第2章 第2章 本市の現状と課題 千葉市の現状と課題 1 千葉市を取り巻く自然環境と地域特性 [1]位置と自然環境 千葉市は、千葉県のほぼ中央に位置し、東京まで約40km、成田国際空港まで 約30kmの距離にあります。また、東京湾アクアラインの接岸地である木更津市 まで約30kmの位置にあり、首都圏からの利便性に富んでいます。 千葉市を起点、終点とする幹線道路や鉄道も多く、県内交通体系の結節点となっ ています。 市域面積は、約272k㎡で、市域北部の花見川、中心部の都川、南部の村田川 が東京湾に、また内陸部の鹿島川が印旛沼に注いでいます。 千葉市は、これらの河川によって刻まれた低地と台地、東京湾沿いに広がる約 34k㎡の広大な埋立エリアから成り立っています。 全体的に平坦な地形にあり、都市の成長とともに開発、市街化が進められてきま したが、農地や山林などが比較的残されています。また、海水浴やマリンスポーツ などが楽しめる砂浜も整備され、大都市でありながらも緑と水辺に恵まれているこ とが特長です。 千 葉 市 の 位 置 交 通 ア ク セス 【東京から電車で】 ◎JR総武線(快速) 東京駅⇒千葉駅 39分 ◎JR京葉線(快速) 東京駅⇒海浜幕張駅 28分 東京駅⇒蘇我駅 41分 【空港から電車で】 ◎JR総武本線・成田線(快速) 成田国際空港駅⇒千葉駅 42分 第2章 千葉市の現状と課題 [2]歴史と特性 (1)千葉市の起源 千葉市に人が住みはじめたのは、今から3万年前ほどの未だ土器を持たない旧石 器時代からです。縄文時代中頃には、世界最大級の「加曽利貝塚」などの貝塚群が 営まれています。 都市としての起源は、1126(大治元)年、千葉常重が猪鼻山に居館を築いた ことに始まるといわれ、鎌倉時代には、ほぼ下総一国を支配した「千葉氏」のもと で、関東では鎌倉に次ぐ都市として賑わっていました。 しかし、室町時代以後、千葉一族は次第に分立・独立することにより衰退してい き、千葉氏の命運とともに一寒村へと衰微しました。 江戸時代に入り、佐倉藩領となった千葉町は、江戸への物資積出港として、また、 江戸と房総を結ぶ宿場町として再び活況を呈することとなりました。 (2)県都としての発展 1873(明治6)年、廃藩置県により、千葉町に県庁が置かれたことで、近代 都市としての発展がはじまりました。 1921(大正10)年に市制を施行。昭和初期には4町村(検見川町、蘇我町、 都賀村、都村)との合併により市域を拡大するとともに、県都として諸機能の充実 が求められ、病院、銀行など様々な近代的施設が誕生しました。 また、当時の千葉市の海は遠浅で、海水浴や潮干狩りに適しており、東京からの 利便性もよく、海の保養地として賑わいを見せていました。 (3)戦後の発展 戦後は、大規模開発や埋立などにより、急速な都市化と川崎製鉄千葉製鉄所や東 京電力千葉火力発電所などの工場誘致が進み、高度成長期にあわせ、首都圏のベッ ドタウンとして、急速に発展してきました。人口も昭和40年には33万人でした が、昭和50年には66万人と、10年間で倍増しました。 (4)政令指定都市としての発展 平成4年4月に政令指定都市に移行、6区役所を設置した大都市行政がスタート。 その後、首都圏の一翼を担う千葉都心、幕張新都心、蘇我副都心における都市機 能の集積や、千葉ロッテマリーンズ・ジェフユナイテッド千葉のホームタウン※と して、都市の新しい魅力が付加されてきています。 さらに、懸垂型としては世界一の距離を持つ「千葉モノレール」 、世界最大級で 日本の歴史公園100選の「加曽利貝塚」 、世界最古の種を開花させた「オオガハス」 、 日本の白砂青松100選の「いなげの浜」 、日本さくら名所100選の「泉自然公園」な ど、魅力ある資源も数多くあります。 ※ ホームタウン:スポーツチームが本拠地としたその地域の一員として、地域と 密着した活動(社会貢献なども含む)を行う取り組み、考え方 第2章 千葉市の現状と課題 戦後の主な出来事 昭 和(1926∼1989) 26年 3月 大賀一郎博士、検見川で約2000年前のハスの実(オオガハス)を発見 28年 6 月 川崎製鉄千葉製鉄所稼動 34年 8 月 東京電力千葉火力発電所完成 41年 11月 加曽利貝塚博物館が開館 48年 9月 第28回国民体育大会(若潮国体)夏季大会 開催 51年 4月 日本初の人工海浜「いなげの浜」オープン 59年 10月 緑と水辺の都市宣言 60年 4月 千葉市動物公園 開園 61年 3月 国鉄(現JR)京葉線開通(千葉みなと∼西船橋間) 6月 千葉ポートタワー オープン 63年 3月 千葉モノレール一次開業 (スポーツセンター∼千城台間) 12月 第1回「国際千葉駅伝」開催 平 成(1989∼) 元年 2月 平和都市宣言 10月 幕張メッセ オープン 2年 3月 千葉マリンスタジアム オープン 3年 10月 ロッテマリーンズの本拠地が千葉マリンスタジアムに決定 4年 4月 千葉市が全国12番目の政令指定都市に移行 千葉急行(現京成千原線)開業(千葉中央∼大森台間) 7年 11月 千葉市美術館 オープン 8年 4月 花の美術館 オープン 10月 第1 回市民の日記念式典開催 15年 3月 ジェフユナイテッド市原が千葉市をホームタウンとする広域化を決定 17年 10月 フクダ電子アリーナ オープン アクアリンクちば(アイススケート場) オープン 千葉ロッテマリーンズが日本シリーズ優勝 11月 ジェフユナイテッド千葉がヤマザキナビスコカップ優勝 18年 11月 ジェフユナイテッド千葉がヤマザキナビスコカップ2 連覇 19年 10月 5つの公共公益施設と民間施設が入居する官民複合ビルQiball(きぼーる)オープン 千葉市の開祖、千葉氏の月星の紋章からとったものです。千葉氏の紋章 は月星・九曜星の併用ですが、この月星に千葉の「千」を入れて、大正10 年 に市制施行を記念して本市の市章としました。 第2章 2 千葉市の現状と課題 千葉市のイメージ(※平成18年「都市イメージ調査」から) (1)都市イメージ 市民調査、市外他都市調査、市内交流人口調査の3つの都市イメージ調査の結 果を見てみると、3調査すべてにおいて、 ①「東京都心に近い便利なまち」 ②「気候が温暖で住みやすいまち」 ③「海のあるまち」 の3項目の回答が比較的高い数値を示しました。 このことから、千葉市は「住みやすい都市」としてのイメージがある程度定着 していると考えられます。 しかし、その半面 ①「観光を楽しめるまち」 ②「特産品・名産品があるまち」 ③「歴史・伝統にふれあえるまち」 の回答は低く、 このことから、都市イメージが弱く、 「顔の見えにくい都市」と考えられている ことが推測されます。 千葉市の都市イメージ (単位:%) 60 市民調査(n=528) 市外住民調査(n=1289) 交流人口調査(n=327) 30 イ メー ジ の な いま ち 子 育 て ・教 育 環 境 が 整 っ て い る 文 化 ・芸 術 ・音 楽 を 鑑 賞 で き る 歴 史 ・伝 統 に ふ れ あ え る ま ち 国際的 な まち 新 鮮 な 野 菜 ・食 材 が 豊 富 な ま ち 特 産 品 ・名 産 品 が あ る ま ち スポ ー ツ の 楽 し め る ま ち ぶら ぶら歩 き が楽 しめる まち 観光を 楽 しめる まち 魅 力 的 な 商 業 エリ ア が あ る ま ち 花 のあ ふ れ る ま ち 海 のあ る ま ち 豊 かな 自 然 に恵 ま れ た ま ち 東 京 都 心 に 近 い便 利 な ま ち 安 全 ・安 心 な 生 活 が でき る ま ち 気 候 が 温 暖 で住 み や す いま ち 0 第2章 千葉市の現状と課題 (2)印象・イメージ 市民調査と市内交流人口調査における「千葉市の印象・イメージ」を見ると、 市内交流人口調査が市民調査よりも上回っている項目は、 ①「活気がある」 ②「明るい」 ③「楽しい」 ④「都会的」 などの良い印象の項目でした。 一方、市民調査が市内交流人口調査を上回っている項目は、 ①「平凡・特徴なし」 ②「ださい・野暮ったい」 ③「保守的」 ④「田舎っぽい」 などの項目でした。 また、市民調査において、高い数字を示したのは、 ①「便利」 ②「愛着がある」 という2つの項目でした。 このことから、本市は来葉者からは「明るく楽しいまち」と思われていることが わかります。 また、実際に居住している千葉市民は、 「便利で愛着がある」と考えている反面、 千葉市民としての「誇り」や「一体感」がやや希薄であることが推測されます。 印象・イメージ (単位:%) Aに近い 落ち着く 明るい 60% 景観が美しい Bに近い 市内 交流人口 活気がある 便利 騒々しい 景観が悪い 30% 楽しい 国際的 革新的 愛着がある 活気がない 不便 30 魅力的 0% 治安が良い 暗い 60 市内 交流人口 都会的 個性的 おしゃれ 新しい情報が多い つまらない 魅力がない 0 治安が悪い 国際的でない 保守的 愛着がない 田舎っぽい 平凡・特長なし ださい・野暮ったい 新しい情報が少ない 第2章 千葉市の現状と課題 (3)対外的な認知度 市外他都市調査及び市内交流人口調査での「観光スポット・イベント」などの 認知度をみると、スポットでは、 ①「幕張メッセ」 ②「千葉マリンスタジアム」 ③「幕張海浜公園」 ④「千葉ポートタワー」 ⑤「千葉市動物公園」 が高い認知度を示しました。 また、市内のイベントでは、 「国際千葉駅伝」 が2つの調査に共通して高くなっており、 その他、 ①「千葉ロッテマリーンズ」 ②「ジェフユナイテッド千葉」 ③「モノレール」 の認知度が高いという結果になりました。 この結果から、千葉市外の住民に認識されている「観光スポット・イベント」 などは、総じて「幕張新都心」に関係するものが多いことがわかります。 さらに、 「千葉マリンスタジアム」 、「千葉ロッテマリーンズ」 、 「ジェフユナイ テッド千葉」、 「国際千葉駅伝」 、といったスポーツ関連のものが千葉市の特長と して考えられます。 イベントのなかで突出して高い認知度を示した「国際千葉駅伝」は、テレビで 全国放送されていることが大きな要因であると考えられ、 「千葉市動物公園」も、 レッサーパンダの「風太」君の立ち姿が、ニュースや情報番組など多くのメディ アに取り上げられた結果であると考えられます。 このことから、今後、千葉市の認知度を上げるためには、継続的・効果的なメ ディアの活用が必要であるといえます。 交流人口(n=327) 市外(n=1289) コン 幕張新都心 幕張メッセや千葉マリンスタジアムなど 千葉市の魅力が集まっています。 千葉ポートタワー 高さ125mの展望台からは、アクアラインや 稲 毛 民 間 航 空 記 念 館 加 曽 利 貝 塚 博 物 館 県 立 中 央 博 物 館 千 葉 競 輪 場 コン 東京タワー、富士山なども望めます。 プ レ ナ 幕 張 幕 張 新 都 心 の シ ネ ガ ー デ ンウ ォ∼ ク 幕 張 千 葉 駅 周 辺 の シ ネ ハー バ ー シ テ ィ 蘇 我 千 葉 駅 周 辺 の デ パ ー ト ふ る さ と 農 園 観 光 農 園 乳 牛 育 成 牧 場 泉 自 然 公 園 青 葉 の 森 公 園 昭 和 の 森 稲 毛 海 浜 公 園 幕 張 海 浜 公 園 千 葉 ポ ー ト タ ワ ー 千 葉 ポ ー ト パー ク 千 葉 公 園 こ ては し 温 水 プ ー ル 玄 鼻 公 園 北 谷 津 温 水 プ ー ル 稲 毛 ヨ ッ ト ハー バ ー 千 葉 ポ ー ト ア リ ー ナ ア ク ア リ ン ク ち ば 千 葉 市 内 の ゴ ル フ 場 マリ ン ス タ ジ ア ム フ ク ダ 電 子 ア リ ー ナ 千 葉 幕 張 メ ッセ 0 (単位:%) 観光スポット・イベントの認知度:その1 千葉市の現状と課題 第2章 100 50 交流人口(n=327) 市外(n=1289) 千葉モノレール 懸垂型モノレールとしては 世界最長の営業距離を誇ります。 モノレー ル ジ ェフ ユ ナ イ テ ッ ド 千 葉 千 葉 ロ ッテ マ リー ン ズ 風太 君 ち は な ち ゃん 中 央 公 園 フ ラ ワー フ ェステ ィ バ ル 花」、平成19 年7 月にも双子が誕生しました。 都 市 景 観 市 民 フ ェスタ 平成 18 年 6 月には双子の子ども「ユウタ」と「風 市 民 産 業 ま つり 立ち姿で人気者となったレッサーパンダです。 千葉 港め ぐり観光 船 ︶ 千葉市動物公園の「風太」 千葉 能 区 民 ま つり 市民 芸術祭 ちば 大道芸 の日 千 葉 マリ ン マラ ソ ン 千葉 国際 ク ロスカ ントリー大 会 国際 千葉駅 伝 ベ イ サ イ ド ジ ャズ 千 葉 ちば YO SAK OI 千葉 の親子 三代夏 祭り 千葉 城さ くら祭 り T E P C O ︶ 千葉 都心 イ ルミネー シ ョン 千葉 市民花 火大会 花 の美術館 千葉 市美術 館 県立 美術館 千葉 市動物 公園 浅間 神社 千葉 神社 ・い な げ 千 葉 寺 ︵せ ん よ う じ ゆ か り の家 地球館 千 葉 城 ︵郷 土 博 物 館 0 (単位:%) 観光スポット・イベントの認知度:その2 千葉市の現状と課題 第2章 100 50 第2章 3 千葉市の現状と課題 千葉市の観光客数 本市の過去 10 年の観光客数は、1,600∼1,800 万人の間で推移しています。 また、観光客数を施設別にみると、 「幕張新都心」と「スポーツ」に関するもの が多くなっています。 観光客数の推移(平成9∼18 年) (単位:千人) 18,624 17,991 17,365 17,346 16,882 17,298 16,749 16,623 16,192 平成9年 10年 16,172 11年 12年 13年 14年 15年 16年 平成18 年 施設別観光客数 17年 18年 (単位:千人) 5,012 1,712 982 829 463 453 406 401 348 セ ム ター 園 ー 浜 館 森 ナ ル 公 メッ ジア ン ンタ げの 地球 和の アリー プー 物 張 タ セ セ O 動 な 昭 水 幕 ンス ツ 暇 子 い 温 市 PC ー 休 葉 TE ダ電 はし 金 マリ スポ 千 ク 年 て 葉 フ こ 生 千 総合 厚 県 県 葉 千葉 千 308 第2章 4 千葉市の現状と課題 千葉市の課題と取り組み 前述した千葉市の歴史や都市イメージ調査などの結果から、本市の都市イメー ジを向上させるための課題として次のようなことが考えられ、今後、その改善に 取り組む必要があります。 (1)都市イメージの弱さ 千葉市は、昭和40年代に首都圏のベッドタウンとして急激に発展しました。 そのため大都市としての歴史が浅く、市民に千葉市の都市イメージが定着してい るとは言い難い状況にあります。 こうしたことから、市民に自分の住んでいるまちの魅力を知ってもらい、本市 に関心を持ってもらう取り組みを進める必要があります。 (2)歴史・文化・特産品などの弱さ 千葉市の都市イメージとして発信する歴史・文化や、特産品・名産品などの魅 力が少ないため、千葉市らしい魅力を創出していく必要があります。 (3)情報発信の不足 人口93万人を超える首都圏の大都市でありながら、豊かな自然や水辺の魅力 を有すること、プロスポーツ2チームを抱えるホームタウンであることなど、千 葉市には多くの魅力があります。しかしながら、現在はこれらの魅力が、都市イ メージの向上にうまく結びついていない状況です。 そこで、本市の魅力を伝え、認知度を高めるための効果的な情報発信に重点を おいた取り組みを進める必要があります。
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