4 終局決定 ※少年保護事件手続は終 局決定によって終結する。 〔1〕審判不開始決定(19条1 項):審判開始の要件がなく、 かつ児童福祉機関送致(18 条1項・2項)や検察官送致 (20条)にも当たらない場合 に審判を開始することなく事 件を終結させる決定である。 (1)形式的審判不開始 (a)審判条件(保護手続の 開始・存続の条件)が存在し ないとき①対象少年に裁判 権が及ばないとき②少年が 実在せず、または生存しな いとき、③送致、通告、報告 が手続法規に違反し無効で あるとき、④一事不再理の 効力が及んでいるとき、⑤ 虞犯事件について本人が 20歳以上のとき (b)非行事実存在の可能性 がないとき、すなわち、事実 が非行に当たらないか、非 行事実が証明されないとき (刑訴336条) (c)少年の心身喪失、長期 にわたる所在不明・疾病・海 外居住などにより、調査・審 判が法律上または事実上不 可能になったとき (2)実質的審判不開始 保護処分に相当する程度の 要保護性存在の蓋然性が 認められず、裁判官の直接 審理を行うまでもないと判断 される場合 ①保護者等に保護能力が あり、国の保護を必要としな い場合、②調査段階におけ る調査官の事実上の「保護 的措置」で十分な場合(訓戒、 学校長への訓戒委任、誓約 書、条件付き保護者への引 渡し等☞旧少年法上の保護 処分)、③別件による保護処 分や福祉処分等の継続で十 分な場合④事案軽微の場合 〔2〕不処分決定(23条2項) (1)形式的不処分 「保護処分に付することがで きず」に当たる場合の不処 分、形式的審判不開始決定 の場合とほぼ共通、 相違点⇒①非行事実の存 在について蓋然的心証が あっても、確信の心証に達し ないときは保護処分に付し えないから、不処分になるこ と、②所在不明で決定の告 知が不能の場合、告知不要 の扱いが許されるのは少年 法19条の決定(審判不開始、 形式的検察官送致)に限ら れるから(少審3条5項)、審 判開始決定を取り消した上 で審判不開始決定をするこ とである。 (2)実質的不処分 「保護処分に付する必要が ないと認めるとき」に行われ る不処分決定、その事由、 実質的審判不開始決定の 場合と共通。ただし、保護処 分に相当する程度の要保護 性存在についての蓋然的心 証は、審判開始決定時のそ れよりも高いことが要求され るであろう。保護的教育的 機能を果たす。試験観察後 に不処分決定を行うこともあ る。 問
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