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2つの平行光の観測による
内部カメラパラメータの安定な
キャリブレーション
佐川立昌 八木康史
大阪大学 産業科学研究所
動機

推定された内部パラメータに満足してますか?


個人的な経験では...




焦点距離,主点位置
マーカを使ったキャリブレーション
試行のたびに5~10%は変動
しばしば発散
しかし...


再投影誤差は1ピクセル以下
焦点距離(=画角)が,なぜ不安定なのか?
外部パラメータと内部パラメータを同時に求めているから?
関連研究

立体的マーカ



平面マーカ




特徴点が3次元的に分布
Tsai ’87, Faugeras ’93
平面上に特徴点が分布
平面の位置姿勢を変えて計測
Sturm ’99, Zhang ’00
外部パラメータが回転成分のみ


平行移動成分を除去
Hartley ’94, Stein ’95
内部・外部パラメータ


内部パラメータ K
外部パラメータ T


 fx

K  0
0

R:回転行列,t:平行移動ベクトル
cx 

cy 
1 
0
fy
0
T  [R | t ]
3次元点Mから画像点mへの射影
ˆ
ˆ  KTM
sm
T
T
ˆ
ˆ
m  ( x, y,1) , M  ( X , Y , Z ,1)
立体的マーカを用いたカメラ校正

コスト関数

マーカの3次元点Miの射影と,画像点miの誤差を
最小化
E3D (P)  
i


2
1 ˆ
ˆ i , P  KT
PM i  m
si
Pを分解して内部パラメータKを推定
内部パラメータKの誤差を最小化しているわ
けではない
平面マーカを用いたカメラ校正

平面マーカとカメラ画像間のホモグラフィHを計算
H  h1 h2 h3   Kr1 r 2 t

r1とr2は正規直交


K-TK-1を分解してKを計算
T
1
h K K h2  0
T
1
h1T K T K 1h1  hT2 K T K 1h 2
非線形最小化によって解を改善
N
n
Eplane (K, T1 ,, Tn )  
i 1 j 1
2
1
ˆ m
ˆ ij
KT j M
i
sij
内部パラメータKの誤差を最小化しているわけではない
回転のみの場合のカメラ校正

カメラから特徴点までの距離は無関係


推定すべきパラメータから平行移動成分を除去
回転行列Rjkの正規直交性からKKTを推定

Hjk: j,k 番目の画像間のホモグラフィ行列
R jk  K 1H jk K ,
R jk  R jkT
(KK T )H jkT  H jk (KK T )

非線形最小化
N
n
Erot (K , R1 ,, R n )  
i 1 j 1
2
1
ˆ m
ˆ ij
KR j M
i
sij
回転行列Rがパラメータとして残っている
2つの平行光の観測による
内部カメラパラメータの校正

目的


コスト関数から外部パラメータを取り除き,最適な内
部パラメータK を計算する
2つの平行光の観測

相対角は不変
拘束条件はカメラの
位置姿勢と無関係
相対角に関するコスト関数

相対角の計算

コスト関数
T
T
1
1
1
m K K m2
cos  
K m1 K 1m 2
拘束条件に外部パラメータは含まれない
N
2
E
(
K
)

d
 1i
para1
 相対角既知の場合
i 1
d12i  mTi1K T K 1m i 2  cos K 1m i1 K 1m i 2
N

相対角未知の場合 Epara2 ( K )   d 22i
i 1
d 22i  m Ti1K T K 1m i 2 K 1mi1 K 1mi 2
 mi1T K T K 1mi 2 K 1m i1 K 1m i 2
Hartley’94との違い

ホモグラフィを計算しない



各画像の特徴点数は2点でよい


ホモグラフィには外部パラメータが含まれる
提案手法には,まったく外部パラメータが現れない
Hartley’94ではホモグラフィを計算するために4点必要
画像間の回転行列は不要

相対角既知の場合でも,回転行列既知の必要はない
初期値の推定

Epara1,Epara2の最小化は非線形


初期値が必要
部分的にパラメータを仮定し,初期値を推定

w,hは画像の幅,高さ
f x  f y , (cx , cy )  (w / 2, h / 2)

Epara1は以下のように簡単化される

Ai,Bi,Ciはmi1,mi2,αから計算される
N
A f
i 1
i
4
x
N
N
  Bi f x   Ci  0
i 1
2
i 1
誤差と縮退の可視化



Epara1,Epara2は4変数を持つ
d1i = 0, d2i = 0 は4次元曲面
解における断面図



各曲線は解において交差する
1点で交わらない→入力の誤差
曲線が平行→縮退
平行光の取得

遠方マーカ




カメラの平行移動を無視可能
○簡便
 平面マーカ製作と比べても簡単な手間
×フォーカスの問題あり
 十分絞ることができればOK
コリメート光



ピンホール+放物面鏡
○フォーカスの問題なし
×光学部品必要
相対角の計測方法

遠方マーカ

地図


カメラ+ターンテーブル


誤差0.01度
測量用セオドライト


誤差0.2度
誤差0.001度
コリメート光

カメラ+ターンテーブル
シミュレーション実験(その1)

真値からパラメータを変化させる




再投影誤差の増加を評価
増加大→ピクセル誤差に影響大
 敏感
増加小→ピクセル誤差に影響小
 鈍感(少々変わっても誤差に影響しな
い)
結果


Epara1は,fx,cxについて,従来手法よりも
敏感
Epara2は,fxについて鈍感
シミュレーション実験(その2)


特徴点座標,相対角に誤差を加えて評価
 標準偏差0.1,0.5,1.0ピクセルのガウスノイズ
 マーカの位置には誤差なし
結果
 Epara1はノイズに対して非常に安定
 Epara2は従来手法から若干改善
実画像を用いた実験

ビデオカメラ:SONY HDR-FX1


遠方マーカ:ビルの角(距離300m)



事前に歪み補正 [高辻’05]
絞り最小,長時間露光
相対角 10.38度(カメラ+ターンテーブル)
画像10枚
実験結果

推定結果



fx = 631.33, fy = 747.67
cx = 390.64,cy = 263.45
誤差

0.14ピクセル
結論

内部パラメータのみを求める




課題


外部パラメータは一切,式に現れない
安定度は劇的に改善
 相対角が既知の場合
相対角誤差を用いるべき
 内部パラメータを知りたいときに,再投影誤差を用いるべきでは
ない
 従来手法ではマーカ精度が高くても内部パラメータ誤差は大き
い
どのような入力点を与えるべきか
MATLABソースコード,サンプル

http://www.am.sanken.osaka-u.ac.jp/~sagawa/index-j.html