SOLAR-Bによる太陽彩層 ダイナミクス・加熱機構の解明 末松芳法(国立天文台) 天文学会2005年春3/28 1 太陽彩層とは? Solar-B SOT 光球とコロナの間に位置する彩層は、 ファイブリルやスピキュールに代表され るジェット現象が頻繁に起こっており、 温度も光球より高い1万度程度になって いる。これら大気の加速、加熱現象は 磁場の存在と密接な関係があると考え られるが、高分解能の磁場観測が必要 なこと、また彩層速度場の観測が難し いことから具体的な仕組みについては 未解明である。 コロナ 彩層 彩層はコロナへの質量供給源またエ ネルギー輸送の通り道となっていると 考えられるため、彩層加速・加熱の理 解は、コロナ加熱問題や太陽風の起源 の理解にとっても重要である。 温度最低層 光球 天文学会2005年春3/28 2 Solar-B SOT 彩層構造・運動 彩層の代表的な構造 spicule: 太陽縁で見えるのジェット 高さ: ~6000km、幅: 800km 速度: ~20km/sec 密度: ~1011cm-3 同様の現象が太陽面上で見え、 mottle、fibril と呼ばれる。 Spicule <-> mottleの対応はOK? 多 分、Spiculeはより垂直構造、mottleは水 平構造に対応している? 速度の謎: 1. 一定速度 vs. 弾道的 弾道的の場合、大きな初速度がmottle、 fibrilのドップラー速度として見えない。 2. 上昇から下降に転ずるか? spiculeでは上昇して見えなくなるもの あり。 天文学会2005年春3/28 3 Solar-B SOT 彩層ドップラー速度 Hα中心像と、Hα±0.65Aから作ったドップラー像(青:上昇流、赤:下降流): ドップラー速 度は~5km/sec-10km/sec 天文学会2005年春3/28 4 上昇と下降の非対称性 Solar-B SOT Mottleでは上昇流は遠く(高く)まで伸びており、下降流は根元に集中 → 上昇後、先端は加熱されて Hαでは見えなくなる? spiculeで上昇して見えなくなる ものに対応? 速度と温度診断(EIS)重要 45分間に渡るドップ ラー積分像 天文学会2005年春3/28 5 Solar-B SOT 磁気要素の変化とジェット 35分間のムービー 地上での観測。Hα-0.75Å(白黒)と FeI6302Åによる視線方向磁場(青 赤)。分解能は良い時で、Hαが0.5 秒角、磁場で2秒角程度。 光球の磁場分布(青・赤)と彩層のジェット現象(上昇中) を重ねて表示したもの。ジェットが磁気要素に根ざして いることがわかる。 天文学会2005年春3/28 6 Solar-B SOT 彩層運動の起源 波動: 短周期起源 5分振動起源 観測される運動と一致するか 小爆発: ナノフレア? 観測では反対磁極が見えない? 視線磁場 Hα輝点はmottle発生の後に現れる いずれにしても光球磁場・速度場変動との関係大事 Hα-blue contrast Hα-cent contrast Hα-red contrast 天文学会2005年春3/28 7 時間 Solar-B SOT 彩層加熱問題 彩層過熱はコロナ加熱の100倍のエネルギーフラックス必要 候補 ・長周期(3-5分)(音波)波動 Ca II H&K (3分-5分振動) Mg I b 輝点 (セル内3分振動、ネットワーク近傍で5分振動) ・磁気加熱 至る所でナノフレア? 天文学会2005年春3/28 8 Solar-B SOT 光球磁気要素の観測と光球輝点 光球視線磁場分布 G-band像 地上で最高級の可視光像(左)と対応する磁場分布(視線方向成分)(右)。 視野は5.6秒角(4000km)、目盛りは0.14秒角(100km)。中央の明るい輝点に 対応して強い磁場があるが、明るい輝点全てには磁場は対応してなく、逆に 磁気要素は至る所に見られる。 図はBerger et al. 2004A&A...428..613 天文学会2005年春3/28 9 Solar-B SOT 彩層微細構造 彩層構造の本質は multi-thread構造: 分解できていない 運動の解析に影響 熱的進化(加熱) SOLAR-Bでの観測により解明 ・可視光での高分解能観測 Hα、CaII H、G-band、ベクトル磁場 ・EIS ~10万度輝線 (高分解能観測例) プラージュの微細構造: プラジェット(LaPalma 5分周期で再生) 天文学会2005年春3/28 10 彩層現象の理解に向けて Solar-B SOT 20万度下 降流 スピキュール 磁力線 コロナ 彩層 光球 CO低温 大気 天文学会2005年春3/28 加熱された 彩層 11
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