PowerPoint プレゼンテーション

原子科学と倫理 12月25日~27日
● 25日 2限
原子力技術の基礎(篠田)
3、4限 量子力学の歴史的展開、再生可能エネルギー 、
核燃料サイクル技術(中江)
5限
討論とゲーム (篠田、中江)
● 26日 1、2限 社会と科学技術 その1(篠田)
3、4、5限
1. 火力発電・原子力発電、
2. 高速増殖炉
3. 欧州の原子力情勢(望月)
● 27日 1、2限
3限
社会と科学技術 その2(篠田)
討論(フォーラム)(塩田、篠田)
0
原子科学と倫理 12月25日
原子力技術の基礎 2,5限
日本原子力研究開発機構
東京工業大学原子炉工学研究所 篠田 佳彦
[email protected]
[email protected]
本資料では、ことわりのない図については「原子力図面集」より、引用しています。電事連に感謝いたします。
以下の事項に当てはまる件に関しては、その範囲を逸脱しないことを条件に、文書による電気事業連合会の許可を得ずに、本サイトの
著作物を利用することが許可されています。大学(院を含む)等の教育機関における学校教育の補助教材又は主教材として、教材を配
布する講師自身が作成利用する、
1
プルサーマル問題-佐賀新聞社-より
プルサーマルとは?
原発の使用済み核燃料を再処理して取り出したプル
トニウムを、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加
工し、再び軽水炉で燃やす計画。
再処理によってウランの利用効率が上がるとされる。
エネルギー資源を確保するため使用済み燃料を再利
用しようとする国の核燃料サイクル政策の一環。
安全性や経済性の問題を指摘する意見もある。
2
むつ市企画部 エネルギー対策課-より
核燃料サイクルとは?
原子力発電所で一度使い終わった使用済み燃料の中には、再利用
できる燃え残りのウランやプルトニウムが約97%も含まれています。
核燃料サイクルとは、これらの貴重な資源を回収し、燃料として再利
用(リサイクル)するしくみのことです。一連の工程をたどると、循環の
輪(サイクル)を描くことから、そのように呼ばれています。
現在、わが国ではウランも大部分を輸入に頼っていますが、核燃料
サイクルを実現することにより、エネルギーの長期的な確保が可能に
なります。
わが国では資源を有効に利用し、エネルギーを将来にわたってより
安定して使えるようにするために、核燃料サイクルを原子力政策の基
本方針としています。
3
地層処分
ガラス固化体
オーバーパック
地層処分とは、地下深部の地層が本来持っ
ている「物質を閉じ込める力」を利用し、地下
深部の地層に高レベル放射性廃棄物を埋設
し、人間の生活環境に影響を及ぼさないよう
に長期にわたって安全・確実に隔離する方
法です。(NUMOのWebサイトより)
緩衝材(粘土)
地層処分とは、原子力発電などにより生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分方
法の一つである。放射能レベルが高く、半減期の長い放射性廃棄物を安全に処分
する為、人が触れる恐れのない深度にこれを埋設する事。 高レベル放射性廃棄
物はガラス固化体とし、通常30年から50年の中間貯蔵を経た後に、キャニスターと
呼ばれる堅牢な容器に収納し埋設される。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
4
高速増殖炉(FBR)  もんじゅ  Na
核燃料サイクル 、 再処理
高レベル放射性廃棄物
地層処分、ガラス固化体、
プルサーマル 、 MOX とは?
5
核分裂
核分裂のことを「燃焼・燃える」とも表現
そこから、核物質を「核燃料」と表現
核分裂:Fission
中性子
中性子(発生数が重要)
≒秒速20000Km
高速中性子
即発中性子
核物質
(原子核)
破片:核分裂生成物:FP
Fission Products
エネルギー
遅発中性子
法律での定義
核燃料:原子炉に入れたとき、核分裂反応を起こしエネルギーを発生する可能性のある物質
核物質:天然ウランやそこから派生するPu239,U233等政令で定めたもの
6
中性子の反応:燃える、燃えない
散乱
中性子
衝突
(相互作用)
相互に飛び散る
核的な変化なし
ど
れ
か
燃えない
吸収
原子核に捕られる
原子核
核分裂
燃える
余分な中性子を出す
「散乱」、「吸収」、「分裂」などが起こる。
どの反応が起こりやすいかどうかは、原子核の種類で異なり、衝突する中性子
の衝突速度(エネルギー)で大きく変化する。
7
中性子の衝突速度 (エネルギー)
高速中性子(核分裂で生じる中性子など) 約 秒速 20000km
高速中性子に対して、遅い中性子約 秒速2km
 熱中性子 Thermal Neutron
普通の温度(常温)で中性子は、
周囲の熱と同じくらい、常温での原子の運動(秒速2km)と同程度
8
天然にまだ存在する核分裂が可能なもの
核燃料ウラン=U
ウラン (自然界の中で一番大きくて重い元素)
原子番号92 、2つの同位元素が存在する。
同位元素
質量数
中性子数
存在比
ウラン235
235
143
U-235
0.7%
燃える
(核分裂する)
やすい
U-235
ウラン238
238
146
U-238
99.3%
U-238
燃えない
(核分裂しない)
にくい
9
ウラン235(U-235)、238 (U-238)の性質
U-238
U-235
熱中性子
(高速中性子)
http://wwwndc.tokai-sc.jaea.go.jp/jendl/j33/J33_J.html
JENDL3.3より
・U-238は、中性子吸収反応が支配的分裂しにくい燃えにくい
・U-235は、遅い中性子がぶつかるほど分裂しやすい燃えやすい
10
原子炉を動かすためには!
核燃料物質を使用して、
核分裂連鎖反応を制御しながら持続させる装置
● 核分裂して、エネルギーを発生する源=核燃料が必要
 日本で稼動している原子炉のほとんどは、
核燃料として、ウラン(原子番号92)を用いている!
11
連鎖反応(核分裂反応の継続原子炉)
核分裂が継続する条件
核分裂で生成した中性子の内の少なくとも1個以上は次の核分裂に使われること
臨界核分裂の連鎖反応が一定の割合で持続している状態
吸収
中性子
U-238
核分裂中性子を出す
U-235
別のU-235
別原子に吸収 か 漏洩
中性子を損する
核分裂の継続
12
● 天然ウランを核燃料にして原子炉を作るには、
遅い中性子で、次の核分裂に活かされる中性子数が約1.3個程度
連鎖反応が可能ではあるが(足りない)
速い中性子では、1個をかなり下まわり、連鎖反応が進まない。
原子炉内では、連鎖反応が継続することが必要
ウランで核分裂を持続させるためには、工夫が必要となる
・核分裂の際に放出される速い中性子を遅く。遅いほど分裂しやすくなる
・燃えやすいU-235を増やす 当たる割合を増やす
ウランで原子炉を作るためには、
①中性子を遅くする。  減速
②燃えやすいU-235を多くする  濃縮
③ウラン以外のものに中性子を横取りされない。(他の物質を少なく)
④中性子を漏らさない。 大きな、丸い炉の形  中性子を損しない
13
ウラン濃縮
燃えやすいU-235の割合を増やす源の確保
天然に存在するウラン
(天然ウラン)
U-235
0.7%
U-235
3~6%
1/8
U-235を増やしたウラン
(濃縮ウラン)
軽
水
炉
分ける濃縮(同位元素分離)
普通に分けても×
U-235
0.2%
U-238
99.3%
U-235が減ったウラン
(劣化ウラン)
使い道の
ないゴミ
1
7/8
数値は概略
14
水(水素)の利用
軽水炉LWR
熱中性子炉 Thermal Reactor
水素 水:H2O
2~3個発生
20000km/秒
2km/秒の速度熱中性子
U-235
中性子
減速材中性子を遅くする
Light Water Reactor
分裂
U-235
分裂の継続
制御棒:中性子を吸収して
核分裂を調整 ブレーキの役目、B,Hf
エネルギー 熱発電
冷却材熱を取り出す
水(軽水)で中性子を遅くして核分裂しやすくし、熱も取り出す
軽水:普通の水素(陽子が一つ)でできた水
遅い中性子=熱中性子
15
軽水炉の中では、分裂しにくいU-238は、中性子を吸収し、
燃えやすいプルトニウムに変わっていく
中性子
U-238
U-239
吸収
23.5分
β-崩壊:中性子が陽子に変わる
元素番号が一つ増える
U :ウラン
原子番号92
Np-239
2.35日
天然に存在
β-崩壊
-------------Np:ネプツニウム
原子番号93
Pu:プルトニウム
原子番号94
Pu-239
プルトニウムPu
分裂しやすい核物質(資源)
----------------------強い放射性毒物
核兵器原料(核拡散の恐れ)
FP
天然に存在せず
16
燃料集合体
原子力発電所
=軽水炉
ペレットの中で
起きている
原子炉
ペレット=
ウラン酸化物 UO2
を焼き固めたもの
(安定した化合物)
燃料棒(ピン)
17
ウラン燃料の原子炉内での振舞い
濃縮ウラン燃料
使用済燃料
U-235
そのまま
U-235
3~6%
核分裂
プルトニウム
U-238
FP
(3~6%)
プルトニウム
≠1%
そ
の
ま
ま
U-238
そのまま
前
中性子を吸収
核分裂阻害
燃焼後
機械的な強度の劣化やFP増による吸収中性子数の増加などから
燃焼できる限界が存在する。燃え残り燃料(U-235、プル)の存在
18
鉱山などから採掘した天然ウラン(U-235 0.7% U-238 99.3%)
ウランの利用効率
濃縮核燃料
核分裂でエネルギー発生
U-235
ウランが核分裂した量≒FP量
例えば、4%のFP発生を4%のウランが核分裂
4% × 1/8 = 0.5%
の天然ウランしか利用していない
1/8 天然ウランから濃縮ウランを作るときの比率
U-238
FP
プルトニウム
1/8
天然ウランを燃料とした
軽水炉では、天然ウラ
ンの約0.5%程度を使う
ことができる
4%
19
使用済燃料の再利用(再処理)
使用済燃料
ウラン
U-235
プルトニウム
FP
FP
プルト
ニウム
再処理
U-238
高レベル放射性
廃棄物
燃焼後
再利用再処理
軽水炉 プルトニウム利用(プルサーマル)
20
再処理のイメージ
高レベル放射性廃棄物
FP
混ぜる
高レベル放射性廃液
抽出
溶媒
油相
U,Pu
U(6),Pu(4),FP
が解けている
硝酸溶液
FP,U,Pu
逆抽出
混ぜる
薄い硝酸溶液
酸濃度調整
硝酸溶液
U,Pu(4→3)
が解けている
溶媒
Puを溶媒に解けにくくする
U
分配
U
Pu
21
高レベル放射性廃棄物の処理(ガラス固化)
FP
高レベル放射性廃液
ガラス原料
加熱:
溶かす
最終処分までに冷却
などのため保管
FP 10~15%
ガラス
処分
金属容器
キャニスター
22
高レベル放射性廃棄物処分場概念
人間の生活圏から切り離す(隔離する)
23
軽水炉でのプル利用
濃縮ウラン燃料
2/3
U-235
プルサーマル
熱中性子炉=軽水炉
でのプルトニウム使用
U-238
処分
MOX燃料 1/3
プルト
ニウム
軽
水
炉
U-235
使用済燃料
燃えやすいPu-239の
比率の少ないPuが残る。
繰り返し利用がしにくくなる
どちらか
再利用
U-238
MOX 混合酸化物(ウランとプルトニウムの混じったもの)
プルトニウムの成分割合プル富化度 ~11%程度
1回プル利用することで、
ウラン利用効率は1%弱(0.75)程度になる
24
ウランと同じようにプルトニウムにも同位元素
・ウラン238(U-238)が中性子を吸収してできたプルトニウム Pu-239
原子番号 94 (陽子94個) 中性子 145個  質量数 239
 燃えやすい(核分裂しやすい)核種
原子炉の中に入っているプルトニウムは、
核分裂したり、中性子を吸収したり、放射性崩壊したりした結果、
いく種かの同位元素(質量数の異なるプルトニウム)が存在する。
・質量数 238
・
239
・
240
・
241
・
242
Pu-238  燃えにくい
Pu-239  燃えやすい
Pu-240  燃えにくい
Pu-241  燃えやすい
Pu-242  燃えにくい
濃縮ウランを燃料にした軽水炉の使用済燃料中のプルトニウム
 Pu-239 の存在比率が50~60%くらい
25
軽水炉(ワンススルー)リサイクルしない場合
既知資源量約395万トン
究極資源量約1540万トン
*レッドブック99より
再処理
分裂しやすい
U-235 約0.7%
劣化U:約132ton
MOX(U/Pu)燃料
使用済燃料
(U,Pu,FP)
分裂しにくい
U-238 約99.3%
ウラン
濃縮工場
LWR
天然U:約150ton
約18.0tonU/基・年
(100万kWe級)
使用済燃料(U,Pu,FP)
ワンススルー
ほぼU-235のみ利用
once-through
U-235
FP
プルトニウム
廃棄物処分場
地下数100mに埋設
直接処分
拡大すると
U-238
26
軽水炉を運転し続けると
○ ウラン資源を常に確保しつづける必要
ウラン埋蔵量の限界、価格変動
海水中に含まれる微量のウラン
海水1トン中に3ミリグラム
黒潮から約500万トン/年
○ 使用済燃料をうまく処分できない可能性
使用済燃料を、燃料集合体のまま処分する(直接処分)
アメリカ、スエーデン、フィンランドなどは直接処分
日本、フランスなどは、再処理してガラス固化
27
使用済燃料をそのまま処分すると
処
分
・危険の大きな(毒物である)プルトニウムも処分してしまう
・核兵器原料であるプルトニウムを処分し、悪用される恐れ
(高レベル廃棄物及びその処分場の負荷は、処理方法、
処分概念などに左右され、優劣を判断するのは難しい)
・プルトニウム(資源でもあるが毒物・危険物でもある)を捨てることになる。
資
源
利
用
資源として使用できるプルトニウムを捨てることになり、
鉱山からのウラン資源が枯渇する恐れがある。
論争点
資源は、 使ったほうがよい。  他に使えるものがあれば使わなくとも
毒物・危険物は、処分(隔離)したほうがよい使っているほうがよい
(資源と処分が問題となるかどうかは別にし)、解決策は?
28
高速増殖炉
・Pu-239は、速い中性子(=高速中性子)でも核分裂はする。
・Pu-239は、U-235より、核分裂時に多くの中性子を出す。
・核分裂で生成した中性子のうちの次の核分裂に使われる中性子は、
高速中性子でも1以上(速くなればなるほど出す中性子が豊富になる)
高速中性子でも臨界にできる。原子炉を作れる
・高速中性子は、FP元素などによる中性子吸収が少ない。 中性子損が小
高速中性子を使った原子炉
プルトニウムを核燃料に用いる
中性子を減速させず、高速のまま使う
プルトニウムと高速中性子を効率的に使う
29
高速増殖炉
FBR
(Fast Breeder Reactor)
原子炉の中のイメージ
周辺ブランケット域
中心で核分裂、
周辺で核燃料生成
消費した以上のPu-239を炉心部
及びブランケット域のU-238から生
産する能力
= 増殖
(核分裂で生じる中性子数が多い
ことを活用)
軽水炉では、利用しにくいU-238を
分裂するPu-239に変え、使い続け
られる能力
=ウラン利用
効率の圧倒的向上
U-238
Pu-239
中心
炉心域
Pu-239
中性子
劣化ウラン
U-238  Pu-239
中性子を減速せずに、熱を取り出しやすい冷却材(減速効果無)
液体金属 (Na, Pb, Pb-Bi) やガス CO2, He 或いは水でも可能
30
ペレットを
詰める
燃料ピンを
六角形に束ねる
燃料集合体を
丸く束ねる
MOXペレット
高速増殖炉
の炉心
ウランペレット
燃料棒
ピン
燃料集合体
31
FBR燃料の振る舞い(模式図)
別
FBR
外部供給ウラン
Pu
炉
心
域
U-238
Pu
核分裂
FP
Pu
U-238
炉
心
域
U-238
ブ
ラ
ン
ケ
ッ
ト
域
そのまま
再処理
U-235
Pu
ブ
ラ
ン
ケ
ッ
ト
域
FP
U-238
そのまま
U-238
処分
燃焼前
燃焼後
新燃料
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核燃料サイクル(高速増殖炉)サイクル
電気
廃棄物
FBR:高速増殖炉
廃棄物
FBR再処理
燃料加工
劣化ウラン
高レベル廃棄物
主にFP、
軽水炉再処理からのプルトニウム 回収漏核物質
サイクルから、外にでるもの(主にFP)
と同量の劣化ウランを加えていけば、常にエネルギーを出し続ける
 U-238を有効に使える。ゴミ(劣化ウラン)を資源に変える。
約60%以上のウランを利用することができる。
プルサーマル使用済燃料中のプルトニウムも使える(燃やせる)。
33
放射性廃棄物
気体廃棄物:排気筒から放出
FBRサイクル施設
高速炉
再処理工場
燃料製造工場
希釈放出(施設操業時放出)
dilute / disperse
液体廃棄物:海へ放出
埋設処分体
固体廃棄物
(固定化)
低レベル放射性廃棄物
高レベル放射性廃棄物
・・・・・
放射能レベル
地下数mに埋設
地下数100mに埋設
放射能レベルに応じた廃棄物処分場
34
埋設処分される廃棄物
35
埋設処分される廃棄物
高速炉
燃料製造工場
再処理工場
低レベル廃棄物
高レベル廃棄物 ガラス固化体
放射能レベル
比較的低い
放射能レベル
比較的高い
地下数m
地下
50~100m
α放射能高い
長寿命核種含む
地下
~500m
浅地中
余裕深度
FPを主に含んだ
放射能の高い廃棄物
地下
500~1000m
深地中
TRUを取り扱う施設からの
廃棄物=TRU廃棄物
36
放射性廃棄物影響経路と効果を判断する観点
現在に影響
気体廃棄物
FBRサイクル施設
高速炉
再処理工場
燃料製造工場
施設操業時放出
操業時周辺
被ばく影響
万年後に影響
液体廃棄物
処分後
被ばく影響
廃棄物発生量
埋設処分体
放射性毒性
処分
放射能
処分場
核種
遅延放出
37
放
射
能
●自発的に放射線を放出し別の種類の原子になろうとする性質=放射性
●単位時間に起こる崩壊の数(1秒間に何個の原子が壊れるか)
●「放射能がある」と言う表現は、”放射線が出ている”と言った程度の意味
●放射性物質、あるいは放射線そのものを指して放射能と表現することも
放射性物質=放射性同位元素
原子核から放射線を放出する不安定な元素
放射性崩壊
放射性同位元素が放射線を放出して変わること
α崩壊→原子核の核子数の多い元素で起こる。α粒子(陽子2個、中性子2個)を放出 別の原子になる
β崩壊→質量数が変わらず、原子番号が1だけ増減する。高エネルギーの電子を放出 別の原子になる
γ崩壊→励起した原子核から高エネルギーの光(γ線)を放出 別の原子にはならない、壊れるより変わる!
イメージ)興奮が収まる、
放
射
線
原子核が崩壊するときなどに
放出される高速の粒子 α線(α粒子)、β線(陽電子)、中性子線
高いエネルギーを持った電磁波(γ線、 X線)
電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、
38
39
軽水炉を運転するまで
40
ウラン鉱山から転換まで
ウラン鉱石
製錬
四フッ化ウラン:UF4
イエローケーキ
転換
製錬:
掘り出したウラン鉱石を化学処
理し、ウラン(固体状=粉末状
のイエローケーキ)を取り出すこ
と
転換:
濃縮するために個体状のイエ
ローケーキを気体状のウラン
UF6気体
化合物にする
 UF6:6フッ化ウラン
金属ウランは、空気中で加熱すると酸化される。粉末だと常温でも反応し、発火も
酸化物UO2は、安定なので、利用しやすい  原子炉燃料としてよく用いる
ADU:重ウラン酸アンモニウム (NH4)2U2O7
41
ウラン濃縮(遠心分離機)
再転換:UO2:粉末
製品:濃縮ウラン
UF6 気体
供給:天然ウラン
UF6 気体
カスケード
カスケード:何台もの遠心分離機を連ねること
廃品:劣化ウラン
UF6 気体
42
成型・加工(ウラン燃料)
成型:粉末のウランを高温で焼き固めて
ペレットを作る
加工:ペレットを被覆管にいれ、燃料棒とし、
束ねて、燃料集合体を組み立てる
約8mm
約10mm
PWR
の場合
43
軽水炉1
加圧水型 (PWR: Pressurized Water Reactor)
燃料:濃縮ウラン
減速材、冷却材とも軽水
原子炉内の水が沸騰しないように高い圧力をかけて
高温の水を作り、蒸気発生器(熱交換器とも言う)で
別の水を蒸気に変えて、タービンに送って発電
原子炉内の水や不純物(構造材から解けだしたもの)が中性子を
吸収して、放射性物質を作る(放射化)
44
軽水炉2
沸騰水型 (BWR: Boiling Water Reactor)
燃料:濃縮ウラン
減速材、冷却材とも軽水
原子炉の水を直接沸騰させて蒸気を作り、
タービンに送って発電
シュラウド
原子炉圧力容
器内に取り付け
られている燃料
集合体(炉心)
を囲むように配
置されている円
筒状のステンレ
ス製構造物
冷却水の流れ
を分離する
45
軽水炉の燃料集合体の構造
46
(軽水炉)再処理
使用済燃料集合体
硝酸溶液
粉末
硝酸
中のペレット
を溶かす
MOX
47
分離方法 溶媒抽出PUREX法
Plutonium Reduction Extraction。
使用済核燃料の再処理工程で用いられる溶媒抽出法のひとつで、現在一般的に実用化されている方法である。
有機溶媒はリン酸トリブチルをドデカンで希釈したものを用いる。
使用済み燃料の硝酸溶解液を、パルスカラム、ミキサセトラ、遠心抽出器などの溶媒抽出装置を用いて有機溶媒と接触することにより、まず
ウランとプルトニウムだけを有機相に抽出させ、核分裂生成物を水相に残す。これは、ウラン、プルトニウム、FPの有機相と水相への分配比
率が異なることを利用したものである次にこの有機相を硝酸ヒドロキシルアミンなどの還元剤を含む水相と接触することにより、プルトニウム
だけを水相に逆抽出させ、ウランと分離する。
有機相
ウラン、プル製品
有機溶媒
使用済燃料
U, Pu, FP
溶解硝酸溶液
攪拌(混ぜる)
水相(硝酸溶液)
FP廃品
ミキサセトラ
48
もんじゅ(原型炉)
熱出力714MW
49
電気出力28万kW
MOX燃料加工
グローブボックス
作業員が直接プルトニウムに触れたり、
吸い込んだりしないように密閉された箱の中で取り扱う。
約6.4mm
混合工程
検査工程
成型工程
組立工程
焼結工程
検査工程
巻付工程
充填工程
約8mm
50
FBR再処理
軽水炉再処理との違いなど
・大きな違いは、無いが
・燃料集合体(ラッパ管の存在など)のハンドリング技術の高度化
・よりたくさん燃焼しているので、生成したFPが多く、放射能が高い
・プルトニウム量が多く、臨界(*)管理上の制限が大きい。
・FP量が多く、プルトニウム割合が高くなると
「溶解」、「清澄」、「抽出」の高性能化が必要
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
ラッパ管の解体
 レーザビーム解体機
酸化物燃料の溶解法および溶解槽  連続溶解槽(バッチ式溶解槽)
溶解液の清澄機
 遠心清澄機(パルスフィルタ)
溶媒抽出フローシートおよび抽出器  遠心抽出機(ミキサセトラ)
遠隔操作・自動化システム
 マニピュレータ、ラックシステム
燃料棒
レーザービーム解体機
ラッパ管:燃料集合体の外側を覆っている
ステンレス製のカバー
集合体の強度を維持する目的
連続溶解槽
遠心清澄機
遠心抽出機
51
遠心抽出器 (分離工程)
軽水炉再処理で採用したミキサセトラ
に比べて大幅に機器の小型化可能
高い放射能による溶媒劣化を改善
(溶媒接触時間の軽減)
フィード
ライン
硝酸溶液
水 有
相 機
相
水相
コレクター
有機相
コレクター
ロータ
有機溶媒
ロータ径
混合部
遠心抽出器の原理
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