* 経営学部 キャリアマネジメント学科 大山 澪 * 現代の日本の企業は「リーダーシップ」を求める企業が多い。 しかし実際のところ日本の企業の5割以上の悩みがコミュニケー ション不足であり、リーダーシップには程遠く、リーダーシッ プにとても重要なコミュニケーション能力が低い社会人が多い というのが実態である。 この日本経済に大きく影響を及ぼしているコミュニケーション 不足の原因・影響を明らかにする。 多くの企業が課題とするこのコミュニケーション不足という問 題をさらに掘り下げ、大学生のうちになにかできることを発見 したい。 そしてこの問題について自分なりの解消法を見つけ、将来に活 かしたいと思う。 また、大学生活で学んできたことを活かし、コミュニケーショ ンの大切さをたくさんの人に知ってもらうために本研究を行う とする。 * 世間でも騒がれ、重大な問題にもなっているコミュニケーション不足とは一体何 から始まり実際にどのような影響を及ぼしているのか。 現代ではこの相手との意思疎通ができない人間が多く存在するということになるが その背景にはやはり、インターネットの普及、情報社会が大きく関わっている。 面と向かって相手と話し合うというのがコミュニケーションをとる手段の基本であ るが、現代ではこのコミュニケーションをとる目的や求める結果という本質より、 技術や要領の方が高く重視される時代になっている。 手段だけ高度化されてしまった今、相手と面と向かって話さなくても簡単に相手と 情報を伝え合うことはできる。 しかしそこにはコミュニケーションは重要視されていない。 このようにしてコミュニケーションの本質がどんどん失われていったのであろう。 コミュニケーション不足の影響として現在ではネットを介したいじめが急速に広 がっている。 これはメールやネットなどの電子媒体を用い、相手に恐怖感や屈辱感を与えるいじ めだ。 今までの暴力的ないじめとは異なり、偽名を使って行うこともでき、相手に悪意あ るメッセージを短時間で多くの人に公開しおとしめるのだ。 いじめる側の利点としては、匿名を使えば誰が行っているのかわからないので誰か に罰せられる心配もなく、また多くの人に一斉にみてもらえる。 いじめられている側は親に相談してしまうとパソコンや携帯を取り上げられてしま い友人と連絡がとれなくなったり社会的に孤立してしまったりすると考え、相談し ない子供が多くいるようだ。 ネットを利用した犯罪も年々に増えてきており、児童を対象とした犯罪、いじめが 急増していることがよくわかる。(グラフ1参照) このように時代とともにいじめもエスカレートし引きこもりや自殺などが増えてい くのだろう。 高度化していくネットワーク社会は、私たち生活の中で便利なものには変わりはな いが、高度化していくにつれて世の中の大切な環境や、たくさんのものが失われて いくのではないかと感じた。 グラフ1 ネット上だけではなく学校生活でのいじめにもコミュニケーション不足は大きく関係していると言える。 子供は自然発生的に群れを作る。 しかしコミュニケーション不足で群れを作ることをできず一人で孤立してしまう。 そのような子供にいじめは集中しやすいのである。 いじめる側の子供は自分と異質な存在だと認識し、不安を感じる心理があるのだ。 いじめられ側ネット上だけではなく学校生活でのいじめにもコミュニケーション不足は大きく関係していると言える。 子供は自然発生的に群れを作る。 しかしコミュニケーション不足で群れを作ることをできず一人で孤立してしまう。 そのような子供にいじめは集中しやすいのである。 いじめる側の子供は自分と異質な存在だと認識し、不安を感じる心理があるのだ。 いじめられ側にもコミュニケーション不足で群れの中に入れない、嫌なことを相手にしっかり嫌だと言えないなどという 問題点もあるが、いじめる側は、「どこまでが遊びの範囲なのか、本当に相手が嫌がっているのか」ということを判断す る能力が欠けてしまっているのだ。 このように幼い時からコミュニケーション不足の子供たちがどんどん社会に出て行くことによって日本の企業はリーダ シップやコミュニケーション能力が高い人間を求める傾向になったのではないかと思う。 現代の日本の企業の80%以上がコミュニケーション能力が高い人材を求めていることがわかる。(グラフ2参照) そしてこの情報処理社会が発達し、今では仕事をするうえ で、一人一台のパソコンを持つことが当たり前となってい る。 チームでこなす仕事であればコミュニケーションをとる必 要があり、コミュニケーション不足はあまり起きないが、現 在では個人で仕事をこなす会社が全体の7割にもなり、コ ミュニケーションが希薄になりつつあるという影響もある。 私は昔のままの日本であればコミュニケーション能力は 全員が持っている能力だと思う。ましてや基本的な人間の 能力だといっても過言ではないと思うが、これが進化し続 ける技術の発展結果の誤算なのであろう。 グラフ2 * コミュニケーション不足を解消するといってもこれは本人がコミュニケーション不足であると自覚し、それを治そうという意識がなければ始 まらない。 もしくはコミュニケーション不足である人のために誰かがそれを改善しようと働きかける。 コミュニケーションは一人でとれるものではなく相手がいて、会話をして相手と意思疎通をしてはじめてコミュニケーションと呼べるのである。 まず、子供と親、家族のコミュニケーション不足を解消するためには、毎日20分間は真剣にきちんと子供と面と向かって今日の出来事を聞い てあげる時間を作ることが大切だとされている。 忙しくても適当にあいづちするのではなく、目を見て今日の何事もない出来事でも大切に伝えることによって話すこと、伝えることを覚えさせ るのだ。 家族間のコミュニケーションでは、日本の家族のコミュニケーション不足を感じると言った回答が55%にも及んだ。 日本の家庭の半数がそう思っているのだ。 これは日本の離婚率が増加している原因だと私は思う。 家族が揃い一つのことを「全員で共感すること」これがとても家族間においてとても重要なことだといえる。 次に職場であるが、ここでもパソコンの普及のため、同じ社内にいるにも関わらずメールでやりとりしてしまうことが増えているそうだ。 先ほども言ったように個人で仕事をすることが増え、パソコンと向き合うことが多くなった現代の企業では簡単な用事すら話すのではなく、楽 に簡単に済ませてしまっているのだ。 このような何気ない出来事が、仕事のミスにも十分に繋がる恐れがある。 そして何よりこのような現状であれば社員間の信頼関係が希薄になってしまう。 企業の求める人材がコミュニケーション能力の高い人材であるのにも関わらず自分のコミュニケーション不足は改善しようとしていない。 できるだけ相手と会話するように努め、コミュニケーションを深めていくだけで職場の雰囲気も随分と変わるのではないだろうか。 また、上司が部下のために気を使ってコミュニケーションを取らせる、話しやすい環境を作る。 そんな環境を会社全体が創り上げる意識をしている企業が良い企業になっていくのではないだろうか。 現代の日本でこれだけ深刻な問題になっているコミュニケーション不足であるが、更なる深刻な問題がでてくると予想される。 何気ないコミュニケーションを心がけるだけで改善されるであろうこの問題に立ち向かうには個々の意識、改善していかなければならないとい う気持ちを多くの人間が持つことであろう。 その為には小さいころからコミュニケーションの大切さを教え、もっと重大なことだと認知し、コミュニケーションの根本の意味を思い出さな ければならない。 * * 1.定義づけ 本研究では前文に述べた現代の深刻な問題であるコミュニケー ション不足を元にどのような人たちがコミュニケーション不足 であるかを分析する。 私のアルバイト先である飲食店でお客様を研究対象とし、一 定条件を満たした際にコミュニケーション不足とし、そのお客 様にアンケートを行う。 お客様がコミュニケーション不足という条件 目を見て話さない 友人との会話の輪に入ろうとしていない、入れない 一人の世界に入ろうとする (携帯をずっと見ている、雑誌を見るなど) * 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 男性 0 女性 今回のアンケートの項目の①~③を自分自身の性格や行動、④~⑥を自分の意思、⑦~⑩人との関わり方と3つの 分類に分けた。 まず①~③の自分自身の性格や行動について、今回のアンケートを行った結果やはり自分のことを人見知りだと思っている 人がほぼ全員であった。 これは先ほど述べたコミュニケーション不足の影響からからきているものだと感じる。 悩み事があってもあまり人には言えず、携帯でインターネットなどつい自分の世界に入ってしまうのだろう。 ⑦~⑩の項目であるが、やはり人との関わり、コミュニケーションをとることを避けている様に感じる。 あまり人と目を見て話せないという項目でも男女とも過半数を超えていた。 目を見て話すということは、相手が発する言葉に注意を払っている、相手のことを尊重しているというボディ アクションであり、好意や敬意を伝えることでもあるが、これができないと相手の意見が上手く聞き取れない ということになる。 目を見て話せない理由のほとんどが「恥ずかしい、目を見ると上手く話せない」であり、コミュニケーション をとるのには大きな問題だ。 男女で意見が分かれたのは家族との会話である。 女性の方が家族と会話すると回答し、男性は7人が会話しないと回答した。 自分のことをよく理解してくれる家族には女性は心を開いているが、男性は家族よりも友人の方が話しやすい のだろう。 もうひとつは、大人数でいるのが苦手と回答した男性が8割であるが、女性は4割であった。 一般的に女性は集団で行動し、皆と一緒であるという安心感を求めているので、その心理がこのアンケートに 表れているのかもしれない。 このアンケートを行い、コミュニケーション不足と人見知りの違いについて気になった。 私の解釈であるが、人見知りがコミュニケーション不足に発展していってるのではないかと思う。 そしてそのような意識が今回の項目の回答に繋がっていくのだと感じた。 自分の意思では積極的に話し、コミュニケーションをとりたい、だけど自分は人見知りだから目を見てあま りうまく話せない。 だからインターネットや情報社会に入ってしまう。 これからも更に情報社会、情報技術は発展していくと予想されるが、自分でも積極的に話していきたいという 意思がきちんとあるのだから、勇気をもって会話し、話すことの楽しさ、コミュニケーションの大切さを知る べきである。 自分に考えに甘えず、人との接点を積極的に見つけにいけば、コミュニケーション不足は解消されるのだ。 * 研究では現代の日本の深刻な悩みであるコミュニケーション不足について研究した。 しかし、単なる一学生が調べることができる範囲には限界があり、コミュニケーション不足から発展していった問題はこの研究で学んだこと以外にも もっとたくさんあるのだろう。 今回の研究でコミュニケーション不足の人は自分のことを人見知りと感じ、目を見て話さず、相手に自分の事を話さない人が多数いることがわかった。 このようにして自分と相手との距離を遠ざけ意思伝達ができなくなっている。意識をしてコミュニケーションをとろうとしても、それは難しいことなの であろうか? コミュニケーションをとることはさほど難しくないことのはずなのに、コミュニケーション不足の人たちは自分たちで難しくしてしまっているのではな いかと感じた。 私は結論として、コミュニケーションを「とれない」のではなく「とらない」のだと思う。 自分自身のことを人見知りだと思い込み、自分から発信することを怠っていることによりこの問題は発生するのだ。 「人見知り」と「コミュニケーション不足」は紙一重なのではなく、コミュニケーション不足が人見知りを増加させ、人見知りだと勘違いさせて いるのであろう。 そうして人と会話するのではなくインターネットの世界に入っていくという悪循環を繰り返しているように思える。 私はたくさんの人に情報社会がどのような悪影響を及ぼし、コミュニケーション不足がどんなに深刻な問題であるか認知し、コミュニケーション不足 であると自覚し、コミュニケーション能力を高める意識をしてほしい。 そうすることによって自分の可能性が大いに広がるはずであり、現代の社会も改善されるはずである。 現代にインターネットや携帯電話は必要不可欠であり、私の生活にとっても欠かせないものになってしまっているが、だからといってそれに依存するの ではなく、話す相手がいるからこそ自分の存在、努力を表現できるのである。 現代では簡単に嘘の情報を流し、たくさんの人をだませることができる。 しかし目に見えないものばかりを信じるのではなく、自分の目で確かめることも大切だということを忘れてはいけない。 私は自分を表現するためにコミュニケーションがとても大切なことであり、情報技術が発展していくなかで、コミュニケーションの重要さを理解し、楽 に簡単に済ませるのではなく、相手と面と向かって話すことで自分自身の世界が大きく広がっていくと感じた。 自分自身の意見を相手に伝え、相手の意見をきちんと受け入れることで、スムーズにいくのだ。 一人ひとりがコミュニケーションを意識せず、相手と話すことの大切さを知り、会話が溢れる世の中になってほしい。 そうすることによって改善されることはとてもたくさんあると思う。 コミュニケーション不足という小さな出来事からこのようにたくさんの問題が出てくるのと同じように小さな心がけから大きな成果が生まれるのであ る。 私たちは一人では生きていけない。 パソコンや携帯電話があるだけでは生きていけない。 だれかと同じ環境、気持ちを共有するからこそ、助け合っていけるのではないかと思う。 ご静聴ありがとうございました(^0^)/☆ *
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