統計学第7回 「カテゴリ変数2つの解析」 中澤 港 http://phi.ypu.jp/stat.html <[email protected]> フィッシャーの正確な確率の補足説明 クロス集計表を a m1-a m1 n1-a m2-(n1-a) m2 n1 n2 N とすれば, 周辺度数を固定したときにこの表が得られる確率 は,m1Ca*m2C(n1-a)/NCn1 計算すると,m1!m2!n1!n2!/{a!(m1-a)!(n1-a)!(m2n1+a)!N!}となる。フィッシャーの正確な確率は,それ より小さな確率が得られる表の確率も全部足したも のになる(両側検定の場合)ので,計算が大変。 リスクとオッズ 原因と結果にどれくらいの関連があるかを知りた いとき,原因が無いグループの結果に対して,原 因があるグループの結果がどれくらい大きいかで 評価するという考え方 病気を例にとって説明すると…… 病気のリスクとは,全体のうちでその病気を発症 する人の割合 病気のオッズとは,発症した人の発症していない 人に対する人数比 リスク比 リスク比は原因なし群のリスクに対する,原因あり群 のリスクの比。Risk Ratio, Relative Riskなどという。 全体のうちどれくらい発症するかという情報が必要な ので前向き研究でしか計算できない。 原因の有無と発症が無関係なら1。 2×2のクロス集計表で言えば, 発症あり 発症なし 曝露あり X m1-X m1 曝露なし Y m2-Y m2 n1 n2 N として, リスク比は,(X/m1)/(Y/m2) = (X*m2)/(Y*m1) オッズ比 オッズ比は原因なし群のオッズに対する,原因あり群 のオッズの比。Odds Ratio。 オッズは比なので,断面研究でも患者対照研究でも 計算でき,しかもそれらが数学的に一致する。 原因の有無と発症が無関係なら1(RRと同様)。 2×2のクロス集計表で言えば, 疾病あり 疾病なし 曝露あり a b m1 曝露なし c d m2 n1 n2 N として, オッズ比は,(a/b)/(c/d) = (a*d)/(b*c) 関連性の指標の意味 オッズ比はリスク比の良い近似となる。稀な疾患の 場合(一般化していえば,「注目している事象が起こ る確率がきわめて低い場合」)は,患者対照研究に よってオッズ比を求める方が効率が良い。 オッズ比やリスク比が統計的に有意かどうかは,そ の95%信頼区間が1を含むかどうかで決まる。95%信 頼区間は対数変換して正規近似で求めるのが普通 その他の関連性の指標としては,リスク差,相対差, 曝露寄与率,母集団寄与率,YuleのQ,ファイ係数な どが用いられる。 同じ質問を繰り返して行った場合に同じ答えが返っ てくるかどうかを見るにはκ係数を使う。
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