急性精神病状態 ~1余るグループ~ 目次 • 急性精神病状態とは 統合失調症について • 向精神薬(抗精神病薬/抗うつ薬/抗不安薬) • ①興奮の激しい急性期 • ②興奮の治まらない幻覚妄想状態 • ③抑うつ気分と緊張の強い場合 急性精神病状態とは? 精神病の急性期-急激な発症かつ激しい症状 統合失調症の初発、感情障害、覚醒剤の使用 統合失調症の急性期→臨界期→回復期 幻覚・幻聴・妄想 思考のジャンプ 自害・他害 興奮状態 急性期 臨界期 回復期 統合失調症 【症状】 • 急性期→陽性症状 精神運動の異常(興奮、混迷)、幻覚、妄想 • 慢性期→陰性症状 意欲の欠如、感情麻痺、思考障害 →急性精神病状態でも ドパミンが過剰分泌されていると考えられる ドパミン神経系の脳内分布 • 中脳-皮質・辺縁系経路 高次精神機能(情動、認知)を調節 • 黒質-線条体経路 錐体外路性の運動調節 • 隆起部-漏斗部-下垂体経路 プロラクチンの分泌調節 向精神薬 【定義】 中枢神経系に選択的に影響を及ぼすことで 精神機能に変化をきたす薬物 • 抗精神病薬 • 抗うつ薬 • 抗不安薬 抗精神病薬 【作用】 抗幻覚・妄想作用、鎮静作用 • ドパミンD2受容体 • アドレナリンα1受容体 • ヒスタミンH 1受容体 • セロトニン5-HT2A受容体 に対する遮断作用 【分類】 • フェノチアジン系 • ブチロフェノン系 抗うつ薬 【作用】 • アドレナリンα1受容体 • セロトニン5-HT2A受容体 【分類】 • 三環系 • 四環系 が関連(?) 抗不安薬 【作用】 不安、不眠の改善 GABA受容体αサブユニットの ベンゾジアゼピン系部位 →GABAの作用を増強 【分類】 • ベンゾジアゼピン誘導体 ①興奮の激しい急性期 ヒルナミン注(25mg) セレネース注(5mg) 1~2アンプル 1~2アンプル ヒルナミン 一般名:マレイン酸レボメプロマチン (フェノチアジン誘導体、低力価) • • • • • ドパミンD2受容体 ヒスタミンH 1受容体 アドレナリンα1受容体 セロトニン5-HT2A受容体 ムスカリン受容体 に対する遮断作用 抗精神病作用 : ドパミン系 中脳腹側被蓋野-辺縁系 におけるドパミンD2受容 体遮断作用 ↓ • 幻覚・妄想や概念の統 合障害などの陽性症状 鎮静作用 : ヒスタミン系 ヒスタミンH1受容体の 遮断作用 ↓ 神経内分泌や循環系の 調節、摂食・飲水行動、 日内リズムなど 中枢神経系の一般的な 抑制 ヒルナミン(レボメプロマチン)の副作用 • • • • • 血圧降下 起立性低血症 突然死 高プロラクチン血症 錘体外路症状 ヒルナミン(レボメプロマチン)の禁忌 • 昏睡状態、循環虚脱状態にある患者 • バルビツール酸誘導体、麻酔剤などの中枢 抑制剤の強い影響下にある患者 • エピネフリンを投与中の患者 • フェノチアジン系化合物および、その類似化 合物に対し過敏症の患者 セレネース 一般名:ハロペリドール (ブチロフェノン誘導体、PHE系より高力価) • ドパミンD2受容体の遮断作用が強い →抗幻覚・妄想作用が強力 • アドレナリンα1受容体 ヒスタミンH 1受容体 • 抗コリン作用は弱い の遮断作用は弱い 錐体外路障害 中脳黒質線条体路のドパミンD2受容体遮断 パーキンソン病症候群 急性ジストニア アカンジア 長期投与で遅発性ジスキネジア 悪性症候群 副作用の中でも最も重篤なもので 発熱、筋強直、せん妄、昏迷をきたす • 脳内のD2受容体が急激に遮断されることによる ドパミン‐セロトニン不均衡状態の関与 • ノルエピネフリンの関与 • 骨格筋のカルシウム代謝異常 などが原因として考えられる セレネース(ハロペリドール)の副作用 • • • • • • • 錘体外路症状 悪性症候群 不整脈 麻痺性イレウス 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 横紋筋融解症 眼障害 セレネース(ハロペリドール)の禁忌 • 昏睡状態の患者 • 重症の心不全患者 • バルビツール酸誘導体、麻酔剤などの中枢抑制剤 の強い影響下にある患者 • パーキンソン病の患者 • エピネフリンを投与中の患者 • ブチロフェノン系化合物および、その類似化合物に 対し過敏症の患者 • 妊娠、またはその可能性のある患者 ②興奮の治まらない幻覚妄想状態 通常処方 セレネース錠(3mg) 3~6錠 アキネトン錠(1mg) 3錠 興奮の程度が強い場合 ウインタミン錠(25mg) 6錠 ピレチア錠(25mg) 3錠 ②興奮の治まらない幻覚妄想状態 【通常処方】 セレネース 一般名:ハロペリドール (既出につき概略のみ) • ドパミンD2受容体の遮断作用が強い • 抗コリン作用は弱い ⇒アセチルコリン作用を抑える必要あり そこでアキネトン アキネトン 一般名:塩酸ビペリデン • 抗コリン薬 • パーキンソン病治療薬でもある アキネトン(ビペリデン)の副作用 • 抗コリン作用 →視力障害、口渇、尿閉、便秘 せん妄、急性錯乱など • 悪性症候群 →抗精神薬との併用時に本剤を 急激に減量または中止した場合 • 依存性 →高揚感・多幸感の報告あり アキネトン(ビペリデン)の禁忌 いずれも抗コリン作用に関連 • 緑内障患者 眼圧上昇するため • 重症筋無力症 神経筋接合部でアセチルコリン伝達阻害が悪化 ②興奮の治まらない幻覚妄想状態 【興奮の程度が強い場合】 ウインタミン 一般名:クロルプロマジン • 世界初の抗精神病薬 (詳細は後で) ピレチア 主成分:塩酸プロメタジン • 抗ヒスタミン薬 • 抗コリン作用 (詳細は後で) ウインタミン 一般名:クロルプロマジン (フェノチアジン誘導体) • ドパミンD2受容体の遮断作用 →抗幻覚・妄想作用 • アドレナリンα1受容体 ヒスタミンH 1受容体 の遮断作用が強い →静穏作用が非常に強力 • 抗コリン作用 ウインタミン(クロルプロマジン)の副作用 • ドパミンD2受容体遮断作用 →錘体外路症状、悪性症候群、 遅発性ジスキネジア、 高プロラクチン血症 • アドレナリンα1受容体遮断作用 →血圧低下 • 抗コリン作用 →視力障害、口渇、尿閉、便秘 ウインタミン(クロルプロマジン)の禁忌 • 昏睡状態の患者 • バルビツール酸誘導体、麻酔剤などの中枢 抑制剤の強い影響下にある患者 • エピネフリンを投与中の患者 ピレチア 主成分:塩酸プロメタジン • 抗ヒスタミン作用(H 1受容体遮断作用) →各種アレルギー症状に有効 • 抗パーキンソン作用(抗コリン作用) →振戦、無動、筋硬直を抑える • 中枢神経抑制作用 →麻酔前投薬、人工冬眠 ピレチア(プロメタジン)の副作用 • ヒスタミンH 1受容体遮断作用 →眠気、倦怠感 • 抗コリン作用 →目のかすみ、口渇、尿閉、便秘 以下はめったに起こらないが注意が必要 • 悪性症候群 →抗精神薬との併用している場合 本剤の急激な減量または中止により D2受容体遮断作用が強く出た場合 • 乳幼児突然死症候群(SIDS) ピレチア(プロメタジン)の禁忌 • 昏睡状態にある患者 • バルビツール酸誘導体、麻酔剤などの中枢 抑制剤の強い影響下にある患者 • 緑内障患者 • 前立腺肥大など下部尿路に閉塞性疾患があ る患者 • フェノチアジン系化合物および、その類似化 合物に対し過敏症の患者 • 2歳未満の乳幼児 ③抑うつ気分と緊張の強い場合 処方その1 トフラニール錠(25mg) 3錠 ワイパックス錠(1mg) 3錠 処方その2 ルジオミール錠(25mg) 1~2錠 デパス錠(1mg) 1~2錠 ③抑うつ気分と緊張の強い場合 【処方その1】 トフラニール 主成分:塩酸イミプラミン • 三環系抗うつ薬 (詳細は後で) ワイパックス 主成分:ロラゼパム • 抗ベンゾジアゼピン系緩和精神安定剤 (詳細は後で) トフラニール 成分名:塩酸イミプラミン (三環系抗うつ薬) • 遊離モノアミン(ノルアドレナリン、セロトニン)の細胞 内への再取り込み阻害 →神経シナプス部にモノアミン貯留 • 慢性投与→受容体のダウンレギュレーション→ネガ ティブフィードバックの解除→モノアミンの代謝回転 上昇 • 効果まで2~3週間 トフラニール 成分名:塩酸イミプラミン (三環系抗うつ薬) • うつ病患者に投与で気分高揚感 • 抗コリン作用 →口渇、便秘、尿閉 • アドレナリンα1受容体遮断作用 →起立性低血圧 トフラニール(イミプラミン) 副作用と禁忌 • 抗コリン作用 眼圧上昇 不整脈に至る頻脈 尿閉 • 禁忌 緑内障 心疾患 前立腺肥大 ワイパックス 成分名:ロラゼパム (ベンゾジアゼピン系緩和精神安定剤) Cl-チャネルを構築するGABAA受容体α、γサ ブユニットであるBZD結合部に薬物結合 → Cl-チャネル開口頻度増加 →抑制作用増強 ワイパックス 成分名:ロラゼパム (ベンゾジアゼピン系緩和精神安定剤) • • • • 抗不安剤 穏やかな鎮静・催眠作用 筋緊張緩和作用 抗痙攣作用 ワイパックス(ロラゼパム) 副作用と禁忌 • 軽い眠気、倦怠感、運動反射能力の低下、食 欲不振、吐き気、口渇 • 禁忌 重症筋無力症 緑内障患者 ③抑うつ気分と緊張の強い場合 【処方その2】 ルジオミール 主成分:塩酸マプロチリン • 四環系抗うつ薬 (詳細は後で) デパス 主成分:エチゾラム • チエノジアゼピン系抗不安薬 (詳細は後で) ルジオミール 成分名:塩酸マプロチリン (四環系抗うつ薬) • 脳内のノルアドレナリン量を増加 →精神活動を活発化し、抑うつ状態を改善 • セロトニン取り込み阻害及び抗コリン作用が無い →副作用が軽減される • パニック障害、過食症など色々な心の不具合に応 用される ルジオミール(マプロチリン)の副作用 • 投与を中止すべきもの 悪性症候群 黄疸 横紋筋融解症 肝機能障害 間質性肺炎 好酸球性肺炎 Stevens-Johnson症候群 てんかん発作 麻痺性イレウス ルジオミール(マプロチリン)の禁忌 • MAO阻害薬投与中 • 痙攣性疾患の既往歴 • 心筋梗塞の回復初期 • 尿閉の者 • 本剤過敏症 • 緑内障 デパス 主成分:エチゾラム(チエノジアゼピン系抗不安薬) • GABAA受容体に結合し、神経活動全体に 対して抑制的に働く •視床下部および大脳辺縁系、特に扁桃核 に おいてGABA作用を増強 •非常に強い不安やうつ症状、神経症などの不 愉快な症状を改善 •作用発現および持続が短時間 デパス(エチゾラム)の副作用 •精神神経系副作用 •依存性 •肝機能障害 •呼吸抑制 •悪性症候群 •横紋筋融解症 •間質性肺炎 デパス(エチゾラム)の禁忌 • 急性狭隅角緑内障の患者 • 重症筋無力症の患者 終わり ~1余るグループ~
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