大隈重信と 「明治の立憲政治」 （１限目） 平成１７年１０月３１日 授業 佐賀県教育センター所員 原口正規 （写真などは著作権上、一部のみ掲載） 注）独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)(http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/)の画像等を利用さ れる場合は、必ず「利用規約」をお読み下さい。 大隈追放 １．（明治十四年の政変） 1881･･･伊藤と対立 → 大隈追放 ２．（ 板垣退助 ） 1881 自由党･･･フランス流 激化事件 板垣遭難 → 渡仏 → 失望 → 84 解党 ３．（大隈重信 ） 1882 立憲改進党･･･（イギリス ）流 目的：1)イギリス流立憲政治 2)（ 政党 ）内閣の実現･･･議院内閣制 議会で多数派を占める政党の党首が首相を務める （1898 ）大隈内閣① ･･･初の政党内閣（隈板内閣） 1918 （原敬 ）内閣 ･･･初の本格的政党内閣 大正時代に実質的に議院内閣制実現 大隈と尊王論 1838 誕生 ☆ 1844 弘道館入学 1854 『義祭同盟』参加･･･枝吉神陽（弘道館教授) （尊王 ）思想 江藤新平・副島種臣も参加 ☆ ①（垂加神道 ）･･･（山崎闇斎） ← 儒学 ②（復古神道 ）･･･（平田篤胤） ← 国学 ③水戸学･･･藤田東湖・会沢安 ← 「大日本史」 正しさの根拠がどこにあるかという政治的問かけ ☆ 学風改革を唱道 → 弘道館退学 → 蘭学 → 英学 【写真】 楠神社 （龍造寺八幡宮境内内） ここで義祭同盟が結成された 【写真】 楠神社よこの 義祭同盟の碑 高さ４～５ﾒｰﾄﾙ 楠神社の地図 佐賀駅 楠神社 （龍造寺八幡内） 佐賀玉屋 佐賀玉屋 県庁（旧佐賀城） 旧龍造寺（高寺） 尊王論 日本中世社会のイメージ ○将軍＝（征夷大将軍） 日本中世社会のイメージ ○天皇 （西国） ○将軍 （東国） 日本中世社会のイメージ ○天皇 ← 正当性 任命 西国 ○将軍 ← 実権 東国 日本近世社会のイメージ ○天皇 ← 正当性 ○将軍 ← 実権 社会の食客となった武士の存在意義がどこにあるか？ ↓ 現代人は正義に無関心？ 大隈と英学 1865 長崎に佐賀藩の英学塾『致遠館』設立 （フルベッキ）に師事･･･（アメリカ）人（宣教師） ☆ 新約聖書とアメリカ憲法 → 立憲政治の必要性 1868 （ 浦上信徒弾圧 ）事件･･･イギリス公使（パークス）と論争☆ 「宗教戦争の激しさを一番知っているのはあなた方だ」 近代国家の宗教性の理解 【写真】 フルベッキ 眼鏡をかけた美男子である 宗教戦争 １．ユグノー戦争 仏 1562～98 ２．三十年戦争 独 1618～48 → 人口の三分の一が死亡 ☆ → 神聖ローマ帝国（ドイツ）崩壊 比）（ 島原 ）の乱 1637 ・神が誰に政治の主導権を与えるか ← 宗教改革 ☆ ↓ 主権･･･教会否定 → 直接個人へ 【写真】 三十年戦争 （木につるされ処刑された兵士たちの絵） その悲惨さの説明 「晩鐘」 ミレー 教会 夕暮れの村の教会の「晩鐘」を聞きながら、神からもらった仕事への感謝の祈り 出典：独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/ 「最後の審判」 ミケランジェロ 再臨したキリスト この世が終わるとき、今まで生きたすべての人間が裁かれる図 出典：独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/ 【絵】 キリスト教の持つ二つの側面を比較 「感謝」と「裁き」 アメリカ独立宣言 1776 『すべての人間は平等に造られ、造化の神によって、 一定の譲ることのできない権利を与えられている』 ・建国の歴史 プロテスタント迫害 → アメリカ移住 ☆ 参）ピルグリムファーザーズ メイフラワー号 1620 【写真】 アーミッシュ （馬車に乗って出かける様子） １８世紀さながらの生活を続ける、 現代アメリカのプロテスタントの一派 大隈がアメリカ人の宣教師フルベッキから学んだ憲法はこれ ↓ これをとらない アメリカ イギリス フランス 板垣 （日本国憲法） 大隈 アメリカ憲法を学びながらも、 イギリス流をとる 【写真】 アメリカ合衆国独立100周年を記念して、 フランスから贈られた 自由の女神像 【写真】 自由の女神の立つ リバティー島 「民衆を導く自由の女神」 ドラクロア フランス７月革命を題材にしたもの 出典：独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/ 大隈重信と 「明治の立憲政治」 （２限目） 平成１７年１１月８日 授業 佐賀県教育センター所員 原口正規 大隈がアメリカ人の宣教師フルベッキから学んだ憲法はこれ ↓ これをとらない アメリカ イギリス フランス 板垣 （日本国憲法） 大隈 アメリカ憲法を学びながらも、 イギリス流をとる イギリス流歴史的権利 １．（ マグナ＝カルタ ）（大憲章） 1215 ・国王の圧政 → 貴族の反抗 ２．貴族の歴史的権利で対抗 ・コモン・ロー（慣習法）の伝統 比）貞永式目 1232･･･先例と（ 道理 ） ３．ピューリタン革命(1642～49) 英 ジェームズ１世 → 王権神授説 王権 VS 議会（貴族＋ﾋﾟｭｰﾘﾀﾝ） ↓ チャールズ１世処刑 1649 → 王政復古 → 権利章典 イギリス流立憲政治 １．大隈重信 1882 立憲改進党･･･イギリス流 ２．私擬憲法 1881～1882 1)改進党系 「私擬憲法案」 ･･･（ 矢野文雄 ）（交詢社） 議院内閣制 2)自由党系 「東洋大日本国国憲按」･･･（植木枝盛 ） 連邦制 革命権あり 変質 → （ 立憲政友会 ）（伊藤博文の与党化） 政党の流れ 1881 自由党 1882 立憲改進党 1896 進歩党 1898（ ① ） 1898（ ② ） 1900（ ④ ） 1898（ ③ ） 第三の国・ドイツ １．ドイツ憲法調査 1882 1)伊藤博文･･･（シュタイン）･･･ウィーン大学 （グナイスト）･･･ベルリン大学 2) ドイツ法学 × 法は神様に由来 → 自然法学 ○ 法は民族に固有 → 歴史法学 参）グリム兄弟 ２．幕末の動乱 佐幕開国･･･薩摩 1866 薩長連合 → 尊王開国 → 倒幕 尊王攘夷･･･長州 王政復古 ↓ 歴史 文明開化 ↓ 憲法 ３．法の歴史的正当性を重視 ※民族と文化で違う 補）明治中期の日本的思想 ☆ 1)天皇 → 憲法制定権力 → 欽定憲法 ☆ 2)条件 → 君主権の制限 → 立憲君主制 明治中期の思想 １．明治中期 ･･･日本の伝統的価値の見直し 1)国粋主義：（ 三宅雪嶺 ） 政教社：「日本人」 2)国民主義： 陸 羯南 日刊新聞「日本」 3)平民主義： 徳富蘇峰 民友社：「国民之友」 4)日本主義： 高山樗牛 雑誌「太陽」 【写真】 「大日本帝国憲法発布式典」 和田英作 二つの意味 １．首相に政権を委任 ２．天皇もこれを守る 大日本帝国憲法の制定 １．順序 西洋 日本 議会 → 憲法 （憲法 ） → （ 議会 ） ２．大日本帝国憲法発布 1889 1)天皇 → 憲法制定権力（欽定憲法） 2)条文 内閣の規定なし → 内閣総理大臣の規定なし 第55条 『国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其の責ニ任ス』 ※各国務大臣の個別責任 3)運用 → 政党内閣を拒否しない ※ただし他の勢力も内閣に入る ３．帝国議会 1890 政治の推移 １．藩閥勢力 ↓ ２．議院勢力 → 政党勢力 ↓ ３．軍部勢力 ①１９世紀の内閣 ②桂園時代 ①１９世紀の内閣 1 代（ 伊藤博文 2 代（ 黒田清隆 3 代（ 山県有朋 4 代（松方正義 天皇 任命 長州 藩閥 薩摩 政府 ）①85～ （ 内閣 ）制度 ） 88～ （ 大日本帝国憲 ）法 超然主義 ）①89～ （ 第一回帝国議 ）会 ）①91～ 蛮勇演説 超然主義 自由党 政党 改進党 民党 5 代（ 伊藤博文 ）②92～ （ 日清 ）戦争 内相 板垣退助 6 代（ 松方正義 ）②96～ 松隈内閣 7 代（ 伊藤博文 ）③98.1～ 地租増徴案否決 天皇 任命 長州（伊藤） 自由党（板垣） 薩摩（松方） 改進党（大隈） 政府 民党 8 代（ 大隈重信 ）①98.6～ （ 隈板 ）内閣 初の（ 政党 ）内閣 天皇 自由党 伊藤 大隈（憲政党） 政府 改進党（進歩党） 民党 政党の流れ 板垣系 大隈系 1881 自由党 1882 立憲改進党 1896 進歩党 1898（憲政党 ） 初の政党内閣 1898（憲政党 ） 1898（ 憲政本党 ） 9 代（ 山県有朋 ）②98.11 ～（治安警察 ）法 （軍部大臣現役武官 ）制 軍部 天皇 旧自由党系 山県 伊藤 憲政党 憲政本党 旧改進党系 10代（伊藤博文 ）④00～ 軍部 （立憲政友会 ）内閣 天皇 伊藤 山県 旧自由党 伊藤 立憲政友会 憲政本党 旧改進党 10代（伊藤博文 ）④00～ 軍部 （立憲政友会 ）内閣 天皇 伊藤 山県 旧自由党 伊藤 立憲政友会 憲政本党 山県 伊藤 軍部 立憲政友会 憲政本党 旧改進党 政党の流れ 板垣系 大隈系 1881 自由党 1882 立憲改進党 1896 進歩党 初の政党内閣 1898（憲政党） 1898（憲政党） 1898（憲政本党） 伊藤系 1900（立憲政友会 ） 1918（原敬 ）内閣 （ ）内閣 政党の流れ 板垣系 大隈系 1881 自由党 1882 立憲改進党 1896 進歩党 初の政党内閣 1898（憲政党） 1898（憲政党） 1898（憲政本党） 伊藤系 1900（立憲政友会 ） 1918（原敬 ）内閣 （ ）内閣 ②桂園時代 1901～1913 山県 天皇 桂 西園寺 軍部 政友会 旧自由党 憲政本党 伊藤 旧改進党 レールを敷いたのは大隈 ②桂園時代 1901～1913 １．桂太郎内閣① 1901 ･･･ 日露戦争 ２．西園寺公望内閣① 1906 ･･･ 日本社会党 ３．桂太郎内閣② 1908 ･･･ 大逆事件 ４．西園寺公望内閣② 1911 ･･･ 二個師団増設要求 ５．桂太郎内閣③ 1912 ･･･ 第１次護憲運動 ①１９世紀の内閣 1885～1901 1代 2代 3代 4代 5代 6代 7代 8代 伊藤博文①85～ 黒田清隆 88～ 山県有朋①89～ 松方正義①91～ 伊藤博文②92～ 松方正義②96～ 伊藤博文③98.1～ 大隈重信①98.6～ 内閣制度 大日本帝国憲法 超然主義 第一帝国議会 蛮勇演説 日清戦争 松隈内閣 地租増徴案否決 隈板内閣 初の政党内閣 9 代 山県有朋②98.11～ 治安警察法 軍部大臣現役武官制 10代 伊藤博文④00～ 立憲政友会内閣 ②桂園時代 1901～1913 １．桂太郎内閣① 1901 ･･･ 日露戦争 ２．西園寺公望内閣① 1906 ･･･ 日本社会党 ３．桂太郎内閣② 1908 ･･･ 大逆事件 ４．西園寺公望内閣② 1911 ･･･ 二個師団増設要求 ５．桂太郎内閣③ 1912 ･･･ 第１次護憲運動 まとめ １．天皇は正当性の根拠 ２．君主権の制限 ３．内閣以外の決定機関の存在 昭和の一身多頭国家 天皇 内閣 軍部 枢密院 議院内閣制への努力が続けられた 「議院内閣制」は、現在に受け継がれている。 その功労は大隈重信。 致遠館は、そのルーツともいうべき学校。 終わり
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