売掛債権担保融資保証制度 経済産業省は、先の臨時国会において中小企業信用保険法を改正し、中小企業者が売掛先に対 して保有している売掛債権を担保として金融機関が融資を行う場合に、信用保証協会が保証を行 う制度を創設しました。本制度は平成13年12月17日(月)から受付を開始しています。 <本制度のスキーム> 中小企業者 売掛債権 売掛先 売掛先 売掛先 売掛先 融 資 担保設定(譲渡担保) 金融機関 保証(部分保証) 信用保証協会 (根保証方式・個別保証方 式) ●利用対象者 従来の信用保証協会の利用可能な中小企業者の範囲と同じです。 事業者に対する売掛債権を自らが保有していることが必要となります。 ●実際の融資内容 ・融資希望額、売掛債権の状況等により中小企業者ごとに借入極度額が設定され、 その範囲内で1年間反復して融資を受けることが可能となります。 ・本制度で設定可能な借入限度額は、1億1100万円までです。 (*なお、申込後金融上の審査があるため、無条件で保証を受けられるわけではありませ ん。) ■本制度の流れ ①-1 申込時の注意事項 ●売掛先との取引状況のモニタリング・口座管理が重要となるので、すでに取引のある金融機関 を通じて申し込んでいただくことが原則となります。 ●この制度を利用できる信用保証協会はひとつに限られます。 ①-2 申込に必要な書類(本制度で特に必要となる主な書類) 通常の保証申込書、決算書等の書類に加え、以下のような書類を用意していただきます。 ・債権譲渡担保対象売掛先一覧表(金融機関記入) ・債権譲渡担保対象売掛先明細書(基本取引契約書(写)がある場合には添付する) ・売掛先との過去の取引状況を示す書類 (過去の納品書・契約書、代金振込がわかる口座明細書等) ①申込み ②審査・保証承諾 ③事前準備 ②対象となる売掛債権の種類 売掛金債権・割賦販売代金債権・運送料債権・診療報酬 債権・工事請負代金債権 等 (売掛先となる事業者に支払いを請求できる状態となる ものが対象となります。) ※譲渡禁止特約のついた売掛債権は対象となりません。 (譲渡担保に提供する場合には、譲渡禁止特約を解除 する手続きが必要となります。) 売掛先ごとに売掛債権の担保評価(掛け目)が異なります。 ③保証承諾後、融資実行までの注意事項 ●信用保証協会からの保証書をもとに、金融機関は売掛先ごとの掛け目(上限)を通知します。 ●譲渡担保契約書および特約書を締結します。(保証協会指定の様式を利用) ●中小企業者は返済専用口座を開設する必要があります。(根保証方式) ●実行までに、売掛債権を譲渡担保とするために第三者対抗要件の具備が必要となります。 (①売掛先の異議なき承諾、②売掛先へ確定日付のある通知、③債権譲渡登記のいずれか) ●根保証の場合、保証期間(1年間)の始まりは、第1回の融資実行日となります。 本制度の流れ■ ④-1 借入時に必要な書類 ・個別借入申込書(保証協会指定の書類) ・借入用の手形(単名手形) ・借入に当たって具体的に担保となる売掛債権の存在を証明する書類(原本でなくても可) (納品書、検収書、売掛先の支払通知書等、信用保証協会・金融機関より必要とされた書類) ④ー2 借入時の留意点 ●借入を行うには、返済見合いとなる売掛債権が既に発生している必要があります。 ●小口または期日が近い複数の売掛債権を束ねて担保提供することも可能です。(根保証方式) (入金期日が1ヶ月以内で、借入実行額が1,000万円を超えないことが条件となります。 また、この場合、複数の売掛先に対する売掛債権をひとつに束ねてもかまいません。) ●借入用手形の期日は、売掛先からの入金予定日に指定します。(期日一括支払) ただし、複数の売掛債権を束ねている場合には、個々の債権の入金予定日に順次返済がおこな われる(随時弁済)こととしてもかまいません。 ④融資実行 ⑤期中管理 ⑥事後管理 ⑤期中管理その他 ●個々の借入時または保証当初に、金融機関所定の 担保管理手数料が必要となる場合があります。 ●譲渡担保の対象となっている売掛先への売掛残高 を毎月金融機関に報告する必要があります。 (毎月末締め、翌月10日までに報告が必要) ⑥事後管理その他 ●入金予定日に、現金ではなく手形で売掛先から支払いを受けることが予定されている場合には、 その手形を担保として差し入れることで、手形決済日まで新たな融資を受けることができます。 ●売掛先からの入金によって個々の借入を返済した後の余剰金は、他に延滞が発生している等の 一定の事由がない限り(特約書に規定)、自由に利用することができます。 ●延滞の発生、第三債務者の破綻など一定の事由が発生した場合には、その程度に応じて、 ①本制度による新規貸出の停止、返済専用口座からの出金停止(口座のロック) ②登記・通知留保の場合には、金融機関から売掛先に対して債権譲渡を受けている旨の通知 ③売掛先に対して、金融機関に直接売掛金を入金してもらう旨の依頼通知 がおこなわれることになります。(これも特約書に規定があります。)
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