2007年度前期輪講 日経サイエンス153地球大異変 予知への新しい手がかり 地震連鎖のメカニズム (R.S.スタイン,米国地質調査所) 総合科学専攻4年 小川聡美 発表の流れ ●従来の地震予知 ●地震予知の新仮説 ●余震研究の価値 ●新仮説・地震連鎖のメカニズム ●新時代の地震予知 従来の地震予知(1990年代初め~現在) 地震の原因=断層運動 非常に複雑,大地震も前ぶれなく,予測は困難 大地震が発生⇒収束=断層はしばらく静穏化 いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため, 次の大地震の発生確率は低くなる。 新仮説 ストレストリガリング(応力誘発)説 地震によって解放される応力は消えるのではなく,震源断層 から周辺地域に再分配される。 隣接する断層の変動や地震動によって生じるわずかな応力 の変化に断層は敏感に反応し,地震が誘発される。 余震は地震活動の秘密を解く鍵 古記録では・・・ 世界で記録された地震の約1/3は時間的にも空間的にも集中し て発生。つまりそれは余震。 余震の発生の変化にはパターンがある (大森公式)・・・ 本震直後が最多,10日後にその10%,100日後に1%とな る。 余震の研究は地震のメカニズム解明への鍵 変化する応力 地震後の応力は断層が滑った部分で激減 ⇔その他の部分で増加 地震前 ( イズミット地震,1999,M7.4, トルコ・北アナトリア断層) 地震後 地震の引き金 クーロン応力の増加 応力増加域(赤)・・・地震増 応力減少域(青)・・・地震なし (1992年,南カリフォルニア・ランダース,M7.3) 地震の相互作用 ■ポアソン確率 地質学的に平均時間間隔を求 められる。 ■条件付き確率 前の地震から時間が経過するほ ど大地震の確率があがる。 ■相互作用 条件付き確率の手法に応力誘 発作用も加味する。 ディートリックの摩擦法則 摩擦力 ・・・物体が静止しているとき⇒大(静止摩擦) 物体が滑っているとき ⇒小(動摩擦) 断層の滑り速度の変化・過去の活動の履歴により変化 ●大森公式による地震の基本的性質 ●応力変化の規則性と予測 ●新たに地震が起こる場所と時期の予測 トグル地震活動 連続的に発生した大地震によって,その周辺の地震活動が 活発化と静穏化を繰り返すこと。 応力の再分配の計算どおりに 地震活動は活発化し,摩擦法 則にしたがって急激に減衰した。 また2番目の地震の発生で,さ らに急減した。 つまり、最初の地震で活発化、 2番目で静穏化することを示し た。 (1997年3月M6.5,5月M6.3 鹿児島北西部) 応力変動様式で異なる地震活動 応力速度が地震発生率を コントロールしている 連鎖的な地震活動は応力 速度によって2つの様式に 分けることができる。 ①群発地震活動型 ②本震-余震・続発地震型 新時代の地震予知 応力誘発説 相互作用 応力変動様 式 ●時間経過にともなう地震発生率の増減 ●新たな地震が起こる場所・時期の予測 ●政府や保険会社,一般市民が地震の危険性を より正確に見極めることができる。
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