考えることの科学 ー推論の認知心理学への招待ー 文学部心理学専攻3回生 1613080073-8 桐山あゆ菜 ◆紹介する本 考えることの科学 ー推論の認知心理学への招待ー 市川 伸一(著) 第6章 確率・統計問題でのしくみと学習 ◆はじめに 不確かな状況におけるヒューリスティックス 多くの場合、楽に速く正解を見つけられる「うまいやり方」 人間が直観的確率判断を行う際にも使うもの 問題点 常に正解に至るわけではない データ不足のための暫定的な答えとするのではなく、かなり確信をもっ てしまうことがある 直観的な確率判断がうまく機能しないとき どのようにして理解すべきなのか ◆確率 ① これから起こる現象の確かさを表す ・過去のデータをもとに、未来の出来事に対して予測をする 例)天気予報 ② すでに起こったことに対する確信度を表す ・すでに起こっているが、情報不足のために確定できないことが らを推測する 例)サイコロを投げた後、結果が見えないとき 確率を予測する際、暗黙のうちに条件付き確率を考えている ◆条件付き確率 条件付き確率 →何らかの条件がつくことで予測される確率 例)サイコロを投げた後、結果が見えないとき 出た目が1である確率を推測する 情報なし →1の目が出ている確率は1/6 目は奇数→1の目が出ている確率は1/3 目は偶数→1の目が出ている確率は0 ◆条件付き確率 ある情報が得られることによって、確率はその条件が得 られたもとでの条件付き確率へと変化する 情報が得られる前の確率→事前確率 情報が得られた後の確率→事後確率 しかし 事前確率が無視されることもある ◆タクシー問題 問題 ある街のタクシーの15%は青で85%は緑である。あるとき、タク シーによるひき逃げ事件が起きた。1人の目撃者の証言によると、 ひいたのは青タクシーであるという。ところが、現場は暗かった こともあり、目撃者は色を間違えることがありうる。そこでこの 目撃者がどれくらい正確かを同様の状況下でテストしたところ、 80%の場合は正しく色を判断できるが、20%の場合は実際と逆の 色を言ってしまうことがあった。さて、証言どおり青タクシーが 犯人である確率はどれだけだろうか。 トゥベルスキーとカーネマンの行った実験の問題 ◆タクシー問題 正解 青タクシーが犯人である確率は41% 間違い!! 多くの被験者の答え 青タクシーが犯人である確率はおよそ80% 証言の正しい確率(正80%・誤20%)→重視 タクシーの色の確率(青15%・緑85%)→無視 事前確率が考慮されていない! 事前確率を無視する傾向 ◆直観的推論との差を埋めるために 正解と直観的な解には差があることがある ※事前確率を無視する傾向など ベイズの定理などを用いて、機械的に解を求めることは できる 直感的には納得しがたい 同系的図式表現の利用 ※その中でもルーレット表現を紹介 ◆同形的図式表現による理解 タクシー問題 ・緑のタクシーが85%、青のタクシーが15%であることか ら、円の85%が緑領域、15%が青領域となる ・1個の玉がルーレットのように回り、どこかの位置にラ ンダムに止まると考える ・この玉がどちらの領域にあるかの確率を求める 玉が緑にある確率→85% 玉が青にある確率→15% ◆同形的図式表現による理解 タクシー問題 事前確率 ・円の85%が緑領域、15%が青領域 ・この玉がどちらの領域にあるかの確率を求める 「玉が青にある」という証人 ①正しく「青」という →80% ②誤って「青」という→20% ◆同形的図式表現による理解 玉が青領域にある確率 ※数学的に求める方法であるベイズの 定理と同じ式 緑領域が初めから相当大きければ、 「緑領域の中で青という証言の出て くる領域」が無視できない 事前確率の大きさが多大な影響力をもっている ◆まとめ 直観的な確率判断がうまく機能しないとき 理論的には理解できても直観的には腑に落ちないとき 同形的図式表現で理解をするのが1つの方法 直観と理論とをお互いチェックしながら、推論をより 確かなものにしていくべき ◆参考文献 市川 伸一(1997).考えることの科学 心理学への招待 中央公論社 推論の認知
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