国際癌サポーティブケア学会(MASCC) 第7回国際癌会議・ペルージャ 制吐療法に関する合意会議 2004年3月29-31日・ペルージャ 組織・全体会議議長団: Richard J. Gralla, MD Fausto Roila, MD Maurizio Tonato, MD June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 本スライドは国際癌サポーティブ学会(MASCC)によ りすべての人々に供与されるものであり、変更を施さな い限り、またMASCCのロゴと情報の日付が留保される 限り、自由に使用可能である。 問い合せ先: Cynthia Rittenberg – [email protected] June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 制吐療法ガイドライン合意事項 - ガイドライン設定にあたってのコメント 本ガイドラインの一連のスライドはペルージャ会議後のガイドライン作成に おける初版である。 MASCC制吐療法ガイドライン委員会はこの一連のスライドパネルに2004年 6月1日のものと明記する。 ペルージャでの他のガイドライン作業グループは各々の組織の方法に従って そのガイドラインを発行する。 本調査結果はASCO2004あるいはMASCC2004の報告を反映したものでは ない。 上記会議(共に2004年6月)で提示された所見は本ガイドライン作業グループに より論議される予定であり(継続中の作業情報参照)、2004年後半の次版に反 映される予定である。 上記会議はaprepitant(アプレピタント)、 palonosetron (パロノセトロン)の使用に 関するガイドラインに大きく影響する可能性がある。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 制吐療法ガイドライン合意事項 - 国際腫瘍研究グループ9団体により同意されたプロセス - 国際的: MASCC 北米: ・アメリカ合衆国 ASCO, ONS, NCCN ・カナダ CCO ヨーロッパ : ESMO, EONS アフリカ: オーストラリア: SASMO COSA June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャでの制吐療法ガイドライン作成参加者:2004 Matti Aapro, MD Enzo Ballatori, PhD Sussanne Borjeson, RN, PhD Rebecca Clark-Snow, RN, OCN Albano Del Favero, MD Lawrence Einhorn, MD Petra Feyer, MD Richard Gralla, MD Steven Grunberg, MD Jørn Herrstedt, MD Paul Hesketh, MD Rolf Kaiser, MD, PhD June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer Jim Koeller, RPh, MS Mark Kris, MD Ernesto Maranzano, MD Alexander Molassiatis, RN, PhD Ian Olver, MD, PhD David Osoba, MD Bernardo Rapoport, MD Cynthia Rittenberg, RN, MN, AOCN Fausto Roila, MD Maurizio Tonato, MD David Warr, MD © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン - プロセス 1) ペルージャ会議に先立ち各委員会は担当分野につき調査研究を実施。 ペルージャ会議では各委員長が調査結果を全グループに提示しガイド ラインのエビデンス/信頼性のレベルを提案(ASCO及びMASCCの基準)。 2) 各プレゼンテーション後にグループディスカッションを行い、合意に関する投票。 合意のための基準とは? ・前回の合意会議*に従う: ガイドライン変更にはパネリストの75%以上の同意が必要。 ・既存ガイドラインの変更: 適切に実施された試験に基づく説得力のあるエビデンスが必要。 試験はおおむね種々のガイドラインに一致し、かつベストプラクティスを代 表すると考えられる(比較)対照を用いたものであること。 * 2001年コロンビアコンセンサス制吐療法会議 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン - 各委員会とその担当分野(1/2)第1委員会 抗癌剤の嘔吐リスクによる分類 第2委員会 急性嘔吐:高度嘔吐リスク化学療法 第3委員会 遅延性嘔吐:高度嘔吐リスク化学療法 第4委員会 急性嘔吐:中等度嘔吐リスク化学療法 第5委員会 遅延性嘔吐:中等度嘔吐リスク化学療法 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン - 各委員会とその担当分野(2/2)第6委員会 最小あるいは低い嘔吐リスクの化学療法 第7委員会 特別課題:難治性嘔吐、レスキュー制吐治療、 複数日にわたる化学療法、高用量化学療法 第8委員会 予測性嘔吐 第9委員会 放射線療法誘発嘔吐、化学療法中の小児の 制吐薬 第10委員会 将来展望:調査研究の方向、試験デザイン、 経済学的考察 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン - 将来へのプロセス: ガイドラインの精度を保ち、常に最新で、妥当性を維持すること - 新しく発生するエビデンスに対応する継続的プロセス: ・委員会は常設とする。 ・委員長は、ガイドラインに影響する新しい情報の有無に関し 6ヶ月毎に委員会に諮問する。 ・運営委員会は上で提案された情報に関して各委員長に諮問 する。 ・エビデンスが有力であると考えられたら、全グループのメンバ ーに通知され意見が求められる。 ・同意に達したら、Web-Guidelineの文書(MASCC)を更新する。 本件は全参加団体に通知される。 ・その後に出版される印刷物は送付される。これは全参加団体に統一され た方法で行われる。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン 制吐療法ガイドライン - 第1委員会(1/5):嘔吐リスク4群 高度 ほぼ全患者(>90%)に リスク 中等度 患者30%~90% にリスク 低度 患者10%~30% にリスク 最小 患者10% 未満のリスク June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン 制吐療法ガイドライン - 第1委員会 (2/5):嘔吐リスク別分類-単回静脈内投与薬剤 - 高度 シスプラチン mechlorethamine(メクロレタミン)* streptozotocin (ストレプトゾトシン)* シクロホスファミド≧1500mg/m2 carmustine (カルムスチン)* dacarbazine (ダカルバジン)* 中等度 oxaliplatin(オキサリプラチン)* シタラビン>1gm/m2 カルボプラチン イホスファミド シクロホスファミド1500mg/m2 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer ドキソルビシン ダウノルビシン エピルビシン イダルビシン イリノテカン © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン 制吐療法ガイドライン - 第1委員会 (3/5): 嘔吐リスク別分類―単回静脈内投与薬剤 - 低度 パクリタキセル ドセタキセル ミトキサントロン トポテカン エトポシド pemetrexed(ペメトレキシド)* メトトレキサート ドキソルビシンリポゾーム製 剤* (Jan2005) June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer マイトマイシン ゲムシタビン シタラビン≦100mg/m2 5-フルオロウラシル bortezomib (ボルテゾミブ)* cetuximab (セツキシマブ)* トラスツズマブ © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン 制吐療法ガイドライン - 第1委員会(4/5):嘔吐リスク別分類―単回静脈内投与薬剤 - 最小 ブレオマイシン ブスルファン 2-chlorodeoxyadenosine (2-クロロデオキシアデノシン)* フルダラビン ビンブラスチン ビンクリスチン ビノレルビン bevacizumab (ベバシズマブ)* June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 ペルージャ2004制吐療法ガイドライン 制吐療法ガイドライン - 第1委員会 (5/5): 嘔吐リスク別分類―単回経口投与薬剤 高度 hexamethylmelamine(ヘキサメチルメラミン) *プロカルバジン 中等度 シクロホスファミド エトポシド temozolomide (テモゾロミド)* 低度 カペシタビン 最小 chlorambucil (クロラムブシル) *ヒドロキシ尿素 L-phenylalanine mustard(L-フェニルア ラニンマスタード)* vinorelbine (ビノレルビン)* * イマチニブ テガフール* (Jan2005) June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer 6-thioguanine (6-チオグアニン)* メトトレキサート ゲフィチニブ © MASCC 2007 第2委員会: 高度嘔吐リスク化学療法後の急性悪心・嘔吐予防のためのガイ ドライン: 高度嘔吐リスクの化学療法後の急性悪心・嘔吐予防のためには、 化学療法前に5-HT3拮抗薬、デキサメタゾン、aprepitant(アプレ ピタント)をそれぞれ単回投与する3剤レジメンが推奨される。 MASCC合意レベル:高 MASCC信頼性レベル:高 ASCOエビデンスレベル: I ASCO推奨グレード:A June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第2委員会および第4委員会 - 高度、中等度嘔吐リスク化学療法による急性悪心・嘔吐の サポ-ティブケアの原則 - 全会一致の合意事項:カテゴリー I エビデンス - 充分にして最低有効用量を用いること。 - 化学療法前の単回投与が最良のスケジュールである。 - 比較対照試験ではセロトニン拮抗剤の有効性と有害作用は 同等である。 - 静脈内投与でも経口投与でも効果と安全性は同等である。* - 化学療法前にはセロトニン拮抗薬と共に常にデキサメタゾンを投与 する。 *palonosetron(パロノセトロン)は静注用製剤のみが用いられている。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第3委員会: 高度嘔吐リスク化学療法後の遅延性悪心・嘔吐予防のための ガイドライン: シスプラチン投与を受け急性嘔吐予防のためにaprepitant(アプレピタン ト)、 セロトニン受容体拮抗薬、デキサメタゾン投与を受けている患者は、 遅延性嘔吐の予防にはデキサメタゾンとaprepitant(アプレピタント)の併 用が提案された。なぜならばデキサメタゾンとaprepitant(アプレピタント) の併用はデキサメタゾン単独よりも優れているからである。 MASCC合意レベル:中 MASCC信頼性レベル:高 ASCOエビデンスレベル: II ASCO推奨グレード:A June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第4委員会(1/3): 中等度嘔吐リスク化学療法(MEC)における急性嘔吐 予防のためのガイドライン: MECの初回コースでは、5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン が急性悪心・嘔吐の予防に推奨される。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル: I ASCO推奨グレード:A June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第4委員会(2/3): 中等度嘔吐リスク化学療法における急性嘔吐予防のため の ガイドライン: 中等度嘔吐リスクの治療の第1サイクルで、ガイドラインに則って急性嘔吐 予防薬が投与されている場合、セロトニン受容体拮抗薬は薬剤間で臨床的 に直接関連する差異はない*。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル: I ASCO推奨グレード:A *参加者はpalonosetron(パロノセトロン)との比較データに興味を持ったが、このガイドラインを変更するには、ガ イドラインに沿っ た(デキサメタゾンと共に投与)試験が必要であるとも指摘している。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第4委員会(3/3): 中等度嘔吐リスク化学療法における急性嘔吐予防のためのガイド ライン: MECによる急性悪心・嘔吐の予防に用いられるデキサメタゾン の推奨用量は8mgを静脈内投与×1回である。 MASCC信頼性レベル:中 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:II ASCO推奨グレード:B June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 急性嘔吐に対するセロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬の 推奨用量 薬剤 オンダンセトロン グラニセトロン dolasetron(ドラセトロン) 本邦未発売 トロピセトロン palonosetron(パロノセトロン) 投与経路 用量 静注 8 mg または 0.15 mg / Kg 経口 16 mg* 静注 1 mg または 0.01 mg / Kg 経口 2 mg (または 1 mg**) 静注 100 mg または 1.8 mg / Kg 経口 100 mg 静注 5 mg 経口 5 mg 静注 0.25 mg 本邦未発売 * ランダム化試験は8mg 1日2回で実施。 **パネリストによっては用量1mgを推奨している:MEC小規模ランダム化試験、HEC第2相試験。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 デキサメタゾンおよびaprepitant (アプレピタント) の推奨用 法 デキサメタゾン 急性嘔吐 用量および投与スケジュール 20 mg 、1回 高度リスク 遅延性嘔吐 急性嘔吐 中等度リスク 遅延性嘔吐 低度リスク 急性嘔吐 aprepitant(アプレピタント) 急性嘔吐 遅延性嘔吐 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer 8 mgを1日2回、3-4日間 8 mg、1回 1日8 mg 、2-3日間 (パネリストの多くは4mgを1日2回) 4 - 8 mg 、1回 用量および投与スケジュール 125 mg経口、1回 80 mg経口、2日に1回 © MASCC 2007 “AC” *の説明 第2-5委員会 中等度嘔吐リスクの化学療法における急性嘔吐に対して、公式 の推奨ではないが、アントラサイクリンとシクロホスファミドが併 用投与されている女性は悪心・嘔吐のリスクが特に高い状況下 にあることを認識すべきである。 さらに、嘔吐リスクはサイクル数を重ねると上昇するようである。 *“AC ” =アントラサイクリンとシクロホスファミドの併用。 以下のレジメンがある:AC、EC、FAC、FEC。A=ドキソルビシン、E=エピルビシン、 C=シクロホスファミド、F=5-FU。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第5委員会(1/2): 中等度嘔吐リスク化学療法中の患者における遅延性 悪心・嘔吐予防のためのガイドライン: 遅延性悪心・嘔吐が有意に発生するとされているMECを 受けている患者は遅延性嘔吐を予防する制吐療法を受 けるべきである。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル: I ASCO推奨グレード:A June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第5委員会(2/2): 中等度嘔吐リスク化学療法中の患者における遅延性 悪心・嘔吐予防のためのガイドライン: 経口デキサメタゾンが優先治療である。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:II ASCO推奨グレード:A -------------------------------------------------------------5-HT3受容体拮抗薬は代替選択肢として使用可能である。 MASCC信頼性レベル:中 MASCC合意レベル:中 ASCOエビデンスレベル:II ASCO推奨グレード:B June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第6委員会(1/2) 低度嘔吐リスク薬剤*が投与される患者における急性悪心・ 嘔吐予防のためのガイドライン: 低度嘔吐リスク薬剤が投与される患者には単剤(例えば 低用量のコルチコステロイド)が提案される。 MASCC信頼性レベル:レベル設定不可 MASCC合意レベル:中 ASCOエビデンスレベル: III、IV ASCO推奨グレード:D June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第6委員会(2/2): 最小嘔吐リスクの抗癌剤*が投与される患者における 急性悪心・嘔吐予防のためのガイドライン: 悪心・嘔吐の病歴のない患者では化学療法前に制吐剤をルーチン投 与するべきではない。 MASCC信頼性レベル:レベル設定不可 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:V、および専門医合意 ASCO推奨グレード:D *最小嘔吐リスクレベルでは異例ではあるが、もし患者がガイドラインが推奨している治療で嘔吐を示した 場合は、その後の治療では嘔吐リスクレベルが一段上のレジメンを適用するべきである。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第7委員会: シスプラチンが複数日投与される患者のためのガイドライン: シスプラチンが複数日投与される患者には急性悪心・嘔吐予防に 5-HT3拮抗薬とデキサメタゾンを併用で、遅延性悪心・嘔吐予防に デキサメタゾンを投与すべきである。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:II ASCO推奨グレード:A 注記: レスキューによる制吐や高用量(移植等)化学療法には適切なガイドライン はないと考えられる。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第8委員会: 注記: 予測性嘔吐に対する最良のアプローチは、 急性嘔吐と遅延性嘔吐を可能な限り最善 を尽くしてコントロールすることである。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第8委員会: 化学療法あるいはRT(放射線療法)を受ける患者の 予測性悪心・嘔吐の管理のためのガイドライン 予測性悪心・嘔吐は心理学的方法で管理されるべきである。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 --------------------------------------------------------------心理学的方法の代替あるいは追加選択肢としてはベンゾジアゼ ピン系薬剤を使用する。 MASCC信頼性レベル:中 MASCC合意レベル:高 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第9委員会(1/5) - 放射線療法(RT)の嘔吐リスクレベル リスクレベル 治療部位 全身 高度 上腹部 中等度 低度 胸部下部、骨盤、 頭蓋(放射線手術)、頭蓋脊椎 最小 頭頚部、四肢、頭蓋、乳房 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第9委員会(2/5): 高度嘔吐リスクのRT(放射線療法)を受ける患者における悪 心・嘔吐予防のためのガイドライン:全身照射 高度嘔吐リスクのRTを受ける患者には5-HT3拮抗薬とデキ サメタゾンを投与するべきである。 MASCC信頼性レベル:中 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:III ASCO推奨グレード:C June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第9委員会(3/5): 中等度嘔吐リスクのRT (放射線療法)を受ける患者における悪 心・嘔吐予防のためのガイドライン : 上腹部照射 中等度嘔吐リスクのRTを受ける患者には5-HT3拮抗薬を投与 するべきである。 MASCC信頼性レベル:高 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:II ASCO推奨グレード:A June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第9委員会(4/5): 低度嘔吐リスクのRT(放射線療法)を受ける患者における悪心・嘔吐予防のため のガイドライン: 胸部下部、骨盤、頭蓋(放射線手術)、頭蓋脊椎の照射 低度嘔吐リスクのRT(放射線療法)を受ける患者には5-HT3拮抗薬をレスキュー 投与するべきである。 MASCC信頼性レベル:低 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:IV ASCO推奨グレード:D -------------------------------------------------------------------------- 低度嘔吐リスクのRT(放射線療法)を受ける患者で嘔吐歴がある時、予防的に5HT3拮抗薬を投与するべきである。 MASCC信頼性レベル:中 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:III ASCO推奨グレード:B June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 第9委員会(5/5): 最小嘔吐リスクのRT(放射線療法)を受ける患者における悪心・嘔 吐予防のためのガイドライン: 頭頚部、四肢、頭蓋、乳房の照射 最小嘔吐リスクのRT(放射線療法)を受ける患者にはドーパミン拮 抗薬または5-HT3拮抗薬をレスキュー投与するべきである。 MASCC信頼性レベル:低 MASCC合意レベル:高 ASCOエビデンスレベル:IV ASCO推奨グレード:D June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(1/9) - 一般的方法論:高度リスクと中等度リスク 比較試験では: ・嘔吐リスクはできる限り同じものを用いる。 高度リスク ・シスプラチン vs シスプラチン(同じ用量とスケジュールで) ・ダカルバジン vs ダカルバジン(同じ用量とスケジュールで) 中等度リスク ・アントラサイクリン系薬剤を含む療法(FEC、FAC) vs AC(例) ・既知のリスク群による層別化(および解析)を行う。 (特に:性別、年齢、アルコール摂取歴) 調査研究と臨床で使用可能な患者リスクファクターのアルゴリズム をバリデートすることを考慮する。 放射線療法においても上記と同様のバリデートが有用である。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(2/9) - 一般的方法論: 遅延性嘔吐 (第3委員会および第5委員会)- ・催吐刺激のコントロールに加え、急性嘔吐に対する制吐レジメ ンは全患者で同じであるべきである。 ・ガイドラインの推奨レジメンを比較研究の基準とするべきであ る。 ・試験は急性嘔吐レジメンに対する患者の反応が明らかになる ようにデザインされるべきである。 - 完全防止 vs <完全防止(完全防止に達しない) June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(3/9) - なお取り組むべき領域 ・低度嘔吐リスク群―プロスペクティブ試験が欠如(第6委員会) - 実施困難ではない。 - 最適で経済的に適切なレジメン。 - ファーストラインの治療が不十分な時の実証ずみのアプローチ。 ・小児科(第9委員会) - 依然として研究の数が少なく、質が低い。 - 研究対象となっている患者の割合が高いことは驚くべきことである。 ・放射線療法(第9委員会) - 特定の試験が引き続き必要である。 - 潜在的に長期的作用のある新規薬剤が特に有望な研究の候補である。 - リスクモデルをバリデートすること。 ・制吐剤による副作用 - NK1受容体に作用する薬剤は血算に影響するか? June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(4/9) - 焦点の明らかになった領域:悪心のコントロール ・方法論的課題: - 制吐性試験で採用された“悪心”に対して、患者は同じように定義 しているだろうか? 悪心を次のものと混同していないか: - 食欲不振? - 疲労感? - 胸やけ? - このことが試験で悪心スコアが悪い理由であるか? - 悪心は多数の臨床試験でプライマリーエンドポイトとすべきである。 ・有効性の課題: - 嘔吐は悪心より良好にコントロールされている。 - 他の治療的介入は必要ないか?デキサメタゾンの投与は? - 嘔吐のコントロールと悪心には高い相関がある...しかし他の メカニズムの関与は? - 明らかに大きな苦痛の原因でもあり、メジャーな必要性がある。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(5/9) - 基礎科学的研究とその関係 ・新規受容体ファミリーの研究 - オピオイド受容体 - カンナビノイド受容体 - 他の受容体候補 ・作用時間に関する研究―PETの使用 ・遺伝子/分子研究 - 遺伝子配列 - 薬理遺伝学的研究 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(6/9) - 他の方法論的考察 ・嘔吐リスクのプロスペクティブ評価:(第1委員会) - 最新の化学療法薬剤: oxaliplatin(オキサリプラチン)* 、 pemetrexed (ペメトレキセド) * - “新規薬剤”:ゲフィチニブ、 erlotinib(エルロチニブ) * 、 erbitux(エル ビタックス) * ・長期投与の研究(第1委員会) - 経口化学療法 - RT(放射線療法) ・特異的方法論: - 多回数投与サイクルの研究 - レスキュー試験 ・予後因子の研究: - NK1受容体拮抗薬を使用する時も予後因子は同じか? - 性別/ホルモンによる影響ー大規模データベースの調査を含む。 - 心理学的要因/期待とアウトカムの関係 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(7/9) - 経済学的考察 ・経済学的因子は適切な研究で説明されなければならない: 結果が同等なら、低コストレジメンが優先されるべきである。 - ジェネリック薬の役割は増大するであろう。 - レジメン選択によっては賠償が現実となる。 ・経済学的研究: - 独立したグループでなされるべきである。 - 観点(“見方”)を明らかにするべきである。 - ランダム化試験でプロスペクティブに実施するのに有益。 - より全面的な研究により全コストが評価される。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究(第10委員会)(8/9) - ガイドラインの使用と考察 ・ガイドラインの使用:研究は次の事項を評価… - ガインドライン使用による患者個人への影響。 - いつ、何故ガイドラインに従わなかったか。 - ガイドラインの使用が増加することと戦略の成功に関連した研究。 ・制吐剤(および嘔吐コントロール)の認められている価値 - 腫瘍専門医 - 患者 - 一般の人々 ・クオリティ・オブ・ライフについての研究 - バリデートされた評価手段を用いた研究がさらに必要か? - 他の治療因子と嘔吐コントロールがQOLに及ぼす影響に関する質的 なサポーティブケアの研究を行うこと。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007 嘔吐リスク調査研究 - 第10委員会の結論(9/9)・推奨される近い将来の研究領域: - 新規参入薬剤 - ガイドラインのエビデンスレベルが低い領域 - コントロール不良領域と悪心の問題への注意 ・方法論的考察は何より重要となろう。 - 現行のレジメンで良好な成績 - 研究困難な長年の問題点 ・分子的方法はこの分野で大きな可能性がある。 ・共同研究グループと大規模“治療”試験(治験)がサポーティブ ケアを取りあげ、研究することが必須である: - 確立されたサポーティブケアの介入を義務付ける。 - 生活の質に対するサポーティブケアを実施する。 June 2004 Multinational Association of Supportive Care in Cancer © MASCC 2007
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