計算推論とアルゴリズムの数理 統計数理研究所 土谷 隆 モデリング・数理・アルゴリズム 物理学・数学・情報科学 世の中に存在する様々なデータ や情報から有用な知見を得る 1 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 最近の研究から 凸最適化(2次錐計画)を用いたリニアモー ターカー磁気シールド最適設計問題 (計算 推論+リスク管理) 再帰的再計算によるスムージング(時間計 算量 vs. 領域計算量) 多項式時間内点法と情報幾何(計算の世 界の複雑さへの微分幾何学的接近法) (より詳しくは HP http://www.ism.ac.jp/~tsuchiya/ をご訪問下さい。) 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 2 1. 凸最適化を用いた磁気シールド最適 設計問題 (笹川卓氏(鉄道総研)との共同研究) (目的関数 が小さくなる方向) 凸集合 (許容集合) (目的関数(線形)の等高線) 最適解(線形目 的関数最小化) 一般には線形とは限らない が線形な場合が重要 許容解集合の次元:数千から数十万次元 凸最適化問題 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 3 凸最適化(2次錐計画法)によるリニア モーターカー磁気シールド最適設計 山梨リニア実験線 リニアモーターカー : 超伝導磁石で浮上,推進 強力な磁場を発生 車体内部をシールドして,内部に磁場がもれない ようにする.一方,シールドはできるだけ軽くしたい. →最適設計問題(2次錐計画という凸最適化問題に 定式化) (左の図 http://www.rtri.or.jp; 右2つの図 http://www.pref.yamanashi.jp/ より) 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 4 内点法と呼ばれる多項式時間 解法を開発、この問題を解くの に用いた。 問題の大きさ 主双対変数の数:5007 自由度(yの次元):1669 計算時間 : 1.8秒 (反復回数:21) PentiumⅢ 700MHz 解法の利点:高速で安定しているため、 異なる想定で一万回解いてロバストな シールドを設計できた。 最適化されたシールドの形 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 5 2.再帰的再計算による新しい(粒子)平 滑化法の実装 (中村和幸氏(統数研 & JST)との共同研究) 粒子フィルタにおいて、再帰的再計算 による平滑化法の実装を提案。 日経225株価データのボラティリティ推 定に適用。 平滑化に用いる粒子を一気に20倍に 増やし、従来に比べて格段に分解能の 良い平滑化分布の計算が可能になっ た。 6 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 ボラティリティのスムージング分 布(従来法と新しい方法の比較) (円) (円) Bubble Crash Black Monday (日) (日) 新しい方法による平滑化分布 従来法による平滑化分布 各曲線はボラティリティ事後分布の2.3%, 50%(実線), 97.7%点を示している. 各曲線はボラティリティ事後分布の 2.3%, 15.9%, 50%(実線), 84.1%, 97.7%点を示している. 1987年1月から1990年8月までの日経225株価のボラティリティ平滑化分布 7 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 3.情報幾何と内点法 (小原敦美氏(大阪大学)との共同研究) 凸最適化のための多項式時間内点法への微分幾何的 アプローチ 『計算複雑度』という『情報科学の複雑さ』と『問題の曲 率』という『幾何学的複雑さ』を結び付けて論じたい。 内点法:中心曲線を辿って最適解を求める。 8 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理 計算複雑度を多様体の埋め込み曲率 で表現する 凸最適化の求解に要する計算量を厳密に微分幾何学的 量(中心曲線上の曲率積分)で表現することに(初めて) 成功。 多項式時間パス追跡法と埋め込み曲率 埋め込み曲率 Central Trajectory 接続 に関する埋め込み曲率 (共変微分) Proportional to Embedding curvature Predictorcorrector type algorithm to follow the central trajectory H = 0 on M M が 自己平行多様体 9 2008/11/14 計算推論とアルゴリズムの数理
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