東海大学産業工学部 環境保全学科 SETIの分類(2) ・ 電波で探す(RSETI) 文明は無線による通信を行っているだろう。 ・ 光で探す(OSETI) パルス状の光など恒星とは違った光をさがす。 ・ 赤外線で探す(IRSETI) 文明があれば熱があり、赤外線を出しているだ ろう。 ・ 他に ・ 恒星に核廃棄物を投下している。 ・ 地球周辺に探査機を送ってきている。 東海大学産業工学部 環境保全学科 光でさがす ・ 地球文明の出す光は弱く、太陽系から離れる と太陽の光に隠されて見えない。しかし地球 文明は1瞬だけなら太陽より強い光パルスを 出すことに成功している。 ・ 電波と同様に、このパルスでETIがMETIある いは交信をしていると考え、この信号を探す のがOSETIである。 東海大学産業工学部 環境保全学科 赤外線でさがす ・ ダイソン球:1960年にダイソンが提唱した、恒 星のエネルギーを使うために恒星を覆う巨大 な人工的な球体。使用したエネルギーは最終 的には熱として放出されるため、赤外線観測 で発見されると言われている。 ・ IRSETIはこの原理に基づいている。IDSETIの みでDSETIは無い。 東海大学産業工学部 環境保全学科 電波でさがす ・ D-RSETI は水素の出す1.42GHzの電波など の特定の周波数の信号を探す。周波数は銀 河系中心や宇宙背景放射に対しての周波数 を観測している。ただ、この周波数は地球で は天文観測専用として発信が禁止されている。 ・ ID-RSETIは、広く軍事レーダー・人工飛翔体 などとの交信電波を受信する。 東海大学産業工学部 環境保全学科 RSETIの感度 ID-RSETIの現在の感度 ・ 火星からの携帯電話受信 ・ 1光年以内からのTV電波 ・ 300光年以内からの軍事用レーダー ・ 3000光年以内からの天文学用レーダー Tarter 2001 Ann.Rev.Astron.Astrophys. 39,511 東海大学産業工学部 環境保全学科 SETIの歴史 ・ ローウェル(1855-1916)が火星の「運河」の観測を行う。 ・ 1924:火星の大接近に合わせて電波観測をした。 ・ 1959:コッコーニとモリソンがSETIの電波による具体的 な提案をする。 ・ 1960:ドレイクが世界最初のSETI観測(オズマ計画・電 波観測)を行う。 ・ 1973:ウィシュニアが連続光観測(世界最初?)を行う。 ・ 1981:ウィッタボーンが赤外線観測(世界最初?)を行 う。 東海大学産業工学部 環境保全学科 SETIの現状 ・ SETIのプロジェクトは1960年以来、100以上行わ れてきた。 ・ IRSETI・OSETIともこれといった信号の観測報告 はない。 ・ RSETIでは1.42GHzまたはその2倍の狭帯域(1Hz 程度)の観測が主流であり、(そのレベルにも寄る が)数百程度の(ほとんどが1観測局で1回きりの) 発信源不明の信号の検出報告がある。 ・ いずれにしろ、確実なETIからの信号は未検出であ る。 東海大学産業工学部 環境保全学科 WOW信号 ・ 1977年8月16日水素原子の出す1.42GHz で72秒継続した雑音の30倍を超す電波を1 回だけ観測した。 惑星や小惑星・ 宇宙探査機・人工 衛星・飛行機・地上 からの人工信号な どでは無いとされる。 東海大学産業工学部 環境保全学科 内容 ・ 自己紹介 ・ 用語の定義 ・ ETI観の歴史 ・ 巷の話 ・ ドレイクの式 ・ 近年のCETIの歴史 ・ 日本の貢献 ・ 将来に向けて 東海大学産業工学部 環境保全学科 日本の歴史 ・ 1991:寿岳・野口、日本最初のSETI (IRSETI)実施。 ・ 1999:藤下・他、日本最初のRSETI実 施。 ・ 2005:鳴沢・森本、日本最初のOSETIを 実施 ・ 以降・・・・・・(これから話します) 東海大学産業工学部 環境保全学科 電波での反省 ・ 1960年以降、多くのRSETIが行われたが、未 だ確定的な信号を捉えるに至っていない。 ← 殆どが1局で1回きりの観測 ・ 藤下はこれを考慮し(お金がないから) → ・ 多周波多地点多方式同時観測 → ・ UWB(Ultra-Wide Band:超広帯域通信)の 可能性 → ・ これまであまり観測されなかった天体。 を考えた。 東海大学産業工学部 環境保全学科 多地点同時観測 ・ まず「多地点(2地点)同時観測」 ・ 1999年12月17日-21日の間で75分 間観測。 ・ 名古屋大学太陽地球環境研究所(当時) の木曽と富士の2カ所の27m×75m電 波望遠鏡を使用。 ・ 観測周波数:317MHz-337MHz ・ ターゲット:双子座ベータ星 東海大学産業工学部 環境保全学科 木曽のアンテナ 25m× 75mの 雨樋型 東海大学産業工学部 環境保全学科 パルス性の信号を探す 東海大学産業工学部 環境保全学科 パルス性の信号を探す 0.15秒~0.20 秒の間隔のパルス が混入。 → 同一の装置の ため? → 多方式が必要 東海大学産業工学部 環境保全学科 2周波2地点2方式 ・続いて「多周波(光・電波)・多地点(2 地点)・多方式(2方式)同時観測」 ・ 2005年3月に西はりま天文台とも共 同で国立天文台の電波望遠鏡を使っ て観測。 東海大学産業工学部 環境保全学科 観測の概要 ・ 2005年3月1日-6日(日本時間)の実質5 日間。 ・ 国立天文台水沢10mアンテナ+西はりま天 文台2m望遠鏡(夜間のみ同時観測)。 ・ UWBと今まであまり観測されなかった天体 の観測も行った。 → 天候不順で同時観測は1時間12分のみ。 東海大学産業工学部 環境保全学科 国立天文台水沢 ・ 世界最初の天文広域精測望遠鏡(VE RA)を持つ。 ・ 岩手県水沢市にある。 → 現在は岩手県奥州市水沢区 ・ 昔、私が勤めていた。 東海大学産業工学部 環境保全学科 水沢観測(1) 東海大学産業工学部 環境保全学科 水沢観測(2) 東海大学産業工学部 環境保全学科 西はりま観測 うみへび座 東海大学産業工学部 環境保全学科 国内多周波多地点多方式 ・ 更に全国的な「多周波・多地点・多方式同時観測」 ・ 鳴沢・藤下・井上・森本のWGが企画し、全国に呼 びかけて賛同した機関に参加して貰う方式を取っ た。 ・ 2009年3月に試験観測、11月に本観測(さざん か計画)を行った。 東海大学産業工学部 環境保全学科 本観測 ・ 2009年11月11日12時(UT)から1 7時、12日12時から17時にかけて、 METAで報告 (Horowitz and Sagan, 1993) のあったカシオペア座の領域 (03h07m00s, +58d02m00s) に絞って 観測した。 ・電波は8機関12アンテナ、光学観測は 26望遠鏡が参加した。 東海大学産業工学部 環境保全学科 参加機関(1) (周波数順) ・ 山口大学 32mパラボラ 8.3GHz ・ 東海大学 11mパラボラ 8.3GHz 5mパラボラ 8.3GHz ・ 和歌山大学/みさと天文台 8mパラボラ 1.4GHz ・ 高橋観測所 6mパラボラ 1.4GHz 東海大学産業工学部 環境保全学科 参加機関(2) (周波数順) ・ 松尾観測所 1m パラボラ 1.4GHz ダイポール 38MHz ・ 各務観測所 八木アンテナ 1.4GHz ディスコーン 31MHz ・ 西はりま天文台 ダイポール 38MHz 八木 22MHz ・ 高知高専 ログペリ 30-35MHz 東海大学産業工学部 環境保全学科 山口大学 ・ ・ ・ ・ 周波数:8300-8304MHz 偏波:右旋円偏波・左旋円偏波同時観測 アンテナ:口径32mパラボラアンテナ 観測時間:毎時00-14,15-29,30-44,45-59分 方位角制限・装置の不調による欠測あり。 ・ 手法:FFTによる分解能61Hzの分光観測 ・ 結果:2.82Jyを越える信号なし。 東海大学産業工学部 環境保全学科 山口大 口径32m パラボラアンテナ 東海大学産業工学部 環境保全学科 東海大学 ・ ・ ・ ・ ・ 周波数:8300-8304MHz(山口大と合わせた) 偏波:右旋円偏波 アンテナ:口径11m&5mパラボラアンテナ 観測時間:両日とも12時-17時(+α) 手法:バンド内全電力&スペアナによる 分解能10kHzの分光観測 ・ 結果:11mと5mの両者に一致する信号なし。 東海大学産業工学部 環境保全学科 東海大 11mアンテナ 5mアンテナ 東海大学産業工学部 環境保全学科 和歌山大/みさと天文台 ・ 周波数:1417.5-1422.5MHz (1.42000-1.42125を除く) ・ 偏波:直線偏波 ・ アンテナ:口径8mパラボラアンテナ ・ 観測時間:両日とも12時-17時 ・ 手法:分光観測 ・ 結果:1.4224GHzで4σ-5σの信号を6回 観測したがOFF点でも観測された。 東海大学産業工学部 環境保全学科 和歌山大/みさと天文台 口径8mパラボラアンテナ 東海大学産業工学部 環境保全学科 結果 ・ 多周波・多方式・多地点同時の「全国同時SETI 観測実験(本観測:さざんか計画)」を2009年11 月11日と12日に12時(UT)から17時にかけて、 カシオペア座の領域を対象に行った。 ・ 電波部門では8機関12アンテナが参加し、22MHz から8.3GHzまでの周波数で観測した。 ・ 特異な信号は検出できなかった。 東海大学産業工学部 環境保全学科 国際研究会で発表 ・ Astrobiology Science Conference (宇宙生物 学科学会議・AbSciCon2010) ・ 2010年4月26日-29日 ・ アメリカ・テキサス州・リーグシティ(ヒュース トンの近く) ・ 鳴沢が発表。 東海大学産業工学部 環境保全学科 ヒューストン での研究会 会場のホテル: ヒューストン近くの リゾート地 東海大学産業工学部 環境保全学科 ヒューストン での研究会 研究会受付 東海大学産業工学部 環境保全学科 ヒューストン研究会 研究会ウエルカムパーティー 東海大学産業工学部 環境保全学科 ヒューストン研究会 フランク・ドレイク さん(世界で最初 にSETIをした人 ・ドレイクの式を 作った人)と私( 日本で最初に電 波SETIをした人) 東海大学産業工学部 環境保全学科 ヒューストン研究会 ジル・ターターさんと 東海大学産業工学部 環境保全学科 ジル・ターター ・米国SETI研究 所の設立者の1 人 ・ジョディー・フォ スター主演の映 画「コンタクト」の モデルの人 東海大学産業工学部 環境保全学科 ヒューストン 研究会 ジョンソン宙セン ターにあった月 の石(触れる) 東海大学産業工学部 環境保全学科 国際多周波多地点多方式 ・ 更に世界的な「多周波・多地点・多方式同時観測」 ・ 2010年にSETI観測50周年を記念する日米観測 を藤下・鳴沢で提案した。 ・ 米側から範囲を拡げて世界同時観測とする動きが あり、結局2010年11月に5大陸15か国25機関 で観測(ドロシー計画)が行われた。 東海大学産業工学部 環境保全学科 概要 ・ 観測周波数: 0.15GHz(LOFAR)~8.3 GHz(山口大学) ・ 目標天体: τ Cetを含む8天体 ・ 観測期間 第1回: 2010年11月5日-7日 第2回: 2010年11月23日-26日 第3回: 2011年3月3日-5月22日 第4回: 2011年11月16日 第5回: 2013年(後で話します) 東海大学産業工学部 環境保全学科 参加国 日本・韓国・アメリカ・メキシコ・ アルゼンチン・オーストラリア・インド・ イタリア・ドイツ・オランダ・フランス・ スペイン・イギリス・スエーデン・ 南アフリカ 東海大学産業工学部 環境保全学科 ドロシー計画参加局 東海大学産業工学部 環境保全学科 ATA(アメリカ) 口径6m×42個 ドロシー計画公式ホームページより引用 東海大学産業工学部 環境保全学科 アレシボ(プエルトリコ) アレシボの305m電波望遠鏡 東海大学産業工学部 環境保全学科 アルゼンチン国立宇宙電波研究所 口径30m×2個 ドロシー計画公式ホームページより引用 東海大学産業工学部 環境保全学科 GMRT(インド) 口径45m×32個 ドロシー計画公式ホームページより引用 東海大学産業工学部 環境保全学科 LOFAR(オランダ他) ヨーロッパに 1000kmに 渡って展開さ れている LOFARムページより引用 東海大学産業工学部 環境保全学科 NRT(フランス) 口径100m ドロシー計画公式ホームページより引用 東海大学産業工学部 環境保全学科 内容 ・ 自己紹介 ・ 用語の定義 ・ ETI観の歴史 ・ 巷の話 ・ ドレイクの式 ・ 近年のCETIの歴史 ・ 日本の貢献 ・ 将来に向けて 東海大学産業工学部 環境保全学科 Event Driven SETI ・ SETIにおいては「いつ・どの方向から」という情報 が欠如している。D(直接)SETIにおいては聞き手 が聞いている条件を用いるだろう。 ・ 文明が観測するような天文現象があればその方向 を見ることが考えられる。 ・ パルサー・超新星などに併せて観測することが提 案された。 → パルサー:時間間隔・数からして目的に合わ ない。 → 超新星:銀河系の円盤方向とは限らない。 東海大学産業工学部 環境保全学科 銀河中心のガス雲 ・ Gillessen et al. (Nature, 481, 51-54, 2012) によれば 銀河中心の巨大ブラックホールにガス雲が接近中 でフレアーアップが予想できる。 ・ 接近時期:人によって違うが2013年の6月22日 -7月17日、夏~秋、2014年春などの説がある。 ・ フレアーアップの期間:人によって違うが数ヶ月~2 0ないし30年との説がある。 ・ 何にしろ地球の多くの局がこれを観測する計画を 持っている。 → Event Driven SETIになりそうである。 東海大学産業工学部 環境保全学科 ガス雲とSETI ETI Earth Gas Cloud By 中村貴廣 東海大学産業工学部 環境保全学科 第5回ドロシー計画 ・ 藤下はこのEvent Driven SETIをドロシー計 画の第5回観測として提案。 ・ ウチは和歌山大学と共同観測を開始してい る。 ・ アメリカのATA・ヨーロッパのLOFAR・スペ インのアマチュアが参加を表明。 → 現在観測・待機中。 東海大学産業工学部 環境保全学科 今後の方針 ・ 研究者の国際的な結合が図れている。 → IDSETIでは「多周波・多地点・多方式同時 観測」の頻度を上げ、一層の高感度観測を 実現する。 → DSETIでは「イベントドリブン型多周波多 地点多方式同時観測」を企画していく。 →アマチュア天文家の巻き込み。
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