4年生勉強会 9/19 9:00~ 担当:藤岡知子 バランスを捉える バランスを評価する バランスを改善する バランスって?? ⇒姿勢の変化や外乱に対する立ち直り反応や平衡反応 といった姿勢反応としてのバランス ⇒生体力学的分析に適した身体重心線と支持基底面の 関連性としてのバランス ⇒特定の検査方法を通してみた結果としてのバランス 様々な捉え方があり、PTや使用する文脈に よっても異なる 「バランスとは、重力をはじめとする環境に対する生体の情報処理 機能の帰結・現象」 「平衡機能とは、種々の運動や行動に伴う姿勢を維持・調節するた めに必要な神経系の機能」 (2004,内山) 「バランスとは、姿勢調節における安定性に着目した概念で、支持 基底面内に重心線をおさめることが要件となり、筋力、関節可動 域、呼吸循環機能など多くの身体機能によって達成されるもの」 (2002,望月) 「バランス」:外部から観察される現象自体 「バランス能力」:バランスにかかわる身体機能全体 「平衡機能」:バランス能力を構成する要素の中核をなす神経機能 のように区別して考えると分かりやすい? 「平衡機能」と捉える立場 ⇒反射階層理論が拠り所。神経学的な階層構造の異常として バランスの低下を説明。対象は中枢性疾患が中心。 概 念 の 拡 大 「バランス能力」と捉える立場 ⇒システム論的解釈。姿勢調節にかかわる身体要素全体によ る機能をバランス能力とし、各要素の異常や要素間の関連 性が重視される。整形疾患や高齢者などにおいてもバラン ス障害は問題視されるように。 パフォーマンスの結果としての「バランス」 ⇒身体能力、動作課題、動作を遂行する環境とのかかわりの 中でバランスを捉える。 「バランス」の評価 ←ADLや基本動作の自立度を評価するとき重点が置 かれる 「バランス能力」の評価 ←機能障害や機能的制限を評価するとき重要になる 目的:対象者のバランス能力低下の程度を知り、 心身機能・構造、活動、参加の各障害レベル との関連性を把握し、理学療法を展開する 手立てや理学療法の帰結を得る 研究的な評価指標:重心動揺計や三次元動作解析 装置などの測定機器を用いる 臨床的な評価指標:動作のパフォーマンスなどに 基づく 姿勢保持時間の測定 -静的バランス能力を表す 姿勢保持・動作時の転倒の有無、身体動揺や円滑性 静的・動的なアライメントの観察 -能力低下をきたす機能障害を予測する上でも重要 課題遂行時間の測定 -動的なバランス能力の評価 動作遂行範囲の測定 -重心線を随意的に移動できる範囲(安定域) 心理的または内的評価 ー主観的なバランス能力と客観的測定値の関連 〈対象者からの情報〉 事実としての転倒 動作の不安定感 転倒に対する不安 〈主観的評価法〉 Falls efficacy scale 〈問題点の具体化〉 どのような動作が どのような場所で どの程度問題か 〈対象者の個別条件〉 対象者のニーズ 〈対象者の資源〉 家族の協力 家屋環境 経済状況 など ⅰバランス能力低下の可能性 (問題の発見) ⅱバランス能力評価 能力低下の有無・程度 ⅲ問題点の明確化 能力低下の要因特定 ⅳ目標の設定 ⅴ介入の方針と方法の決定 プログラム作成 ⅵプログラム実施と効果判定 (再評価) 小脳半球に限局した症状では、FBを多くし(弾性 緊縛・重錘・PNFなど)出力を高めるアプローチ ※姿勢調節機能の低下+深部感覚障害に無理な視覚 的FBは逆効果 脳幹病変による症状には、重心・身体の揺らぎに 対するアプローチと、偏倚した重心の位置を正常 化することによる潜在的な立ち直り反応の誘発の 2点に注意 ※動揺を呈する場合、その動揺を利用して随意運動 を先に改善することも重要 FBとその強化 -視覚・聴覚・触覚などの代償下で反復動作 足底感覚刺激 -応用動作の改善が得られることが多い 自覚的な改善の有無が継続判定の基準 フレンケル体操 -視覚FB下で120以上のパターン動作の反復 その他 -弾性緊縛帯や重錘負荷 ※一般的に反復した動作練習が効果的とされる ※早期から動的バランス能力の向上を目指す ※各方法を併用したり、効果を見て試行錯誤する ※運動療法としては、関節、筋、皮膚、皮下組織などの柔軟性を 高め、固有受容感覚FBを活性化すること、立ち直り反応や 平衡反応といった姿勢反応を促通することが重要 寝返りのなかでの立ち直り反応の促通 -肩甲帯のprotractionを引き出し、腹筋群の活動を促す 座位での立ち直り反応の促通 -体幹・骨盤帯の選択的運動を段階的に練習 下肢のアライメントと可動性の改善 -股伸展・回旋、足底背屈、足部の運動性 立位バランスの促通 -アライメント調整、重心移動 歩行の促通 -アライメント調整→片脚支持能力↑→自律化→速度・協調性↑ 加齢により運動機能は低下する 運動機能要素により低下の程度・時期が異なる (←性別、職業、日常活動度などに影響される) 高齢になるに従ってばらつきが大きくなる 加齢による機能低下と疾患等による機能低下の区別 が難しい 運動要素のなかで加齢による低下が著しいものは、 男性では平衡性、柔軟性、瞬発力、女性では平衡性、 瞬発力である ※年齢にかかわらずトレーニングにより平衡機能の 維持・改善は可能→やろう! 望月久:バランス-バランスの評価と理学療法-. 理学療法学 36(4); 220~222,2009. 望月久:理学療法におけるバランスの捉え方 -概念・評価・改善へのアプローチ-. 理学療法学 32(4);192~196,2005. 奈良勲ら編:姿勢調節障害の理学療法.医歯薬出版株式会社,2004. 丸山仁司:高齢者の姿勢制御障害. 理学療法学 26(3);118~120,1999. Thank you for your attention♪
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