卒業論文 「上司と部下の理想の関係」 麗澤大学 国際経済学部 国際経済学科4年 下田ゼミ 網澤隆之 2004年10月23日(土) 1 はじめに 実社会でいま、求められるリーダーシップの あり方を明らかにし、私が実社会でリーダー となった時に卒論研究で培ったノウハウを発 揮したいと考えている。 ◇本論文の目的である。 2004年10月23日(土) 2 ≪働く人、悩み相談6割増 最多は「上司との関係」≫ 2004年6月22日(火)朝日新聞13版37面記事 全国21カ所の労災病院で実施している 「勤労者 心の電話相談」に寄せられた相談件数 →03年度は1万2920件 *前年度より56% UP 相談内容で最も多いのは「上司との人間関係」で、 前年度比62%増の1211件。 「同僚との人間関係」の相談が3番目に多く、1123 件(同56%増) ◇職場の人間関係に悩む姿が浮かび上がっている。 2004年10月23日(土) 3 企業の変化と個人の変化 企業の変化 今まで 年功序列 終身雇用 相互束縛 ピラミッド組織 固定化 能力主義 ティーチング重視 今後 キャリア志向 雇用の多様化 相互選択 フラット組織 流動化 成果主義 コーチングとティーチングの併用 個人の変化 今まで 全面的な忠誠行動 豊かな消費生活を期待 今後 機能的な貢献活動 自己実現欲求に基づく選択行動 出所 http://www.jiyugaoka.jp/coach/ ビジネスコーチングのホームページ 2004年10月23日(土) 4 目次 第1章 リーダーシップ研究の変遷 第2章 リーダーシップ研究のいま 第3章 代表的な企業におけるリーダーシッ プの事例研究とコンピテンシーモデルによる 分析 第4章 まとめ ~求められるリーダーシップに関する考察~ 2004年10月23日(土) 5 第1章 リーダーシップ研究の変遷 リーダーシップの定義 リーダーシップとは、部下の目指すべき方向 を定めることで、何らかの目標を達成すること にほかならない。部下を正しく導き、特定の目 標を達成できる人物こそリーダーである。 2004年10月23日(土) 6 ドラッカーの「リーダーの条件」 ドラッカーによると、一流のリーダーは下記の 5点を自問自答し、実践していたとのことであ る。 ①「何をしなければならないか」 ②「自分に何ができるか、何を行うべきか」 ③「組織の使命と目的、成果は何か」 ④「部下の多様性、強みをどう活用するか」 ⑤「正しいことよりも、人気取りに走っていない か」 2004年10月23日(土) 7 主なリーダーシップ理論 発表 理論 BC375 鉄人リーダー論 BC2C 人徳リーダー論 ¦ 1513 権謀術数リーダー論 1841 リーダーシップ偉人説 1950 オハイオ研究 1961 リーダーシップ3原則論 1964 条件即応理論 1971 通路―目標理論 1971 規範的決定理論 1977 状況的 リーダーシップ論 1959 相互依存論 カリスマ的 1976 1987 1985 リーダーシップ論 変革的 1988 1986 リーダーシップ理論 成果主義的 リーダーシップ論 提唱者と著作 プラトン『国家論』 孔子『論語』 内容 英知を持ったリーダーが国を治めよ リーダーは人徳者たれ マキャベリ『君主論』 リーダーには権謀術数が必要 優れた資質をもつ偉人が リーダーになる リーダーの行動は、 「配慮」と「構造作り」に大別できる リーダーは、組織への配慮と、高い業 績目標、部下への影響力が重要 リーダーシップは組織への受け入れ度 課題の明確さ、権限の強さで決まる カーライル『偉人英雄の精神』 シャートル “Studies of Ledership Styles” リッカート “New Patterns of Management” フィドラー『新しい管理者像の探求』 ハウス “A Path-goal Theory of Leadership” ブルーム&ヤートン “Leadership and Decisionmaking” ハーセイ&ブランチャード “Management of Organizational Behavior” ティボー&ケリー ”The social psychology of groups” ハウス “A 1976 theory of charismatic leadership” コンガー&カヌンゴ “Towards a behavioral theory of charismatic leadership in organizational settings” ベニス&ナヌス 『リーダーシップの王道』 コッター 『ザ・ゼネラルマネジャー』 ティシー『現状変革型リーダー』 ウルリッチ “Results-Based Leadership” マッコール 1988 リーダーシップ開発論 “The Lessons of Experience” 出所 Works 47『リーダーを育てる。』 RECRUIT 2001.08-09 1992 2004年10月23日(土) リーダーの意思決定の手法が大切 リーダーの役割として、部下への 目標掲示と、部下の動機づけが重要 変化する部下との関係にリーダーシッ プのスタイルスタイルを合わせよ リーダーと部下との交換状況によって リーダーシップの効果が決まる 高い水準の自己信頼と部下からの 信頼がリーダーには重要 リーダーは、ビジョンを掲示し、リスクを 取り、現状を正しく評価せよ リーダーはビジョンを形成、 維持、達成せよ リーダーは、外向きで、 エネルギッシュであれ リーダーは変革への 推進者を自認せよ リーダは、従業員、組織、顧客、 投資家、それぞれの成果を重視せよ リーダーシップは 仕事経験から培われる 8 第2章 リーダーシップ研究のいま キーワード モチベーション キャリア意識 組織コミットメント コンピテンシー コーチング 2004年10月23日(土) 9 組織の目標を達成する上で、私が考える上司と部下のあるべき関係 上司 リーダーに求められる能力 分析力 統合力 説得力 洞察力 診断能力 適応能力 意思疎通能力 計画力 問題発掘力 リーダーに求められる心のあり方 平常心 向上心 自制心 反省心 好奇心 自立心 学習心 「コンピテンシー」評価制度 2004年10月23日(土) コーチング 部下 「能力」 「キャリア意識」 「モチベーション」 「組織コミットメント」 【コーチングのプロセス】 ①現状認識(現在はどのような?) ②目標(何を目指す?) ③目的・意図(何のために?) ④選択肢・資源(どのような方法が?) ⑤行動計画(いつ・どこで・誰が・何を・いかに)曲線が下へい くほど、部下の ⑥意思確認(やりますか?) 個々の「能 力」・「意識」が 高まっていく。 *コミュニケーションとは、 (1)リスニングの技術 (2)アスキングの技術 (3)フィードバックの技術 の三大要素で成り立つ 「コンピテンシー」評価制度 10 コンピテンシーモデル&グラフの構築 目標達成力 情報活用力 計画立案力 結果・成果の追求 問題発見・解決力 イニシアティブ イノベーション 対人関係力 他者への影響力 人とのかかわり コミュニケーション力 プレゼンテーション力 論理的思考 個人特性 セルフコントロール 人材育成力 リーダーシップ 方向性の明確化 判断力 2004年10月23日(土) 判断力 目標達成力 5 方向性の明確化 人材育成力 セルフコントロール 論理的思考 プレゼンテーション力 コミュニケーション力 4 3 2 1 0 情報活用力 計画立案力 問題発見・解決力 イニシアティブ イノベーション 対人関係力 他者への影響力 11 コンピテンシーの行動的モデル 分野 コンピテンシー 定義 目 標 達 成 力 目標達成に向け、一生懸命優れた業務を目指そうと行動する。熱意とチームへの 貢献意欲にあふれている。 質・量の両側面から、積極的に関係情報の入手をはかるり、関連情報から論理的 結果・成情 報 活 用 力 な判断を下す。 果の追求 計 画 立 案 力 物事や行動を整理し、計画を立てる。計画通りに進むように管理する。 日常的には、問題の本質を明らかにし、兆候、原因、いくつかの解決策を認識す 問題発見・解決力 る。また中長期的な戦略の観点から、課題を提起し、解決策を立てる能力。 イ ニ シ ア テ ィ ブ 将来のニーズやチャンスを先立って考え、先取りしようと行動を起こす。 イ ノ ベ ー シ ョ ン 職務において斬新なアプローチを思いつく。慣習に対して懐疑的であろうとする。 人とのか 他者の考えや行動を理解しようとする。言葉で表現されなくても、相手の思考や感 対 人 関 係 力 か わ り 情を察知する。他者を尊重し、協調できる。 他者を説得したり、理解させたりする。他人に影響を与え、賛同を得たり、行動の 他者への影響力 変化を引き起こす。 よい第一印象を与え、他者のコメントや質問を傾聴し、その要点を正しく早く把握し コミュニケーション力 個人特性 ながら、簡単明瞭な方法で情報や自分の考えを口頭で表現し、伝達できる。 プレゼンテーション力 情報や自分の考えを明確にかつ効果的に人前で発表できる。 論 理 的 思 考 問題を分析し、構成要素にわけて考える。関連情報から論理的な判断を下す。 障害やプレッシャーに負けない。常に冷静で落ち着いている。ストレス状況の中で セルフコントロール リーダー も感情的にならないで行動する。 シ ッ プ 人 材 育 成 力 部下を指導し、部下の資質を長期的に育成しようとする。 方 向 性 の 明 確 化 目標と水準に目を配る。質と生産性の水準が保たれるよう配慮する。 判 断 力 手もとの事実を評価し、事実に基づいて、確かで論理的な結論に達する。 2004年10月23日(土) 12 第3章 代表的な企業におけるリーダーシップの事 例研究とコンピテンシーモデルによる分析 2004年10月23日(土) 13 日産における「人事管理プロセス」と「成功要因」 ・利益向上 ・顧客重視 ・ビジョンの共有とグローバル思考 成功要因 ・革新性と柔軟性 ・責任と意思決定 ・従業員のロイヤルティー ・グローバル連結ベースで人事や人材育成を考える ・“個のアプローチ”を大切にしている ・12のコンピテンシー ・コミットメント(必達目標) ・ターゲット(目標) 人事管理プロセス ・「関連上司の評価」 ・三年に一回、本人が希望すれば360度評価を受ける ことも可能 ・能力主義と成果主義の徹底 ・「実績重視型評価制度」 ・「実績重視型昇進制度」 ・「HRミーティング」 2004年10月23日(土) 14 コンピテンシーモデルによる日産カルロス・ゴーンの分析 目標達成力 判断力 5 情報活用力 4 方向性の明確化 計画立案力 3 2 人材育成力 問題発見・解決力 1 0 セルフコントロール イニシアティブ 論理的思考 プレゼンテーション力 コミュニケーション力 2004年10月23日(土) イノベーション 対人関係力 他者への影響力 15 第4章 まとめ ~求められるリーダーシップに関する考察~ 考察結果 ①リーダーに求められる能力、そしてリーダーに求め られる心のあり方を、コンピテンシー評価にかけ、理 想の上司像の構築を目指す。 ②上司によるコンピテンシー・コーチングにより、部下 の「能力」・「キャリア意識」・「モチベーション」・「組織 コミットメント」・「上司と部下のコミュニケーション」を 高める。 ↓ 組織全体が活性化 2004年10月23日(土) 16 コンピテンシー・コーチングとは • 上司がコーチング技術を用いて部下に成果を上げ • る行動を身に付けさせるものである。 コンピテンシー・コーチングでは何を教えるかについ てはコンピテンシーという答えがあり、どう教えるか はコーチングという技法がある。 コンピテンシーは知識でなく、行動!! →最も効果的な学習法は日常業務を通じた オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)にある。 2004年10月23日(土) 17
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