経穴部位の国際標準化に向けて −6 回

経穴部位の国際標準化に向けて
−6回の非公式会議の経緯−
第二次日本経穴委員会 作業部会
(社)東洋療法学会協会代表委員
坂口俊二
経穴部位の国際標準化の背景
WHO-WPROの目指すものは、
伝統医学のグローバル化である。
361経穴の部位、約3,700の伝統医学用語の標準化と
27疾患の診療ガイドラインの作成
*グローバル化の背景と必要性の意義
鍼灸を取り巻く内・外的要因の後押し
正しい評価に基づいた伝統医学の適切な方法での教育
↓
各国や地域で異なる表現や方法を標準化し、共通の概念
で語り合い、問題点を整理し、有効性を明確にする必要
経穴部位の標準化に関する
歴史的経過
経穴部位の標準化は、ジュネーブ会議(1989年)
から15年の時を経て漸く動き始めた。
*日中韓の取り組みの相違
韓国・中国:標準経穴を踏まえて教科書の作成→教育
日本 :経穴表記の一本化は実現せず
日本経穴委員会編[1990年]
『標準経穴学』
(社)日本東洋療法学校協会編 『経絡経穴概論』
盲学校理療科用図書編集委員会編
『基礎理療学Ⅱ』
6回の非公式会議の流れ
2002年に始まった標準化の動きは、2006年に
結実しようとしている。
2002年 WFAS(世界鍼灸学会連合会)からの打診
開催年 会議 開催地
検討内容
2003年 第1回
マニラ
経穴部位の標準化のガイドラインの
作成
2004年 第2回 北 京
経穴部位決定の原則の同意
「第二次日本経穴委員会」の設立→作業部会による作業開始
第3回 京 都
日中韓3か国での非同意92穴の検討
2005年 第4回 大 田
非同意58穴の検討
第5回 大 阪
非同意33穴の検討
2006年 第6回 東 京
非同意16穴の検討
国際標準化の作業原則と
作業部会の取り組み
経穴部位の決定に関する理論と方法
*『甲乙経』、『明堂灸経』等の古典を基本
*取穴の4原則
経穴部位を決める指標
*体表解剖学、骨度法、同身寸法
同身寸
表記の方法
第1回非公式会議の概要
会議:Informal Meeting on Development of International Standard Location
場所:マニラ
期間:2003年10月31日〜11月1日
協議事項:経穴部位の標準化のガイドラインの作成について
参加者:崔(WPRO), 王・黄(中国), 姜・金(韓国), 黒須・矢野(日本),
津谷(observer)
会議の要点;
・古典の選定の原則
・解剖学的なランドマーク等の設定
・比例配分による表示とCUN(寸)による表示
・基準尺度の設定
・経穴部位の記載
第2回非公式会議の概要
場所:北京
期間:2004年3月17日〜3月18日
協議事項:標準化の具体的作業に向けてのルール作り
参加者:崔(WPRO), 王・黄・晋・李(中国), 姜・金・李(韓国), 形
井・篠原・浦山久嗣・浦山きか(日本)
会議の要点;「北京合意」
・「respect history and real」の原則
・古典として『黄帝明堂経』『千金方・甄権明堂』『銅人
腧穴鍼灸図経』『鍼灸甲乙経』の選定
・骨度基準とランドマークの設定
・基準穴の設定
※「第二次日本経穴委員会」の発足(2004年4月25日)
第3回非公式会議の概要
場所:京都
期間:2004年10月12日〜10月14日
協議事項:3か国での非同意穴について
参加者:崔・Wiseman(WPRO), 王・黄・司(中国), 姜・金・李(韓
国 ), 形 井 ・ 小 林 ・ 浦 山 ( 日 本 ), 篠 原 ・ 河 原 ・ 斉 藤 ・ 坂 口
(observer)
会議の要点;
・非同意92穴について, 一穴ずつ各国の意見とそれに対す
る議論した結果, 15穴(肘髎, 頬車, 髀関, 衝門, 天柱, 飛揚,
湧泉, 労宮, 中衝, 頷厭,環跳, 膝関,曲泉, 長強, 水溝)を部
位再検討穴
第4回非公式会議の概要
場所:大田(韓国)
期間:2005年4月25日〜4月27日
協議事項:3か国での非同意穴などについて
参加者:崔 (WPRO), 王・黄・晋・呉(中国), 姜・金・李・呉(韓国),
形井・篠原・小林・浦山(日本),譚(中国)・朴・李・任・宋(韓国)・
香取・河原・斉藤・坂口(observer)
会議の要点;
・非同意再検討18穴, 同意表現再検討16穴, さらに中国か
ら問題提起のあった24穴中8穴の計42穴について検討し
た結果, 10穴(迎香, 水溝, 気衝, 衝門, 労宮, 中衝, 膝関,
環跳, 急脈, 下巨虚)が再保留
第5回非公式会議の概要
場所:大阪
期間:2005年9月27日〜9月29日
協議事項:361穴全ての経穴部位の同意について
参加者:崔 (WPRO), 王・黄・呉(中国), 姜・金・呉(韓国), 形井・
小林・浦山(日本), 篠原・香取・河原・斉藤・坂口(observer)
会議の要点;
・再保留穴、未検討穴などを含む33穴について, 一穴ずつ古
典, 解剖学および臨床経験を照らし合わせながら, 同意案を
検討した結果, 16穴(足三里, 上巨虚, 条 口, 下巨虚, 養老, 築
賓, 労宮, 中衝, 四瀆, 翳風, 曲鬢, 環跳, 水溝, 口禾髎, 迎香,
絲竹空)を再々保留
*日本での公式会議開催が決定!
第6回非公式会議の概要
場所:東京
期間:2006年3月13日〜3月15日
協議事項:非同意16穴の検討と草案の作成について
参加者:崔 (WPRO), 王・黄・呉(中国), 姜・金・呉(韓国), 形井・
篠原・浦山(日本), 小林・香取・河原・斉藤・金・天野・坂口
(observer)
会議の要点;
・非同意など16穴の最終検討を行った結果, 11穴(築賓, 養
老, 絲竹空, 翳風, 曲鬢, 環跳, 足三里, 上巨虚, 条口, 下巨
虚, 四瀆)は同意が得られたが, 5穴(迎香, 水溝, 口禾髎,
中衝, 労宮)については, 3か国の同意が得られず, 両案併
記として11月の公式会議で最終決定
日本での公式会議に向けて
経穴部位の国際標準化公式会議に向けて
*361穴草案の最終チェック→漢字表記を英字表記へ
*「経穴部位標準化セミナー」(2006年6月27日-29日,大田)を開
催し, 草案の確認と公式会議に向けての打合せなど
*2006年7月〜公式会議に向けて日本側の受け入れ準備開始
→公式会議開催(2006年10月31日-11月2日, つくば市)[WHO
本部関係者, 参加国は10か国前後, 30名前後の参加者になる
予定で, アジアのみならず, ヨーロッパ, アメリカなどからも招
聘]
*2007年にWHOより経穴標準部位の公式本が出版→日本語版
の発行→日本での採用・普及(会議の継続性の意義)