アジア新興国に於ける日本企業の市場戦略

アジア新興国における日本企業
の市場戦略
2010年7月12日
日本貿易振興機構
海外調査部長 高橋俊樹
1
国内・海外で拡大する機能(全業種)
販売機能
77.3
61.7
生産(汎用品・高機能付加価値品)
45.2
生産(汎用品)
40.3
13.5
26.7
生産(高機能付加価値品)
39.9
24.2
研究開発(基礎研究・新製品開発・現地市場向け仕様変更)
4.4
研究開発(基礎研究)
44.4
19.8
22.7
研究開発(新製品開発・現地市場向け仕様変更)
44.1
11.3
研究開発(新製品開発)
研究開発(現地市場向け仕様変更)
地域統括機能
7.7
3.4
2.5
その他
不明・無回答
0
43.3
13.8
12.8
17.7
海外(n=524、複数回答)
16.0
15.7
物流機能
7.3
10
52.7
国内(n=363、複数回答)
10.7
20
30
40
50
60
70
80
(%)
(出所)平成21年度における日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査概容、2010年3月、日本貿易振興機構
2
中国での事業拡大意欲が増加
中国で販売・生産機能を拡大する企業の比率(製造業、商社・卸・小売)
販売機能
(複数回答、%)
65.0
60.0
63.7
58.3
58.2
55.0
57.8(55.3)
56.4
50.0
販売
順位
業種
1 精密機器
2 情報通信機械器具/電子部品・デバイス
3 鉄鋼/非鉄金属/金属製品
4 医療品・化粧品
5 その他の非製造業
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
19
89.5
13
84.6
17
82.4
16
81.3
24
79.2
405
71.6
264
71.2
97
71.1
44
75.0
生産(汎用品)
順位
業種
1 精密機器
2 情報通信機械器具/電子部品・デバイス
3 商社・卸売
4 飲食料品
4 鉄鋼/非鉄金属/金属製品
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
15
93.3
7
85.7
23
78.3
17
70.6
17
70.6
211
65.9
175
64.6
26
73.1
10
70.0
生産(高付加価値品)
順位
業種
1 情報通信機械器具/電子部品・デバイス
2 電気機械
3 化学
4 商社・卸売
5 飲食料品
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
8
87.5
12
83.3
16
81.3
15
73.3
10
70.0
140
66.4
99
66.7
16
75.0
25
60.0
50.6(49.7)
45.0
(n=463)
(n=522)
(n=477)
(n=487)
(n=399)
(n=445)
04年度調査
05年度調査
06年度調査
07年度調査
08年度調査
09年度調査
生産機能
(複数回答、%)
50.0
生産(汎用品)
40.0
30.0
中国で販売・生産機能を拡大する企業の比率が高い業種
39.5
36.6
33.5
30.4
20.0
21.4
10.0
20.5
15.3
17.5
生産(高付加価値品)
27.8(24.8)
13.8(12.6)
29.7(26.5)
17.5(17.7)
0.0
(n=463)
(n=522)
(n=477)
(n=487)
(n=399)
(n=445)
04年度調査
05年度調査
06年度調査
07年度調査
08年度調査
09年度調査
〔注1〕海外の機能を拡大する企業全体に対する比率。
〔注2〕08年度および09年度調査のカッコ内の数値は、非製造業を含めた全産業の数値。
それぞれの母集団(n)は、08年度が467、09年度が524。
〔注1〕海外で販売、生産機能を拡大すると回答した企業に対する比率。
〔注2〕回答社数が5社以上の業種の上位5位までを表示。
3
ベトナムとインドで定着する販売拡大意欲
ベトナム・インドで販売機能を拡大する
企業の比率
ベトナム・インドで生産機能を拡大する企業の比率
生産(高付加価値品)
生産(汎用品)
(複数回答、%)
10
20.0
18.9
15.0
15.5
9.9
5.0
13.1
13.2
10.0
10.7
8.4
19.0
(19.3)
(複数回答、%)
18.7
(18.3)
14.8
(14.5) 5
インド
(n=463)
(n=522)
(n=477)
(n=487)
(n=399)
7.5
(7.1)
7.0
(6.3)
6.3
(5.5)
5.7
04年度調査 05年度調査 06年度調査 07年度調査 08年度調査 09年度調査
ベトナム・インドで販売機能を拡大する主要業種
ベトナム
順位
業種
1 専門サービス
2 精密機器
3 化学
4 石油・石炭製品/プラスチック製品/ゴム製品
5 情報通信機械器具/電子部品・デバイス
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
5
40.0
19
26.3
28
25.0
17
23.5
13
23.1
405
18.8
264
18.9
97
16.5
44
22.7
インド
順位
業種
1 精密機器
2 一般機械
2 電気機械
4 自動車/自動車部品/その他輸送機器
5 その他の非製造業
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
19
47.4
23
43.5
23
43.5
19
42.1
24
41.7
405
23.7
264
24.6
97
18.6
44
29.5
〔注1〕海外で販売機能を拡大すると回答した企業に対する比率。
〔注2〕回答社数が5社以上の業種の上位5位までを表示。
3.8
(3.9)
2.3
ベトナム
インド
0
(n=445)
(n=463)
(n=522)
3.0
(n=477)
(n=487)
(n=399)
2.7
2.7
2.8
(3.2)
2.5
2.0
5.2
3.0
ベトナム
0.0
5.4
8.4
4.7
11.5
(12.0)
5.4
8.4
2.5
(2.4)
1.5
1.5
1.0
1.0
1.7
1.8
1.3
(複数回答、%)
2.0
(2.9)
2.0
(2.1)
ベトナム
0.5
0.8
インド
0.0
(n=445)
04年度調査 05年度調査 06年度調査 07年度調査 08年度調査 09年度調査
(n=463)
(n=522)
(n=477)
(n=487)
(n=399)
(n=445)
04年度調査 05年度調査 06年度調査 07年度調査 08年度調査 09年度調査
ベトナム・インドで生産機能(汎用品および高付加価値)を拡大する主要業種
生産(汎用品)
ベトナム
順位
業種
1 鉄鋼/非鉄金属/金属製品
2 その他の製造業
3 繊維・織物/アパレル
3 化学
5 精密機器
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
17
47.1
8
25.0
9
22.2
18
22.2
15
20.0
211
15.6
175
15.4
26
15.4
10
20.0
インド
順位
業種
1 一般機械
2 自動車/自動車部品/その他輸送機器
3 化学
4 精密機器
5 その他の非製造業
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
回答社数(n) 比率(%)
15
33.3
22
31.8
18
22.2
15
20.0
7
14.3
211
13.7
175
13.7
26
15.4
10
10.0
生産(高付加価値品)
ベトナム
順位
業種
1 建設
2 自動車/自動車部品/その他輸送機器
3 その他の非製造業
4 商社・卸売
5 石油・石炭製品/プラスチック製品/ゴム製品
5 情報通信機械器具/電子部品・デバイス
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
インド
順位
1
2
3
4
5
業種
化学
建設
自動車/自動車部品/その他輸送機器
電気機械
その他の非製造業
合 計
製造業計
商社・卸・小売
非製造業(商社・卸・小売を除く)計
〔注1〕海外で生産機能(各種)を拡大すると回答した企業に対する比率。
〔注2〕回答社数が5社以上の業種の上位5位までを表示。
回答社数(n) 比率(%)
5
40.0
16
18.8
13
15.4
15
13.3
8
12.5
8
12.5
140
10.7
99
7.1
16
12.5
25
24.0
回答社数(n) 比率(%)
16
25.0
5
20.0
16
12.5
12
8.3
13
7.7
140
7.9
99
8.1
16
6.3
25
8.0
4
新興・途上国向け販売のターゲットとする企業・購買層:
製造業、商社・卸・小売 (複数回答)――07年度と09年度調査の
比較
企業向け
100%
90%
16.6
20.1
16.7
21.1
80%
70%
60%
40.0
47.4
44.5
51.8
50%
40%
30%
20%
43.4
32.4
38.8
27.1
10%
0%
(n=433) (n=487) (n=371) (n=417)
現在
将来
07年度調査
現在
将来
09年度調査
現地日系企業向け
地場企業向け
地場外資系企業向け(地場企業を除く)
5
現時点の最大の競合相手:全業種
問題点・将来的に想定される課題:全業種 (複数回答)
0.0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
(%)
中国系企業
43.8
日系企業
31.9
韓国系企業
25.7
欧州系企業
24.3
30.0
40.0
中・低価格帯の価格競争が極めて厳しい
50.0
49.0
37.8
低コストの製品/サービスの生産・供給体制の構築
が困難
中・価格帯に競合他社との製品/サービスの差別化
が困難
37.5
33.3
マーケットに関する情報が不足している
32.6
売掛金、販売代金の回収リスクが高まる
30.2
中・低価格帯にあわせた新販路(信頼できる代理店
や自社直営店など)の確保が困難
27.1
低コストの製品/サービスの開発体制の構築が困難
米国系企業
24.0
15.6
台湾系企業
不明・無回答
20.0
46.5 現地市場に精通している社内人材が不足している
現地地場企業
その他
10.0
13.9
1.7
3.8
(複数回答、n=288)
現地の中・低価格商品ニーズがつかみにくい
12.2
中・低価格帯向けのアフターケア・アフターサービス
体制の構築が困難
11.8
自社ブランドのイメージが低下する
その他
不明・無回答
7.6
(複数回答、n=288)
2.4
7.6
6
60.0
(%)
途上国の輸入で拡大する中国、韓国のシェア
~存在感高める中韓企業、2010年4月、日本貿易振興機構から~
主要地域(先進国・途上国別)の国別輸入動向
主要地域(主要国別)の国別輸入動向
(単位:%)
(単位:%)
1990年
先進国
途上国
輸入額(億ドル)
1995年
2000年
2005年
2008年
2009年
(1~10月)
28,653
40,028
50,937
76,892
108,795
67,734
日本
8.5
8.7
7.5
5.4
4.3
4.1
構成比 韓国
1.8
2.1
2.3
2.0
1.8
1.8
中国
2.7
5.3
7.0
10.7
11.5
12.8
6,479
11,388
14,942
30,575
56,579
37,960
日本
10.1
11.2
8.9
7.8
6.5
6.0
構成比 韓国
1.5
3.2
3.9
4.9
4.5
5.0
輸入額(億ドル)
1990年 1995年 2000年 2005年 2008年
ASEAN 輸入額(億ドル)
中国
インド
中国
1.7
(資料)"Direction of Trade"(IMF)から作成
1.9
2.7
5.7
7.9
8.3
2009年
(1~10月)
1,633
3,673
3,690
5,829
9,463
6,398
日本
23.1
23.4
19.1
13.9
10.8
10.5
構成比 韓国
3.1
4.4
4.8
4.7
5.3
5.5
中国
2.9
3.0
5.1
10.5
11.9
12.5
538
1,322
2,252
6,602
11,319
8,379
日本
14.2
21.9
18.4
15.2
13.3
12.0
構成比 韓国
0.4
7.8
10.3
11.6
9.9
9.6
中国
-
-
-
-
-
-
240
345
503
1,399
2,815
2,081
日本
7.5
6.5
4.0
2.8
2.6
2.7
構成比 韓国
1.4
2.1
2.0
3.1
2.8
2.9
中国
0.1
2.4
2.9
7.1
10.8
11.5
250
544
619
809
2,299
1,386
日本
7.1
6.6
5.3
4.6
4.0
2.6
構成比 韓国
0.4
2.7
2.5
3.2
3.2
4.2
0.9
2.1
2.2
7.3
11.6
9.6
輸入額(億ドル)
輸入額(億ドル)
ブラジル 輸入額(億ドル)
中国
〔資料〕"DOT"(IMF)から作成
7
韓国企業のSWOT分析
強み(Strength)




内部環境 





日本企業より手ごろな価格設定
現地ニーズに合わせた製品の開発
積極的な広告・宣伝
新興国市場中心にブランド化に成功
迅速な意思決定
向上した品質・性能
開発・生産の速さ
幅広い商品ラインアップ
重点地域を重視した地域戦略
世界の有力企業とのアライアンス
機会(Opportunity)
弱み(Weakness)




オリジナル技術の不足
耐久性・精度の不足
規制への対応の遅れ
核心的部品や製造装置の日本
への依存
脅威(Threat)
 2008年5月以降1ドル=1,000ウォン
 より低価格の中国製品の台頭
を超えるウォン安
 現地の中古品との競合
外部環境  新興国市場の経済成長・購買力向上
 首脳外交によるトップセールス
 FTAネットワークの拡大
(出所)ジェトロ
8
海外市場への依存度が高い韓国企業
サムスン電子の連結総売上高の地域別シェア(2009年)
韓国国内
7.3%
中国
17.9%
韓国から
輸出
27.8%
アジア(中
国を除く)
9.9%
欧州
19.1%
米州
17.9%
韓国
合計
35.1
%
日中韓各国為替レート(対ドル)の推移(2008年初=100とした指数)
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
 サムスン電子の連結総売上高(内部売上高を含む)を地域別
にみると、韓国は35.1%(輸出を含む)であり、日本企業に比
較して、外需依存度が高い。⇒重点地域を重視したグローバ
ルな地域戦略を展開。
パナソニックの連結総売上高の地域別シェア(2008年度)
アジア・
その他
23.5%
欧州
9.3%
米州
9.2%
日本円
中国人民元
韓国ウォン
(出所)WMR/ロイター、トムソン・ロイター社データから作成。
 2008年初を100とする日中韓の為替レート(対ドル)の推移をみると、韓
国ウォンは、2009年2月には60程度まで下落、2010年4月時点でも80
強で推移しており、ウォン安が韓国の輸出競争力に寄与。
ソニーの連結総売上高の地域別シェア(2008年度)
その他
25.8%
日本
58.0%
日本
42.4%
欧州
13.9%
米国
17.9%
(注1)会計年度(日本は2008年4月~09年3月、韓国は2009年1月~12月)が異なるため単純に比較はできない。
(注2)いずれも内部売上高を含む。
(出所)各社の有価証券報告書を基に作成。
9
自国市場を基盤に海外市場へ展開
現代自動車の連結総売上高の地域別シェア(2009年)
トヨタ自動車の連結総売上高の地域別シェア(2008年度)
その他
7.2%
欧州
13.9%
アジア
12.1%
韓国
54.1%
アジア
10.4%
北米
19.9%
(注1)会計年度(日本は2008年4月~09年3月、韓国は2009年1月~12月)が
異なるため単純に比較はできない。
(注2)いずれも内部売上高を含む。
(出所)各社の有価証券報告書を基に作成。

韓国の自動車メーカーは実質1社(現代+起亜)。
⇒自国市場を基盤としつつ、そこで得た利益をグ
ローバルな市場開拓に向けて大胆に投資し、重点
地域を重視した地域戦略を展開。
日本
46.8%
欧州
11.6%
北米
23.9%
本田技研工業の連結総売上高の地域別シェア(2008年度)
その他
8.8%
日本
32.1%
アジア
12.4%
欧州
9.9%
北米
36.8%
10
着実に高まる研究開発力
韓国主要企業の売上高、営業利益、研究開発費(2009年、連結ベース)
GDPに占めるR&D支出の比率
単位:億ウォン、%
4.00
3.50
3.00
2.50
日本
2.00
韓国
1.50
サムスン電子 LGエレクトロニクス 現代自動車 起亜自動車
売上高
1,389,937
729,523
914,631
294,452
営業利益
115,777
42,034
56,202
11,952
売上高営業利益比率
8.3
5.8
6.1
4.1
研究開発費
76,162
29,728
22,375
7,173
売上高研究開発比率
5.5
4.1
2.4
2.4
中国
1.00
日本主要企業の売上高、営業利益、研究開発費(2008年度、連結ベース)
0.50
0.00
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
(出所)日本:総務省「科学技術研究調査結果」
韓国:教育科学技術部
中国:国家統計局
 韓国の対GDP比のR&D支出は着実に増加。現地
ニーズに合わせた、手頃な価格の製品開発も推進。
⇒新興国市場を中心にブランド化に成功。
法人税の実効税率
国税
地方税
計
日本(東京)
27.89
12.80
40.69
韓国
22.0
2.2
24.2
中国
25.0
n.a.
25.0
(出所)財務省、法人所得課税の実効税率の国際比較(2009年7月)
 法人税の実効税率は、韓国、中国とも日本の6割の水
準であり、税負担は相対的に低い。⇒税引後利益を、
次なる製品の研究開発や広告宣伝へ。
売上高
営業利益
売上高営業利益比率
研究開発費
売上高研究開発比率
パナソニック ソニー
77,655
77,300
729 △ 2,278
0.9
△ 2.9
5,179
4,973
6.7
6.4
単位:億円、%
トヨタ自動車 本田技研工業
205,296
100,112
△ 4,610
1,896
△ 2.2
1.9
9,040
5,632
4.4
5.6
(注1)会計年度(日本は2008年4月~09年3月、韓国は2009年1月~12月)が異な
るため単純に比較はできない。
(注2)ウォンと円の換算レートは、1ウォン=0.07円(2009年平均)。
(出所)各社の有価証券報告書を基に作成。


韓国の主要エレクトロニクス、自動車メーカーの売上
高営業利益率は、日本企業を大きく上回る。
サムスン電子やLGエレクトロニクスの売上高研究開
発比率は、ソニーやパナソニックの水準に近づきつつ
あるものの、他方、現代自動車や起亜自動車は日本
企業に比較すると見劣りする。
11
海外市場における韓国企業の市場参入状況
(イメージ)
中国・香港
ASEAN
南アジア
中東
アフリカ
欧州
ロシア・CIS
北米
中南米
オセアニア
家電
△
△
○
○
○
△
○
△
○
△
自動車
△
×
△
○
△
△
△
△
△
×
対象国
(中国(北京、 (タイ、フィリピ (インド、パキ
広州)、香港) ン、インドネシ スタン、バング
ア、シンガ
ラデッシュ)
ポール、マ
レーシア、ベ
トナム)
(アラブ首長 (南アフリカ、ケニ (ドイツ、英
(ロシア、ウズ (米国)
国連邦、サウ ア、ナイジェリア、 国、フランス、 ベキスタン)
ジアラビア、ト ガーナ)
イタリア、オー
ルコ、エジプ
ストリア、西バ
ト)
ルカン諸国、
ポーランド、ハ
ンガリー、チェ
コ)
(ブラジル、メキシ (オーストラリ
コ、ペルー)
ア)
○=日本企業と比較して、韓国企業が市場で優位。
△=韓国企業と日系企業が市場で拮抗、あるいは韓国企業が近年、急速に市場シェアを伸ばしている。
×=日本企業と比較して、韓国企業の市場シェアは低い。
(注)本表はあくまで、韓国企業の市場参入状況をジェトロ海外事務所からの報告に基づいて、
ジェトロの判断により、全般的なイメージを示したもので、統計データに基づくものではない。
また、同じ地域内でも国ごとに傾向が異なる場合があり、その場合は市場参入の度合いが高い方に合わせた。
●インフラや建設部門でもアジアや中東の一部の国・地域で韓国企業のプレゼンスが目立つ(別紙事例参照)。
(出所)ジェトロ
12
韓国企業躍進の現状(事例その1)
地域
中国・香港
国・分野
家電
中国
ASEAN
事例
サムソン電子は、自分を撮るときに便利なタッチパネルを前面にも装備したデジタルカメラ、PC型キーボード配列の携帯
電話、特殊な波長の光線で野菜の鮮度を保つ冷蔵庫、デリケートな衣服を洗える手洗いモード付洗濯機など、新しいア
イデアを積極的に中国市場に投入。
家電
インドネシア
インドネシアの家電分野はもともと日本優位の市場であったが、近年はLGエレクトロニクス、サムソン電子が廉価で現
地専用モデルの投入により、販売のシェアを伸ばしている。LGエレクトロニクスが発売したデング熱を媒介するネッタイ
シマカを撃退するエアコンはその典型例。
インフラ・建設
シンガポール
南アジア
陸上交通省が09年に発表した道路や地下鉄工事案件9件のうち、韓国勢は3件を獲得。公共工事では、韓国の現代建
設が09年、地下石油貯蔵施設、サムソン物産は2010年、液化天然ガス・ターミナルの大型設計・調達・建設の契約を
受注した。民間工事でも、双龍建設は、07年カジノ併設型総合リゾート「ジュロン・ロック・カバーン」57階建てホテル3棟
の建設工事を受注。
家電
インド
90年代半ば以降にインド進出を果たした韓国メーカーは、徹底した現地化戦略と、大規模設備投資、積極的な広告宣
伝活動によるブランドイメージ構築を図り、進出後数年間で圧倒的なマーケットシェアを獲得。LGエレクトロニクスは、カ
ラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、DVDプレーヤー、電子レンジなど主要な家電製品分野ででシェア第1位(2008
年、GFK調べ)。サムスン電子も、液晶テレビやプラズマTVなどの高付加価値製品分野で第1位のシェアを誇る。
パキスタン
携帯電話、冷蔵庫、パソコンを除き、エアコン、洗濯機、テレビで韓国企業が優位に立っている。携帯電話はノキア、冷
蔵庫は国産メーカーの健闘が目立つ。日本製家電製品の優秀さは誰しも認めるところだが、価格差ほどには品質の違
いを感じないためか、韓国製品を求める消費者が多い。
自動車
インド
1996年にインドに進出した現代モーターは、2009年度の乗用車国内販売台数で、首位のマルチ・スズキに次ぐ第2位
のシェア(16.2%)を獲得。また輸出台数では近年、第1位の座を守り続けており、2009年度はインドの全乗用車輸出の
64.0%を占めた。90年代にインドに進出した多くの外資軽乗用車メーカーの中で最も急速かつ著しい成長を遂げてい
る。
(出所)ジェトロ
13
韓国企業躍進の現状(事例その2)
地域
中東
国・分野
事例
家電
トルコ
テレビの市場シェアで、サムソン電子、LGエレクトロニクスが他社製品を圧倒。韓国企業は、白物家電でも販売を強化
している。サムソン電子の携帯は、06年の14.6%シェアから08年には4割近くに上昇。最大のノキアを脅かす存在になり
つつある。
自動車
エジプト
韓国車は09年におけるエジプトの乗用車販売シェアの上位3位を独占している(3社合計で54.1%)。4位は中国車
(7.6%)。日本は5位(日産5.2%)と続く。韓国車のシェア拡大は、エジプト政府が発表した20年を超えるタクシーの買い
替え政策によるところが大きい。
インフラ・建設
アフリカ
アラブ首長国連邦
・04年にサムスン物産が世界最高層ビル、ブルジュ・ドバイ(現ブルジュ・ハリーファ)を受注。
・09年12月、韓国電力公社(KEPCO)率いる韓国企業連合が、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所を中心とす
る日米連合、仏連合を抑えて原発を受注。建設費204億ドル、60年間の操業・メンテナンス費用200億ドルの超大型案
件を獲得した。
トルコ
韓国電力公社(KEPCO)がトルコ発電公社(EUAS)と原子力発電所建設事業の共同研究調査実施で合意。
家電
ナイジェリア
LGエレクトロニクスは、食品大手ネスレと組んだプロモーション活動を行ったり、輸入販売しているブラウン管テレビ1台
当たり蚊帳1張を無料で提供、ラゴス大学にデザインラボを設置するなど、宣伝が巧み。
ガーナ
家電市場では、LGエレクトロニクスがシェア1位を占める。「LGはブラウン管テレビの16〜17%、薄型テレビの25〜
27%、冷凍冷蔵庫の34%、エアコンの22%ほどのマーケットシェアを持つ」(インド系輸入販売会社、ソモテックス・ガー
ナ)
自動車
南アフリカ
欧州
(出所)ジェトロ
韓国ブランドの躍進が顕著。現代自動車は2010年サッカーW杯南ア大会の公式パートナー。他社が3年保証のところを
5年保証、失業者への買取保証を付与するなどで販売を促進。レンタルや法人向け販売が拡大。
家電
英国
薄型テレビでは、サムスン電子は英国市場のシェアが2000年には0.7%にすぎなかったが、08年には23.8%でトップに
まで上昇した。
ハンガリー
サムソン電子は液晶テレビにおいては、販売量、販売シェア、ブランドイメージまでも日系企業をしのぐ勢い。加えて10
年中に発効が見込まれるEU・韓国の自由貿易協定(FTA)に、現地進出日系企業は「韓国製電化製品が無税で市場
に流れてくる」と懸念を示している。
14
韓国企業躍進の現状(事例その3)
地域
ロシア・CIS
国・分野
ロシア
北米
事例
家電
韓国メーカーが他社に先駆けて3D機能を持つ薄型テレビをロシア市場に投入する動きを見せている。10年3月に、サム
ソン電子は40~46インチの3D液晶テレビを4月中にも発売開始すると発表した。LGエレクトロニクスも同液晶テレビを5
月にもCIS含む世界各国で発売することを発表した。
家電
米国
携帯電話では強いが、TVは日本と互角、デジカメなどは日本企業が優位。白物家電は米系が強く、次いで欧州や韓国
ブランドが続く。
自動車
米国
中南米
現代自動車のシェアはトヨタ、ホンダ、日産よりは低いが、マツダ、スバル、三菱などを上回る。工場用作業車なども韓
国製目立つ
家電
ブラジル
テレビ、雑誌、新聞、空港のモニター・大型看板、家電量販店では高価格の売り場スペースを確保。LGエレクトロニクス
はサッカーのサンパウロFCのメインスポンサー。
自動車
ブラジル
オセアニア
韓国車の躍進が顕著。大型セダンのAzeraのシェアは09年で45.4%(7,621台)を占め、1位であった。SUVではTucson
がフォードEcosportに次ぐ2位で、17.3%2万8,871台であった。高シェアの背景としては、韓国車の性能が日本車と大き
く変わらないとの認識が高まったこと、5~7年の長期補償、低価格などが挙げられる。
家電
オーストラリア
家電製品市場では、サムスン電子やLGエレクトロニクスの製品はパナソニックとソニーのシェアを若干上回っているとさ
れる(リサーチ会社調べでサムスン8%、LG8%、パナソニック6%、ソニー6%)。マイヤー(国内2大百貨店の1つ)の担
当者は「テレビはサムスンやLGなど韓国製品が強い。オーディオ関連では、ソニーとパナソニックが人気商品」と話す。
また、エアコンは省エネ規制により、日本製が見直されている。
(出所)ジェトロ
15
中国企業のSWOT分析
強み(Strength)
 低コストで豊富な労働力など
を背景とした圧倒的な価格競
争力
内部環境  トップダウンによる迅速な意思
決定力
機会(Opportunity)
 経済成長を背景とした内需の
拡大(2010年に日本を上回り
世界第2位の経済大国へ)
外部環境  企業の「走出去(海外進出)」
を国家戦略とする政府の支援
 首脳外交によるトップセールス
弱み(Weakness)
 技術力、研究開発力の低さ
(特に、中小・民営企業)
 世界に通じるブランドの不足
 国際ビジネスの経験不足
 製品やサービスの品質の低さ
脅威(Threat)
 欧米諸国との貿易摩擦の激化
 中国企業のM&Aに対する警戒
感の高まり
 食品を始めとした中国製品の
品質や安全性に対する懸念
 人民元切り上げ圧力
(出所)ジェトロ
16
急増する中国の海外インフラ投資
(億ドル)
中国の対外工事請負額の推移
(億ドル)
中国の国・地域別対外工事請負売上額の推移
450
1,400
1,200
対外工事請負契約額
400
対外工事請負売上額
350
1,000
アジア(中東
を含む)
アフリカ
300
欧州
800
250
中南米
600
200
北米
150
400
オセアニア
100
200
50
0
その他
0
89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
05
06
07
08
09
(出所)国家統計局編「中国統計年鑑」各年版および商務部資料よりジェトロ作成




中国政府は「第10次5ヵ年計画」(2001~05年)において、「走出去(海外進出)戦略」を打ち出し、有力地場
企業の対外直接投資や経営の国際化を奨励する政策を本格的に展開。
2009年の中国の対外工事請負売上額(速報ベース)は、世界的な金融危機の中でも前年比37.3%増の777
億ドルと、過去10年間で約7倍に増加した。
国・地域別ではアジア(中東を含む、シェア51.2%)が398億ドル、アフリカが281億ドル(シェア36.2%)となり、
この2地域で9割弱のシェアを占めた。
対外工事請負額が増加している背景には、豊富な外貨準備を活用し、海外インフラ投資を通じて資源獲得
を図ることや中国企業の海外市場開拓に対する支援を行うことがある。
17
海外市場における中国企業の市場参入状況
(イメージ)
ASEAN
家電
×
自動車
×
二輪車
インフラ・建設
対象国
×
南アジア
中東
アフリカ
欧州
ロシア・CIS
北米
中南米
オセアニア
△
△
△
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
△
×
△
×
○
×
×
×
×
△
△
(バングラデッシュなど)
(パキスタンなど)
○
○
(特にCLM)
(パキスタンなど)
△
(ナイジェリアなど)
○
(タイ、フィリピ (インド、パキスタン、 (アラブ首長国 (南アフリカ、ケ
ン、インドネシ バングラデッシュ)
連邦、サウジア ニア、ナイジェリ
ア、シンガポー
ラビア、トルコ、 ア、ガーナ)
ル、マレーシ
エジプト)
ア、ベトナム)
(ドイツ、英国、 (ロシア、ウズ
フランス、イタリ ベキスタン)
ア、オーストリ
ア、西バルカン
諸国、ポーラン
ド、ハンガリー、
チェコ)
(米国)
(ペルーなど)
△
(ブラジルなど)
△
×
×
(ブラジル、メキ (オーストラリ
シコ、ペルー) ア)
○=日本企業と比較して、中国企業が市場で優位。
△=中国企業と日系企業が市場で拮抗、あるいは中国企業が近年、急速に市場シェアを伸ばしている。
×=日本企業と比較して、中国企業の市場シェアは低い。
(注)本表はあくまで、中国企業の市場参入状況をジェトロ海外事務所からの報告に基づいて、
ジェトロの判断により、全般的なイメージを示したもので、統計データに基づくものではない。
また、同じ地域内でも国ごとに傾向が異なる場合があり、その場合は市場参入の度合いが高い方に合わせた。
(出所)ジェトロ
18
中国企業躍進の現状(事例その1)
地域
ASEAN
国・分野
インフラ・建設
事例
建設業界においては、ラオス、カンボジア、ベトナムでは中国系企業のプレゼンスは高いものの、タイ
タイ、カンボジア、ラオ
では高くない。タイの公共事業では、地場大手企業が強い。民間部門では日系企業は他の日系企業
ス、ミャンマー
向けの工場建設案件が中心。
南アジア
家電
バングラデッシュ
白物家電では、中国製品が圧倒的な低価格で市場に浸透。中国製品は、日本、韓国の製品の3分の
2以下で販売されている。携帯では韓国製品と価格が違わないが(3,900円~4,550円)、中国製品は1
台に2枚のSIMカードを挿入できる機能があり、人気を呼んでいる。
二輪車
パキスタン
自動二輪市場は90万台で、そのうち日本が5割、中国が残りの5割を占め、日中間の競争が激化して
いる。中国二輪車の強みは、中国本土から供給される格安な部品と、開発費用が不要な点。弱点は、
新規商品の開発力がなく、品質がまだ不安定で、販売網も安全基準への適応能力も弱いこと。ディー
ラーには報奨金、消費者にはディナー券の配布などのインセンティブを実施している。
インフラ・建設
パキスタン
インフラ整備、電力事業においては、特殊地層地のトンネル掘削、橋梁建設等の日本の高い技術力を
有する難工事・難事業を除く一般的地方道路、高速道路事業に中国企業の一人勝ちが続く。コスト面
での競争力が強いため。
(出所)ジェトロ
19
中国企業躍進の現状(事例その2)
地域
中東
国・分野
事例
家電
トルコ
空調機器で海爾集団(ハイアール)、HICON、通信機器で中興通訊(ZTE)、携帯電話の第3世代(3G)
技術の研究開発(R&D)センターを立ち上げた華為技術(ファーウェイ)が進出している。
エジプト
現地紙によれば、エジプトに進出している中国企業の数は1,022社に達しており、この5年間で急増し
た。製造業、インフラ、通信の分野が多い。中国からエジプトへの投資は、03/04年度の73億ドルから
08/09年度には210億ドルに拡大。中国ハイセンス(海信)社は、地場シャムス社と08年に提携を発
表。年間10万大規模の液晶テレビの生産を行っている。現在は第2フェーズの段階に進み、20万台規
模の生産を予定し、北アフリカ諸国などの周辺国への輸出を計画している。
インフラ・建設
トルコ
アフリカ
建設部門では、低価格志向が強い中小規模の案件では、建築、土木ともに中国勢が受注を積み上げ
ているほか、政府の大型案件などでも、企業連合の一員として参加することが多くなっている。比較的
資金に余裕がある湾岸産油国では、周辺地域に比べると欧米や日本、韓国の企業を好む傾向が強い
ものの、中国企業も着実に実績を上げているため、「今後は価格だけでなく、実績でも競争力を示すよ
うになるだろう」(日系建設会社)と考えられている。
自動車
ナイジェリア
中国車については、乗用車は街中でほとんど見かけないが、商用車のフォトンは、アフターサービスを
充実させて販売台数を伸ばしている。365日24時間の修理体制を築き、製品を購入した企業のトラック
運転手向けに、運転訓練や車両ケアを毎月無料で実施している。09年の同社の販売台数(09年11月
末時点)は、前年比2倍の約1,200台と急成長を遂げた。
二輪車
ナイジェリア
二輪車は2000年頃から中国車が一気に市場を席巻し、現在では市場の9割以上を獲得。07年の輸入
台数は100万台以上、08年には150万台を超えた。
インフラ・建設
ケニア
(出所)ジェトロ
中国企業は電気・通信、資源探査、公共工事、援助事業で圧倒的な強みを発揮。援助では、幹線道
路の改修、病院建設、送電線の延伸、スタジアムの改修などを請け負う。ケニアに限らず、アフリカの
公共工事はいまや中国企業同士の価格競争になっている。
20
中国企業躍進の現状(事例その3)
地域
ロシア・CIS
国・分野
インフラ・建設
ロシア
北米
09年の国・地域別対内投資額をみると、これまで存在感が少なかった中国が突如として第3位に躍り
出た。特に石油、天然ガスパイプラインなどエネルギー分野での大型案件が目立つ。
インフラ・建設
米国
中南米
事例
高速鉄道では欧州や日本と競合。太陽電池や風力発電の製造も中国が目立つ。
自動車
ペルー
09年の新車販売台数は7万6,932台で、前年の9万2,539台に比べ16.8%減だった。国別にみると日本
が27.4%減だったのに対し、韓国は17.7%増、中国も16.4%増と、市場が縮小する中で躍進している。
中国メーカーの販売台数は8,578台と全体の1割程度を占める。
二輪車
ブラジル
ブラジル二輪車製造者協会(Abraciclo)によると、会員企業10社の09年総販売台数は前年比16.0%
減の157万9,197台で、1〜3位はホンダ(118万6,007台)、ヤマハ(19万1,919台)、スズキ(8万2,749
台)で、全体の92.5%を占め、4位に中国のダフラが5万8,796台で続いている。
インフラ・建設
ブラジル
(出所)ジェトロ
最近リオデジャネイロの地下鉄車両納入などを落札。10年5月に予定されている、カンピーナス市〜サ
ンパウロ市〜リオデジャネイロ市を結ぶ高速鉄道(TAV)の事業権入札でも中国勢の参加が確実視さ
れている。深海油田関連など大型プロジェクトへの参加に向けて、中国銀行は09年、円滑な融資のた
めにサンパウロに南米初の支店を開設した。
21
アジアは日本にとって最大の販売市場
■日本製品・サービスのアジアでの販売総額は, 世界市場の37%
「現地生産による現地販売分」, 「第3国からの輸入分」, 「日本からの輸出分」を合計した日本製品・サービスのアジアでの現地販
売総額は,2007年度において世界市場での販売総額の37%に達した。米国は29%,EUは20%であった。
■今後は中国での販売が米国並みに上昇へ
日本企業のアジアでの販売においては, 現地企業向けの資本財・中間財が主体であった。今後は消費者向けの最終消費財の需要
が拡大すると見込まれる。今後は中国で生産し,中国国内で販売する割合が, 国別でトップの米国並みに上昇することが予想され
る。
日本企業にとっての財・サービスの地域・国別総消費需要額(2007年度)
(単位:10億円,%)
全地域
北米
アジア
中南米
中東
米国
総消費需要のシェア
100.0
31.1
29.4
中国
4.5
オセア アフリ
BRICs
ニア
カ
ヨーロッパ
36.6
14.2
ASEAN4 NIEs3
8.7
11.9
EU
1.7
22.2
20.1
2.9
1.1
14.1
(注)総消費需要は2005年度の日系海外現地子会社の現地販売と第3国の日系子会社からの当該地域への輸出、2005年暦年の日本から当該国への
財・サービス輸出を合計したもの。
(資料)経済産業省「海外事業活動動向調査」、日銀「国際収支表」をもとに算出。
22
アジアが下支えとなった日本企業の海外収益
■ アジアからの営業利益が全体の約4割に
ジェトロが2008年12月期~2009年3月期の上場企業(890社)の連結決算短信から集計した海外での収益状況によると,日本企業の
海外部門の売上高比率(日本からの輸出などは含まない)および営業利益比率はそれぞれ36.2%,52.5%となり,97年度以降ではじ
めて海外の営業利益が国内を上回った。前年度との比較が可能な841社ベースでみると,海外部門の収益(売上高・営業利益)は
14.2%減収,38.7%減益となり,アジア通貨危機直後の98年度以来10年ぶりに減収減益を記録した。ただ,国内部門の65.5%減益と
比較すると,アジア・大洋州の減益幅が相対的に小さかったことから,海外部門の営業利益への影響は限定的であった。この結果,ア
ジアからの営業利益は全体の4割近くに達し,金融危機下における日本企業の業績を下支えする形となった。
日本の上場企業の国内および海外での収益状況
①地域別比率
②前年度比伸び率
営業利益伸び率(前年度比、%)
営業利益の地域別比率(%)
年度(集計社数)
97年度
98年度
99年度
2000年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
(582)
(593)
(643)
(668)
(715)
(728)
(738)
(774)
(804)
(832)
(866)
(890)
全世界
国内
76.6
73.4
75.0
79.9
76.0
72.9
73.3
71.8
70.8
73.5
67.1
47.5
海外
23.4
26.6
25.0
20.1
24.0
27.1
26.7
28.2
29.2
26.5
32.9
52.5
米州
9.8
13.8
14.1
10.4
12.4
13.0
11.1
10.9
10.8
9.1
8.7
1.9
欧州
3.4
4.8
2.1
0.7
0.6
2.8
4.3
4.7
4.7
4.1
6.8
3.6
アジア・大
その他
洋州
4.8
5.3
4.4
3.6
5.0
3.7
6.0
3.0
6.7
4.2
7.2
4.1
7.5
3.7
8.6
4.0
10.0
3.7
8.3
5.1
12.2
5.2
39.4
7.6
年度(集計社数)
国内
98年度
99年度
2000年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
(556)
(576)
(620)
(650)
(683)
(694)
(710)
(748)
(773)
(786)
(841)
海外
米州
△ 20.0 △ 23.7 △ 8.0
12.9
7.8
9.7
2.7
13.1
26.8
34.8
2.9 △ 4.7
△ 31.3 △ 35.6 △ 14.6 △ 13.2
40.2
35.7
54.0
40.8
15.5
15.7
15.2 △ 0.4
15.4
14.4
18.0
17.6
14.6
12.4
20.3
16.1
28.2
33.4
14.9
6.5
11.3
7.4
20.3 △ 10.0
△ 55.0 △ 65.5 △ 38.7 △ 89.8
欧州
アジア・大
洋州
その他
14.9 △ 26.4 △ 45.7
△ 50.6
22.0
10.9
△ 58.5
51.4
2.1
△ 33.0 △ 22.1 △ 0.2
389.8
49.0
38.1
86.3
24.4
2.6
6.7
21.1
26.3
18.2
33.7
5.4
38.2
2.9
47.8
55.0
41.2
12.5
△ 69.9 △ 20.0 △ 10.8
〔注〕集計対象は決算期が12月から3月までの上場企業(銀行・保険業 除く)で,所在地別セグメント情報を記載している企業。
〔資料〕会社財務カルテCD-ROM(東洋経済,2005年度まで),各社決算短信および有価証券報告書(2006年度~2008年度)から集計。
23
所得が上昇するアジア
■新興国で高い可処分所得の伸び
2003年から2008年のドルベースの可処分所得の伸びは年率で,中国が19%とアジアの中でも最も高く,ASEAN6全体では
14%。その中でもベトナムが18%,インドネシアが15%,フィリピンが16%,マレーシアが14%とASEAN平均以上の伸びを示し
た。日本はわずか3%,韓国が8%,台湾が6%と,アジア新興国の所得拡大のスピードには遠く及ばなかった。
アジア主要国・地域のドルベース可処分所得の年平均成長率(2008/2003年)
(%)
25
20
15
19.4
17.8
14.4
16.3
15.2
ASEAN平均
14.5
13.0
10.9
10
7.6
5.9
5
3.0
0
〔資料〕Euromonitor Internationalから作成。
24
拡大するアジアの中間所得層
■販売ターゲットとして重要なアジアの中間所得層
新興国の中間所得層(購買力平価ベースで1人当たり4000ドル~1万7000ドル)は,2005年から2030年にかけて,4億人から12億人
に増えると見込まれる(世界銀行”Global Economic Prospects 2007”) 。12億人のうち5割は東アジア・太平洋,1割弱が南アジアで
占められ,アジアの中間所得層は日本企業の販売戦略の対象として最も重要だ。
世界人口に占める途上国の中間所得層のシェア
(%)
12億人
16
0.5
0.8
14
2.6
12
10
2.2
アフリカ(サブサハラ)
1.6
8
中東、北アフリカ
中南米、カリブ諸島
東欧、中央アジア
4億人
6
南アジア
東アジア、太平洋
0.2
4
0.4
7.3
1.5
2
0.8
0.1
1.3
0
2005
2030
(資料) "Global Economic Prospect 2007" (世界銀行)から作成。
25
拡大するアジアの中間所得層
可処分所得階層別世帯数構成比の推移(2008年/2003年)
0.7
0.4
0.5
1.1
2008
1.2
2003
0.6
2003
0.7
2008
0.3
2003
2008
1.2
2008
1.4
2003
0.5
2003
構成比
日本
中国
韓国
台湾
〔資料〕Euro monitor International から作成。
ASEAN6
タイ
ベトナム マレーシア インドネシ フィリピン シンガポー
ア
ル
インド
パキスタン
2008
2003
2008
2003
2008
2003
2008
2008
2003
2008
2003
2008
2003
2008
2003
2008
2003
2008
2003
2.5
1.7
0.7
100%
3.4
4.4
5.4
8.7
8.8
11.6 15.2
11.8
11.0
14.9
17.1
17.3
90%
25.1
23.2
29.2
33.4
34.7
38.1
80%
38.7
44.6 28.0
42.0
70%
56.2
62.4
66.0 71.9
69.1 72.0
41.6
73.2
65.8
60%
72.3
50%
96.3
94.2
90.8
90.7
88.4
84.4
82.2
82.0
40%
71.9
75.7
68.8
65.2
59.7
64.1
60.4
60.1
30%
53.6
56.3
43.2
41.3
20% 30.4
36.0
30.9 25.7
29.8
27.5
25.6
10%
15.9
3.1 2.4
3.0 2.2 2.0 1.8
1.6 1.2
0% 0.5 0.5
米国
上位所得層(年可処分所得US$35,000以上)
中位所得層(年可処分所得US$5,000~35,000未満)
下位所得層(年可処分所得US$5,000未満)
26
新興国のミドルエンド市場の拡大を狙う日本企業
(%)
(複数回答,N=710)
60.0
50.0
55.6
54.2
43.2 43.4
45.7
51.5
48.6
54.2
50.0
50.3
49.2
45.1
38.7
36.8
40.0
49.0
36.7
30.0
20.0
現在
10.0
今後3年
0.0
ハ
イ
エ
ン
ド
アジア
ミ
ド
ル
エ
ン
ド
ハ
イ
エ
ン
ド
中南米
ミ
ド
ル
エ
ン
ド
ハ
イ
エ
ン
ド
ミ
ド
ル
エ
ン
ド
ロシア・中東欧
ハ
イ
エ
ン
ド
ミ
ド
ル
エ
ン
ド
中東・アフリカ
〔注〕調査期間2009年4~5月,有効回答数813社(24.0%)。
〔資料〕「世界の消費市場・環境関連ビジネス市場アンケート調査」2009年(ジェトロ)から作成。
27
アジア主要国の消費の特徴
アジア主要国の消費の特徴
中国
インド
特徴・トレンド、消費拡大の背景
消費のリード役
○若年層を中心に、口コミ、インターネットを活用し、情報量が豊富。
○近年、急速に市場が拡大したオンライン販売は、金融危機以降も消費者の
価格志向を反映して、順調に拡大していると見られる。
○高まる健康・食の安全意識。おむつ、粉ミルクなど日本製品への信頼が高
まる。
○共働きが多く、外食、冷凍レトルト食品が普及。
○貧困層の減少、中間所得層の拡大で、小型自動車や家電製品の購入可
能な層が増加。
○クレジットカードが急速に普及。
○30代、および、一人っ子政策導入後に生まれた「80後」世代
が消費をリード。「6つのポケット」を持つといわれる。
○ファッション、消費財、デジタル製品などを中心に、女性の影
響力が非常に高い。
○外国からの投資の拡大
○多額の海外送金。2007年はGDPの7.9%。
ベトナム ○クレジットカード、消費者ローンの普及。
○中間所得層が台頭。
家電製品が急速に普及。同層をターゲットとした韓国、地場企
業が圧倒的なシェアを占める。
○30~45歳が消費のリード役。
○人口の6割が30歳未満で、今後は18~30歳が"X世代"とし
て注目される。
○女性の購買力が拡大。ハノイ市では、世帯収入の半分が女
性。
〔資料〕ジェトロ各海外事務所報告を基に作成。
28
若年層の所得が高いアジア新興国
構成比
100%
90%
80%
60代以上
70%
50代
60%
50%
19.4
24.5
21.3
21.5
23.2
20.7
24.5
30代
23.7
20代以下
23.7
21.9
18.6
20.4
18.5
20%
10%
22.0
23.4
40%
30%
40代
23.9
36.2
23.6
23.8
17.4
23.6
23.4
26.6
39.3
28.4
39.8
38.7
44.9
37.1
21.4
18.2
44.0
22.8
19.1
0%
〔注〕赤い線より下は30代以下。
〔資料〕Euromonitor Internationalから作成。
29
アジア市場の成長分野
(%)
25
20
15
10
5
0
〔資料〕 Euromonitor International から作成。
VCR,DVD
アビワウ衣男女子衣靴男女子電家テ
ルーイイ類性性供類
性性供気庭レ
コルンス
用用服ア
用用用製用ビ
ー
キ
衣衣
靴靴靴品電・
ク
プ
ル
ー
セ
類類
気ロ
飲
サ
製ジ
料
リ
品ェ
ー
ク
タ
ー
オ
ー
デ
ィ
オ
映
像
装
置
家
庭
用
パ
ー
ソ
ナ
ル
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
ー
持カビポ携ポ車コデラ化日家
運メデー帯ー載ンスッ粧曜庭
タ電ピクプ品大用
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カブ
ブ気ュトト、工電
可
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ル製ーッッ洗用気
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コ品タププ面
な
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ン
デ
電
具
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ィ
ガ
気
ンン
ュ
ア
ー
製
ピピ
ー
プ
デ
品
ュュ
タ
レ
ニ
ーー
ー
ー
ン
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ヤ
グ
ーー
ー
…
大
型
台
所
用
器
具
小
型
電
気
器
具
ホ
ッ
ト
飲
料
コ紅家家包ペ
ー茶庭庭装ッ
ヒ
の用さト
ー
医品れ用
療、た品
用装食
品身料
具品
ソタ玩消小店ス雑非ベホイ
フバ具費売舗ー貨店ンーン
トコ、者
販パ店舗デムタ
ド
ゲ用
販ィシー
売ー
リ
ー
売ンョネ
フ
グッッ
ン
ム
ー
マピト
ク
ド
シン販
サ
ーグ売
ー
ン
ビ
ス
直宿ホホ交飛飛カ旅健
接泊テテ通行行ー行康
ルル
機機レツ関
販
以
売
以ンア連
外
ーツ
外タ
ル
ア
の
ー
交
通
手
段
30
低価格品をアジア市場へ投入
日本企業の現地向け低価格商品販売への取り組み
企業
分野
取り組み
パナソニック
家電
2005年、富裕者層向けに「ななめドラム式」洗濯乾燥機を投入。2009
年度には、BRICs、ベトナムなど現地向け仕様家電製品を08年度比
40%増の70品目投入を目指す。
ダイキン工業
エアコン
中国で基幹部品生産のため格力と合弁会社を設立(2009年1月) 。低
価格エアコンを中国市場に投入。
富士フィルム
デジタルカメラ
新興国向けに、100ドル以下のデジタルカメラを2009年中に発売。
コマツ
建設機械
中国で機能を絞ったミニショベルを低価格で投入。
資生堂
化粧品
高額化粧品に加え、「ピュアマイルド」など低下価格品を新たに投入。
キリン
ビール
中国子会社が1本(640ml)3元(約45円)の低価格ビールを製造販売へ。
フィリピンのビール最大手サンミゲルを傘下におさめ、ASEAN市場での販
売拡大を狙う。
味の素
調味料
タイ、インドネシア調味料を現地向けに低価格で販売。
エースコック
即席めん
ベトナムで、コメを材料にしためんなど、現地の風土、嗜好にあった即
席めんを開発・販売。間食にめんを食べる習慣にあわせ、小型サイズ
の商品を投入。国内シェアは約6割。
ユニチャーム
生活用品
マレーシア、インドネシアなどで、現地ニーズに合わせ、紙おむつを小
分けで販売。
マンダム
整髪剤
インドネシアで、小分けの整髪剤を低価格で投入。
第一三共
製薬
インドの製薬最大手ランバクシーを買収し(2008年)、新興国で安価なジェ
ネリック医薬品の販路を拡大。
〔資料〕各社ウェブサイト、各種報道から作成。
31
まだまだ伸びが見込まれるアジア新興国の耐久消費財
■ 一層の伸びが期待されるアジアの耐久消費財市場
主な耐久消費財の普及率では,エアコンとゲーム機器,二輪車を除き北米,西欧ではほぼ飽和状態にある。これに対し,アジア太平
洋地域の家電製品の普及率は近年高まっているものの,一層の伸びが最も期待される。
■ 巨大な未開拓市場の眠るインド市場
インドはカラーTVを除いて全体的に普及率は低く,巨大な未開拓市場が眠っている。ベトナムもインド同様,今後の拡大が期待され
る市場である。品目別には,エアコン,カメラ,パソコン,乗用車は世界で3割台の普及率にとどまっており,冷蔵庫・洗濯機並みの水
準に普及するには現在の倍の規模の販売が必要とされる。
図表19
世界
アジア太平洋
東欧
中南米
中東・アフリカ
北米
米国
西欧
中国
インド
ロシア
ブラジル
タイ
ベトナム
世界の主要先進国・地域,新興国の世帯当たり耐久財普及率(2007年)
エアコン
31.5
45.8
2.6
9.5
4.5
61.7
63.2
9.8
1.6
2.8
11.5
カメラ カラーテレビ
32.5
77.2
23
82.9
38.9
88.2
18.9
76.4
4.1
22
97.1
98.8
97.7
98.8
73.8
97.1
22.9
98.6
4.4
78.9
43.1
95.1
16.5
93.4
携帯
二輪車 乗用車 パソコン 冷蔵庫 掃除機 ゲーム機器 洗濯機
9.6
27.2
35.7
63.5
46.9
6.6
52.6
10.5
11.6
35.6
58.1
40.0
3.4
46.4
10
37.5
33.8
85.3
75.0
4.5
80.8
5.5
27.1
18.9
70.1
24.4
7.4
43.5
4.6
9
4.7
20.2
8.2
1.4
15.7
5
87.6
73.4
99.9
98.1
24.2
84.1
81.2
4.9
87.8
73.1
100
98.3
24.2
84.3
17.3
74.9
62.5
98.5
90.7
16.8
94.1
93.3
9.5
6.2
53.7
92.2
47.1
1.4
68.1
9.5
5.2
5.5
13.4
18.1
28.6
0.9
18.2
67.5
17.3
38.3
38
96.1
84.7
3.6
96.1
66.1
7.9
35.3
22.6
89.8
31.5
7.3
35.8
13.3
79.3
95.5
74.2
21.6
12.2
21.7
85
37.3
9.3
46.2
2.7
4.5
76.5
10.1
10.8
1.1
13.8
26.9
27.1
0.1
12.3
〔資料〕Euromonitor Internationalから作成
32
中国家電量販店での日中韓の価格比較
■ 日本メーカーは,中・高価格帯で韓国メーカーと競合
中国の家電大手である国美電器のウエブサイトに掲載されている価格帯別オンライン設置台数を見たところ(2009年9月1日時
点),32インチ液晶テレビの販売では,日本企業の方が韓国・中国企業よりもやや高い価格帯に販売台数ピークがある。低価
格帯で中国,韓国メーカーと競合していないが, 中高価格帯で韓国メーカーとの競合している。
ドラム式洗濯機でもほぼ同じ傾向であるが,最高価格帯においても韓国メーカーと競合している。
図表20 日中韓主要メーカーの32インチ液晶テレビの価格帯別オンライン設置台数(国美電器)
パナソニック
2000~4000元
4000~6000元
6000~8000元
8000~10000元
10000~12000元
12000元以上
サムソン
0
21
11
6
0
2
海信
58
28
20
9
5
0
150
46
3
0
0
0
〔注〕1元は約15円。
〔資料〕国美電器ウェブサイトから作成、2009年9月1日。
図表21 日中韓主要メーカーの洗濯機(ドラム式,容量5.2Kg)の価格帯別オンライン設置台数(国美電器)
パナソニック
1500~2000元
2000~3000元
3000~4000元
4000~5000元
5000~6000元
LG
0
0
37
32
1
ハイアール
0
42
7
25
6
1
62
97
4
0
〔注〕1元は約15円。
〔資料〕国美電器ウェブサイトから作成、2009年9月1日。
33
アジア新興国で成長が期待されるサービス市場
■ 高成長が期待されるアジア新興国のサービス市場
新興国においては,2001年から2008年にかけての財・サービス別の消費の伸びは,BRICsでそれぞれ169%,206%増加,ASEAN 5では,134%,
170%となり,サービスの成長率は財に対して高かった。これは,技術革新や製造業の最適地生産体制の進展による財の価格の下落も一因のよ
うだ。例えば,2008年の日本の財とサービス価格指数を94年と比較すると,財の価格は3.7%の下落であるが,サービス価格は6%上昇した。一
方,2008年におけるサービスの消費支出全体に占めるシェアをみると,日本,米国の58%,ドイツの49%に対し,BRICsが41%,ASEAN5が39%と
先進国と比べ低い水準にあり,新興国のサービス支出は,一 層の成長が見込める。
各国・地域の財・サービス支出の伸び(2008/2001)
各国・地域のサービス支出の消費支出に占める割合(2001,2008年)
34
高品質な日本的サービスが浸透
■ 高品質なサービスが受け入れられるアジア
日本企業のアジアでのサービス分野における進出事例では,高所得層,アッパーミドルクラスを中心に,日本のきめ細かなサービスが受け入れられ
つつある。日本の製品やサービスに対する高品質なイメージが,消費者に信頼を与えていると見られる。
日本のサービス業のアジアへの進出事例と特徴
中心となる対象所得層・価格帯
企業
ベネッセ(幼児・児童教育)
日本企業の特徴
幼児・児童向け教育事業。語学,算数からしつけ,マナーなども含む通信教育。
主な進出先
香港,韓国,中国
イトーヨーカ堂(総合スーパー)
社員教育の充実による丁寧な顧客対応。生鮮食品などの質の良さで,安全・安心のイメージ 中国
が高い。成都店に代表されるように,現地社員中心の店舗運営を行い,地元社会から高い
評価を得ている。
ベスト電器(家電量販)
修理などサービスを充実させ,現地量販店と差別化。商品知識の豊富な社員が顧客ニーズ 香港,台湾,マレーシア,シンガポー
に即したサービスを提供。
ル,インドネシア
ユニクロ(衣料品製造販売)
高品質,デザイン,色,サイズ等充実した品揃えで,幅広い年代・所得層を対象に市場拡大。 中国,香港,韓国,シンガポール
ヤクルトレディによる訪問販売。商品の知識を提供し,健康を提案しながら販売。
ヤクルト(飲料製造販売)
高所得層(アッパーミドル層),高品
質・高付加価値サービス(高めの価 大戸屋(和定食チェーン)
格)
モスフード(ハンバーガーチェーン)
中国,台湾,香港,タイ,フィリピン,
シンガポール,インドネシア,マレー
シア,ベトナム,インド
日本の庶民向け定食を提供。きめ細やかな日本的サービス。 安全で新鮮さを売る。日本の タイ,台湾,香港,インドネシア
庶民文化を紹介。
ライスバーガーなど,米系にはないメニューと食の安全のイメージが浸透。
コンテンツ(アニメ,漫画,ゲームソ 日本で作成したアニメ,漫画,ゲームソフトなどのコンテンツをアジアで配信,提供。
フト等)制作・販売会社
セコム(セキュリティ)
日本通運(物流)
コンサルティング会社
ダイソー(均一価格ショップ)
中間所得層,現地価格
台湾,香港,シンガポール,タイ,イ
ンドネシア
中国,香港,台湾等
ITを駆使したオンラインの防犯,防災システムをアジアで幅広く展開。
台湾,韓国,中国,タイ,マレーシ
ア,インドネシア,シンガポール,ベト
内外からの商品の配送,保管など一貫物流システムで,小売業などの海外でのロジスティク ナム
中国,台湾,韓国,香港,タイ,フィリ
スをサポート。
ピン,シンガポール,インドネシア,マ
レーシア,ベトナム,インド
環境に配慮した都市開発など,現地政府に対するコンサルティング。
中国,台湾,韓国等
現地企業によるフランチャイズ展開。低均一価格と幅広い品揃えで差別化。
シンガポール,台湾,香港,韓国,タ
イ,インドネシア,フィリピン,マレー
シア,ベトナム
シンガポール,マレーシア
QBネット(低価格ヘアカットチェー クイックヘアカット。短時間で手軽にヘアカット。早さ,清潔な店舗で差別化を図る。
ン)
〔資料〕ジェトロ海外事務所報告,各社ウェブサイト,各種報道から作成。
35
高品質なサービスを低コストでアジアの新興国へ
アジアの中間層に一層の普及が望まれる日本企業の高付加価値,高品質なサービス分野の特徴
業種
学習サービス
高所得層(アッパーミドル
層)以上を対象に進出済
みの分野
サービスの特徴
科学的知識や計算能力を高める効果的な学習プログラムや個別指導を行い,日本的なサービスのノウハウを提供。
小売(家電量販)
高度な商品知識を背景に,商品の特徴や使用方法などの説明を加えたサービスを提供。中国企業(蘇寧電器:SUNING)は日本の家
電量販店のノウハウ獲得のため,日本企業と業務資本提携を行った。
小売(スーパー,コンビニエンスストア)
商品知識を生かし,商品やサービスの特徴や使用方法を説明するなどの細やかさを提供。また,ITを用い,適正な在庫管理や売れ筋
商品の配置等のノウハウを活用している 。
レストラン
清潔で衛生的,安全・安心というだけでなく,接客サービス,もてなしの心が売り物。
コンテンツ(アニメ,漫画,ゲームソフト,映画,音楽),ソ 緻密で丁寧に編集されたアニメや,リアルなストーリー展開の漫画・ゲームソフトなどは,アジアのアッパーミドル層に人気。顧客ニーズ
に対応する高度なソフトウェアへの海外からの需要が高い。
フトウェア
建設サービス(公共工事,展示会設営,店舗内装)
セキュリティ
運輸(物流サービス)
高い技術力・施工管理能力に加え,環境や周辺との調和を考慮し,顧客ニーズに合わせたテーラーメード設計やプロポーザルなど,き
め細やかな顧客対応。
マンションなど集合住宅において,ITを駆使した効率的なセキュリティシステムに加え,日本的なきめ細やかなサービスを提供。
顧客の多様なニーズに対し,蓄積したノウハウとITの活用により最適な物流システムを個別に提案し,顧客の業務を支援。
運輸(引越し,宅配,タクシー)
丁寧な梱包と細分化された料金設定による顧客へのオプション提供(引越し)。ITを駆使した物流管理システムによる集配の細かい時
間設定(宅配)。丁寧な接客だけでなく,清潔な車内やカーナビによる最適ルート案内などのサービス(タクシー)。
金融(銀行リテール,自動車ローン,生命保険)
取引決済の正確度,商品販売時の詳細な説明など丁寧な顧客サービスで,リテール展開における顧客からの信頼獲得のノウハウが
セールスポイント。
これから本格的な進出が
理容・美容,ブライダルサービス
期待される分野
高い理容・美容の技術,ファッション性を背景に,きめ細やかなサービスや清潔な店内管理により,顧客へのくつろぎの時間・空間を
提供。ブライダルサービスでは,会場設置から式の運営・進行,余興の手配までワンストップサービスを提供。
人材派遣・紹介サービス
企業の求める人材を的確に推薦し,求職者に綿密な面接対策を施すなど,日本で培われた人材派遣・紹介サービスのノウハウをアジ
アに応用。
医療・福祉サービス
アジアでの高齢化を見すえ,高齢者向けの医療や福祉介護などのサービスや問題解決のノウハウの蓄積で先行する日本の医療・福
祉サービスの展開が期待される。
〔資料〕ジェトロ作成。
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