60歳代になった団塊世代の経済行動

60歳台になった団塊世代の経済行動
長谷川 正
学籍番号 2309805
1.目的
①団塊世代(1947年~1949年生まれ)の人数は670万人と極めて多
いが、現在60歳台と定年時期にさしかかっている。
②団塊世代は人数が多いだけに、これまで日本経済に大きな影響力
を持ってきた。現在60歳台という人生の転換期にあるため、これま
でとは異なる経済行動をとる可能性がある。
③したがって、今後の日本経済を見る上で、団塊世代の就業行動、
消費行動、貯蓄行動等の経済活動が、どのようなものかを捉えて
おくことが不可欠である。こうした問題意識が本レポートのテーマ
である。
④本レポートで明らかになることは、団塊世代のうち一部の人は経済
的に豊かであるものの、多くの人は厳しい経済生活を送らざるを
えないという現実である。
2.目次
第1章 はじめに
第2章 団塊世代の概要
・年齢別人口
・団塊世代がこれまで生きてきた時代背景
第3章 就業行動
・就業しているか、または非就業か
・就業、非就業を決めるものはなにか
第4章 消費行動
・消費支出水準と所得水準はどのような関係にあるか
・消費支出の内容はどのようなものか
第5章 貯蓄残高
・貯蓄残高を取り崩しているのか(所得<消費支出)
・貯蓄残高をどのように運用しているか
第6章 おわりに
3.参考文献
・内閣府(2006)「国民生活白書」
・清家篤・山田篤裕(2004)「高齢者就業の経済学」
・八代尚宏・小塩隆士・井伊雅子他(1997)「高齢化の経済分
析」、経済分析第151号
・チャールズ・ユウジ・ホリオカ・奥井めぐみ(2006)「公的年金の
老後貯蓄と退職行動に与える影響」、財団法人年金総合研
究センター平成17年度総括研究報告書『家計の効用・行動
の視点を踏まえた公的年金の役割及び改革に関する実証
的研究』
・チャールズ・ユウジ・ホリオカ(2004)「団塊世代の退職と日本
の家計貯蓄率」、樋口美雄・財務省財務総合政策研究所[編
著]『団塊世代の定年と日本経済』
1.団塊世代の概要
(1)団塊世代の人数
・団塊世代(1947年~1949年生まれの人数は670万人
0
図表1.年齢階級別人口(2007年)
50
100
(才) 0
4
8
12
16
20
24
28
32
36
40
44
48
52
56
60
64
68
72
76
80
84
88
92
96
150
200
団塊世代
670万人
(資料)総務省統計局「人口推計年報」
(万人)
250
(2)団塊世代がこれまで生きてきた時代背景
・出生時期(1947年~1949年)は戦後の貧しい時代
・就職時期(4年生大学卒の場合:1971年前後)は「高度成長期」の終わり
・就業期間のうち約20年間は「安定成長期」 約20年間は「低成長期」
(%)
20
図表2.経済成長率(実質ベース)
高度成長期
安定成長期
低成長期
15
10
5
0
-5
(資料)内閣府「国民経済計算年報」
(年)
2.就業行動
(1)年齢階級別就業者数
・60歳台前半の就業者数は、1990年代以降増加傾向。特に2007年、2008年に大
きく増加。
・一方、就業率(60歳台前半の就業者数/同人口)は、2000年代初めまでは低下
傾向。その後は上昇傾向。
(万人)
図表3.年齢階級別就業者数
1000
900
800
700
50~54才
600
55~59才
500
60~64才
65~69才
400
300
200
100
0
(年)
(資料)総務省「労働力調査」
(%)
図表4.年齢階級別就業率
90
80
70
50~54才
60
55~59才
60~64才
50
65~69才
40
30
20
(年)
(資料)総務省「労働力調査」
(2)60歳台前半の就業理由
・殆どが経済上の理由から就業
図表5.高年齢者の就業理由(男性・2004年)
55~59歳
経済上の理由
健康上の理由
いきがい、社会参
加のため
60~64歳
頼まれたから、時
間に余裕があるか
ら
その他(含む理由
不詳)
65~69歳
0
20
40
60
(資料)厚生労働省「高年齢者就業実態調査」
80
100 (%)
(3)世帯主が60歳台以上:勤労世帯・無職世帯別所得および消費支出
・年金だけでは厳しい生活
図表6.世帯主が60歳以上:勤労世帯・無職世帯別所得および消費支出(2008年)
(単位:1000円)
1人当たり(等価尺度ベース)
世帯主が60歳以上 同55~59歳 世帯主が60歳以上 同55~59歳
勤労者世帯 無職世帯 勤労者世帯 勤労者世帯 無職世帯 勤労者世帯
所得合計
398
223
600
世帯主の勤め先収入
255
0
488
配偶者・他の世帯員の所得
46
19
88
社会保障給付
82
190
10
その他
15
14
14
消費支出
304
250
353
世帯人員数
2.75
2.38
3.19
(注)等価尺度ベースの1人当たり所得=所得合計/(世帯人員数0.5)
(資料)総務省「家計調査年報」
240
183
-
145
162
-
336
198
-