14A・文化の変化について考える

14A・文化の変化について考える
2011.10.18. 青山・文化人類学
14A・文化の変化について考える
これまで見た映像
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1950-60年代の東京
1958年の新潟農村
1950年代後半のニュース映画
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現在とのずれ・偏差、地域間でのずれ・偏差
「同じ方向」をひとびとがめざす感覚
「お金を出して余暇を得る」という考え方
「購買消費」型の生活スタイル
1995-96年の水窪・大沢集落のくらし
2009年の水窪・大沢集落のくらし
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「自給自足」型の生活スタイル
古くからの文化を「守る」ということ
親子や地域のつながりを飛び越えた「文化の継承」
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1950-60年代の変化
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日本史では1868年・1945年が日本の政治制度の大変革
期として挙げられるが、ふつうのひとびとの生活に注目
すると、1890-1900年代と、1950-60年代が大きな変
化の時代にあたるといえる
1890-1900年代は、国民国家を支える諸制度(学校教育、
新聞/郵便メディア、鉄道交通、地方制度、軍事制度な
ど)がほぼ国の隅々まで行き渡った時期
1950-60年代は、生活の自給自足的な部分の比率と購買
消費的な部分の比率が逆転し、大量生産・大量消費型社
会へと転換した時期
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〈変化〉を前提に考えてみる(1)
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囲炉裏を見て
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衰退する農業を見て
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(昔) なんて汚くて効率の悪い調理のしかただろう
(今) なんだか懐かしいなあ、和むなあ
(昔) もうからないんだから、みんな都会に出るさ
(今) なくなってしまうのは残念だ、残せないだろうか
民謡や盆踊りについて
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(大昔) いやあ、楽しいなあ
(昔) やっぱりマンボでしょ、ロカビリーでしょ
(今) 伝統だから(ほんとはつまんないけど)残さなきゃ
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〈変化〉を前提に考えてみる(2)
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テレビを見て
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冷蔵庫について
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(昔) ああ、東京はこんななのか、憧れるなあ
(今) とりあえずつけてるけど、別に真剣に見てないし。
(大昔) わざわざ氷を買って冷やすなんて、不経済だ
(昔) これで肉や魚料理を作って食べられるぞ
(今) 最新型の500㍑・急速冷凍・栄養増加機能付き・保温機能付
きの冷蔵庫がほしいわ
ぎゅうぎゅう詰めのファッションショーを見て
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(昔) よく見えないわ、だけどちょっとでも見て覚えて、あとで自
分で作れるようにしなくっちゃ
(今) なにこの熱気は。ありえない。でもすごい。
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〈変化〉を前提に考えてみる(3)
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「豊かな生活」について
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(大昔) 昔からこの暮らしをしてきたんだから、今もこれからも、この暮
らしをするのがあたりまえだ
(昔) どんどん働いてどんどんモノを買って、それで豊かになるのがめざ
すべきことだ
(今) 確かにモノはあふれているけれど、なにかを忘れてきてしまったの
ではないか
「ひとびとのつながりが濃い」ことについて
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(大昔) 昔からこの暮らしをしてきたんだから、今もこれからも、この暮
らしをするのがあたりまえだ
(昔) なんでもかんでも周りのひととつながっているのは、煩わしいなあ、
ドライな都会の人間関係にあこがれる
(今) 昔のひとのつながりに温かさを感じる、わたしたちはなにかを忘れ
てきてしまったのではないか
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自給自足と大量消費
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生活文化の変化の背景にあるのはなんだろうか?
1950-60年代を境に、それまでの自給自足型生活から大
量消費型へと転換したことが最大の要因
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自給自足生活とその崩壊
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自給自足の生活とはどんなものだろうか?
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100%の自給自足は、原始人まで遡らなければいけない
参考資料:1930年代秋田農村吉田さんの家計簿・献立表
つまるところ、自分の食べるものを作るために、ほとんどすべて
の労働と時間を費やすのが自給自足型生活……cf. 前期の最初に見
た民族誌フィルムの各民族の暮らし
自給自足を崩す要因はなんだろうか?
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大きなインパクトの一つは、明治初年の地租改正による貨幣経済
の浸透
もう一つは「便利さ/効率性」への欲求=余暇の追求……cf. 囲炉
裏に対する価値観の変化
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大量消費
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大量消費型生活の特徴はなんだろうか?
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「手間暇かけて自分でやる」から「できあいのものを買って済ま
せる」へ →余暇を得るために働く
メディアの浸透によって、全国どこでも同じようなものを欲しが
り、流通の発達によって、またそれが手に入れられるようになっ
た →画一化の進行(概ね1980年代に完成)
一方で、失われたものを惜しむ気持ちが芽生え始める →ノスタ
ルジア
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授業内課題
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レジュメ14Bにおいて、吉田家で購入されている食品、
売り上げ=生産している野菜のデータをもとに、夏頃の
吉田家の一日の食事のメニューを推測して、インプレッ
ションペーパーの裏に書いてください。
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例)朝=ごはん+○○のみそ汁+……
昼=……
夜=……
おやつなど=……