平成13年度報告会 A02班 - 京都大学大学院 情報

A02 赤道大気レーダー高度利用技術と
環境計測の研究
京都大学大学院 情報学研究科
通信情報システム専攻
佐藤 亨
より精度の高いレーダーへ

問題点



風速を決定する際に、大気の空間一様性の
仮定をしている。
山などのハードターゲットによる影響
解決方法
ディジタル受信機を用いたシステム導入
(既存のハードウエアを変更することなく機能拡
張できる。)

大気の3次元構造の観測


現在は風速場の空間一様性を
仮定して、風速を決定
より詳しい大気構造を知るため
には、ある観測点を3点から同
時観測する必要
マルチスタティックレーダー
マルチスタティックレーダーの構成






任意の送信ビーム捜査に追随
する受信アレーの構成が必要。
x面でビームを走査した場合、
高度によって方位角が異なる。
高度ごとにアンテナパターンを
制御する必要。
各受信素子でAD変換し、信号を
合成するDBF方式を採用する。
制御アルゴリズムの開発が必要。
受信した信号の処理や予想される
誤差についての検討
ディジタル受信機アレー
クラッタ抑圧
観測対象からのエコー
<問題>
観測対象のエコーに比べて、山など
からの反射波が十分大きいため、
サイドローブでの抑圧では不十分。
<方法>
妨害波を確実に抑圧するために、
アダプティブなクラッタ抑圧を行う
方法を検討する。
強い反射波
(アンテナパターン)
アダプティブなクラッタ抑圧
<大型レーダーに適用する場合>
レーダーでは主ビーム形状を保つ必要ある。
大型フェーズドアレイレーダーそのものを
アダプティブに制御するのは困難。
EARのアンテナ数 560本
サブアレー方式でアダプティブな
クラッタ抑圧を行う。
(主アレー)
サブアレー方式でのクラッタ抑圧




受信専用アレー(サブアレー)を
レーダーの周りに配置する。
主アレーとサブアレーにおいて、
アダプティブなクラッタ抑圧アル
ゴリズムを適用する。
<特徴>
レーダー自体を制御する場合に比べて、計算量が少なくてすむ。
レーダーのハードウエアを変更する必要がないため、既存のレー
ダーシステムにも利用できる。
制御アルゴリズム
DCMP
<DCMPの原理>

ある方向のアンテナパターンを
一定にするようなウエイトに関す
る拘束条件の下で出力電力を最
小化する方法
1 H


W  Pout  W RxxW 
2


subject t oW H C  H
min
Lagrangeの未定係数法で解く
40
ア 20
ン
テ 0
ナ
パ -20
タ
ー
ン -40


-60
-90 -70
所望波方向
0°
妨害波方向8
-50 -30 -10 10
0°
degree
30
50
70
90
主ビームに影響を与えずクラッタのみを
抑圧するアルゴリズムが必要
解決方法(DCMP-CNの提案)
1


W  Pout  W H RxxW 
2


min
<DCMP-CNの原理>

DCMPに更にウエイトノルムに関する
拘束条件を付け加える
W H C  H
subject t o H
W W  N
評価関数を以下のように決め、罰金関数法で解く
Qk (W ) 
1 H
W RxxW   k [{abs (W H C  H )}2 ]   ' k [( N  W H W ) 2 ]
2
<罰金関数法>
m
 r
2
2
Pk ( x)  f ( x)   k  {gi ( x)} {gi ( x)} 
r 1
 1

f(x)は最小にすべき関数、g(x)が制約条件である。
この評価関数P(x)を制約なし最適アルゴリズムを用いて最適化する。
そして徐々に罰金率ρを大きくすると制約付き最適解となる。
DCMP-CNとDCMPの比較
DCMP-CN
DCMP
40
40
ア 20
ン
テ 0
ナ
パ -20
タ
ー -40
ン
20
0
-20


-60
-90 -70
[dB]
所望波方向
0°
妨害波方向8
-50 -30 -10 10
0°
degree
所望波方向
0°
-60  妨害波方向8
30 50 70 90
-90 -70 -50 -30 -10 10
degree
0°
所望波電力 20dB 妨害波電力 80dB
-40

30
50
70
90
DCMPとDCMP-CNの比較(2)
所望波及び妨害波の電力を変えて、
DCMPとDCMP-CNの方法の比較する。
[dB]
所望波:20dB
60
DCMP
DCMP-CN
Sidelobe(DCMP)
Sidelobe(DCMP-CN)
50
S
I
N
R
4
40
S
I
N
R
30
20
10
2
DCMP
DCMP-CN
Sidelobe(DCMP)
Sidelobe(DCMP-CN)
0
-2
-4
0
-10
-40
所望波:-30dB
[dB]
-20
0
20
40
妨害波電力
60
80
-6
-40
-20
0
20
妨害波電力
40
60
80
平成13年度のまとめ

レーダーをより高度に利用する方法を検討した。

大気の3次元構造観測(マルチスタティックレーダー)




アンテナパターンを制御するため、DBF方式を採用。
制御アルゴリズムの開発が必要。
受信した信号の処理や予想される誤差についての検討
アダプティブクラッタ抑圧


サブアレー方式でクラッタ抑圧する方法を採用。
制御アルゴリズムとしてDCMP-CNを提案し、従来法であるDCMPと
の比較を行った。
(いずれも既存のハードウエアを変更することなく機能拡張可能)