○ 大井 学 1,2)、 田中 早苗 1,2)、 権藤桂子 3)、 綾野鈴子 4)、 長谷川千秋 1) 1)大阪大学連合大学院小児発達学研究科金沢校 2)金沢大学子どものこころの発達研究センター 3)共立女子大学 4)共立女子大学大学院 Bishop(2003)によって開発されたCCC-2の日本 語版研究用(大井ほか2009)の標準化に向け、定 型就学前児のサンプルを得た。 昨年度第37回学術講演会にて発表した小学生 データと比較し、CCC-2日本語版の基本的性能に ついて検討した。 国内各地の幼稚園、保育園、関係機関の協力により、 北海道、石川県、群馬県、神奈川県、大阪府、佐賀県 の3歳~6歳の就学前児1285名分のデータを回収。 男女差の有無、各領域素点と年齢の相関、各領域の 内容的妥当性について基本統計処理を行い、小中学 生データと比較した。 10領域全てにおいて男女差がみられ(p<.01)男子が 女子よりも素点平均値が高かった(素点が高いほど評 価は下がる)。(Table3) 年齢との相関は、10領域全てにおいて有意であった。 (Table3) 各領域に対する妥当性(α係数)は、どの領域も小中学 生より高く、M=.68、SD=.07であった。 (Table4) 正負の評価不整合回答者は小中学生データの17%を 上回り幼児データでは28%にのぼり、いずれもUKの 1.6%とは大きく異なる。 N Age 男 女 平均 (歳) SD 25409 定型 小中学 12.10 2.06 13112 12297 生 定型 未就学 児 1278 639 639 4.11 1.01 幅 6.08 ~15.11 3.01 ~ 6.11 年齢相関 対数変換された相関関係 男女差 F (自由度1) 素点平均値 男 女 A.音声 -.150 ** 144.646 2.25 1.93 B.文法 -.062 ** 158.566 2.21 1.82 C.意味 -.206 ** 113.348 3.79 3.45 D.首尾一貫性 -.122 ** 331.285 2.94 2.26 E.場面に不適切な話し方 -.272 ** 449.795 2.89 2.23 F.定型化されたことば -.185 ** 154.465 1.61 1.33 G.コミュニケーション場面の利用 -.277 ** 188.124 2.52 2.06 H.非言語コミュニケーション -.100 ** 257.732 2.77 2.26 I.社会的関係 -.069 ** 471.036 2.23 1.61 F.興味関心 -.143 ** 431.657 3.32 2.62 **全ての相関は、1%水準で有意 全ての領域で素点平均値は男>女(0.1%水準で有意) 年齢相関 対数変換された相関関係 男女差 F (自由度1) 素点平均値 男 女 A.音声 -.278 ** 16.012 4.02 3.09 B.文法 -.226 ** 17.365 2.97 2.08 C.意味 -.249 ** 9.963 5.47 4.86 D.首尾一貫性 -.203 ** 14.815 3.89 2.99 E.場面に不適切な話し方 -.211 ** 33.710 5.29 3.91 F.定型化されたことば -.150 ** 15.017 2.17 1.65 G.コミュニケーション場面の利用 -.212 ** 13.028 4.72 3.91 H.非言語コミュニケーション -.089 * 13.180 3.37 2.68 I.社会的関係 -.137 ** 19.261 2.55 1.86 F.興味関心 -.175 ** 39.461 4.70 3.33 **1%水準で有意 , * 5%水準で有意 全ての領域で素点平均値は男>女( 0.1%水準で有意) 定型就学前児-内的整合 定型小中学生-内的整合 性のないもの 性のないもの N α係数 N α係数 A.音声 837 0.736 20343 0.459 B.文法 836 0.711 20327 0.508 C.意味 837 0.603 20356 0.544 D.首尾一貫性 834 0.783 20216 0.747 E.場面に不適切な話し方 837 0.774 20322 0.713 F.定型化されたことば 840 0.582 20335 0.547 G.コミュニケーション場面の利用 826 0.665 20345 0.625 H.非言語コミュニケーション 838 0.639 20347 0.566 I.社会的関係 824 0.593 20229 0.571 F.興味関心 838 0.680 20293 0.564 正負評価内的整合性違反率 小中学生:17%, 就学前児:28%, UK 1.6% 小中学生データと同様、就学前児においても男女差が 顕著にみられた。日本語版においては男女別に偏差値 を算出する必要がある。 素点と年齢に相関があり、就学前の幼児と関わる幼稚 園、保育園等の関係機関や家庭において、気になる 子どものコミュニケーションの様子を早期にチェック できるツールとして期待できる。 α係数は、就学前児が小中学生より高い。小中学生 データの年齢による再吟味が必要である。 正負の評価不整合回答者割合が就学前児データでさ らに高くなった。今後、実施基準や教示の工夫につい て検討する。
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