日商3級(簿記入門~合格) 第2編 勘定科目 制作:西村昭一郎 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 商品900円を仕入れ、代金は現金にて支払った。 借 商 方 品 貸 900 現 方 金 900 上記商品のうち300円を450円で売上げ、代金は現金にて受け取った。 借 現 方 金 貸 450 商 方 品 300 商品売買益 150 上記商品のうち300円を450円で売上げ、代金は現金にて受け取った。 借 現 方 金 貸 450 商 方 品 300 商品売買益 150 上記商品のうち300円を450円で売上げ、代金は現金にて受け取った。 借 現 方 金 貸 450 商 方 品 300 商品売買益 150 900円で仕入れた商品を3回に分けて売上げ、450円(150円×3)の利益を得た。 この利益が簿記の記帳で非常に大切である。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 借 方 貸 方 商 品 300 現 金 300 現 金 450 商 品 300 商品売買益 150 商 品 300 現 金 300 現 金 450 商 品 300 商品売買益 150 商 品 300 現 金 300 現 金 450 商 品 300 商品売買益 150 1年に3回だけ売上げをしている商店なら何ら問題はない。 たまにしか売上しない商店等は売上の都度その商品の売買益を計算するべきであ る。 では1日に500個売上げしている商店はどうすべきか? 商売人は原価は隠しておくものである。 1日に500回帳簿から原価を調べて毎回商品売買益をしなければならないものか? 年末にまとめて商品売買益を計算できないか? その記帳方法が次に説明する3分法という方法である。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 商品を300円で仕入れたとき、商品という資産の増加であるから借方商品である。 その商品が450円で売れるとどうなるか? その商品300円という資産が消滅して費用となる。 そのかわり売上という450円の現金収入がある。 このことを売上の都度利益計算をする仕訳が 借 現 方 金 貸 450 商 方 品 300 商品売買益 150 売上げた時、貸方を「商品」と「商品売買益」に分けて記入するから分記法という。 そうせずに、商品を仕入れたとき借方「仕入」としておき 借 仕 方 入 貸 300 現 方 金 300 売り上げた時、貸方「売上」とする。 借 現 方 金 貸 450 売 方 上 450 決算の時にまとめて仕入と売上の差額を計算し利益計算をする。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 分記法 3分法 借 方 貸 商 品 300 現 金 450 商 品 300 現 金 450 商 品 300 現 金 450 現 方 借 貸 方 方 金 300 仕 入 300 現 金 300 品 300 現 金 450 売 上 450 商品売買益 150 仕 入 300 現 金 300 商 現 金 300 現 金 450 売 上 450 品 300 仕 入 300 現 金 300 商品売買益 150 現 金 450 売 上 450 商 現 商 金 300 品 300 商品売買益 150 分記法は売上の都度商品売買益を計算 し、決算時にその商品売買益を合計する。 150+150+150=450 3分法は売上の都度商品売買益を計算し ない。決算時に仕入勘定を合計する。 300+300+300=900 これがすべて売れて消滅し費用となった分 (=売上原価)である。 そして、売れ分の売価は売上勘定で処理し、 決算時に合計する。 450+450+450=1,350 この1,350円が収益である。 収益(1,350)-費用(900)=450 分記法と同じ結果が計算できる。 ただし、仕入れた商品が全部売れたとい うことを前提としている。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 仕入れた商品について期末(決算時)に売れ残りが生ずるのが通常で ある。 仕入れた商品は 売れて費用化した分(=売上原価=仕入勘定のまま) 仕入 売れ残り分(=期末商品=繰越商品) 仕入-繰越商品(売れ残り分)=売上原価(売れた分) 一般的には、商品勘定を次の3つの勘定科目に分割するから3分法と 呼ばれている。 仕入 商品 売上 繰越商品 記帳上の利点は商品売上げの都度商品売買益を計算しなくてよい! 期末における商品売買益=売上総利益の計算は決算のところで説明 する。 商品を仕入れたら借方仕入、商品を売り上げたら貸方売上と覚える。 ここで問題9 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 1個10円の商品を10個仕入れ、代金は後日支払うことにした。商品 勘定は3分法による。 借 仕 方 貸 方 入 100 買 掛 金 100 上記商品のうち、1個が品違いであったので返品した。 借 方 貸 10 方 10 1個仕入れるのをやめたということであるから、仕入をその分(10円) 減少させる。 仕入勘定は仕入れたとき借方に記入するから、減少させるときは反対 側の貸方に記入する。 仕入をやめた分代金を支払わなくてもよくなるから買掛金(10円)を減 少させる。 買掛金は負債であるから、増加したら貸方、減少したら借方 つまり返品した分だけ仕入れた時の仕訳の逆の仕訳をする。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 1個10円の商品を10個仕入れ、代金は後日支払うことにした。商品 勘定は3分法による。 借 仕 方 貸 方 入 100 買 買 掛 掛 金 金 100 上記商品のうち、3個に汚損があったので1個につき3円の値引きを受 けた。 借 方 貸 方 9 9 1個につき3円の値引きであるから、3円×3個=9円仕入金額が減少 する。 仕入勘定は仕入れたとき借方に記入するから、減少させるときは反対 側の貸方に記入する。 値引きを受けた分代金を支払わなくてもよくなるから買掛金(9円)を減 少させる。 買掛金は負債であるから、増加したら貸方、減少したら借方 つまり値引きを受けた分だけ仕入れた時の仕訳の逆の仕訳をする。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 商品10個を1個20円で売上げ、代金は後日受け取ることにした。商 品勘定は3分法による。 借 方 貸 方 売 掛 金 200 売 上 200 上記商品のうち、1個が品違いであったので返品された。 借 方 貸 20 方 20 1個売るのをやめたということであるから、売上をその分(20円)減少 させる。 売上勘定は売ったとき貸方に記入するから、減少させるときは反対側 の借方に記入する。 売上をやめた分代金を請求できないから売掛金(20円)を減少させる。 売掛金は資産であるから、増加したら借方、減少したら貸方 つまり返品された分だけ売上げた時の仕訳の逆の仕訳をする。 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 商品10個を1個20円で売上げ、代金は後日受け取ることにした。商 品勘定は3分法による。 借 方 売 売 掛 掛 金 金 200 貸 方 売 上 200 上記商品のうち、3個に汚損があったので1個につき6円値引きした。 借 方 貸 18 方 18 1個につき6円値引きしたであるから、6円×3個=18円売上金額が 減少する。 売上勘定は売ったとき貸方に記入するから、減少させるときは反対側 の借方に記入する。 値引きした分代金を請求できないから売掛金(18円)を減少させる。 売掛金は資産であるから、増加したら借方、減少したら貸方 つまり値引きした分だけ売上げた時の仕訳の逆の仕訳をする。 ここで問題10 第2編 勘定科目 第1章 分記法と3分法 1個10円の商品を10個仕入れ、代金は掛け(=後日支払)とした。なお、引取運賃5円 を現金にて支払った。商品勘定は3分法による。 借 ダメ 仕 方 入 引 取 費 貸 100 105 5 方 買 掛 金 現 金 100 5 商品を仕入れたら借方仕入10円×10個=100円 代金100円は掛けとしたから貸方買掛金100円 現金5円支払ったから貸方現金5円 借方仕入100・引取費5としてはいけない。 この商品が120円で売れた場合、利益は20円であろうか?15円であろうか? 仕入100円とすると、売上120-仕入100=利益20となる。 しかし、この商品を手に入れるためには、100+5=105の支払いが必要であった。 本当は、120-105=15の利益しか得られない。 その15円の利益計算できるためには、仕入代金100円と引取費5円を合計して仕入105円 としなければならない。 引取費は仕入に含めると覚える。
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