メディア論 第13回 情報操作とやらせ 野原仁(地域科学部) なぜ情報操作・やらせを学ぶのか? 国内社会では、権力者がマスメディアなど を利用して、他人を自分の思い通りにコン トロールしようとする 国際社会においては、他国との争いの中で、 さまざまな問題を自国に有利に展開・解決 しようとする 他人や他国を自分の思い通りに動かそうと して働きかけるコミュニケーション活動を、 「説得コミュニケーション」という 説得コミュニケーションを行う上での具体 的な方法のひとつが情報操作である 私たちの生活のあらゆる場面で、説得コ ミュニケーションは行われているが、その 中でも情報操作・やらせなどは、情報の受 け手側が気づかないまま行われることが多 いため危険である 情報操作とは何か? 情報操作(Information Manipulation) ↓ 「どのような情報を、どのようにわ い曲・ねつ造して伝えたり、またはど のような情報を隠すのか」を決めて実 行すること 情報操作とやらせ やらせは情報操作の一種である やらせの定義=情報送出において、 そのテーマの選択・全体の編集・関 連する具体的項目について、社会 的・科学的真実と異なる形で意図的 に番組制作をしたり、番組を脚色・ 演出・放送すること 演出は、社会的・科学的真実を歪め ることなく、制作者の意図を効果的 に伝えることで、やらせとは異なる 情報操作・やらせの手法① 1. ある情報の大部分は事実だが、最も 重要な部分をわい曲・ねつ造する 2. ある情報の全部または一部をわい 曲・ねつ造する 3. ある情報の全部または最も重要な部 分を隠して伝えない 4. 膨大で矛盾した量の情報を流して、 何が事実か判断できなくする 5. 都合の悪い情報から目をそらさせる ため、ほかの情報を大量かつセン セーショナルに流す 情報操作・やらせの手法② 映像①:カメラの撮影の位置・手法や編 集によって、視聴者に与える印象が異な る 映像②:サブリミナル(後述)表現 新聞・雑誌:記事の量や位置、見出しの 内容・字体、レイアウトなどによって、 読者に与える印象が異なる サブリミナル(Subliminal )とは? 人間が意識としては認知できないが、無 意識のうちに感知し記憶できる表現手法 ある特定のメッセージを、情報の受け手 が意識しないまま効果的に伝えるととも に、受け手を説得することが目的 日本だけでなく、アメリカなどの諸外国 でも、サブリミナルを用いた表現は倫理 的に許されないものとされている サブリミナルの実例 1995年5月、TBSのオウム真理教関連番組 内で、教団代表・麻原彰晃の顔等の画像 が無関係な場面で一瞬に何度も挿入され た アメリカで人気のテレビ番組”iron shef” テレビ番組におけるやらせ 世論をミスリードする意図を持った 番組の制作・放送 全編の偏向 編集における事実の意図的な削除・ 追加 番組内の個別事項の間違いや虚偽 番組内容の誇張表現 ねつ造・歪曲・誤報 明らかになった主なやらせ番組 テレビ朝日『アフタヌーンショー』(’85) 朝日放送『素敵にドキュメント』(’92) NHK『禁断の王国ムスタン』(’92) フジテレビ『愛する2人別れる2人』(‘99) テレビ東京『中国人窃盗団報道』(‘02) フジテレビ『あるある大事典Ⅱ』(’07) かなり疑いのあった番組:『ガチンコ』 『学校へ行こう』『あいのり』… やらせが起きる原因 構造的要因=視聴率至上主 義・コスト削減・下請け構造 運用的要因=制作者の意図に 沿った内容を安易に制作でき るため・ネタ不足 人為的要因=個人的な名声の 獲得のため
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