2l2)………(nklk) SL 準位 (level) (n1l1) (n2l2)………(nklk) SLJ 2J+1 状態 ( state) (n1l1) (n2l2)………(nklk) SLJM 1 S= s1+ s2+ s3 + ……… + sk J=S+L、 M=MJ (2S+1)(2L+1) L= l1+ l2+ l3 + ………. + lk 名前 項(term) 準位(level) 状態(state) 指定値 L,S L,S,J L,S,J,M 状態数 (2L+1)(2S+1) (2J+1) 1 multiplet line 合成軌道角運動量L=∑lの名前は、 L= 0 名前 項(term)は 2S+1L という形で表記する。 S (L,S) 2S+1L 1 2 P 3 D F (2,0) (1,1) (0,0) 1D 3P 1S 項 (Term) 最外殻の電子は通常共通の主量子数を持っている。殻のエネルギー準位 は、 L=Σlによって分裂する。これを項 (term) と呼ぶ。 項は(n1l1) (n2l2)………(nklk) SL で指定される。 多電子系: L=Σl, S=Σs, J=L+S (LS結合) g L・S(LS相互作用 ) (2S+1) 準位 S<Lの場合 (2L+1) 準位 S>Lの場合 項の決定法: 通常、内側の殻(shell)はL=0,S=0の状態で閉じている。最も外側の殻に属 する電子だけでLとSを決める。その電子は同じ(n、l)を持つかどうかで扱いが 少し異なる。 (a) p電子(l=1)+d電子(l=2) 2つの軌道角運動量lが異なる(不等価電子) ので L=1+2 L=3 (F), 2(D), 1(P) S= 1/2+1/2 S 2S+1L = 1, 0 = 1P, 1D, 1F, 3P, 3D, 3F (SとLの任意の組み合わせ) (b) 2個のp電子 (l=1)の例 (1個のp電子の場合は2P項) 等価電子[ 同じ(n,l) ]にはパウリ排他率の考慮が必要。 2つのp電子(l=1)は同じ磁気量子数ml(=1,0、-1)とms(=1/2、-1/2) を持つことが出来ない。 まず、可能な組み合わせを↑(ms=+1/2), ↓(ms= - 1/2) を使い表にし、各組み合 わせの合成磁気量子数MLとMSを書き込む。 +1 ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ml 0 ‐1 ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ Σ ml =ML 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 Σms=MS 0 1 0 0 -1 1 0 0 -1 0 1 0 0 -1 -0 ( ml ms) ( 1, 1/2) ( 1, -1/2) ( 1, 1/2) ( 0, 1/2) ( 1, 1/2) ( 0, -1/2) ( 1, -1/2) ( 0, 1/2) ( 1, -1/2) ( 0, -1/2) ( 1, 1/2) (-1 , 1/2) ( 1, 1/2) (-1 , -1/2) (1, -1/2) (-1 , 1/2) (1, -1/2) (-1 , -1/2) (0, 1/2) ( 0, -1/2) ( 0, 1/2) (-1, 1/2) ( 0, 1/2) (-1, - 1/2) ( 0, -1/2) (-1, 1/2) ( 0, -1/2) (-1, -1/2) (-1, 1/2) (-1, - 1/2) 前頁の表から、p電子2個には計15個の独立な状態があることが判る。L,Sの固有 関数も計15個で、前頁15個関数の一次結合で表わされる。 Σ ml =MLの列を見ると、最大が2で、そのMS=0である。これは、L=2、S=0の状 態が出来ていることを意味する。(L=1,0から、 ML =2は生じないし、L=3が出来 れば、 ML=3があるはず。)そこで、L=2,S=0状態に寄与し得る関数に○をつけ る。実際にはMs=0で、ML=2,1,0、-1、-2を一つずつ選ぶ。 +1 ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ml 0 ‐1 ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ Σ ml =ML 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 Σms=MS 0 1 0 0 -1 1 0 0 -1 0 1 0 0 -1 -0 ○ × ○ × × × ○ × × △ × ○ × × ○ 1D (L=2、 S=0) 3P (L=1, S=1) 1S (L=0, S=0) ところで、( ml ms)= ( 1, 1/2) ( 1, -1/2) は(L、S)の固有関数でもあるので、 (L,S)の次の固有関数を作る際にはこれはもう使えない。残った中で(ML, MS) の最大値を探すと、 (ML, MS) =(1,1)があるので、L=1,S=1状態があること が判る。そこで (ML, MS) =(1,1) (1,0) (1,-1) (0,1) (0,0) (0,-1) (-1,1) (-1,0) (-1,-1) となる( ml ms)9組に×印をつける。 最後には(ML, MS) =(0,0)が一組だけ残る。したがって、これはL=0,S=0 を表わすと考える。 このようにして、 2個の等価p電子からは (L,S)=(2,0)、(1,1)、(0,0)の項 が出来ることが分かった。(2,1)や(1,0)はできない。 (c) 3個以上の等価電子の場合 (b)と全く同様にできる。例えば、p電子の場合、 3個 4S, 2P, 2D 4個 1D, 3P, 1S 5個 2P (p)3配列では以下のようになる。 +1 ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ ml 0 ‐1 ↑ ↓ 2 ↑ ↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↓ Σ ml =ML ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑↓ 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 -2 Σms=MS 1/2 -1/2 1/2 -1/2 1/2 -1/2 3 /2 1/2 1/2 -1/2 1/2 -1/2 -1/2 -3/2 1/2 -1/2 1/2 -1/2 1/2 -1/2 ○ ○ ○ ○ × × △ ○ × ○ △ △ × △ ○ ○ × × ○ ○ 2D (L=2、 S=1/2) 2P (L=1, S= 1/2) 4S (L=0, S=3/2) (p)4 配列では以下のようになる。 +1 ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ml 0 ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑↓ ‐1 Σ ml =ML 2 ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ 1 1 1 1 0 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 Σms=MS 0 1 0 0 -1 0 1 0 0 -1 1 0 0 -1 0 1D (L=2、 S=0) ○ 3P (L=1、 S=1) × ○ × × ○ × × 1S (L=0、 S=0) △ × × ○ × × ○ (p)5 配列では以下のようになる。 +1 ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑ ↓ ml 0 ↑↓ ↑↓ ↑ ↓ ↑↓ ↑↓ Σ ml =ML ‐1 ↑ ↓ 1 Σms=MS 1/2 -1/2 1/2 -1/2 1 ↑↓ 0 ↑↓ 0 ↑↓ -1 ↑↓ -1 1/2 -1/2 ○ ○ ○ ○ 2P (L=1、 S=1/2) ○ ○ 結局、p電子の場合は下のようになる。 (p)1配列 2P (p)2配列 1D 3P 1S (p)3配列 2D 2P 4S (p)4配列 1D 3P (p)5配列 1S 2P 各項(term)はさらに、J=L+Sにしたがって順位(level)へと分裂する。 項(term)から順位(level)への分裂を微細構造(fine structure)と呼ぶ。 準位 (level) 項(term)は異なる J 毎に、準位 (level) へと分裂する。準位は、S,L,Jが指定され 2S+1L J の形で表記される。 例: 2個の等価p電子の系では、 1D 項(L=2,S=0)は、J=L+S=2+0=2のみ、同様に1S項もJ=0のみ。 3P項(L=1,S=1)は、J=L+S=1+1=2,1,0が存在する。 電子配列 (configuration) 項 (term) 1S (2p)2 1D 3P 準位 状態 (level) (state) 1S 1D 0 2 JM=0 JM=2,1,0,-1,-2 3P 2 JM=2,1,0,-1,-2 3P 1 JM=1,0,-1 3P 0 JM=0 水素原子の超微細構造 水素原子核は核スピン I により磁気モーメント μ=gμNI をもつ。 ここに、 g=5.5855 μN=(eh/4πMp c)=(Me/Mp)(eh/4πMe c)=(Me/Mp)μB その結果、水素の準位はF=J+Iによって、微細構造の約(Me/Mp)=(1/1840)倍 の大きさに分裂する。これを超微細構造(super-fine structure)と呼ぶ。 その大きさはF=J+Iとして、 ΔE=g(Me/Mp) (hνLα2/ n3){[F(F+1) – I(I+1) – J(J+1)] / J(J+1)(2L+1)} 水素原子(I=1/2)の基底状態 2S1/2 では、J=1/2, I=1/2なので、 F=I+J=1, 0 F=1 0 遷移は、g(Me/Mp) (hνLα2)(1x2-0x1)/[(1/2)(3/2)(0+1)] =g (13.6eV) (1/1840) (1/173)2(2x4/3) =5.9×10-6eV 水素21cm電波線 J=S=1/2 I=1/2 2S F=1 1/2 F=0 G.3.エネルギー準位の例 p (i) 水素原子 水素原子のエネルギー準位 E 2πp a=nh : 量子条件 K=p2/2m=e2/2(4πεo)a : ビリアル a p2/m=(nh/2π)2 /(a2m) =e2/ (4πεo) a 1 2 2 m e2 a n h 4 1 e2 m e4 1 h E L 24 a 24 2 2 n 2 n2 詳しい値は以下のように与えられる。 h L 2 1 3 E 1 n J 1 4n n2 2 ( hνL =13.6 eV ) 左の式にはLもSも入っていない。 従って、水素原子には項による準 位の分裂がない。主量子数で決ま る殻(shell)から、項を飛ばして、い きなりJによる分裂、微細構造、に なるという特殊な構造を示す。 水素のエネルギー準位 殻(shell) 項(term) 2D 2P 2S n=3(M殻) 2D 5/2 2D (3s), (3p), (3d) n=2(L殻) 2P 3/2 2P 2P 1/2 2S 2P 3/2 3/2 1/2 2S (2s), (2p) n=1(K殻) 準位(level) 2S 2P 2S (1s) 項が分裂していない のが珍しい 1/2 2S 1/2 1/2 微細構造 Lが違うから違う項 に属す。普通はJが 同じでも準位は違う。 水素は特別。 水素のスペクトル線 水素のエネルギー準位 自由 バルマー系列(Balmer) H α: n=3 n=2 電子 n= 2 β: n=4 n=2 Hα Hβ Hγ hνL =13.6 eV γ : n=5 n=2 ライマン系列(Lyman) n= 1 Lyα LyβLyγ Lyman α: n=2 n=1 β: n=3 n=1 γ : n=4 n=1 n1 Lyman n2 n3 Balmer Paschen n4 Brackett ライマンα線 Lyα (ライマン アルファ線):H (水素原子) 2p 2P3/2 1215.668 A 2p 2P1/2 1215.674 A 1s 2S1/2 2s 2S 1/2 Two Photon A(2S)=8.23/s 共鳴線( resonance line)の最初の例。 共鳴線=基底状態 ――>遷移可能な第1励起状態。 通常最も強い。A(2P)=4.7 108 / sec で短時間で放出される。 吸収もされやすく,したがって、高温ガス星雲内ではLyαフォトンは1S 状態のH原子により、散乱を受けながら拡散していく。 (ii) s型原子 アルカリ金属、Li, Na, K, Sc,..、のように閉殻の外にs電子が1つ付加。 電離エネルギーが低い。 存在比は小さいが、電離しやすいので、Te < 5000 K (K型より晩期 ) ではKとNa が電子の主な供給源である。 電離エネルギー Eion(eV) 30 Li(2s) 5.4 25 Na(3s) 5.1 K (4s) 4.3 Rb(5s) 4.2 Cs (6s) 3.9 He 電離エネルギー 元素 Ne 20 Ar 15 H 10 B 5 Na Al Li K 0 0 5 10 15 原子番号 20 25 30 (a) Na (s)型 (1s)2(2s)2(2p) 6 (3s) 2S1/2 Na 基底状態 3s電子 ――> L=0, S=1/2, J=1/2 2S1/2 第1励起状態 3p電子 ――> L=1, S=1/2, J=1/2, 2P1/2 ――> L=1, S=1/2, J=3/2, 2P3/2 (4s) 2S1/2 2P 項(term) S=1/2, L=1 (3p) 2P3/ 2 準 位 (level) S=1/2,L=1,J=3/2 g=4 (3p) 2P1/ 2 準 位 (level) S=1/2,L=1,J=1/2 g=2 D line (multiplet) 2S D1 line 5889 A 項(term) S=1/2, L=0 (3s) 2S1/2準 位 (level) S=1/2,L=0,J=1/2 D2 line 5895 A g=2 (b) Ca II (s)型 Ca II 基底状態の電子配列は (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4s) 2S その上に、 (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (3d) 2D と (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4s) 2P がある。 (4p) 2P3/2 (4p) 2P1/2 CaII triplet 8498 8542 8662 3933 3968 K線 H線 (4s) 2S1/2 (3d) 2D5/2 (3d) 2D3/2 7291 7323 G型星吸収線 Mg b g CaII triplet Hβ Hγ D Hα B K, H A (p)2型 (iii) (a) NII Ground -level = (1s)2(2s)2 (2p)2 3P (p)2 型 なので、 1D, 3P, 1S 項 (term) が出来る。 NII (2p)2 1S 0 3070 5754 3062 1D 2 6583 6548 3P 2 3P 1 3P 0 22μ 76μ (b) OIII (2p)2 (p)2型 1D, 3P, 1S 1S 0 2331 4363 2321 1D 2 5007 4959 3P 2 3P 1 3P 0 52μ 88μ (p)3型 (a) : OII (2p)3 2P 1/2 2P 3/2 7319 7330 2D 3/2 2D 5/2 3728 7318 7329 3726 2470 4S 3/2 2470 (p)3型 (b) SII SII (3p)3 2P 3/2 2P 1/2 10370 10336 A=0.08/s A=0.16/s A=0.18/s 10286 A=0.13/s 2D 5/2 2D 3/2 6730 4S 10320 3/2 6716 4076 4068 A=0.09/s A=0.22/s G.4.分子のエネルギー準位 E=Er + Ev + Ee = 回転 + 振動 + 電子 E Electronic state vibrational level rotational level 回転エネルギー 1 L2 h2 ER J J J 1 2 J J 1B 2 I 8 I I= 慣性モーメント(moment of inertia) = [mAmB/(mA+mB )]r2 J=回転量子数 (rotational quantum number) ΔJ=±1 が許される遷移。 ER J ER J ER J 1 2 J 例 SiO maser h2 8 I 2 2 JB J=3 J=2 J=1 J=0 J=2 to J=1 86 GHz J=1 to J=0 43 GHz 振動エネルギー Ev=hνo (v + 1/2) Δv=±1 が許される遷移(調和振動ポテンシャルが良い近似の範囲で)。 Fundamental bands = 01, 12, 23, … First overtones = 02, 13,….. 例:CO 4.6μm CO: 2.3μm v=3 v=2 v=1 v=0 v= 01 12 23 02 13 振動―回転遷移 (rotation and vibration band) v=1 J1=3 P-branch R-branch J1 (J1+1)B1 J1=0 P(2) R(2) R(1) P(1) R(0) P(0) of the (1,0) band of the (1,0) band v=0 J0=3 J0=0 J0 (J0+1)B0 R-branch J1=5 J1=1 P-branch J1=4 J1=4 J1=3 J1=2 J1=3 J1=2 J1=0 E EV J1 ( J1 1) B1 J 0 ( J 0 1) B0 R Branch ( J1 J 0 1) E EV J 1J 2B1 J J 1B0 EV B1 B0 J 1 B0 B1 J 1 2 P Branch ( J1 J 0 1) 0 1 2 E EV J 1JB1 J J 1B0 EV B1 B0 J B0 B1 J 2 hν 3 4 5 1 2 3 4 5 6 J0 レポート問題G 出題11月20日 提出11月27日 レポートには、問題番号、学生証番号、学科、学年、氏名を書くこと。 電離領域での、エネルギー基底状態と励起状態との間の遷移を下図のように考 える。 数密度(cm-3) 統計重み 励起状態 N2 g2 衝突励起 Ne・N1 ・C12 衝突落下 自然放出 Ne・N2 ・C21 N2 ・A21 N1 g1 基底状態 すると、平衡の式は、Ne・N1 ・C12 =Ne・N2 ・C21 +N2 ・A21 N 2 N eC12 1 N1 A21 1 N eC21 A21 8.629 106 1, 2 cm 3 s1 C21 g2 T1 2 8.629 106 1, 2 g C12 exp E 2 C21exp E kT kT g1 g1 T1 2 cm 3 s1 惑星状星雲やHII領域からはOIIの強い輝線が出る。禁制線[OII]3726と[OII]3729に ついて上の数値をあたると、以下の通りである。また、電離領域の温度(電子の運動 温度)は多くの場合T=8000-12000Kである。 [OII]3726 準位2(上) 準位1(下) 2D 3/2 4S 3/2 [OII]3729 g=4 2D 5/2 g=6 g=4 4S 3/2 g=4 Ω(1,2) 0.588 0.882 A21 (s-1) 1.8×10-4 4.2×10-5 (1) 輝線強度 I はN2・A21・hνに比例すると考えて、2本の輝線の強度比 R=( I3729 / I3726 ) をNe(cm-3)の関数として表わせ。 (2) Ne0、Ne∞の時のRを表わせ。その物理的な意味を考えよ。 (3) 縦軸にR、横軸に log10 Ne (cm-3) をとってグラフにせよ。(1<Ne<105) (4) 星形成電離領域NGC1976Aではライン強度比R=0.5、 老齢惑星状星雲NGC3587ではR=1.34であった。 T=10000Kと仮定して、各天体でNe(cm-3)を求めよ。 (1-2桁程度でよい)
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