電解質を添加したときの溶解度 モデル – モル分率とモル濃度 法政大学名誉教授 西海 英雄 2014.5.14 日本大学工学部 VLE- Px図 −3 /kg・m 0 8 200 400 600 800 1000 1200 相図で最もポピュラー なのはP-x図である p/MPa 6 ○: C4mimTFSA1) ρL[g/L] ●, ▲: DiglymeーC4mimTFSA Diglyme: 49.0 wt% (75.0 mol%) 4 ●, ▲: DiglymeーC4mimTFSA Diglyme: 74.2 wt% (90.0 mol%) 2 0 0.0 ◇, △: Diglyme 2) 0.2 0.4 0.6 0.8 Mole fraction of carbon dioxide 1.0 *: CO2 CO 1. フロン(1)のアルコール(2)-NaOH(3)への溶解度 2(1)の溶媒(2)-電解質(IL)(3) のCO2溶解度は? 電解質添加が溶解度に 与える影響:次式の変数 分離形で表されることを 実験的に見つけた C1 exp h12 C3 0 C1 (1) h12は温度依存性の無 い固有な定数と考えら れる Nishiumi, Kodama, FPE, 362(2014) 187191 Solvation model ● ● ● ● ● ● ● ● P● y1 (CO 2 ● ● ● ● ● ) C1 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● C3 (IL) ● ● ● ● ● C2(diglyme C2(溶媒) ) 1.塩(IL:3)は不揮 発性で蒸発しない 2.溶媒(2)は,IL(3) に配位する 3. 溶解度は1(CO2)と フリー溶媒(1) [会合 したものを除く]での み決まる. そのため溶解度が 減少する. 配位数 Solvation number Ns 溶解度 Sは次の2式で表すことができる C10 S C2 (2) C1 S C2 N S C3 (3) よって NS C1 C 1 C3 C2 0 1 (4) 一方実験式(1)をMaclaurin展開し、(4)式と比較すると C1 C10 1 h12 C3 ・ ・ ・ (5) すなわち N S h12 C2 (6) 2. DiglymeーIL溶液へのCO2溶解 (xiベース) 14 溶媒のDiglymeに IL(3)を添加していくと 溶解度は減少していく 12 10 P [MPa] 8 6 IL=0.035 ほぼ 0 IL=0.10 4 IL=0.25 IL=0.5 2 IL=1 0 0.2 0.3 0.4 0.5 x1 [-] 0.6 0.7 0.8 DiglymeーIL溶液へのCO2溶解 (Ciベース) 溶媒のDiglymeに IL(3)を添加していくと 溶解度(c1)は減少していく Ciベースでも xiベースでも 傾向は同じである 実線: pCO20 ◇:pure Diglyme (溶媒2) ●:xIL =0.035 (仕込濃度) ●:xIL = 0.10 ●:xIL = 0.25 ●: xIL = 0.50 ○:pure IL(3) CO2(1)-Digylme(2)-電解質(IL)(3) h12は圧力依存性 の無い固有な定 数と考えられる 1.2 C1 exp h12 C3 0 C1 0 CCO2/C CO2[mol/L] 1.0 h12 0.271 [L/mol] at 313.15 K 1.CIL がわかれば任 意圧力における無次 元溶解度 C 1/C10がわ かる 2. N S h12 C2 0.8 0.6 C2=0.5~2 mol/Lなので Ns= 0.1~0.5 程度 ◆: experimental 0.4 0 1 2 CIL [mol/L] h12 3 3. CH3OHーIL溶液へのCO2溶解 (xiベース) 溶媒のCH3OHに IL(3)を添加していく と溶解度は増大していく。 ILを添加すると溶解度が 増大する! →h<0か。どのように 溶解モデルを立てるか ? 14 12 P {MPa] 10 8 6 4 IL=0 IL=.025 2 IL=0.074 IL=0.2 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 IL=1 Expon. (IL=1) x1 [-] 同圧ではCH3OH中よりも IL中溶解度が大 CH3OHーIL溶液へのCO2溶解 (Ciベース) 14 溶媒のCH3OHに IL(3)を添加していく と溶解度は減少する。 12 P [MPa] 10 8 6 IL=0(CH3OH)、 C10~P 4 IL=0.025, C1~P I=0.074, C1~P 2 IL=.2, C1~P IL=1 0 Poly. (IL=0(CH3OH)、 C10~P) 0 2 4 6 8 C 1[mol/L] 10 12 14 Poly. (IL=1) 同圧ではCH3OH中よりも IL中溶解度が小 (逆の結果) 溶媒の分子量の影響 • ガスを液で吸収する吸収剤の評価基準: 溶液単位体積当たり[mol/L]、あるいは単位質量 [mol/L]あたりの気体吸収量 (溶解度)が大きい吸 収剤が望ましい。 • CO2が溶媒に溶けるとき 例えば 溶媒がジグライム あるいはCH3OHの ように分子量(∝分子のサイズ)が極端に異なるとxi ベースとCi では異なる傾向を示すようになる。 x1 c1 solution [g/L] xi M i [g/mol] i CO2(1)-CH3OH(2)-電解質(IL)(3) 1.1 h12は圧力依存性の無 い固有な定数と考えら れる 1.0 C1/C10 [-] 0.9 h12 0.227 [L/mol] at 313.15 K 0.8 0.7 0.6 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 C3(IL) [mol/L] 2.5 3.0 3.5 溶媒がDiglymeのように 大きな分子でも CH3OHのように小さな 分子でもh12の値は ほぼ同じでモルベースでは 塩析効果は同様であった。 4.x1-C1(ジグライムーIL溶液へのCO2溶解) 10 8 IL=.035 IL=0.10 IL=.25 6 C1 [mol/L] IL=0.50 IL=1 Poly. (IL=.035) 4 Log. (IL=1) Log. (IL=1) Log. (IL=1) Log. (IL=1) 2 Poly. (IL=1) 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 x1 [-] 0.5 0.6 0.7 0.8 CH3OHーIL溶液へのCO2溶解(x1-C1) 14 12 10 C1 [,mol/L] IL=0 (CH3OH) 8 IL=0.025 IL=.074 IL=0.2 6 IL=1 Poly. (IL=0 (CH3OH)) 4 Expon. (IL=1) 2 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 x1 0.5 0.6 0.7 0.8 5.実験の測定パラメータ • P-x ガスクロマトグラフ → x1、x2、x3・・・ • 密度測定(例:振動法) 物質収支と組み合わせて C1, C2, C3・・・・ • 実用的に溶解度[mol/L],あるいは[g/L]が重要 なので溶液濃度Ciが重要 6.h12はなぜ系固有の定数か 14 いずれの濃度でも原点 通過(P=0, C1=0)と考え られる。任意の圧力で C3濃度の影響が相似、 すなわちh12は系固有の 定数だということを結果は 示している 12 P [MPa] 10 8 6 4 IL=0(CH3OH)、 C10~P IL=0.025, C1~P 2 I=0.074, C1~P IL=.2, C1~P 0 IL=1 0 2 4 6 8 C 1[mol/L] 10 12 14 Poly. (IL=0(CH3OH)、 C10~P) Poly. (IL=1) 7. 気相の組成 • ILの気相組成は無視できるので 自由度=2 → P, T を固定するとほかの物性は定まる (2成分系と同じ扱い) • 気相の組成は? 1.Diglyme系はほとんど気相はCO2 気相にDiglyme,ILが存在しなければ自由度=1 2.CH3OH系はそうはいかないだろう。気相はCO2、 CH3OHがあるはず。自由度=2. 気相組成は? 8.BWR-EOSからのアクセス IL のEOS表示は少し先の問題とする. ★CO2-CH3OH系のmijについて検討する必要が あるが多分ある結論を得るであろう ★当面 Diglyme-CO2系VLEの表記について探 求 1. DiglymeのEOS 臨界値(Tc,Pc,Vc)の推算-> 拡張Joback法 一般化蒸気圧式(Tc,Pc,Tb→ω)Tbの実測値 2. CO2-DIglyme系の気液平衡データ → mij 結論 • CO2の溶媒DiglymeあるいはCH3OHへのIL C4mimTFSA (1-butyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethanesulfonyl)amide)への添加は 塩効果を及ぼし溶解度は減少する。溶媒のILへ の配位モデルで解析でき、ほぼ同じ値の塩効果 定数h12で表すことができた。 • 3成分系以上での溶解度はモル分率ではなく、 濃度Ci[mol/L], [g/L]で表すべきである。 • そのためには溶液密度の測定が不可欠である。 ご清聴を感謝いたします
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