海上の安全 http://www.naoe.eng.osaka-u.ac.jp/~hase/education/ から「海上の安全」をクリック 平成22年度 地球総合工学特論 7/7担当 長谷川和彦 まずは予備知識として… 船の種類 • • • • • • • • • タンカー LNG船、LPG船 バラ積み船 木材運搬船 コンテナ船 自動車専用運搬船 RO/RO船、カーフェリー 客船 などなど タンカー(Crude Oil Carrier) 液化天然ガス運搬船(LNG Carrier) 液化温度-162℃、低温脆性、モス方式、メンブレン方式、アルミニウム溶接 液化プロパンガス運搬船(LPG) 液化温度-42℃ バラ積み船(Bulk Carrier) コンテナ船 コンテナ船 自動車専用運搬船(PCC) 客船 全没型水中翼船 SWATH型双胴船 SWATH(Small Waterplane Area Twin Hull ship) ホーバークラフト Hovercraft 海上の安全に係わること • 船の転覆、沈没【波、風、自然の驚異(荒天、 津波)、船舶の安全性基準 】 • 船の衝突、座礁【交通密度、航路整備、 ヒューマン・エラー、船舶の性能】 • 船の火災、荷役上の事故、荒天中の荷崩れ • 海上の保安(テロ、領海侵犯)、海賊問題 • バラスト水問題などによる新たな問題 • 海上汚染【2次災害、環境問題】 海の航行ルールと実態 衝突 その結果 あるいは(マラッカ海峡) 荒天中の船舶事故 座礁 その結果 (イギリス シェトランド諸島) 構造上の問題による事故 その結果 荒天による転覆、遭難 その結果 しかし、悪天候でなくても事故は起こる 実験 結果 火災 テロ(アラビア半島沖) High Risk Areas 2008 何の図? Comparative Index NIGERIA INDONESIA INDIA BANGLADESH TANZANIA • マラッカ海 峡は、月に 10件の多 発海域 • インドネシ ア海域で年 約100件、 うちマラッカ 海峡で約20 件。月平均 で10件。 • 最近はソマ リア沖が有 名 海賊 アロンドラ・レインボー号事件 • 海賊がわが国で大きな社会問題として取り上げられるきっか けとなったのは、1999年に発生したアロンドラ・レインボー号 事件である。10月22日、日本の三池港に向けてインドネシア のクアラタンジュン港を出港したA・レインボー号(7700トン、 日本人2名を含む17名乗り組み、アルミインゴット7,000トン (20万ドル、時価200億円以上積載)が海賊に襲われ、消息 不明となり、乗組員は老朽船に移されて監禁された後、10日 間救命筏で漂流し、タイの漁船に救助された。同船は、船名 を偽造し、船体を塗り替えてインド西方を航行中のところを 11月16日インド沿岸警備隊により捕捉された。 Alondra Rainbow 本来国民を守るべき…. 自衛艦の事故 が多発 すべては、 Titanicの悲劇から始まる 失敗事例(Titanic号沈没事故) 事例発生日付 1912年04月15日 事例発生地 マサチューセッツ州ボストンの真東1610Km、ニュー ファウンドランド、セント・ジョンズ沖604Km。 事例概要 不沈の船と呼ばれていた豪華船T号がイギリスから アメリカのニューヨークへ向かう途中、氷山に追突し、 沈没した。氷山の存在が2度に渡り警告されていた にも関わらず、減速もしなかった。氷山を発見した際 に減速して舵を切ったが、船腹が衝突し、また低温 のために船体の金属特性がもろくなっていたので船 体が2つに割れて沈没した。救命ボートも不足してお り、救助の知らせを発するのが遅れたため、多くの死 者が出た。 失敗事例(Titanic号沈没事故) 経過 不沈の船として世界中から注目を浴びながら、1912年4月10日に T号は処女航海に出発した。予定より一ヶ月遅れで、出発時間も 一時間遅れていた。2度氷山の警告を受けたが、深刻に受け止め なかった。減速もせずに航海を続行。14日の11:40、氷山を450m 手前で発見。減速しながら舵を切ったが船腹をなでるように氷山 をかすめた。その際には衝突に気付かなかった乗客もいた。その 後多数区画の損傷により大量の浸水。0:14に初めて救難無線を 発す。56海里離れたカルパチア号が受信し、救助に向かった。0: 44信号灯を打ち上げたが、近くにいたカリフォルニア号は救難信 号とは受け取らず、救助にも向かわなかった。そして2:20沈没。カ ルパチア号は4:10頃到着。 原因 氷山に衝突したことがこの事故の直接な原因であるが、氷山の衝 突にいたった原因としては、2度にもわたる警告を無視したこと、 出航が一ヶ月遅れたために流氷が増えた事、夜間であったために 視界が悪く、監視に双眼鏡が使われていなかったことなどがあげ られる。また、多くの死者を出した理由としては、救命ボートの数 が不足していたこと、すぐに救難信号を発しなかったこと、近くにい たカリフォルニア号が無線を切っていたことや信号灯の意味を理 解していなかったことなどである。更に、船体の成分はPとSが多く、 低温ではもろくなりやすい状態であった。そのために船体が割れ、 急速に沈没してしまったと思われる。 失敗事例(Titanic号沈没事故) 背景 処女航海で大西洋横断の最短記録を目指していた 為、警告を受けても減速できないプレッシャーがあっ た。また、不沈の船ともいわれており、偽りの安心感 が与えられていて、この船が沈没するとは、誰も想像 できなかった。この時代はまだ鉄の延性などの詳し い情報が広まっておらず、天気予報やレーダーの無 い時代で、さらに夜間に高速航海していたので、事 故の予見は困難であったと思われる。ただし、救命 ボートを充分に積み込むなどの安全対策をしておれ ば、死者の数はもっと少なくなっていたと思われる。 死者数 1517 名 生存(負傷)者数 706 名 物的被害 T号及び乗船していた富豪たちの貴金属、持ち物、 車、美術品など数々の物品 社会への影響 不沈の船と呼ばれていた豪華船T号の沈没は、人々 に大きなショックを受けた。 SOLAS条約 The International Convention for the Safety of Life at Sea 海上における人命の安全のための国際条約 • SOLAS条約は、1912年(明治45年)、北大西洋 ニューファウンドランド沖で発生した英国籍旅客船タ イタニック号(総トン数46,328トン)の海難事故を契 機とした、船舶の安全性確保に関する条約。 。 • 船舶の安全確保のため救命艇や無線装置の装備 等の規則を定める条約が1914年に締結。これが初 のSOLAS条約であるが、第一次世界大戦の影響で 発効には至らなかった。 • 1914年条約に新たな安全規制を追加するなどの修 正を加えた条約が1929年に締結され、1933年に発 効した。その後も1948年および1960年に改正条約 が結ばれた。 SOLAS条約 The International Convention for the Safety of Life at Sea 海上における人命の安全のための国際条約 • IMO(International Maritime Organization、 国際海事機関)が扱う国際条約 • その後、重大な海難事故が発生するたびに 。 改正されて今日に至っている。 • 現行のSOLAS条約は、1974年11月に採択 され、1980年5月に発効したもので、平成12 年12月現在の締約国数は141カ国、世界の 船腹量に占める割合は、約98%。 SOLAS条約 The International Convention for the Safety of Life at Sea 海上における人命の安全のための国際条約 • その後30回以上にわたり改正を経ているが、最近 では2001年のアメリカ同時多発テロを契機に2002 年に改正が行われ(改正SOLAS条約)、テロ対策と して港湾関連施設についても侵入防止等の保安対 策を強化することが義務付けられた。改正の主な趣 。 旨は… 1. 船舶自動識別装置(AIS)の早期導入 2. 船舶識別番号の表示 3. 履歴記録の備え付け 4. 保安計画の策定等 5. 警報装置の導入 6. 寄港国による監督措置 失敗事例2(Sea Empress号座礁事故) 事例発生日付 1996年02月15日 事例発生地 英国南西部 、ウェールズ 事例概要 リベリア籍の大型タンカー、S号が、 英国南西部 、ウェールズのミル フォードヘイブン港外で座礁し、積載 していた全原油147,000トンを流出し た。安い労働力を採用したタンカーの 乗組員の中に英語を話す者がおらず、 救助隊との通信ができなかったことが 要因している。 失敗事例2(Sea Empress号座礁事故) 経過 スペインの造船所で建造、ノルウエーの船社が所有、 キプロスで登録され、イギリスの船舶管理会社の管 理下、フランスの会社がチャーターし、ロシア人の乗 組員、そしてリベリア船籍のタンカー、S号がイギリ ス・ミルフォード・ヘブン港外の岩礁に衝突し、積載し ていた約半分の7万トンの軽質原油がアイルランドの 海に流出した。その後救助隊の引率で真中に立ちは だかっている岩礁を西側から回避しようとしたところ、 東に流れる強い波に押されてもう一度岩礁に衝突、 147,000トンの全原油が流出した。 原因 運営コストを下げるため、安い労働力 を採用したタンカーの乗組員の中に 英語を話す者がおらず、救助隊との 通信ができなかった。 失敗事例2(Sea Empress号座礁事故) 問題点 Sは、イギリス、スペインなど合計8カ 国が関わっており、どの国が事故責 任を負うか決断が難航した。 死者数 0名 生存(負傷)者数 0名 物的被害 2448匹の鳥が死亡(1996年3月統 計) 。 664万ドル、ミルフォードヘイブン港が 英国政府に要求している賠償金額 社会への影響 船舶の国際性と運航形態による 責任の所在の特殊性 • • • • • • • • 旗国(Flag State)と寄港国(Port State) 船舶の所有者(Ship Owner、船主) 船舶の運航者(Shipping Company) 船舶の荷主(Client) 船舶の管理会社(Ship Management Company) 船長(Captain)の無限責任 水先案内人(Pilot) 乗組員の国籍 対策 • • • • • 国際法と国内法 民法と刑法 船級協会(Classification Society) 船舶保険 などなど タンカーによる主な油汚染事故 年 船名 旗国 汚染被害国 流出量 (トン) 1967 トリー・キャニオン リベリア イギリス・フランス 119,000 座礁 1972 シー・スター 韓国 オマーン 120,000 衝突 1976 ウルキオラ スペイン スペイン 100,000 座礁 1977 ハワイアン・パトリオット リベリア アメリカ 95,000 破損 1978 アモコ・カディス リベリア フランス 223,000 座礁 1979 アトランティック・エンプレス ギリシア チリニダード・トバゴ 287,000 衝突 1979 インデペンデンタ ルーマニア トルコ 95,000 衝突 1983 カストロ・デ・ベルバー スペイン 南アフリカ 252,000 火災 1988 オデッセイ ギリシア カナダ 132,000 破損 1989 エクソン・バルディス アメリカ アメリカ 37,000 座礁 1991 ABT サマー リベリア アンゴラ 260,000 火災 1993 ブレア リベリア イギリス 85,000 座礁 1996 シー・エンプレス リベリア イギリス 72,000 座礁 1997 ナホトカ ロシア 日本 6,200 破損 1999 エリカ マルタ フランス 20,000 破損 2002 プレステージ バハマ スペイン 63,000 破損 注)流出量は ITOPF 資料等による。ナホトカの流出量は海底沈没部分の貨物油を含まない。 事故 内容 船名 タンカーによる主な油汚染事故 プレステージ エリカ ナホトカ シー・エンプレス ブレア ABT サマー エクソン・バルディス オデッセイ カストロ・デ・ベルバー インデペンデンタ アトランティック・エンプレス アモコ・カディス ハワイアン・パトリオット ウルキオラ シー・スター トリー・キャニオン 0 50,000 100,000150,000200,000250,000300,000 流出量 (トン) 注)流出量は ITOPF 資料等による。ナホトカの流出量は海底沈没部分の貨物油を含まない。 話は変わって、 船の操舵室または船橋 (Wheel House or Bridge) 船舶の操船の特徴 • 24時間3交替勤務 • 右側通航と右側優先の原則 • バックミラー、方向指示器がない • ブレーキがない 船舶の事故の統計 (種類別) 機関故障 9% その他 10% 衝突 38% 乗揚 19% 遭難 24% 船舶の事故の統計 (原因別) 当直不適切 3% その他 14% 操船技術拙劣 3% 見張不十分 33% 航法不遵守 47% 授業の資料とレポート課題 授業資料のパワーポイント http://www.naoe.eng.osakau.ac.jp/~hase/education/から「海上の安全」をク リック 授業のレポート課題 • 海上の安全に係わる問題の一つを取り上げ、授業で 聞いた内容をもとに考えるところを書け。 • その際、参考にしたWebサイトや参考文献があれば、 無断引用せずに参考文献として引用すること。
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