IPv6 エニーキャスト ルーティングプロトコル PIA-SM の設計および実装 大阪大学 基礎工学部情報科学科 計算機科学コース 村田研究室 松永 怜士 2004/2/26 1 エニーキャスト通信とは IPv6 の新しい機能のひとつ 同じサービスを提供する複数のノードの中からルー タによって自動的に選択された最適な1つと通信 同じアドレスを複数のノードに割り当てる → エニーキャストアドレス • 応用例 : ミラーサーバ Any Any Any Any Any = エニーキャストアドレス 2004/2/26 Any 2 問題点と研究の目的 問題点 • エニーキャストアドレスを扱うことができるルーティン グプロトコルが存在しない 複数のエニーキャストレシーバが異なるセグメントに分散 して存在する場合、経路情報が適切に交換されない → エニーキャスト通信の利用が制限される 研究の目的 • エニーキャスト通信を実現するための ルーティングプロトコルを設計、実装する 2004/2/26 3 エニーキャストルーティングプロトコル PIA-SM の設計方針 既存のルーティングプロトコルを改変 • 複数のノードの管理 → マルチキャストルーティング PIM-SM を用いる • エニーキャストパケットの配送 → ユニキャストルーティング 通信対象 通信形態 ユニキャスト 1 1対1 1 つのパケットを配送 エニーキャスト 多数 1対1 1 つのパケットを配送 マルチキャスト 多数 1 対 多数 パケットを複製して配送 2004/2/26 パケットの配送 4 PIA-SM の概要 ランデブーポイント 2.ルーティング テーブルの作成 ルーティングテーブル dst ランデブー ポイントツリー RP dst next hop Any R2 Any next hop Any R1 R2 R4 Any Any R1 R3 Any エニーキャスト アドレス = Any 2004/2/26 ルーティングテーブル R5 Any A1 エニーキャスト アドレス = Any 1.新規ノードの参加 A2 to Any Data S 5 3. エニーキャストパケットの配送 1.新規ノードの参加 新規参加ノード (エニーキャストレシーバ) がエ ニーキャストルータへ通知 物理的に直接接続しているルータが検知 • Host-based Anycast using MLD 提案されている手法 [1] で 新規参加ノードの通知: ARD Report ARD Report エニーキャスト レシーバ エニーキャスト ルータ Any 2004/2/26 [1] B. Haberman and D. Thaler, “Host-based anycast using MLD,” Internet draft draft-haberman-ipngwg-host-anycast-01.txt, May 2002. 6 2.ルーティングテーブルの作成 1. 2. エニーキャストルータがエニーキャストレシーバを検知する エニーキャストルータはランデブーポイントツリーへ参加 参加メッセージ (PIA Join) をランデブーポイントへ 3. 最も早く参加したエニーキャストレシーバを転送先として選択 → ユニキャストルーティングテーブルにエントリ作成 4. Join メッセージを転送したルータもランデブーポイントツリー へ参加 2) Join 4) Join Any Any 1) ARD Report R1 R2 2004/2/26 Any 5) Join 3) ランデブーポイント R3 RP ルーティングテーブル ルーティングテーブル dst Any next hop R1 dst Any next hop R3 7 3.エニーキャストパケットの配送 1. 2. 3. 4. 送信者に直接接続しているエニーキャストルータがエニー キャストパケットを受信 元のパケットの先頭にランデブーポイントのユニキャストア ドレスを付与 (カプセル化) ランデブーポイントへパケットを転送 ランデブーポイントで元のパケットを取り出し、ユニキャスト ルーティングを用いてエニーキャストレシーバまで配送 to U to Any 送信 Data エニーキャスト アドレス = Any エニーキャスト アドレス = Any 2004/2/26 S R4 ユニキャスト アドレス = U to Any Data A1 to Any R1 R3 A2 R2 ルーティングテーブル Any R1 RP Data ルーティングテーブル Any R3 8 PIA-SM の実装 解決すべき点 • カプセル化すべきパケットの判別 エニーキャストアドレスはユニキャストアドレスと区別 が付かない 解決策 • ユニキャストルーティングテーブルにエントリがな い宛先へのパケットをルータが転送する時 対応するランデブーポイントがみつかった場合 • エニーキャストアドレス宛のパケット → ランデブーポイントへ 対応するランデブーポイントをみつからなかった場合 • ユニキャストアドレス宛のパケット → デフォルトルータへ 2004/2/26 9 PIA-SM プロトコルの動作確認 FreeBSD 4.8 上でデーモンプログラムとして実装 確認すること • エニーキャストアドレス宛のパケットがエニーキャストレ シーバまで配送されることを確かめる PIA-SM ルータ 2 台で構成されるネットワークで実験 実験 • エニーキャストアドレス宛に Echo Request を送信する → 複数のエニーキャストレシーバのうちルータが選択した 1 つから Echo Reply を受信 PIA-SM プロトコルが動作していることを確認 2004/2/26 10 まとめと今後の課題 本報告のまとめ • 既存のルーティングプロトコルに基づくエニーキャスト ルーティングプロトコル PIA-SM の設計 マルチキャストルーティングに基づくグループ管理 ユニキャストルーティングに基づくパケットの転送 • PIA-SM の実装および動作確認 今後の課題 • 最適なエニーキャストレシーバを選択する機能の実装 • より大規模なネットワークにおける利用可能性の評価 2004/2/26 11
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