ATN - Analog Technology Network – ISSCC2010報告 ISSCC2010 報告(第一報) 開催期間:2010年2月7日~11日(主セッション:2/8~10) 開催場所:USA サンフランシスコ・マリオットホテル 今年のテーマは “Sensing the Future”。 次ぎの新市場として、センサ応用方向を探っている状態か? ATNから2人が参加! - 中川准一氏 (無線通信) - 麻殖生(まいお)健二 (ADC/DAC) ( )内は専門分野 Copyright (C) 2005-2009 Analog Technology Network. All Rights Reserved 1 ATN - Analog Technology Network – ISSCC2010報告 ISSCC ( IEEE International Solid-State Circuits Conference ) ■ ■ ■ ■ 世界で最も権威のある最先端IC・LSI 回路技術の発表の場 1954年以来。2010年で57回開催。(1955年:4セッション、内3セッションがアナログ) 常に時代の先行指標を提供(1990年までのメモリ、マイコン技術、最近の通信用LSI技術) 今年の動向:ミリ波利用や超高速デジタル伝送に関連した技術の進展は大きいが、ここ数年、 通信関係は成熟気味。今年は“Sensing the Future” というテーマで、センサ応用を強調している。 確かに興味深い分野であるが、大市場に育つか未だ模索の段階の感である。 ISSCCのセッション数推移 40 地域別発表件数の推移 100 30 通信 アナログ メモリ 20 ロジック 10 発表件数(%) セッション数 その他 北米 80 ヨーロッパ アジア (除、日本) 日本 60 40 20 0 0 1955 1965 1975 1985 1995 2005 2007 2008 2009 2010 発表年度 1955 1965 1975 1985 1995 2004 2007 2008 2009 2010 発表年度 メモリ、ロジック(マイコン等)の時代から アナログ、通信応用の時代へ。さらに、 バイオやMEMS等、センサ応用に進展か?。 ヨーロッパ勢の進出が顕著。 ここ数年、北米、欧州、アジアが均衡状態に! 大学や公的研究機関の発表が激増している。 Copyright (C) 2005-2009 Analog Technology Network. All Rights Reserved 2 ATN - Analog Technology Network – ISSCC2010報告 ISSCC2009: ADC / DAC分野 1.概要 ・ADC/DACは全27セッション中、2セッション(14件)+別セッション(3件)の計17件であり、昨年と同 程度。 ・ADC・DAC発表概要 - トピックス:ここ2年注目を浴びた逐次比較方式が単独で一つのセッションを構成。狙いは低電力。 - ここ数年の傾向:高速・高精度から、⇒低電力化・高効率化競争に。 - 回路方式:ΔΣ方式が主セッションから姿を消した。パイプラインと逐次比較が主。 - プロセス:殆どが65nm~90nm CMOSプロセス適用。(45nm以下も2件あり)。 - 大学、公的研究機関からの発表が昨年と同様、激増。(台湾が昨年同様、2件とがんばっている)。 ・発表機関の分布(ADC/DAC全17件。筆頭者の所属機関で分類) -地域別:北米=8, Europe=4, Asia= 4(東芝1件、富士通1件、台湾2件、韓国1件; 韓国、台湾は共に 大学からの発表) -機関別:大学・研究機関:10件 、企業: 7件 2.技術潮流 ・ADC用途:1980年代の民生応用 ⇒ 1990年代の通信応用 ⇒ 2008年頃から次世代応用模索の 時代へ!。(バイオやMEMS等の発表が増えているが本命になりうるか?)。 ・ADC方式: 逐次比較方式が高効率化の切り札として完全に復活。パイプラインやΔΣ方式は完全に成熟。 バイオ応用やSoC内蔵で新しい提案 (例、イメージセンサ内蔵カラムADC等)。 ・ADC性能: 低電力化にさらに拍車。高速かつ高精度では無線通信の高周波IF用に16bit・250MS/s。 ・DAC: ここ数年1件のみ。とくに見るべきものなし。 3.日本の位置付け ・ 世界的には大学や公的研究機関の発表が激増しているなか、日本は相変わらず企業主体(ただし、 ADC/DAC以外の分野では大学の発表が増加の傾向)。リスクの大きい新方式提案のためには、大学等が がんばる必要があることを痛感!。 ・ここ数年、日本は凋落傾向にあり、ヨーロッパ、アメリカの大学の台頭が目立つ。台湾も特筆。 Copyright (C) 2005-2009 Analog Technology Network. All Rights Reserved 3 ATN - Analog Technology Network – ISSCC2010報告 4.ADC/DAC 主要発表論文 4.1 Session 16:High-Performance Data Converters(発表件数7件) ・パイプライン方式が主体(7件中5件)のセッション。 ・16bit、100M~250MSps の製品に近い超高速x超高精度品が発表された。 (応用は無線通信のダイレクト復調用) ・高精度化方式として、デジタル補正方式が主になってきた。 No. 16.1 16.2 16.3 方式 論文名 発表機関 主要 応用 プロセス サイズ 電圧 電力 内容、特徴 ・16bit, 250MS/s, SFDR=95dB(@10MHz), ・3b + 4b + 3b x 5段構成 1.8V 850mW ・低歪入力バッファおよびアンプゲインエラー補正方式に工夫 ・アンプゲイン不足によるエラーはバックグランドでデジタル補正 ・16bit, 100M-160MS/s, SFDR=99dB(@100MHz), 0.25um A 16b 100-to-160MS/s SiGe 無線通信 ・初段4b + 5bx3段構成 Pipeline TI SiGe 3.3V BiCMOS Pipelined ADC with 高周波 ADC US BiCMOS 1600mW ・入力TH回路およびDAC/RA ampの低歪み化がポイ 100dBFS SFDR IF 用 ント 17mm^2 ・BJTのfT=35GHz, 薄膜抵抗 ・6bit, 2.2GS/s, SNDR=31.6dB, Interleaved A 2.6mW 6b 2.2GS/s 4-times 40nm ・符号1b + 3b + 2b 構成 IMEC 60GHz帯 ?V Pipeline Interleaved Fully Dynamic Pipelined LPCMOS ベルギー 無線通信用 2.3uJ/conv. ・4系統の補間 ADC ADC in 40nm Digital CMOS 0.03mm^2 A 16b 250MS/s IF-Sampling Pipeline Pipelined A/D Converter with ADC Background Calibration Analog 無線通信 Devices 高周波 US IF 用 16.4 A Mostly Digital Variable-Rate CTΔΣ Continuous-Time ADC ΔΣ ADC Modulator UCSD US 16.5 A 10b 100MS/s 4.5mW Pipelined Pipeline ADC with a Time Sharing ADC Technique 台湾大 台湾 16.6 A 1.4V Signal Swing Hybrid CLSPipeline Opamp/ZCBC Pipelined ADC Using ADC a 300mV Output Swing Opamp Oregon 州立大 US 16.7 Current A 110dB SNR and 0.5mW CurrentSteering Steering Audio DAC Implemented in DAC 45nm CMOS TI US オーディオ用 180nm BiCMOS 50mm^2 ・12bit, BW=18MHz, SNDR=67dB(@5MHz), 65nm ?V ・リングOscを使った1次ΔΣADC (fck=1.1GHz) LPCMOS 17mW 0.07mm^2 159fJ/conv. ・ ・10bit, 100MS/s, SNDR=55dB(@5MHz), 90nm 1V ・2.5b 3段 + 4b構成 CMOS 4.5mW 0.06mm^2 98fJ/conv. ・パワー消費の大きいアンプをtime-shareすることで電力 低減 ・11bit, 20MS/s, SNDR=68dB(@ MHz), 180nm 1.8V ・1.5b x 11段 構成 CMOS 17mW ・Ampが不必要なZCBC(Zero Crossing Based Circuit) 1.1mm^2 406fJ/conv. 方式で低電力化 ・50k~1.6MS/s, SNDR=100dB(@ MHz), 45nm ・ 1.4V CMOS 0.5mW 0.045mm^2 Copyright (C) 2005-2009 Analog Technology Network. All Rights Reserved 4 ATN - Analog Technology Network – ISSCC2010報告 4.2 Session 9: Successive-Approximation ADCs(発表件数:7件) ・逐次比較方式単独のセッションは前代未聞。ここ数年の低電力・高効率化の流れにマッチ。 ・変換時間の遅いイメージの逐次比較方式でも、10bit, 40M~100MSps, 1mW を実現(3件)。 ・プロセスは90nm 以下に移行。 No. 方式 論文名 An 18b 12.5MHz ADC with 93dB SNR 発表機関 Analog X線医用 Devices 機器 US 21.1 逐次比較 21.2 A 12b 22.5/45MS/s 3.0mW 逐次比較 0.059mm^2 CMOS SAR ADC Achieving Over 90dB SFDR 21.3 逐次比較 A 0.06mm^2 8.9b ENOB 40MS/s Pipelined SAR ADC in 65nm CMOS 21.4 逐次比較 A 10b 50MS/s 820uW SAR ADC with On-Chip Digital Calibration 21.5 A 10b 100MS/s 1.13mW SAR ADC 逐次比較 with Binary-Scaled Error Compensation 21.6 A 30fJ/Conversion-Step 8b 0-toIMEC 逐次比較 10MS/s Asynchronous SAR ADC in オランダ 90nm CMOS 21.7 逐次比較 A 40GS/s 6b ADC in 65nm CMOS 主要 応用 Illinois大 US 東芝 富士通 ChenKung大 台湾 Nortel カナダ 光通信用 プロセス 電圧 電力 FOM 内容、特徴 ・18bit, 12.5MS/s, SNR=93dB, ・2bit/step変換により、市販品の数倍のスピードを達 5V 成 105mW ・キャパシタミスマッチはデジタルキャリブレーションされる ・DNL改善のため、5bitディザをsub-DACに印加 ・12bit, 45MS/s, SNDR=68dB, 130nm 1.2V ・ステップ毎の誤差を後でデジタル補正できるように、 CMOS 3mW ローカルDACのbit重み比を1.86にする。12bitでは14サイク 0.06mm^2 36fJ/step ルが必要。 ・・10bit, 40MS/s, SNDR=53dB(@20MHz), 65nm 1.1V ・1st 4bit・SARADC+2nd 6bit SARADCのパイプライ CMOS 1.2mW 0.06mm^2 65fJ/step ン構成による高速ADC ・ ・10bit, 50MS/s, SNDR=57dB(@25MHz), 65nm 1.0V ・ローカルDACにセグメント型荷重容量方式の使用で、 CMOS 820uW 容量サイズおよび変換時間を低減。 0.04mm^2 30fJ/step ・ ・10bit, 100MS/s, SNDR=56dB(@50MHz), 65nm 1.2V ・ ・ CMOS 1.1mW 0.026mm^2 16fJ/step ・8bit, 10MS/s, SNDR=48dB(@5MHz), 90nm 1.0V ・ ・ CMOS 69uW 0.07mm^2 30fJ/step 0.5/0.25um CMOS 6mm^2 65nm CMOS 16mm^2 Copyright (C) 2005-2009 Analog Technology Network. All Rights Reserved 1.0V 1.5W 3pJ/step ・6bit, 40GS/s, ENOB=3.9b(@18GHz), ・ ・ 5 ATN - Analog Technology Network – ISSCC2010報告 4.3 その他 (発表件数:3件) Session 7: Emerging Technology(2件), Session 22: Image Sensors(1件) ・薄膜トランジスタ等、Si半導体とは異なった素材を使ったADC。発表は大学。 ・イメージセンサ内蔵ADCは一昨年からの流れ。(今年はΔΣを使用) No. 7.1 種類 論文名 発表機関 主要 応用 プロセス 有機薄膜 柔軟な A 3V 6b Successive-Approximation トランジスタ Stanford ディスプレイ, 逐次比較 ADC Using Complementary Organic on 大 US 生化学センサ Thin-Film Transistors on Glass ガラス板 人工皮膚 (28x22) 7.2 An Analog Organic First-Order CT CT ΔΣ ΔΣ ADCV on a Flexible Plastic Substrate with 26.5dB Precision 22.1 Image A 2.1Mpixel 120frame/s CMOS Sensor 用 Image Sensor with Column-Parallel ΔΣADC ΔΣ ADC Architecture 有機薄膜 柔軟な K.U.Leuve トランジスタ ディスプレイ, n ベ on スマートセンサ ルギー プラスチック板 RFIDタグ (13x20) Yonsei大 韓国 イメージ センサ 130nm CMOS Copyright (C) 2005-2009 Analog Technology Network. All Rights Reserved 電圧 電力 FOM 3.0V 2.9uW 15V 1.5mW 1.2V 内容、特徴 ・6bit, INL/DNL=0.6/0.6LSB (@10Hz) ・ローカルDACは.C-2C型 ・6bit, SNDR=24.5dB (@fck=500Hz,OSR=16,BW=17Hz) ・1次ΔΣADC ・14bit, DNL=+0.55/-0.63LSB of 12bit, ・2次ΔΣADC, fCK=48MHz, 2.3us ・インバータベースのSC回路で低電力化 6
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