宇宙産業における起業例

第一回 九州宇宙環境技術交流会
Forum for Spacecraft Environment
Engineering in Kyushu
(SEEK)
2006年06月27日
(有)オービタルエンジニアリング
山口 耕司
2015/9/30
1
Aerospace Parts Procurement and
Manufacturing Support Project
“The Manten Project”
航空宇宙部品調達支援プロジェクト
【まんてんプロジェクト】
2006.06.
Manten Project Office
まんてんプロジェクト事務局
2015/9/30
2
まんてんプロジェクト概要

2003年9月 神奈川県異業種グループ連絡会議が中心となり、航空宇宙部品の開
発・製造を目的とし結成された産学連携・中小企業によるコンソーシアム
(現在参加地域 千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、北海道、静岡、その他)
2015/9/30
小学5年生社会科補助教材
3
まんてんプロジェクト概要

目的
• 航空宇宙部品の開発・製造による、日本の町工場のものづくり技術の高付
加価値化
• 中小製造企業及び産学のネットワーク化による
 開発・製造能力の増大
 人材リソース・設備・情報の共有化・有効利用
中小町工場ものづくりのための
「インフラ」構築
2015/9/30
4
まんてんプロジェクトが生まれた背景
ものづくり基盤の弱体化に危機感

産業構造の変化
•
•
•

技術立国としての航空宇宙産業の活性化
•
•
•

下請・系列構造の崩壊
グローバル化による海外移転
大手システムメーカのスリム化
航空宇宙産業は日本の明日のコメ
航空宇宙分野は、他産業への技術的波及効果が高く裾野が広い高付加価値
型産業分野
宇宙用部品の国産化率の低下
ものづくり技能継承・維持
• 団塊の世代の退職の影響:2007年問題
2015/9/30
5
まんてんプロジェクトが生まれた背景 Back Ground
Change of Industry Structure
(PAST: ~1990)
Change of Industry Structure
(PAST: 1990s)
2015/9/30
中小企業を取巻く環境
(2005年中小企業白書より) 6
まんてんプロジェクトが生まれた背景
まんてんPJ
2015/9/30
中小企業を取巻く環境
(2005年中小企業白書より) 7
まんてんプロジェクトが生まれた背景
産業構造の変化への対応
民生品
過去
現在
システム
大企業
システム
大企業
部品
中企業
部品
中企業
部品
中企業
海外工場
海外加工業者
加工
小企業
加工
小企業
加工
小企業
高付加価値型産業へのシフト
システム
大企業
宇宙、航空用
部品
システム
大企業
部品
大企業
部品
大企業
部品
大企業
小企業
2015/9/30
大企業が部品開発・供給
輸入部品
まんてん
プロジェクト
小企業
大企業部品メーカの撤退
国産ロケットの国産部品率<30%
8
まんてんプロジェクトが生まれた背景

2007年問題
2015/9/30
中小企業を取巻く環境
(2005年中小企業白書より) 9
まんてんプロジェクトが生まれた背景
大手システムメーカの課題





製造部・製造技術部・資材部の技能者人材リソース、社内製造設備の減少
系列・協力会などの下請システムの解体
製造のための発注工数の増大
加工単位の発注→ユニット・サブシステム単位の発注へ
安心して「マル投げ」できる相手がいない
下請けではなく、パートナーが欲しい
2015/9/30
10
まんてんプロジェクトが生まれた背景
世界の航空・宇宙業界の現状






旅客航空機製造は国際分業化
高品質・低コストが必須
日本は今後どの分野のシェアを確保するか?
日本の町工場は技術は最高
→頼みたくても仕組・体制がない
高品質・低コストだけならいずれ中国が….
→新しい技術で克服
日本の技術の強みはどこに
→部品、先端材料、生産技術….
2015/9/30
11
まんてんプロジェクトが生まれた背景
中小町工場が生存していくためには


低付加価値→高付加価値製品製造へのシフト
• 高付加価値製品産業の典型例が航空宇宙産業
会社自身の付加価値の増価→新たな機能が必要
•
•
•
•
一つの加工プロセスしか請けられない
図面がないと作れない→研究開発・設計リソースの不足
品質管理の難しさ→ISOは取ったけれど…
設備の不足
自社だけではムリ/他社との連携が必要
中小製造業は高度な加工技術やユニークなアイデアを持ちながらも、品質管理・保証の体制や営業体制を自社内に持てない
ため、航空・宇宙ビジネスに直接的に参加することが困難であり下請けとしての間接的な参加に留まらざるをえなかった。
2015/9/30
12
まんてんプロジェクトが生まれた背景
航空宇宙産業
の課題
大手システムメーカ
の課題
日本のものづくりの
再編・活性化のチャンス
中小企業
の課題
まんてんプロジェクト
2015/9/30
13
まんてんプロジェクトの目標
•
•
•
「連携」だけでは、ムリがある
各地の地域連携、産学連携など皆同じ課題を抱えている
具体的な航空宇宙にターゲットを絞った「仕組み」が必要
連携 + 仕組み = ブランド
知財
必要な仕組み(インフラ)
 共同制作のための品質プログラム構築
 連携のための見積・受発注の仕組み
 航空宇宙部品のための検査体制・設備の構築
 プロジェクトマネージメント手法の構築
 設備・人材リソースの共有化の仕組み
2015/9/30
14
まんてんプロジェクトの取り組み
プログラム管理
仮想研究室
受発注管理
工程管理
CADデータ
CAMデータ
検査データ
設計基準
文書管理規定
開発・設計
情
報
イ
ン
フ
ラ
加工・製造
組立
履歴管理
品
質
管
理
プ
ロ
グ
ラ
ム
外注管理規定
不具合処理規定
加工基準
組立基準
検査基準
検査・試験
電子カタログ
販売
航空機業界EDIセンターへの接続
宇宙CALSへの準拠
2015/9/30
まんてんプロジェクト
ライン認定制度
まんてんEDIシステムの構築
検査・試験設備等
の設備共有・有効
利用化
JIS Q 9100 への準拠
ICタグ化
15
受発注・品質管理プロジェクト


まんてんプロジェクトのなかで、受発注・品質管理・検査等を具体化するための
プロジェクト推進機関として、法人組織(JASPA(株))を立上げた。
法人組織としたのは、商取引において組合組織、NPO組織とするよりは身軽で
あるからの理由(現在であればLLPという組織の選択もある)
JASPA株式会社
Japan Aerospace Parts Association
設立日 2004年04月14日
資本金 2000万円



所在地 〒240-0051 横浜市保土ケ谷区上菅田町1317-3
代表者 千田 泰弘
2015/9/30

品質保証業務
超精密三次元測定装置
による測定
一般部品の精密測定
トレーサビリティー
品質保証支援業務
社内体制つくりの支援
商取引支援業務
航空宇宙部品
一般技術・部品
連携事業
共同受注
共同開発
16
まんてんプロジェクトの取組み
品質管理プログラム・プロジェクト

基準管理文書の構築
品質保証管理規定 JASPA-QC-1000
全体規定文書
文書管理基準書
JASPA-QS-2100
文書の作成、受領、保管、返却に関す
る管理方法
書類、図面等の貸出及び返却に関する
管理方法
外注先管理基準書 JASPA-QS-2200
受入管理基準書 JASPA-QS-2300
識別管理基準書 JASPA-QS-2400
標準製造基準書 JASPA-QS-2500
外注先の管理方法及び指導
製品、購入品、支給品に関する受入
れ方法
支給品の受入れ、保管、在庫、返却
に関する管理方法
材料・製品関する識別の管理方法
製造に係わる管理方法
社外加工基準書 JASPA-QS-2510
社外工程に於ける、一連の管理方
法
標準検査基準書
JASPA-QS-2600
検査の方法及び基準
2015/9/30
検査機器管理基準書JASPA-QS-2700
梱包・出荷管理基準書
JASPA-QS-2800
不具合管理基準書JASPA-QS-2900
検査機器保守、検定方法
梱包、出荷の方法
不具合処理に関する規定
17
まんてんプロジェクトの取組み
加工先
品質管理プログラム・プロジェクト

基準管理文書の構築
• トレーサビリティ確保のための記帳類
の整備
• 将来的には電子タグ+オンライン化
発注管理元
文書
管理台帳
管理
受払
管理台帳
支給品
発注書類
発
注
注文書
品名・数量・金額
支給品
支給品識別
ラベル
出荷明細書
文書
管理台帳
コピー
製作指示書
端材
製作履歴書
図面文書
貸出票
作業工程表
(予定)
受払
管理台帳
支給品識別
ラベル
製作指示書
製作図面
現品
端材
ラベル
工程チェッ
クリスト
コピー
作業工程表
(予定)
作業日報
仕掛品
現品票
製作指示書
製
作
製作履歴書
工程チェッ
クリスト
納品書類
検査成績書
納品書類
完成品
・
・
・
検査成績書
検査データ
納品書
・ 作業工程表
検査データ
現品票
作業工程表
(実績)
納
品
完成品
端材
納品書
現品票
端材
ラベル
2015/9/30
18
まんてんプロジェクトの取組み
品質管理プログラム
共同設備の導入
精密三次元精密測定器
高速CNC三次元座標測定器
JASPAでは、東京精密/ZEISS製PRISMOによる、
複雑三次元形状の受託測定を行います。



型式
•
PRISMO 10 -12/18/10
測定範囲:
•
X 1200mm
•
Y 1800mm
•
Z 1000mm
指示精度:
•
2.9+L/250 μm
2015/9/30
19
まんてんプロジェクトの取組み
まんてんプロジェクト・インフラ構築


コミニュケーションサイトの構築
• 会員間情報共有(データベース)
• バーチャルラボ(会議室)
• 会員からの情報発信
見積・受発注システムの構築
2015/9/30
20
まんてんプロジェクトの取組み
まんてんプロジェクト・インフラ構築

プロジェクトマネージメント制度による開発体制の構築
産学・中小企業連携で必要なのは、
「プロマネ」と「プロジェクト管理事務局」
まんてんプロジェクト
ニーズ・シーズの具体化:
プロジェクト化
プロジェクト化
モノづくり・商品化、アプリケーションの創造
プロジェクトマネージャー
JASPA
産学
(大学・研究機関)
産
(中小企業)
産
(中小企業)
航空宇宙市場
産
(中小企業)
産学連携でのプロジェクト化のための具体的な
「場」「体制」「スキーム」
の構築
2015/9/30
21
まんてんプロジェクトの取組み
イベント活動




全国地域連携シンポジュームの開催
航空宇宙メーカ共同見学会
まんてん総会・勉強会
展示会への共同出展
2015/9/30
22
まんてんPJの体制
会長:
瀧沢清
(神奈川県異業種グループ連絡会議)
理事:
芝忠
松浦哲雄
山内慶次郎
山口耕司
新井利満
比佐健二
福島充
高井研吾
(神奈川県異業種グループ連絡会議 事務局長)
(東京しぼり製作所 代表取締役)
(山之内製作所 代表取締役)
(オービタルエンジニアリング 取締役社長)
(野島製作所 代表取締役)
(宝電機工業 取締役営業部長)
(北海道衛星 代表取締役副社長)
(高井製作所 代表取締役)
監査:
武藤善計
立岡佳起
(玉工業 代表取締役)
(万友 代表取締役)
事務局
事務局長
愛恭介
(神奈川県異業種グループ連絡会議)
事務局員
荒直孝
(神奈川県異業種グループ連絡会議)
会計
新井利満
会員管理・Web管理 山口 耕司
広報
山内慶次郎
2015/9/30
23
現在までの活動の問題点




目指している方向性は、みな漠然とは同じ
具体的手段の構築の遅れ
• 人員工数の不足
• 役割分担・体制のあいまいさ
• 具体的作業レベルまでのブレークダウン不足
会員への情報開示・説明不足
• コミニュケーション手段
参加意識の違い
• 商業活動? 様子見? ボランティア活動?
↓
個人・会社の活動=社会的構造の改築⇒個人生活の豊かさへ
2015/9/30
24
まんてんプロジェクトへの
御参加をお待ちしています。
END
ご清聴ありがとうございました。
2015/9/30
25
全国の活動状況
補足資料
JAXA資料より抜粋
2015/9/30
26
日本の航空宇宙産業
補足資料
※図:SJAC (社団法人 日本航空宇宙工業会)より引用
2015/9/30
27
日本の航空宇宙産業
補足資料
ボーイング767(開発分担率15パーセント)
ボーイング777(開発分担率21パーセント)
ボーイング787(開発分担率35パーセント)
※図:SJAC (社団法人 日本航空宇宙工業会)より引用
2015/9/30
28
日本の航空宇宙産業
補足資料
※図:SJAC (社団法人 日本航空宇宙工業会) 「宇宙産業データベース」より引用
•航空機産業に於ける防衛依存度が高い(約6割)
•90年代に以降伸び悩んでいる
2015/9/30
29
日本の航空宇宙産業
航空宇宙工業の売上高
売上高比
GDP比
補足資料
従業員数比
1.00
日本
1.0
1.00
アメリカ
17.9
2.56
19.80
イギリス
3.4
0.42
4.18
フランス
3.4
0.41
3.37
ドイツ
2.4
0.56
2.39
イタリア
0.6
0.34
1.11
カナダ
1.8
0.20
2.54
(29,392人)
数値:SJAC (社団法人 日本航空宇宙工業会)
2015/9/30
「宇宙産業データベース」より
30
宇宙産業規模の予測
補足資料
数値:SJAC (社団法人 日本航空宇宙工業会)
2015/9/30
「宇宙産業将来見通し:H17.9」より
31
宇宙産業規模の予測
補足資料
数値:SJAC (社団法人 日本航空宇宙工業会)
2015/9/30
「宇宙産業将来見通し:H17.9」より
32
まんてんプロジェクト事務局
〒240-0051
神奈川県横浜市保土ヶ谷区上菅田町1317-3 JASPA(株)内
Tel:045-373-8399
Fax:045-370-3376
www.manten-project.org
[email protected]
2015/9/30
33