15 ロシア・中東欧の市場経済移行

15 ロシア・中東欧の市場経済移行
0
1
2
3
社会主義の理念
ソ連型社会主義とは
社会主義の崩壊と体制転換
体制転換の功罪とロシア金融危機
1
0a 社会主義の理念
社会構成体の変遷,史的唯物論
•
•
•
•
生産力の発展は,より高度な生産関係を必要とする
原始共産制(共同体)社会
奴隷制社会:身ぐるみ他人の財産とされた人間.共同体間戦争
封建制社会:領主(名目上の土地所有者)が農民(土地保有者)を
人格的に支配し,封建地代を収奪する.農民は生産手段や家屋を私有
• 資本主義社会
• 社会主義社会:能力に応じて働き,労働に応じて分配される
• 共産主義社会:能力に応じて働き,必要に応じて分配される
♪ロストウ『経済成長の諸段階』1960 ①伝統的社会,②離陸のた
めの先行条件期, ③離陸,④成熟への前進,⑤高度大衆消費社会
2
0b 社会主義の理念
資本主義の止揚
• 資本主義社会の特徴
①労働力も商品となる商品生産の全面化.商品=富.
②生産手段を所有する資本家階級と生産手段を喪失した賃
労働者の階級対立.剰余価値の生産.他人労働の搾取.生
産手段を私有する資本家が生産物を領有する.
③企業内の計画性と社会全体としての無政府性
→過剰生産恐慌.
④市民的自由の拡大.生産力の飛躍的増大.
⑤自由競争→独占資本主義→国家独占資本主義
3
1a 社会主義の経済制度
• 社会主義の経済制度=中央集権的計画経
済(指令経済)
• 国家が生産手段を所有し
• 国家計画委員会が立案,利潤の吸い上げ
と再配分
• 企業に自主性なし:赤字出しても補助金で
カバー(「ソフトな予算制約」)
• 国家=共産党+官僚機構
4
1b ソ連型計画経済の特徴
①党・官僚機構の肥大化と企業の非効率
・企業は計画達成のため,資源の確保に関心,過剰在庫,
・万能型自給自足(⇔下請け)
②企業の実績評価:量,not品質,技術水準
価格は需給や価値を反映しない
③技術水準の立ち後れ:
・ノルマ重視.リスクの多い技術革新は取り組まれず
・商品毎に少数の独占企業→競争なし,貿易も国家独占
④平等主義的な所得政策,しかしノーメンクラトウーラ階層が出
現し,所得格差拡大
⑤軍事費,軍産複合体の肥大化.民需の圧迫.
⑥重工業優先,農業,消費財軽視.
5
1c ソ連社会主義の歴史的背景
①一国社会主義として成立.アウタルキー
マルクスは先進国による世界同時革命を想定していた
②経済と社会に後進性,生産力も技術力も劣位
帝政ロシアの膨張主義→多民族を一国に統合
③資本主義との成長競争→環境破壊
④戦時経済化.革命時の干渉戦争と1930年代は第2次大
戦への準備段階
⑤戦後冷戦構造.COCOM(対共産圏禁輸)
6
2a 社会主義経済の崩壊
①計画経済の成長・減速
②開放化・効率:多国籍企業の成長率,技術革新,省エネ
(2度の石油危機は産油国ソ連を利したが省エネを怠り,逆オイルショック)
③債務危機
④情報化・多品種少量生産 vs 重化学・軍事(言論,出版,
集会,結社,通信)
⑤経済改革の試行錯誤
改革第1波:フルシチョフの地域別管理
第2波:ソ連経済的刺激.ハンガリー分権化.ユーゴ自主管理社会主義,
チェコ分権化
第3波:1980年代,ポーランド「連帯」,ソ連「ペレストロイカ」政治先行
7
2b 資本主義への体制転換
• IMF・世界銀行の市場移行戦略
• 体制転換の経済政策:ショック・セラピー(包
括的急進的市場移行) vs 漸進主義(中国)
• マクロ経済の安定化,価格自由化,財政健全
化,金融引き締め,インフレスパイラルを停止
する所得政策,貿易・投資の自由化,国営企
業の民営化,金融部門改革,法制上の改革,
社会セーフティネット
8
3a 1998年ロシア金融危機
• 1996年
IMF8条国に移行
経常勘定取引自由化
• 財政赤字ファイナンス
中央銀行引受→国債発行
国債市場を外国人投資家に開放
エリツイン 選挙前になると財政支出拡大
・ ヘッジファンドのLTCMなど,巨額投資
9
3b 体制転換の功罪
•
•
•
•
•
•
ノーメンクラツーラによる企業乗っ取り
所得格差の拡大
スポーツの盛衰
自殺者増大 中年男性
人口減少国
EUの東方拡大
10