補足プリント2:条件付き確率・独立・ベイズの定理 松井宗也 南山大学経営学部 平成 27 年 4 月 29 日 条件付き確率・独立・ベイズの定理 1 1.1 条件付き確率と独立性 条件付き確率 2 つの事象 {A}, {B} について、事象 {B} が起こったという条件のもとで、事象 {A} の起こる 確率 P (A ∩ B) P (A | B) = . P (B) ただし P (B) > 0。 条件付き確率の定義式を変形したものは 乗法定理 P (A ∩ B) = P (A | B)P (B). 独立性 2 つの事象 {A}, {B} について、 P (A | B) = P (A) ならば、これらの事象は独立であるという。条件付き確率の式より独立性は P (A ∩ B) = P (A)P (B) と同値となる。 (どちらかの式が成り立てば独立となる。ただし P (A | B) は P (B) > 0 でないと 定義できない。) 1.2 ベイズの定理 2 つ事象 {A} と {B} に関して P (A), P (B | A), P (B | Ac ) 1 が分かっているときに P (A | B) を計算する公式。 ベイズの定理 P (A | B) = P (A ∩ B) P (B | A)P (A) + P (B | Ac )P (Ac ) (証明)右辺の分母が P (B | A)P (A) + P (B | Ac )P (Ac ) = P (A ∩ B) + P (Ac ∩ B) = P (B) と計算でき、また分子が P (A | B)P (B) = P (A ∩ B) となることから、条件付き確率の定義により左 辺と等しいことが分かる。 ベイズの定理(より一般的な場合) 事象 A1 , A2 , · · · , An が互いに排反でかつ A1 ∪ A2 ∪ · · · ∪ An = S (標本空間をカバー)であると き、事象 B ∈ S に対して P (Ai ∩ B) P (Ai | B) = ∑n i=1 P (B | Ai )P (Ai ) が成り立つ。ただし P (B) > 0。ここで P (Ai ) は Ai の事前確率、P (Ai | B) は事後確率と呼ば れる。 「統計学入門」東京大学教養学部統計学教室編 東京大学出版会 を参考にした。 ガリレイの問題(余興) 3 つのサイコロを投げて出る目の和が 9 となる場合と 10 となる場合に、出る目の組み合わせを全 て求めよ。それらはいずれも 6 通りしかない。このときに2つの場合の起こる確率は等しいと考 えて良いか? 答え。出る目の組み合わせは 和が 9 和が 10 126 136 135 145 144 226 225 235 234 244 333 334 となる。また、2つの場合の起こる確率は異なる。例えば 234 の組みは、3 つのサイコロの出る目の 順列を考えると 6 通りの場合があるが、244 の組みは 3 通りしかない。順列や組み合わせは補足プリ ント 3 を参照せよ。 2
© Copyright 2025 ExpyDoc