採点のガイドライン

採点のガイドライン
追加情報があるので、必ず全文読
んで下さい!
2011年1月13日
松尾 慎
重要事項!
• 教案課題の提出方法が変更になりました。
• この採点のガイドラインをしっかり読んで、来
週の授業までに自己採点して、来週の授業
で提出して下さい。
• 教案は返却しないので、自分の分はコピーを
取って手元に置いておいて下さい(将来、必
ずいい思い出になりますよ!)
重要事項
• ただし、教案の修正は認められません。
• 13日の授業が開始する前のものを自己採点
して下さい。
追加情報
• 教案に「はたらきます」、「べんきょうします」な
どを使用している学生がいますか?
• 「~は9時から5時までです」の文型の前に動詞
は導入されていません。ですから、動詞を使用
して「私は9時から6時まで働きます」などを授
業に取り入れている場合、進みすぎです。動詞
を導入した上で、活動に入れるなら、許容しま
すが、導入しないで使用する場合は大幅な減
点となります。
追加情報
• 授業後、教案を見せてくれた学生の教案に指示用語として「一枚目の紙」とか
「やってもらいます」などが載っていました。本人は「ジェスチャーをつけるの
で・・・」とのことでしたが、適切ではありません。「やる」という動詞は「する」よ
りもずっと後で習います。また、一枚目ということば、そんなに日常的に使うわ
けでもないですよね。もし、教師が使用したら「いちまいめ」の「いち」だけ聞き
とって「せんせい、いち・・・・は何ですか」と聞いてくるかもしれませんよ。皆さ
ん、どう説明しますか?(この教案を書いた学生、書いちゃってごめんなさい
ね!でも、直接お話したからきっと、ぐっと成長できると思うよ!)
• つまり、言いたいことはこの学生だけではなく、皆さんも意識しないまま、かな
り難解なことばを教案に使用している可能性があります。未習語彙は全部、
ダメとは言いません。ただ、OKなものとそうじゃないものをしっかり判断できる
ようになりたいですね。
• 目を皿にして再チェックして下さい。減点するためにじゃないです。実力を上
げるためです。
追加情報
• キューの不足
• これもある学生の教案ですが、絵カードとして銀行、デパート、
郵便局、図書館、美術館を準備しています。これはいいのです
が、基本練習で使用するときに「~さん、デパートは何時から何
時までですか?」と質問するとのこと。「何時って答えればいい
の?」と松尾が学生に質問しましたが、「何時でもいいです。そこ
までは考えていませんでした」との返事でした。同じような学生
が2名いました(やり取りはこの通りではありませんでした。学生
さん、すみません!)。学生は多分、混乱すると思います。「何時
でもいいです」はまだ理解出来ないと思います。ジェスチャーで
伝えるのもかなり大変でしょう。少なくともどう伝えるかを考えて
おく必要があります。
追加情報
• 何人かの教案を読みましたが、読んだだけでは活動が分から
ない箇所がありました。みなさん自身には分かっていてもこち
らには伝わらないものもありますよね。私が書いた教案でも皆
さんに理解できないものがあるのと同じです。
• 意味が分からない箇所を私がばっさ、ばっさと減点するのは
簡単ですが、本当はいい活動なのかもしれません。あるいは、
本当に訳の分からない活動なのかもしれません。全員と面談
する時間はないので、やはり、自分自身でしっかりと自己採点
をしてもらう必要があると思います。理解してもらえますか?
追加情報
• 自分で書いた教案に自分自身で赤を入れてコメントす
ることを推奨します。
• 来週(20日)、提出された教案を読んで、皆さんが、どの程度、
自分の教案に向き合ったかをチェックします。この点は、しっか
りチェックするので向上心のある学生はしっかりチェックして下さ
い。ただし、チェックしすぎて、どの箇所が松尾に伝えたい「向き
あったポイント」か分からなくなると困るので、「ここ重要なチェッ
クポイントです!!」とか「ここで重要な反省をしました!」とか松
尾の目を引く、印(記し)を書いておいて下さい。伝わらないもの
は読めないので、よろしく!
• 以下、採点のガイドラインを説明しますので、
自分自身で採点していってください。
前提
• 学習者はどのように座っていますか。机の配
置は?黒板や白板はどこにありますか。それ
を想定しましたか?
• これらによって授業は大きく影響されます。こう
した点を考慮しないで教案を作成した場合、全
体の得点から5点を減点します。考慮した度合
いによって減点を調節して下さい。逆に、完全
に想定してあった場合、ボーナス2点です(本
当は考えてあって当たり前なのですが)。
導入
• 10点満点
未習語彙
• 「はじまります」は未習です。
• 例えば、「日本の銀行は9時に始まります。日
本の銀行は9時からです」はダメです。
• 「行きます」、「帰ります」も未習(5課)です。
未習語彙
• 「日本の銀行は9時に始まります。日本の銀
行は9時からです」で導入した場合は、「始ま
ります」が理解されなければ、「から」の意味
が分からず致命的ですから0点です。
導入
• 口頭だけで「日本の銀行は9時からです。日本
の銀行は3時までです」はよくありません。これ
では、根本的に「から」と「まで」の意味が理解
されません。0点とは言いませんが、このタイプ
は8点減点です。
導入
• 一方で、「吉祥寺日本語学校の授業(教室用
語)は9時からです。吉祥寺日本語学校の授
業は4時までです」は、学習者全体に共有され
ている情報なので導入としてはありです。この
差は決定的です。
• 「吉祥寺のヨドバシカメラは9時半から10時ま
でです」は学習者全体に共有されているとは
限りませんので、これを導入の最初に使用し
た場合は、6点減点です。
導入
• ただし、銀行や図書館、ヨドバシカメラの絵
カードか文字カードとともに時間を書き添えた
ものを貼るなどして導入するなら、OKです。
学習者に伝わりますからもちろん減点はなし
です。
• 9:00~3:00
• 9:30am~10:00pm
こうしたカードを数枚準備している場合2点
加算(ただし、導入の満点は10点まで)
• 9:00~3:00
3点減点(分かりにくい)
• 9時から3時まで
許容範囲
• 9:00~3:00
• 9時から3時まで
板書
• ~時 から ~時 まで です。
• 日本の銀行 は 9時 から 3時 まで です。
• などの板書がなければ4点減点。学習目的が
「学習目的:大学進学のための準備」ですから、
文字でも理解、定着させる必要があります。
学習者の発話
• 教師だけが発話して導入が終わっている場合
は、3点減点。
• 理由:教師だけが発話したのでは、学習者が理
解しているかを確認できないからです。先ほど
の「ぎんこうカード」などを数種類準備して、学
習者に少し発話してもらうことで理解を確認す
るべきです。
基本練習
• 8点満点
基本練習
• 未習語彙を使用した場合は、減点。減点の程
度はケースバイケース。
発話
• 質問はすべて教師がしている場合、4点減点。
• 例:
– T:吉祥寺日本語学校は何時から何時までですか。
– SS:9時から4時までです。
– T:吉祥寺のヨドバシカメラは何時から何時までです
か。
– SS:午前9時半から午後10時までです。
発話
• 質問はすべて教師がしている場合、4点減点。
• 減点理由:理由は簡単です。学習者が質問す
る練習ができないからです。
• じゃあ、どうしたら学習者も質問する基本練習
になるのか?
発話
• 先ほど見せた絵カードを10枚ほど準備する。
• 最初の一枚目は教師が学習者に質問し学習
者に答えてもらう。2枚目からは学習者に渡し、
学習者に質問してもらう。
• 工夫が大切です。
繰り返し練習
• 教師主導の繰り返し練習だけになっている場
合5点減点。ほとんどが繰り返し練習の場合4
点減点。
• 理由:「から」と「まで」の違いを理解した上で
正確に言えるようになるための練習なので、
教師がすべてモデルを示した上で、発話する
のでは意味がない。
7点減点(基本練習の意味がない)
• 9時から3時まで
こうしたカードを数枚準備している場合2点加算
(ただし、基本練習の満点は8点)
• 9:00~3:00
口頭でのキューもOK
文字カード
• 9:30~7:00
• 8:00~6:00
• 9:00~3:00
• こうした意味のある文字カードを準備し
てある場合も2点加算。
発話
• 全体でのコーラスと個々の学習者へ当てるバ
ランスは?どちらかだけになっている場合は、
4点減点。
• 全体だけでは個々の学習者の理解が正確に
言えるようになったか分かりません。
• 逆に個々にあてるだけでは学習者の発話量
が下がります。
発話量の目安
• 最低でも、一人の学習者が「~は ~時から
~時までです」を10回は発話し、「~は 何時
から 何時までですか」を2回、3回程度は発
話していればOKです。ただし、そのすべてが
コーラスである場合は減点です。
• 一人あたりの発話量が上記の量より少ない
場合は、適宜減点して下さい。
活動の種類の目安
• 基本練習で必要とされる量を満たすためには、
少なくとも二種類の活動は必要だと思います。
多ければいいというわけでもないですが、基
本練習として一種類しか活動を考えていない
人は、減点して下さい。
基本練習における独創性
• 単純なパターン練習に終始しない工夫
• 学習者の国(出身地域)の学校の時間を発話
してもらう。
基本練習における独創性
• T:林さん、台湾の小学校(学校)は何時から何
時までですか。
• 林:台湾の小学校は8時から3時までです。
• T:(ジェスチャーをつけながら)林さん、サント
スさんに聞いて 下さい(教室用語)。
• 林:サントスさん、ブラジルの小学校は何時か
ら何時までですか。
• サントス:朝の小学校は7時から12時までです。
昼の小学校は1時から6時までです。
基本練習における独創性
• ちょっとしたことだが、意味のある伝え合いが
ある。
• こうした工夫がされている場合、2点加算。
(ただし、基本練習で最大8点まで)
• ただし、未習語彙満載の場合には加算なし。
応用練習
• 12点満点
応用練習
• 未習語彙、未習表現の使用は程度によるが
減点。ひどい場合には応用練習は0点。
前作業
• 必要なことを必要なだけ前作業をやっているか
どうか。
– モデル会話の提示と練習・・・例えば、AさんとBさん
の役割のうちAさんの役割だけしか練習しないとした
ら3点減点。
– インタビュー活動・・・質問の仕方を練習しているかど
うか。教師がモデルを示すのはいいが、それだけで
終わった場合には3点減点。
どう指示するのか
• 応用練習は、基本練習よりも指示が難しくなり
ます。
• 未習語彙満載の指示は程度によるけど伝わら
ないと活動ができないので6点前後減点。
– 「これはタスクシートです。一人が質問して、答えを
聞いたら、ここに書き込みます。後で発表してもら
いますから頑張ってください」(ここまでやったら8点
は減点ですね)
どう指示するのか
• そもそも、指示することばやジェスチャーが書
かれていない場合は、教案として成立してい
ません。前作業から後作業に渡ってすべて書
かれていなければ0点です。部分的な場合に
は適宜、減点して下さい。
モデル会話
• モデル会話の提示の仕方は?
– パワーポイント
– 模造紙に書いたものを貼る(貼る場合には、磁石
で貼るのか、セロテープか?)
– その場で手書きで長々と書くのは減点(「死の時
間」を作るから)。
インフォメーション・ギャップ
• インフォメーションギャップがある活動になっ
ていますか?
• 例えば、各国の小学校の時間や銀行の時間
など、質問することに意味がある活動になっ
ていればOK(加点はありません)。
インフォメーション・ギャップ
• ロールプレイであっても、学習者相互にイン
フォメーションのギャップがある活動になって
いますか?
本作業
モデル会話を残すかどうか
• 本作業のとき、モデル会話や質問の仕方が
提示されたままですか?全文、提示されたま
まの場合3点減点(提示されていれば当然、
見ながらの活動になるので、活動の意味がな
くなります)。
• そもそも、この問題に関し、考慮しなかった場
合にはさらに問題なので5点減点。
本作業(活動の仕方)
• 学習者は座ったままで活動するのでしょうか。
それとも立って活動しますか。机をひっつけて
グループになって活動しますか?
• 具体的な動きを想定していなかった場合、3
点減点です。これを想定しないと実際に活動
するときにうまくいきませんし、そもそも活動を
デザインできないはずです。
活動量
• インタビューにしてもロールプレイにしても、あ
まりにも活動量が少なすぎるのは問題です。
また、多すぎても時間が掛かりすぎますし、だ
れてしまいます。活動量をチェックしてみてく
ださい。
後作業
• 後作業も指示が必要になります。指示のこと
ば、ジェスチャーが書かれていますか?また、
教室用語以外の未習語彙が入っていません
か?
後作業
• 後作業も、どのように動くかデザインされてい
ますか?
• 学習者が前に出てくるのでしょうか。それとも、
席に座ったままなのでしょうか。それが書かれ
ていますか?
応用練習における独創性
• 例
• 携帯電話で学習者に、ある店や機関の時間
を問い合わせしてもらい、後作業で発表して
もらう。
段取り
• 学習者が興味を持ちそうな場所、生活に関係がある
場所を人数分(10カ所)準備しておく。
•
•
•
•
•
•
マルイ
パルコ
学校の隣の食堂
東京ディズニーランド
三鷹の森ジブリ美術館
その他
段取り
• なおかつ、そうした場所の電話番号を事前に
調べておく。
• モデル会話を準備。
• 実際に、教師がどこかに電話して聞いてみる。
• 入場料があるところなら価格も聞くことが可能
となる。どうするか?
段取り
• モデル会話を準備。
• 聞き返しの仕方、確認の仕方も練習しておく。
– 「もう一度、お願いします」(未習表現だがどう伝え
るか工夫が必要)
– 「9時から5時までですね?」
発話量
• 発話量としては、一人一箇所に電話を掛けるだ
けで、必ずしも十分とは言えないが、実際に日
本語を使用して情報を得ることができたという達
成感は非常に大きい。
• 日本語を学び始めておそらく3週目程度で、電
話を掛けることができたという喜びは大きい。
• 「達成感」や「喜び」をデザインするのも教師の
仕事ではないか
• こうした活動が独創的にデザインされており、
段取り、指示もしっかり書かれている場合に
は、5点加点(応用練習の満点は12点)。
自己採点
• 自己採点をして下さい。
プレゼント
• 今日(13日)、この授業で教案課題を提出す
る準備が出来ていたあなたには、特別ボーナ
スで5点あげます。
• つまり、準備していた場合には最低でも5点
はあります。ただし、このボーナスを加算する
ことで、30点を超えてしまう場合は、33点まで
しか認めません。それ以上はなしです。
相談会
• 自己採点をするために相談をしたい学生が
いたら連絡を下さい。長時間は無理ですが、
相談に応じます。