新しい伝送理論と ノイズ発生のメカニズム

新しい多導体伝送線路理論と
電磁ノイズ発生のメカニズム
ーノイズを物理にするー
土岐博(RCNP/Osaka)
佐藤健次(NIRS/Chiba)
09.3.6
toki@KEK
1
直流で大電力の電源
 サイリスタ電源
無効電力が大きい
サイリスタ
 IGBT電源
IGBT
高周波ノイズ
09.3.6
toki@KEK
2
HIMAC方式(佐藤電源加速器回路)
対称にすれば良い
電源
ノイズフィルター
09.3.6
磁石(負荷)
toki@KEK
10
5
~ 10
6
3
ノーマルモード(I+J)のみの電流を使った磁石
コモンモード(I-J)を使わない
09.3.6
toki@KEK
4
何故,佐藤電源回路は良いのか
U 2  V2  0
・対称性は何を意味するか
・中心線は何を意味するか
・電源の中心点は何を意味するか
09.3.6
toki@KEK

5
対称回路理論
K.Sato and H.Toki, NIM A565 (2006) 351
和の量:ノーマルモード(使う部分)
差の量:コモンモード(使わない部分)−悪の根源
09.3.6
toki@KEK
6
非対称の場合はノーマルモードと
コモンモードが結合
Zu
Zd
非対称の場合にはノーマルモードとコモンモードは結合する
09.3.6
toki@KEK
7
対称基本回路
ZR
09.3.6
Z  jL
Z  1 j C
toki@KEK
8
ノイズフィルター
ノーマルモードのフィルターは
完璧09.3.6
toki@KEK
9
佐藤電源回路を簡単に計算出来る
(2x2の行列の計算)
 負荷を対称の位置に配置する
 電源の中点に中心線を繋ぐことが大事
 フィルターはノーマルモードにもコモンモードに
も同じように働く
ノーマルモード
コモンモード
 何故,佐藤回路がベストなのかは不明
09.3.6
toki@KEK
 何故,わざわざ三本線にするのかは不明
10
伝送理論の構築(ノイズを物理にする)
 J-PARCの電磁ノイズは何が原因なのか
 IGBTは高周波ノイズを発生する
 どこから電磁ノイズが発生するのか
 IGBT電源を加速器で使うにはどうするのか
 電磁ノイズのない環境の構築
 。。。
コモンモードが存在する?
I
IGBT
09.3.6
ノイズ
負荷
J
toki@KEK
I  J??
11
環境にある電荷と電気回路
真空
電荷
E
地表
環境にある電荷は周りの影響を受けている
環境にある回路は周りの影響を受けている
09.3.6
toki@KEK
E
12
‘最も’簡単な回路
V1 I1
電源
負荷
V2 I2
電場
磁場
地表面
09.3.6
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13
3導体伝送線路理論
2本線
V1 I1
I1+I2+I3=0
~
V2 I2
環境線
V3 I3
連続方程式
静電容量 C
ファラデーの法則
インダクタンス L
09.3.6
C.R. Paul
toki@KEK
14
ノーマルモードとコモンモード
電位係数 P
ノーマルモード
コモンモード

Vn  V1  V2
1
In  (I1  I2 )
2
I  I  I  I
1
Vc  (V1  V2 ) V3
c
1
2
3
2



09.3.6
PC
toki@KEK
15
1
二つのモードの連立偏微分方程式
静電容量で直接計算出来ない。電位係数の物理である
CとLの表現は大きく違ってくる
09.3.6
toki@KEK
C  P 1
16
対称性が良い時
P11=P22およびP13=P23の時(太さが同じ,3への距離が同じ)
同軸ケーブルは良くない
ノーマルモードとコモンモードが分離する
どちらも光の速度で伝わる
09.3.6
toki@KEK
L
1
   2
P 17
c
電位係数と誘導係数
クーロンの法則
アンペールの法則
Extended Neumann’s law
a1
09.3.6
a2
b
r r
1
2
toki@KEK
I  QÝ18
誘導係数の計算
r2
I1
d
I2
  l
r1
l  d

Geometrical mean distance (GMD)

09.3.6
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19
インダクタンス係数は長さを含む
電位係数の計算
電荷分布は電流分布と一致する
I  QÝ
Neumann’s formula

他の係数も全く同じように計算出来る:LとPの統一
Pij 1

 c2
Lij 
09.3.6
特性インピーダンス
toki@KEK
Pij Lij  Zij2
20
1本でも計算出来る(アンテナ)
さらにすごいのは物理的なLやPは長さを含まない
(全ての係数が有限の大きさで有り微分方程式が完全に決定される)
1
1
a˜ 2 d˜12
Pnc  (P11  P22 )  (P13  P23 ) 
ln ˜ 2
2
4 a˜1d2
 09.3.6
Pn
Ln  2
c
Lも全く同じ式で表現される
toki@KEK
21
3導体伝送線路の結合方程式
(係数は全て分っている)
特性インピーダンス
結合した時でも電気信号は光の速度で伝わる!!
3本の導線の間で発生した電磁波で電気信号が伝わる
09.3.6
toki@KEK
22
新しい伝送線路理論で分ったこと
 伝送線の信号は電磁波で伝わる
 伝送線はアンテナ(送信)でありレシーバー(受
信)である
 コモンモードは環境と結合する
 地表に誘導起電力を生じる
 環境にあるあらゆる電荷とカップルする
 これが電磁ノイズとなる
 このノイズのフィードバックで自らもノイズを拾う
09.3.6
toki@KEK
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ノイズの原因
I
J
IJ
電磁波
空間に放出
あらゆる電荷と相互作用する

コモンモードは悪の根源
それでも,コントロールすると問題はない
09.3.6
toki@KEK
24
もう一本の伝導線路を挿入する
主線
アンテナ
1
r
受信線
もう一本の線

環境線
09.3.6
toki@KEK
25
それではいかにして電磁ノイズを無くすか
 3本目の線を電源と繋いでいる2本の線の
すぐ近くに持っていく
 3本目の線との間でコモンモードはほぼ閉
じる
 3本目の線を回路の中の中心線として取り
扱う
 3本目の線は主たる2本線で発生するコモ
ン電流を流す
09.3.6
toki@KEK
26
電磁波を回路内に閉じ込める
I
I-J
J
ここをつなぐ
3本目の線を回路の一部とする
そして負荷を対称の位置に配置する(コモンモードとノーマルモード
の結合を切る)
高周波成分を小さい空間に閉じ込めるためにフィルターを付ける
09.3.6
toki@KEK
27
理想的な回路(佐藤回路)
中心線を入れることでコモンモードがこの線と結合して回路が閉じる
負荷等を上下対称の位置に入れることによりコモンモードが独立する
フィルターを電源の近くに入れて高周波ノイズを閉じ込める
09.3.6
toki@KEK
28
結論
 3導体伝送線路理論を完成させた
 偏微分方程式の係数の全てを電位係数を使って
計算した(Cでは計算出来ずPが重要であること
に気がついた)
 3導体の対称性が崩れた時でもエネルギーは光
の速度で伝わる
 コモンモードは電源から必ず生じ、そのエネル
ギーは電磁波として放射される
 伝導線はアンテナであり,受信機である。
09.3.6
toki@KEK
29
結論(2)
 電流の和を0にすることで回路は閉じる
 電流の和が0ではない時には電磁波がコモ
ンモードとして放出される(アンテナ理論)
 従って,回路を閉じ,自らの中でつくられるノ
イズは回路内で閉じ込めて使わないように
する(コモンノードの閉じ込め)
 2本線を3本線にするのが良い
09.3.6
toki@KEK
30