選択と決定を追求

選択と決定を追求
~一杯の紅茶から分かる自己決定の裏側~
大阪経済大学 経済学部 経済学科
服部ゼミナール tea time
石賀・上田・松尾・丸山・諸本
紅茶テイスティング
2種類の紅茶を
テイスティング
Which
is
expensive ??
一方が高級、もう一方は市販の紅茶
紅茶テイスティング
左
右
試飲中
A
B
一方が高級、もう一方は市販の紅茶
実は・・・
A
CO-OP
tea bag
ど
ち
ら
も
市
販
で
し
た
B
Daily
Club
A
B
●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●● ●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●
バンドワゴン効果
(Bandwagon Effect)
『ある選択が多数に
受け入れられている、流行している』
という情報が流れることで、
その選択への支持が一層強くなること。
経済的・政治的・社会的に深く関係している。
アナウンスメント効果の一つ。
実験① (表を見せない)
どちらが高級!?
A
or
B
実験② (表を見せる)
A
or
B
●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●● ●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●
どちらが高級!?
紅茶テイスティング実験
仮実験
実施日2010年10月1日・12日
60人
本実験200人
実験を行うにあたって・・・
• 票の比重
– 実験①で少なかった方に
あらかじめ多めに票を入れ実験②を行う
• 対象人物
– 実験①と実験②は、
別の人物を対象にして行う
テイスティング実験結果
100%
B
90%
結果…
61%
47%
45%
2
ポイント
A:
44
人
B:
56
人
14ポイント
80%
70%
60%
50%
増加
40%
増加
30%
20%
39%
10%
0%
43%
男性①
53%
A
A<B
男性②
55%
女性①
57%
女性②
紅茶のテイスティング実験から・・・
女性よりも男性の方が
流されやすい!!
Why?
紅茶を好む男女比率
女性
男性
習慣の違い
(女性の方が紅茶をよく飲み、男性は飲まない)
【1】緑茶
73.0%
78.5%
【2】コーヒー
65.1%
61.3%
バンドワゴン効果の
【3】紅茶
51.0% 36.4%
影響力の違い
【4】ウーロン茶 43.9% 45.9%
(習慣的に飲まない男性が、他人の評価に流される)
株式会社ヒューマグループ 平成22年4月2日~6月1日調査
NEXT STEP!!
男女とも
習慣的でないものなら・・・
目利き実験(男女共習慣性なし)
実験①
実験②
2種類の置物を見比べる
(表を見せない) (表を見せる)
Which is
expensive ??
or
or
一方が高級、もう一方は百円の置物
置物目利き実験
実施日2010年11月24日・26日
実験①(他人の評価無し)
100人(男50人・女50人)
実験②(他人の評価有り)
100人(男50人・女50人)
実験を行うにあたって・・・
• 票の比重
– 実験①で少なかった方に
あらかじめ多めに票を入れ実験②を行う
• 対象人物
– 実験①と実験②は、
別の人物を対象にして行う
目利き実験結果
100%
B
90%
80%
70%
66%
58%
66%
60%
50%
4ポイント
40%
30%
62%
変化なし
34%
34%
20%
A減少
42%
38%
10%
0%
男性①
男性②
女性①
女性②
アンダードッグ効果
(Underdog Effect)
不利な状況にあるものにあえて、
支持をしたくなる人間の心理の表れのこと。
経済的・政治的・社会的に深く関係している。
アナウンスメント効果の一つ。
バンドワゴン効果とは逆の効果
2つの実験を比較
実験①
~紅茶のテイスティング~
×
実験②
~置物の目利き~
比較結果
バ
ン 流される
ド 紅茶
ワ
ゴ
男性
ン 置物
効
果
不動
ア
抵抗する ン
ダ
ー
ド
女性
ッ
グ
効
果
男女共
同じ方向へシフトする!!
3つの相違点
判断材料の違い=判断基準の違い
紅茶による
馴染み有無
実験内容 テイスティング
置物による
目利き
=誤回答に対するリスク(恥)の有無
不明
類似性の違い明白
=先入観が生まれやすい
判断材料
馴染み
あり
なし
類似性
あり
なし
考察
アナウンスメント効果
同じような内容
*2つを比べる
*どちらか高級か問う
実験内容:
↓
紅茶テイスティング
生まれた効果:判断材料
の差
実験内容:
バンドワゴン効果
置物の目利き
習慣的な差
生まれた効果:
類似性アンダードッグ効果
の差
↓
生まれる効果が異なる
自己決定が作為的に
コントロールされる可能性がある!?
アナウンスメント効果の影響力
選挙活動において
政策の対立軸
判断基準
明白
不明
バンドワゴン
効果
アンダードッグ
効果
例をあげると・・・
類似
候補者
乖離
バンドワゴン
効果
アンダードッグ
効果
バンドワゴン効果が影響したとされる選挙例
2009年度 衆議院選挙
鳩山由紀夫
主な政策内容:政権交代
2005年度 衆議院選挙
第二次小泉改造政権
主な政策内容:郵政民営化
アンダードッグ効果が影響したとされる選挙例
1996年衆議院選挙
事前の予想では自民党が過半数を獲得すると伝えられながら、
実際には獲得できなかった例
街頭調査・マスメディアなどで…
テレビのCM
街頭調査
私たちの自己決定が
コントロールされているのかも
知れない
雑誌
インターネット
私たちの意思
作為的なコントロール
周りに流される
危険!!
今回の研究を通して・・・
①人は他人の意見に影響されやすい
②アナウンスメント効果の
分岐基準の発見
大切なこと→自分の意思を持つこと
参考文献
• マッテオ・モッテルリーニ 著、 泉典子 訳
『経済は感情で動くーはじめての行動経済学』
紀伊国屋書店 2008年
• 依田 高典 著
『行動経済学―感情に揺れる経済心理』
中公新書 2010年